不倫慰謝料から逃れる方法はあるのでしょうか?
「支払わずにすむなら支払いたくない」という気持ちがあるかもしれません。
しかし、逃げようとして、慰謝料請求を無視することはおすすめできません。
裁判になったり、慰謝料の増額理由になったりして、自分にとってより不利な状況となるリスクがあるからです。
不倫慰謝料の負担を少しでも減らすためには、請求を無視せずに、請求内容をしっかり確認して、適切な対応を取るようにしましょう。
この記事を読んでわかること
- 不倫慰謝料を支払う義務のないケース
- 不倫慰謝料請求を無視したときのリスク
- すでに合意した慰謝料を支払えない場合の対処法

ここを押さえればOK!
1 肉体関係を伴う不倫がない場合
2 既婚者であることを知らず、過失もない場合
3 不倫時に夫婦関係が既に破綻していた場合
4 自らの意思で肉体関係を持っていない場合
慰謝料請求を無視すると、裁判になる可能性が高まり、交渉や裁判で不利になる可能性があります。請求された場合の対処法としては、支払い義務がないと主張するか、支払い義務を認めて減額や分割払いを交渉することが挙げられます。
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法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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@ikeda_adire_law
不倫慰謝料とは
「不倫慰謝料」とは、不倫をされたことによって受けた精神的苦痛を慰謝するために支払われるお金のことをいいます。
不倫をした当事者は、当事者の配偶者に対して、慰謝料を支払う義務があります。
ただし、そもそも不貞行為(肉体関係を伴うもの)がない場合や、不倫当時すでに夫婦関係が破綻していた場合などには、基本的に不倫慰謝料を支払う義務はないとされています。
不倫慰謝料を支払う義務がない4つのケース
不倫慰謝料の支払い義務があるかないかは、不貞行為の有無や、夫婦の状況などによって左右されます。
まずは、慰謝料請求されたら、慰謝料の支払い義務が「本当にあるのか」を確認するために、次の点を確認してください。
- 肉体関係を伴う不倫がない場合
- 既婚者であることを知らず、知らなかったことに過失もない場合
- 不倫を始めた当時すでに夫婦関係が破綻していた場合
- 自らの意思で肉体関係を持っていない場合
(1)肉体関係を伴う不倫がない場合
そもそも、肉体関係がない場合には慰謝料を支払う必要がないのが原則です。
もっとも、例外として、社会通念上許されないほどに親密な交際をしていた場合があります。
たとえば、既婚者と頻繁にデートを重ねて、キスなどの行為をしていた場合です。既婚者と親密な交際をしており、それが「夫婦の平穏・円満な共同生活を送る権利」の侵害にあたるとされれば、肉体関係はなくても慰謝料を支払わなければならないと判断される例外的なケースもあります。
不貞行為の判断基準について詳しくはこちらをご覧ください。
(2)既婚者であることを知らなかった場合
不倫の慰謝料請求が認められるためには、不貞行為の相手が既婚者だと知っていた、または不注意で気付かなかった、という事情が必要です。これを、「故意・過失」といいます。
交際相手が既婚者であることを知らずに、かつ、知らなかったことについてあなたに落ち度がない場合、慰謝料を支払う必要はありません。
ただし、「故意・過失」がなかったことは、「知らなかった」といえば当然に認められるわけではなく、判断には専門的な知識が必要となります。

交際相手が実は既婚者だった場合について詳しくはこちらをご覧ください。
(3)不倫を始めた当時すでに夫婦関係が破綻していた場合
夫婦が長年別居しているなど、不倫をする前から夫婦関係が完全に破綻している場合には、法律が保護している「夫婦が平穏・円満な共同生活を送るという権利」が存在せず、慰謝料の支払い義務はありません。
しかし、別居していても、短期間であったり、連絡は取り合っており夫婦としての実態は存在するなど、夫婦の具体的状況次第では破綻していないと判断されるケースもあります。
婚姻関係の破綻について詳しくはこちらをご覧ください。
