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10対0の追突事故で示談金の相場はどう計算する?項目や算定基準を解説

作成日:更新日:
川手雅

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「後ろの車両に追突されてケガをした!こちらの過失はゼロなんだから、示談金の額も高くなるはず?」

信号待ちで後ろから追突された場合など、過失割合が10対0の場合には、過失相殺によって減額されないため、被害者が被った損害を全額加害者側に請求できるのが原則です。
したがって、ある程度納得のいく金額の示談金が提示されるはずだと思っているかもしれません。
しかし、請求できるお金の項目や金額の相場を知らないと、保険会社から言いくるめられてしまい、損をしてしまう可能性があります。
被害の実態に合わせた適切な補償を受けるためにも、示談金の相場や計算方法を知っておくとよいでしょう。

この記事を読んでわかること

  • 請求できる示談金の内訳(項目)
  • 過失割合10対0の事故の示談金の計算方法
  • 示談交渉の際の注意点

過失割合が10対0になる交通事故についてはこちらの記事もご覧ください。

交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?知っておくべき注意点も解説

ここを押さえればOK!

交通事故の被害にあってケガをした場合、被害者が請求できる示談金の内訳について解説します。
まず、ケガを負った場合には治療費、入通院慰謝料、休業損害などが請求可能です。
後遺症が残った場合には、これらに加えて後遺症慰謝料と逸失利益を請求できます。
なお、被害者が亡くなった場合には、死亡慰謝料、逸失利益、葬儀関係費が請求できますが、これらは被害者の相続人が受け取ることになります。
示談金の具体的な項目は、治療費、入通院交通費、慰謝料、休業損害、逸失利益などです。
示談金が減額されるケースには、被害者側にも過失が認められた場合や、被害者に既往症があった場合などがあります。
示談交渉の際の注意点としては、少しでも身体に違和感があるなら病院で受診すること、治療費の打ち切りには応じないこと、適切な後遺障害等級認定を受けることが挙げられます。示談金を増額したい場合には、弁護士に依頼することが有効な手段です。
後遺症慰謝料などの算定基準には弁護士基準(裁判所基準)、任意保険基準、自賠責保険基準の3つの基準があり、通常の場合は弁護士基準(裁判所基準)が最も高額となるためです。
被害者自身が弁護士基準(裁判所基準)を主張しても、保険会社は応じないことが多いため、弁護士への依頼をおすすめします。

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この記事の監修弁護士
弁護士 南澤 毅吾

東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。

10対0の事故でもらえる示談金

被害の状況別に、10対0の事故の被害者がもらえる示談金の内訳(項目)について解説します。

(1)ケガを負った場合

打撲や捻挫などのケガを負ったものの後遺症は残らなかった場合、示談金として請求できる項目は次のとおりです。

  • 治療費(入通院交通費など治療に関する損害を含む)
  • 入通院慰謝料
  • 休業損害

(2)後遺症(後遺障害)が残った場合

上記に加え、後遺症慰謝料と後遺症による逸失利益を請求できます。
なお、これらを請求できるのは、基本的に後遺障害等級が認定された場合です。

(3)被害者が亡くなった場合

被害者が亡くなってしまった場合に請求できる項目は次のとおりです。

  • 死亡慰謝料
  • 死亡による逸失利益
  • 葬儀関係費

もっとも、被害者本人は亡くなっているため、実際に死亡慰謝料などを受け取るのは被害者の相続人になるでしょう。

10対0の事故で請求できる示談金の項目

では、交通事故の被害にあってケガをした場合に請求できる示談金の主な項目と、その概要をご説明します。

(1)治療費

治療費は、ケガを治療するためにかかった費用のことです。
過失割合が10対0の場合、通常は加害者側の保険会社が直接病院に治療費を立て替えてくれることが多いようです。
この制度のことを「一括対応」といいます。
そのため、一括対応によりすでに病院に治療費が支払われた場合、その部分の金額は示談金のなかに含まれません。
被害者が、治療費の名目で二重に利益を得ることになってしまうからです。

また、受けた診療が過剰診療であるとして、その必要性が否定された場合には、その部分の治療費は受け取れません。

(2)入通院交通費

病院などへの入退院や通院などのために支出した交通費も認められます。
バスや電車等の公共交通機関を使用することが原則ですが、やむを得ない事情があると認められる場合などには、通院のためのタクシー代が支払われることもあります。
また、やむを得ず通院に自家用車を使った場合には、ガソリン代や駐車場代が支払われます。

