「幼い頃に受けた集団予防接種などによりB型肝炎ウイルスに感染したかもしれない」という不安を抱えながらも、「給付金がもらえるのか分からない」「手続きが難しそう」と、一人で悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実際に、給付金を受け取れる可能性があるにもかかわらず、手続きをせずにいる方が多くいらっしゃいます。
このコラムでは、B型肝炎給付金の概要から、「誰が対象になるのか」「いくらもらえるのか」といった疑問を一つひとつ解消します。また、給付金を受け取れない典型例や、弁護士に相談・依頼するメリットについても詳しく解説します。
ここを押さえればOK!
給付金の額は病気の症状の重さによって50万円から3,600万円と幅がありますが、特に注意すべきは「発症後から20年」という期間制限(時効・除斥期間)があることです。期間制限(時効・除斥期間)を過ぎてしまうと、受け取れるはずの金額が大幅に減ってしまう可能性があるため、ご自身の状況を早めに確認することが重要です。
現在、給付金を受け取れる可能性があるにもかかわらず、まだ多くの方が手続きをできていない現状があります。「自分は対象ではないかも」「手続きが難しそう」と諦める前に、まずはご自身が給付金の対象者であるかどうかを確認してください。
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B型肝炎給付金とは|国から支払われる和解金のこと
B型肝炎給付金とは、かつて行われた集団予防接種(幼い頃に学校などで受けた予防注射など)などが原因でB型肝炎ウイルスに持続的に感染してしまった方や、そのご遺族に対して、国から支払われる和解金のことです。
この給付金を受け取るためには、まず国を相手に裁判(B型肝炎訴訟)を起こし、和解という形で国に責任を認めてもらう必要があります。そして和解が成立した後、さらに国から指定された機関(社会保険診療報酬支払基金)へ給付金の申請を行うという、二段階の手続きが必要です。
(1)B型肝炎給付金の概要と制度ができた経緯
B型肝炎給付金制度は、5名の感染者の方の訴えから始まりました。1989年、集団予防接種等(予防接種またはツベル クリン反応検査をいいます )によってB型肝炎ウイルスに感染したとして国に損害賠償を求める裁判を起こしたのです。
実に17年にもわたる長い裁判の末、2006年ついに最高裁によって国の責任が認められ、国に対し感染者の方へ賠償金を支払うよう命じました。この判決を受け、より多くの方を救済するために、一時的な措置として法律で定められたのが、現在のB型肝炎給付金制度です。
(2)B型肝炎給付金の現在の和解状況|給付金を受け取った人の割合
集団予防接種等によってB型肝炎に感染したとされる方は、推計で40万人以上いらっしゃると言われています。しかし、2025年1月31日時点で、国との和解が成立し、給付金を受け取ることができた方は11万2,783人にとどまっています。
これはつまり、本来であれば給付金を受け取れる可能性があるにもかかわらず、まだ多くの方が給付金を受け取れていない、という現状があることを示しています。「自分は対象ではない」「手続きが難しい」などの理由から諦めている方も多いのかもしれません。
B型肝炎給付金を受け取る資格がある方とは|誰が対象になる?