(4)自らの意思で肉体関係を持っていない場合
強制性交等(強姦)・脅迫など、無理やり肉体関係を持たされたような場合、あなたに責任はなく、慰謝料の支払いに応じる必要はありません。
ただし、自分の意思で断れた場合など、具体的状況次第ではそのような主張は認められないこともあります。
【合意前】不倫慰謝料請求を無視したときの3つのリスク
不倫がバレると、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されることがありますが、その請求を無視することはおすすめできません。
これまで説明した、不倫慰謝料を支払う義務がないケースに当てはまる場合であっても、同じく無視しないほうが良いでしょう。
不倫慰謝料の請求を無視した場合には、次の3つのリスクがあります。
- 裁判になる可能性が高まる
- 示談交渉や裁判で不利になる可能性がある
- 慰謝料の請求者がさらに怒りを募らせる可能性がある
(1)裁判になる可能性が高まる
不倫慰謝料の請求を無視し続けると、裁判を起こされる可能性が高くなります。
裁判になれば、手間も時間もかかり、あなたにも大きな負担がかかります。
(2)示談交渉や裁判で不利になる可能性がある
不倫慰謝料の請求を無視していた理由を、「やましいことがあるのではないか」、「反省していないのではないか」などと勘ぐられ、示談交渉がまとまりにくくなるリスクがあります。
また、裁判になってしまった場合も、裁判官に悪印象を与えかねません。
(3)慰謝料の請求者がさらに怒りを募らせる可能性がある
不倫慰謝料の請求を無視することで、慰謝料の請求者がさらに怒りを募らせて、その後の減額交渉や分割交渉に応じてもらいにくくなる可能性があります。
【合意前】不倫慰謝料を請求されたときの対処法
まず、不倫の慰謝料請求をされたらやるべきことは、次の2パターンに分かれます。
- 支払い義務がないと主張する
- 支払い義務があることを認めて、減額や分割払いを交渉する


(1)支払い義務がないと主張する場合
不倫の慰謝料の支払い義務がないと交渉する場合、示談交渉がまとまりにくくなると考えられ、裁判になってしまう可能性が高くなります。
もっとも、裁判を避けたい場合には、誤解を招く行動をしてしまったとして、解決金を提示する方法も考えられます。相手がこれに応じれば、裁判を回避できるでしょう。
(2)支払い義務があることを認める場合
不倫をし、慰謝料を支払う義務があると認めるけれども、慰謝料を一括で支払えない場合には分割交渉、慰謝料の減額を求める場合には慰謝料の減額交渉となります。
(2-1)分割交渉
双方の合意があれば、分割払いにすることが可能です。回数も、交渉次第になります。
「一括で支払ってもらいたい」と頑なに主張する人もいますが、一般的には「支払ってもらえるなら、分割払いを認める」と譲歩する人が多いです。
もっとも、不倫した当事者が直接交渉した場合、感情的になっている請求側がなかなか譲歩しない可能性もあります。
(2-2)減額交渉
減額交渉をする場合には、たとえば、請求金額が相場よりも高いことや慰謝料の減額要素があることなどを主張して、減額を求めていくことになります。
【合意後】不倫慰謝料の支払いを無視した場合のリスク(パターン別)
次に、すでに支払うことに合意をした不倫慰謝料を支払えずに無視した場合のリスクについて紹介します。
慰謝料をどのように合意したかによって、支払いを無視した場合のリスクは異なります。
(1)示談書(合意書)などを交わしている場合
慰謝料の支払いについて示談書などを交わしている場合、示談書を証拠として慰謝料の支払いを求める裁判を起こされてしまう可能性があります。
通常、示談書は裁判において強力な証拠となるため、慰謝料の支払いを命じる判決が出てしまう可能性が高いといえます(時効消滅した場合は除きます)。そして支払判決が確定したにもかかわらず、慰謝料を支払わない場合には、あなたの財産に対して強制執行されてしまう可能性があります。
強制執行は、本人の都合等は関係なく、ある日突然給与や預金、車などの財産を差押えられる制度のことをいいます。また、給与の差押えは勤務先に知られてしまうため、仕事に事実上影響を及ぼすこともありえます。