なお、被害者が幼い子どもだったり、症状が重かったりして、近親者が通院に付き添う必要があったという事情があれば、付添人の交通費も受け取れる可能性があります。

(3)慰謝料

交通事故で請求できる可能性がある慰謝料は、主に次の3つです。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺症慰謝料
  • 死亡慰謝料

入通院慰謝料は、交通事故により入院や通院を強いられたことで生じた精神的損害に対する慰謝料です。
入通院慰謝料の金額は、原則として入通院期間に応じて算出されます。
後遺症慰謝料は、交通事故の被害者が後遺症を負った場合に請求できる慰謝料のことです。
後遺症慰謝料を請求するためには、基本的に後遺障害の等級認定を受けている

ほかにも、被害者本人が死亡したり、重い後遺症が残ったりした場合には、ご家族にも固有の「近親者慰謝料」が認められることがあります。

(4)休業損害

交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合、事故による収入の減少を補填するためのお金を請求できます。これが休業損害です。
休業損害の算出方法は、被害者の職業や収入状況によって異なりますが、次の計算式で算出されます(後述する弁護士基準(裁判所基準)の場合)。

休業損害=1日あたりの損害額×休業日数

基本的には、事故前の収入額に基づいて1日あたりの損害額を算出します。
また、休業日数は必要かつ相当な範囲で認められるため、必ずしも休んだ日数=休業日数とはならない点にはご注意ください。

自賠責保険基準では、被害者の職業にかかわらず、原則として1日あたりの損害額を6,100円で算出します。

(5)逸失利益

交通事故によって後遺症が残ったり、死亡したりした場合、将来得られるはずだった収入が失われることがあります。これを補填するためのお金が「逸失利益」です。

逸失利益の算出方法は、被害者の年齢、職業、収入、後遺障害の程度などによって異なりますが、基本的には次の計算式で算出されます。
逸失利益 = 事故前の年収 × 労働能力喪失率 × 能力喪失年数(中間利息控除したもの)

労働能力喪失率は、後遺障害の等級に基づいて決定されます。
計算上、就労が可能な期間は一般的に67歳までとされていますが、後遺障害の内容や被害者の職業、健康状態によって異なることもあります。

(6)その他

交通事故による車両や積載物の破損など物損に関する費用を請求できる場合もあります。
たとえば、車の修理費だけでなく、代車使用料や自動車検査登録手続・車庫証明手続の代行費などです。

※「物的損害の請求のみのご相談」は承っておりません。何卒ご了承ください。

示談金が減額されてしまうケース

次に、示談金が減額されてしまう主なケースをご紹介します。

(1)被害者側にも一定の過失が認められた場合

被害者本人は10対0だと思っていたけど、被害者側にも過失があると認められた場合には、過失相殺により、10対0の場合よりも示談金が減額されてしまいます。

たとえば、被害者がシートベルトをしていなかったとか、信号無視をしたといった事情があるとして、加害者側の保険会社が、被害者の過失を主張してくることがあります。

そのような主張に納得できない場合には、事故時の状況を示す証拠(ドラレコなど)や類似する事故の裁判例などを根拠に、適切な主張をすることが必要です。

過失割合について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

交通事故における「過失割合」「過失相殺」とは?納得できない場合の対処法は?
交通事故の過失割合でゴネ得させない2つの対処法を弁護士が解説

(2)通院頻度や既往症などの減額事由を主張された場合

被害者の通院頻度が低かったり、既往症があったりした場合にも、示談金が減額される可能性があります。

被害者が事故の前から持っていた身体的・精神的な要因によって、損害が通常人よりも大きくなっていると考えられる場合には、示談金が一定程度減額される場合があるからです。
これを素因による減額(素因減額)と呼びます。

そのため、特に既往症があった場合、保険会社が事故とケガの因果関係が認められないと主張してくることがあります。

明らかに10対0の事故で過失相殺はされなくても、既往症があると保険会社が減額を主張してくることもあるので注意しましょう。

10対0の事故で示談交渉をする際の注意点

後方から追突されたなど、過失割合が10対0と思われる事故の場合に、示談交渉をする際の注意点を具体的に解説します。

(1)少しでも身体に違和感があるなら病院で受診する

追突事故後、少しでも身体に違和感がある場合は、すぐに病院で受診することをおすすめします。
追突事故などで多いむちうちの場合、あとになって自覚症状が出ることもあるので、その場では痛みがなくても、自己判断で放置せず、なるべく病院に行くようにしましょう。

