交通事故で後遺障害等級2級にあたる後遺症が残った場合、その影響は被害者の人生を大きく変えてしまいます。
日常生活のほとんどの場面で介助が必要となり、働くことも困難になるかもしれません。しかし、適切な額の賠償金を受けることで、今後の生活を支える重要な基盤を得ることができます。
本記事では、後遺障害2級の認定基準から慰謝料相場、逸失利益の計算方法まで、弁護士が解説します。
この記事を読んでわかること
- 後遺障害2級の認定基準と具体的な症状例
- 後遺障害2級の慰謝料相場
- 逸失利益の計算方法
- 介護費用の計算方法
- 後遺障害2級の認定を受けるための重要なポイント
ここを押さえればOK!
具体的な症状例として、視力障害、上肢・下肢の一部喪失、随時介護を要する神経系統や胸腹部臓器の機能障害などがあります。
2級認定を受けると、高額な慰謝料や逸失利益などの損害賠償が認められる可能性があります。慰謝料相場は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、基本的に弁護士基準が最も高額となります。
逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数で計算され、2級では労働能力喪失率が100%となるため、非常に高額になります。介護費用も長期にわたって発生するため、適切な算定が重要です。
後遺障害等級2級の認定を受けるためには、専門医による詳細な診断と適切な診断書の作成、被害者請求の活用、必要書類の確実な準備が重要です。
適切な補償を得るためには、交通事故に関する法的知識と戦略的なアプローチが不可欠であり、早期に交通事故を扱う弁護士への相談をお勧めします。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
後遺障害2級の認定基準と具体的な症状例
後遺障害2級は、重度の障害を示す等級で、被害者の日常生活に著しい支障をきたす状態を指します。
2級認定を受けると、高額な慰謝料や逸失利益などの損害賠償が認められる可能性があります。ただし、認定には専門医による詳細な診断と適切な診断書の作成や資料が不可欠です。
以下、具体的な症状例を見ていきましょう。
(1)視力に関する2級の認定基準
視力に関する後遺障害2級の認定基準は、以下の2つのケースが該当します。
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの(2級1号)
- 両眼の視力が0.02以下になったもの(2級2号)
障害等級における視力は、矯正した視力をいいます。矯正ができない場合には裸眼視力によります。
視力障害の程度は、万国式試視力表による他、実際上これと同程度と認められる文字などを用いて測定します。
(2)上肢・下肢の喪失に関する2級の認定基準
上肢・下肢の喪失に関する後遺障害2級の認定基準は、以下の2つのケースが該当します。
- 両上肢を手関節以上で失ったもの(2級3号)
- 両下肢を足関節以上で失ったもの(2級4号)
これらの症状は、日常生活のほぼすべての面で重大な支障をきたします。手関節以上の両上肢を失った場合、食事、着替え、身体の清潔保持などの基本的な自己ケアが困難になります。また、足関節以上の両下肢を失った場合は、歩行が不可能となり、車椅子や義足などの補助具が必要不可欠となるでしょう。
(3)随時介護を要する状態の2級認定基準
随時介護を要する状態の後遺障害2級認定基準は、以下の2つのケースが該当します。
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(2級1号)
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(2級2号)
言い換えると、「生命維持に必要な身の回り処理の動作について随時介護を要するもの」である必要があります。具体的には、日常生活の大部分(食事、用便、入浴、着替え)で随時の介護が必要な状態です。
認定には、医師による詳細な診断書に加え、日常生活動作(ADL)評価や介護の必要性に関する具体的な所見が重要となります。
交通事故における後遺障害2級の慰謝料相場を3つの基準で比較
後遺障害2級の慰謝料相場は、適用される基準によって大きく異なります。
一般的に、自賠責保険基準が最も低く、弁護士基準(裁判基準)が最も高額となります。適切な基準の選択と交渉により、慰謝料額を増額できる可能性があります。
以下、3つの主な基準を比較し、それぞれの特徴と金額の違いを解説します。
適切な額の損害賠償を受け取るためには、弁護士に依頼して最適な基準を選択したうえで交渉することが重要です。
(1)自賠責保険基準による2級の慰謝料相場
自賠責保険基準による後遺障害2級の慰謝料相場(2020年4月1日以降の事故)は、次の通りです。
- 【要介護あり】1203万円
- 【要介護なし】998万円
自賠責保険は、交通事故被害者の最低限の保護を目的としています。一見高額にも感じますが、この金額では後遺障害2級の重度の障害に対する十分な補償とは言えません。そのため、多くの場合、この基準額以上の慰謝料を求めて交渉や訴訟が行われます。
(2)任意保険基準による2級の慰謝料相場
任意保険基準による後遺障害2級の慰謝料相場は、自賠責保険と同程度が多少上乗せされた程度です。
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定する基準であり、ある程度の柔軟性があります。ただし、次の弁護士基準に比べれば低額であることがほとんどで、この基準では重度の後遺障害である2級のケースでは十分な補償とならない可能性があります。
(3)弁護士基準(裁判基準)による2級の慰謝料相場