(2)公正証書を作成して合意している場合
慰謝料の支払いについて公正証書を作成して合意している場合(「強制執行認諾付き」の公正証書の場合)には、裁判を経ることなく、すぐに強制執行されてしまう可能性があります。
公正証書について詳しくはこちらをご覧ください。
(3)調停や裁判で支払いが確定している場合
調停調書や裁判の判決で慰謝料の支払いが確定している場合も、裁判を経ることなく、すぐに強制執行が行われる可能性があります。
【合意後】不倫慰謝料を支払えない場合の2つの対処法
すでに支払うことに合意している慰謝料が支払えない場合には、次の2つの方法があります。
- 分割払いの交渉をする
- 自己破産をする
(1)分割払いの交渉をする
一括で支払うことは難しいが、少しずつ支払うことは可能な場合には分割交渉をすることを検討しましょう。ただし、分割払いの交渉では保証人をつけることを求められることもあります。
(2)自己破産する
慰謝料の支払い義務があるが、どうしても支払えないほど困窮している場合、最終的には自己破産するという選択肢もあります。
自己破産とは、裁判所からの(債務の)免責許可決定が確定した場合に、借金などの債務から逃れることができる制度です。
もっとも、免責許可決定が出ていても、後から慰謝料は免責許可の対象外であると反論されてしまう場合もあります。
慰謝料が免責許可の対象外であると反論された場合、自己破産により不倫の慰謝料が免責されるかどうかはケースバイケースです。
たとえば、慰謝料の発生原因に不倫のほか、暴力的な嫌がらせなど悪質なものがある場合は、免責とならない可能性もあります。
自己破産しても免責されない債権について詳しくはこちらをご覧ください。
【まとめ】不倫慰謝料を無視するのはNG!負担を少しでも減らすためには減額や分割払いの交渉を
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 不倫慰謝料を支払う義務がない4つのケース
- 肉体関係を伴う不倫がない場合
- 既婚者であることを知らなかった場合
- 不倫を始めた当時すでに夫婦関係が破綻していた場合
- 自らの意思で肉体関係を持っていない場合
- 【合意前】不倫慰謝料の請求を無視したときの3つのリスク
- 裁判になる可能性が高まる
- 示談交渉や裁判で不利になる可能性がある
- 慰謝料の請求者がさらに怒りを募らせる可能性がある
- 【合意前】不倫慰謝料の請求に対する対処法は、支払い義務の有無を確認し、1.支払い義務がないと主張する、もしくは2.支払い義務があることを認めて、減額や分割払いを交渉する、の2パターン
- 【合意後】不倫慰謝料の支払いを無視した場合のリスク
- 示談書などを交わしている場合
裁判となる可能性が高い。裁判書となると、示談が強力な証拠となり、支払い判決が出る可能性が高く(時効消滅した場合は除きます)、支払い判決が出ると強制執行のリスクがある。 - 公正証書を交わしている場合や調停や判決で支払いが確定している場合
裁判を経ることなく、強制執行となるリスクがある。
- 【合意後】不倫慰謝料請求に対する対処法は、1.分割払い交渉、もしくは、2.(どうしても支払えない場合)自己破産し、不倫慰謝料を免責してもらう、こととなる
突然の慰謝料請求に驚いた場合、逃げ出したくなる気持ちはわかりますが、請求を無視し続けると、かえってトラブルが拡大したり、減額交渉に応じてもらえなくなったりするリスクがあります。
また、交渉の余地がないと判断され、裁判を起こされた場合には、余計に手間や費用が掛かってしまいます。
そのため、慰謝料を請求されたら無視せず、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
アディーレ法律事務所では、不倫慰謝料を請求された事件の相談料は何度でも無料です。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため、費用倒れの心配はありません。
(以上につき、2023年2月時点)
不倫の慰謝料請求をされてお悩みの方は、不倫の慰謝料請求への対応を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