B型肝炎給付金を受け取れる可能性があるのは、(1)集団予防接種等での注射器の連続使用が原因で感染してしまった方(一次感染者)、(2)その方から家族内で感染してしまった方(二次・三次感染者)、または(3)遺族の方(相続人)のいずれかに当てはまる方です。
ご自身がどのパターンに当てはまるか、ぜひ確認してみてください。
(1)一次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るための条件
集団予防接種等の際注射器の連続使用でB型肝炎ウイルスに感染した方を「一次感染者」と呼びます。一次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るためには次の条件を全て満たす必要があります。
- 1941年7月2日から1988年1月27日までに生まれていること
- 満7歳の誕生日前日までに集団予防接種またはツベルクリン反応検査を受けていること
- B型肝炎ウイルスに持続感染していること(※)
- 母子感染、輸血による感染など、集団予防接種等以外の感染原因がうかがわれないこと
※ HBs抗原、HBV-DNA、HBe抗原、HBc抗体などの検査結果や医学的知見を踏まえて持続感染しているか判断されます。
(2)二次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るための条件
一次感染者である親から、B型肝炎ウイルスがうつった方を「二次感染者」と呼びます。二次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るためには次の条件を全て満たす必要があります。
- 本人の母親もしくは父親が一次感染者の要件を全て満たすこと
- 本人がB型肝炎に持続感染していること
- 感染原因が母子感染又は父子感染であること(※)
※ 母子感染の場合、妊娠中または出産の際にB型肝炎ウイルスがうつることが念頭におかれています。一方、父子感染の場合は、唾液などを介して父親から子にB型肝炎ウイルスがうつることが想定されています。
(3)三次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るための条件
一次感染した祖父母から、親にB型肝炎ウイルスがうつり(二次感染)、その親からさらにB型肝炎ウイルスがうつった方を「三次感染者」と呼びます。三次感染者の方がB型肝炎給付金を受け取るためには次の条件を全て満たす必要があります。
- 本人の母親もしくは父親が二次感染者の要件を全て満たすこと
- 本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 二次感染者(母親もしくは父親)から三次感染者(本人)への感染原因が母子感染または父子感染であること
- 本人の感染原因が以下のいずれかであること
- 二次感染者である母親から、母子感染により持続感染者となった方
- 二次感染者である母親から、父子感染により持続感染者となった方
- 二次感染者である父親から、母子感染により持続感染者となった方
(4)ご遺族(相続人)の方がB型肝炎給付金を受け取るための要件
B型肝炎給付金を受け取る資格がある方(上記(1)(2)(3)に該当する方)のご遺族(相続人)もB型肝炎給付金を受け取ることができます。
B型肝炎給付金はいくらもらえる?【病態ごとの給付金額一覧表付き】
B型肝炎給付金として国から受け取れる金額は、50万円から3,600万円と幅があります。これは、現在または過去に抱えていた病気の状態(病態)の重さによって、もらえる金額が変わるためです。
ただし、非常に重要な注意点があります。それは、請求期限(時効・除斥期間)を過ぎてしまうと、本来もらえるはずの給付金よりも大幅に少なくなってしまうケースがあるということです。この請求期限(時効・除斥期間)について、特に気を付けていただく必要があります。
(1)【病態ごと】B型肝炎給付金の金額一覧表
B型肝炎給付金は、給付の対象となる方の病気の状態(病態)に応じて、あらかじめ定められた金額が国から支払われます。
まずは、皆さんの状況に応じた給付金額を一覧表で確認してみましょう。
【給付金額の一覧表】
| 症状 | 給付金の金額 (一定期間が経過する前) | 給付金の金額 (一定期間を経過した後) |
| 死亡・肝がん、 肝硬変(重度) | 3600万円 | 900万円 |
| 肝硬変(軽度) | 2500万円 | (1)特定の治療を受けている方等 →600万円 (2)上記以外 →300万円 |
| 慢性肝炎 | 1250万円 | (1)特定の治療を受けている方 →300万円 (2)上記以外 →150万円 |
| 無症候性キャリア | 600万円 | 50万円 |
(2)どうして期間制限を過ぎると大幅に給付金が減ってしまうの?