弁護士基準(裁判基準)による後遺障害2級の慰謝料相場は、次の通りです。
- 【要介護あり・なし】2370万円
弁護士基準では、依頼を受けた弁護士が、被害者の年齢、職業、家族構成、事故前の生活状況、将来の介護ニーズなどを詳細に検討したうえで、被害者の利益を最大限実現するために、保険会社と交渉します。
弁護士による交渉や訴訟を通じて、この基準に基づく慰謝料を求めることで、より公平で十分な補償を得られる可能性が高まるでしょう。
交通事故での後遺障害2級の逸失利益の計算方法
逸失利益とは、事故で障害を負わなかった場合に、将来得られることができた収入のことです。
被害者の将来の収入損失を補償するものであり、後遺障害2級の場合、通常、非常に高額になります。
計算方法は以下の公式を用います。
【逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数】
後遺障害2級では、労働能力喪失率が100%と認定されるため、逸失利益の金額は極めて高額になります。
例えば、30歳の会社員(年収500万円)が後遺障害2級となった場合、逸失利益は1億円を超える可能性があります。
【計算例】
- 基礎収入:事故前の年収または平均賃金を使用。例:500万円/年
- 労働能力喪失率:後遺障害2級の場合、通常100%
- ライプニッツ係数:67歳までの就労可能年数(37年)で22.1672
この例では、500万円 × 100% × 22.1672= 1億1083万6000円となります。
ただし、個別の事情(年齢、職業、昇給の可能性など)によっては、より高額な計算方法が適用される場合もあります。
逸失利益は、被害者が児童なのか、学生なのか、バイトなのか、主婦なのか、正社員なのか、引退して年金生活かなど、被害者の属性によって計算方法が異なります。
逸失利益を適切に算定するためには、弁護士による詳細な検討が重要です。 弁護士は、被害者の個別事情を考慮し、最も有利な計算方法を選択したうえで、公平で十分な補償を得るための交渉や訴訟を行います。
交通事故による後遺障害2級の介護費用の算定方法
後遺障害2級の場合、多くのケースで継続的な介護が必要となり、その費用は、慰謝料と同様に、損害賠償の重要な部分を占めます。
基本的に、職業介護人はその実費、家族が介護する場合は1日について8000円ですが、具体的な介護の状況により増減することがあります。
例えば、先ほどの被害者が30歳のケースで、平均余命81歳まで日額1万円の介護費が妥当だとすると、1万円×365日×51年=1億8615万円になります。
弁護士は、被害者やその家族の個別具体的な事情を考慮して適切な介護費用を計算し、保険会社との交渉や訴訟で主張します。
介護費用は長期にわたって発生するため、適切な算定を行うことは、被害者やその家族の将来の生活を守る上で、極めて重要です。
弁護士に依頼したうえで、個別の事情を十分に考慮し、必要に応じて将来の状況変化も見込んだ柔軟な算定をして、保険会社との交渉に臨むようにしましょう。
後遺障害2級の認定を受けるための重要なポイント
後遺障害2級の認定を受けるためには、適切な資料を集めたうえで後遺障害等級の認定申請をする必要があります。主なポイントは以下の通りです。
- 専門医による詳細な診断と適切な診断書の作成
- 日々の症状や生活への影響の詳細な記録
- 被害者請求の活用
- 必要書類の確実な準備
これらのポイントを押さえることで、適切な等級認定を受ける可能性が高まります。以下、それぞれの詳細を解説します。
(1)適切な後遺障害診断書の作成
後遺障害診断書は、認定の核となる重要な書類です。
適切な作成のポイントは以下の通りです。
- 専門医による作成(該当する障害に精通した専門医に依頼する)
- 症状の原因となる他覚的所見があること
例えば、視力障害で、万国式試視力検査で矯正視力が0.02以下となり、その症状が診断書に記載されているだけでは不十分です。
視力障害の原因として、外傷により異常を受けたことを、検査により明らかにする必要があります。
(2)被害者請求のメリットと申請手続きの注意点
後遺障害等級認定の申請は、加害者側の保険会社に任せる方法と、被害者本人行う方法があります。被害者本人が行うことを、被害者請求といいます。
重い後遺症が残る場合には、とくに被害者請求で行うべきです。申請書類に不十分な点があっても、加害者側の保険会社が親身になってアドバイスしてくれるとは限らないためです。
被害者請求の主なメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 自分で申請内容を詳細に検討できる
- 弁護士に依頼すれば、事前に資料の過不足を確認してもらえる
【まとめ】交通事故による後遺障害2級の認定と適切な補償獲得のためには弁護士に相談を
後遺障害2級相当の障害が残った場合、後遺障害等級の認定と適切な額の損害賠償金を受け取るためには、交通事故に関する法的知識と戦略的なアプローチが不可欠です。
正確な診断書の作成、被害者請求の活用、そして弁護士による適切な損害賠償の算定が、公平な補償を得るための鍵となります。
あなたやあなたの家族のために、適切な額の損害賠償金を受け取るためには、早期に交通事故を扱う弁護士へ相談・依頼することをお勧めします。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、あらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年12月時点)
後遺障害等級2級相当の後遺症が残り、損害賠償請求を検討されている方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。