事故直後の興奮状態によって痛みを感じにくいこともあるようです。
すぐに病院で検査し、事故直後の状態を記録に残しておけば、あとから痛みが出ても事故との因果関係を証明しやすくなり、のちの示談交渉で有利になると考えられます。

(2)治療費の打ち切りには応じない

保険会社から治療費の打ち切りを打診されても、治療中であれば安易に打ち切りには応じないようにしましょう。
治療期間が短くなることで、受け取れる治療費や入通院慰謝料が減るだけでなく、後遺症が残っても後遺障害認定を受けにくくなる可能性があります。

適切な額の示談金が受け取れなくなるリスクを避けるため、治療が不十分な状態では示談せず、医師と相談したうえで適切な治療期間を確保するようにしてください。

保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合には、こちらの記事をご覧ください。

交通事故の治療費が打ち切りになったら?弁護士が教える対処法

(3)適切な後遺障害等級認定を受ける

後遺障害が残る場合は、適切な後遺障害等級認定を受けることが重要です。
後遺症慰謝料や逸失利益は等級認定に基づいて算定されるため、等級認定は示談金の額に大きく影響します。
医師の診断書や検査結果をもとに、正確な等級認定を受けるために必要な手続を行いましょう。
なお、等級認定に不満がある場合には、異議申立てを行うことも可能です。

後遺症慰謝料の金額の相場は、次のとおりです。
(2020年4月1日以降に発生した事故で被害者に過失がない場合)

後遺障害等級後遺症慰謝料の相場
非該当(等級認定されなかった場合)0円
14級9号弁護士基準(裁判所基準):110万円
自賠責基準:32万円
12級13号弁護士基準(裁判所基準):290万円
自賠責基準:94万円

「弁護士基準(裁判所基準)」や「自賠責基準」については次の項目でご説明します。

示談金を増額したいなら弁護士に依頼する

示談金を増額したい場合、弁護士に依頼することが非常に有効な手段です。
なぜなら、示談金の算定基準には「弁護士基準(裁判所基準)」「任意保険基準」「自賠責保険基準」の3つがあり、どの基準を採用するかによって金額が大きく異なるからです。
それぞれについて簡単にご説明します。

弁護士基準
(裁判所基準)
過去の裁判例に基づく基準で、通常の場合、最も金額が高くなる。
任意保険基準任意保険会社が独自に設けている損害賠償の基準で、基本的には非公開。
金額は、多くの場合で自賠責保険基準よりは高く、弁護士基準(裁判所基準)よりは低くなると考えられている。
自賠責保険基準自動車損害賠償保障法によって定められている基準。
通常、3つある基準のなかでもっとも金額が低い。

※ただし、自賠責保険は70%未満の過失については減額対象にしないため、被害者にも一定の過失がある場合には、自賠責保険基準がもっとも高額となることもあります。

弁護士基準(裁判所基準)をもとに、自分で保険会社と交渉することはできないのですか?

被害者ご自身が、弁護士基準(裁判所基準)が相場と主張して交渉することは可能です。
しかし、ほとんどの場合、弁護士でない方が弁護士基準(裁判所基準)を主張しても保険会社は応じません。

【まとめ】10対0なら過失相殺はされない|示談金の算定基準や相場を意識しよう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故の被害にあってケガをした場合に請求できる示談金の主な項目
    (1)治療費
    (2)入通院交通費
    (3)慰謝料
    (4)休業損害
    (5)逸失利益
    (6)その他
  • 被害者が10対0の事故だと思っていても、被害者にも過失が認められて過失相殺されることがある
  • 保険会社から既往症などの減額事由を主張されることもある
  • 追突事故などで多いむちうちの場合、あとから自覚症状が出ることもあるため、なるべく病院で受診するべき
  • 等級認定は示談金の額に大きく影響するため、適切な後遺障害等級認定を受けることが重要
  • 示談金を増額したいなら弁護士に依頼するとよい

交通事故の被害による賠償金(示談金)請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2024年11月時点)

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