ここで、先ほど触れた「期間制限(時効・除斥期間)」について詳しく見ていきましょう。
期間制限とは、実は「権利を持っているのに、長い間それを請求しない(行使しない)でいると、その権利がなくなってしまう」という法律上のルールのことです(「消滅時効」や「除斥期間」と呼ばれます)。
これは、「せっかく権利があるのに使わないのなら、その権利は無くなってしまいますよ」という考え方に基づいています。
そして、B型肝炎給付金の受け取りにも期間制限(時効・除斥期間)が設けられています。
B型肝炎給付金の場合、この期間制限(時効・除斥期間)が過ぎた後に請求をしても、給付金自体を受け取ることができます。しかし、期間制限を過ぎる前に請求していた場合と比べて、給付金が大幅に減額されてしまうという仕組みになっています。
| 症状 | 期間 |
|---|---|
| 無症候性キャリア(無症状)の場合 | 集団予防接種等を受けた日(二次感染者、三次感染者については生まれた日等)から20年 |
| 慢性肝炎など特定の症状を発症した場合 | その症状が発症した日から20年 |
| 亡くなった場合 | 亡くなった日から20年 |
発症後20年が経過すると、期間制限(時効・除斥期間)が過ぎたことになり、給付金の額が大幅に減ってしまいます。ご自身の状況が期間制限(時効・除斥期間)にかかっていないか、正確に知るためにも、お早めに弁護士にご相談ください。
B型肝炎給付金に加えて定期検査費用や訴訟手当金などが受け取れます!
B型肝炎給付金以外にも訴訟手当金や定期的な検査費用なども国から支給される仕組みがありますので、どのような費用が対象になるのか確認していきましょう。
(1)定期検査費用や訴訟手当金が支給されます
上記の給付金に加えて、以下の費用も国から支給されます。
- 訴訟手当金(弁護士費用):給付金額の4%相当額
- 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用の一部(※1)
- 和解後の定期検査費用等(※2):集団予防接種等後または出生後20年が経過した無症候性キャリアの方が対象
※1 当該検査につき場合によっては出ないこともありますのでご注意ください。
※2 この費用には、慢性肝炎などの発症を確認するための定期検査費用、母子感染防止のための医療費、世帯内感染防止のための医療費、定期検査手当が含まれます。ただし、 B型肝炎ウイルスの持続感染を認定するために必要なHBs抗原検査などの基本的な検査費用は支給対象外となります。
(2)給付金の受給後に病態が進行した場合には「追加給付金」を請求できます
「一度給付金を受け取ったけれど、後になって病気の症状が悪化してしまったらどうなるのだろう?」とご心配される方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。
和解が成立し、給付金を受け取られた後でB型肝炎の症状が悪化してしまった場合でも、病態の進行度に合わせて追加で給付金を請求することが可能です。
例えば、「慢性肝炎」として和解した後、「重度の肝硬変」もしくは「肝がん」に悪化してしまった場合には、追加の給付金として2,350万円が支給されます。
ただし、この追加給付金を受給できる期間には期限があります。それは、「病態の進行(症状の悪化)を知った時から5年以内」です。この期限内に、国からの給付を担当する機関である社会保険診療報酬支払基金(支払基金)へ申請する必要があります。
もし、ご自身の病態が進行している可能性があると心当たりのある方は、この期限を過ぎてしまう前にお早めに申請されることをお勧めします。
あなたが対象外になる可能性も?B型肝炎給付金を受け取れない典型例とは
B型肝炎給付金は、B型肝炎ウイルスに感染している方なら誰でも受け取れるというわけではありません。国と裁判所で和解(合意)を成立させるためには、法律で定められた「和解要件」を満たしていることを、証拠となる資料で証明する必要があります。
そのため、この和解要件を満たす証明資料を提出できない場合、残念ながらB型肝炎給付金を受け取れない可能性が出てきてしまいます。ここでは、給付金の対象外となってしまう可能性のある典型的な例をご紹介します。
(1)B型肝炎ウイルスへの「持続感染」を証明できない場合
給付金の対象となるのは、ウイルスに一時的に感染した「一過性感染」ではなく、体内にウイルスが長期間にわたり残り続けている「持続感染」であったことが条件となります。この持続感染であったことを、過去の血液検査結果などの資料で証明する必要があります。
ただし、血液検査結果によっては証明できないという場合であっても、カルテ等の他の資料によって持続感染の要件を証明できることもありますので、一度弁護士へご相談ください。
(2)母親からの感染ではないこと(非母子感染)を証明できない場合
B型肝炎給付金の請求では、感染原因が集団予防接種等であることを前提としています。そのため、母親から生まれた時に感染した(母子感染)ケースではないことを証明する必要があります。しかし、お母様の検査結果が得られない場合など、この「非母子感染」の証明が難しくなることがあります。
ただし、お母様の検査結果が得られない場合でも代替資料で「非母子感染」の証明ができる可能性がありますので、一度弁護士へご相談ください。
(3)ジェノタイプAeのB型肝炎ウイルスに感染している場合
B型肝炎ウイルスにはいくつかの型(ジェノタイプ)があり、「ジェノタイプAe」と呼ばれる型のウイルスに感染している場合、給付金の対象外となります。
このタイプのウイルスは、集団予防接種が行われていた時期よりも後の1996年以降に国内で確認され、その後感染例が急速に拡大した経緯から、集団予防接種等による感染の可能性が極めて低いと判断されるほか、幼少期の感染でなくとも持続感染状態になってしまうため、「幼少期に集団予防接種等で感染したこと」が立証できなくなってしまうためです。
ただし、ジェノタイプ「A」には「Aa」と「Ae」の2種類があり、和解の対象から外れるのは、あくまでも「Ae」のみとなります。
B型肝炎給金を弁護士に相談・依頼する3つのメリットとは
「給付金がもらえることは分かったけれど、手続きが大変そう」「裁判なんて自分には無理」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、弁護士に相談・依頼いただくメリットを3つご紹介します。
(1)難しい資料収集や書類作成を代行してくれる
B型肝炎給付金を受け取るためには、過去の医療記録やご家族に関する書類などの資料を収集する必要があります。その上で、裁判所に提出するための書類を作成しなければなりません。
しかし、ご自身で資料を収集するとなると、「亡くなった家族の資料が揃うのか不安」「過去の病院の記録が見つからない」といった悩みや不安を抱えてしまうことでしょう。
弁護士にお任せいただければ、弁護士がご依頼者様に代わって戸籍や医療記録などの必要書類を収集し、訴訟に必要な書類作成から全て代行します。
(2)訴訟提起や裁判所の出廷も任せられる
B型肝炎給付金を請求するためには、国を相手に裁判を起こし、和解(合意)を成立させるという法的な手続きが必要です。
弁護士にお任せいただければ、弁護士がご依頼者様に代わって訴訟提起や裁判所への出廷など、給付金を請求するために必要な全ての手続きを行います。弁護士に依頼することで、弁護士のサポートを受けながら、安心して手続きを進めることができます。
(3)自身では困難と思われた案件でも、和解成立の可能性がある
B型肝炎の給付金請求訴訟で和解を成立させ、給付金を受け取るには、特定の要件を満たすことが必要です。しかし、ご自身だけでは、この要件を証明することができる様々な資料を準備できない可能性があります。
このようなご自身だけでは困難と思われた状況であっても、弁護士が他の代替となる資料の提出を提案したり、交渉したりすることで、和解成立の可能性を広げることができます。
【まとめ】B型肝炎給付金は集団予防接種などで持続感染した方とそのご遺族が対象
B型肝炎給付金は、集団予防接種などが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方やそのご遺族に対し、国から支払われる和解金です。
給付金の額は病態によって異なりますが、「期間制限(時効・除斥期間)」を過ぎると大幅に減額される可能性があるため、ご自身の状況が期間制限(時効・除斥期間)にかかっていないか、早急に確認することが重要です。
給付金を受け取るための資料収集や書類作成、訴訟手続きは、弁護士に依頼することで全て代行してもらうことができます。
ご自身では困難と思われたケースでも、弁護士のサポートで和解成立の可能性を広げることが可能です。アディーレ法律事務所には、肝炎に関する知識が豊富な弁護士・事務員が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。
























