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手指の可動域制限で後遺障害認定される?認定に必要な条件を解説

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リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「交通事故でケガをして、手の指関節を曲げられなくなり、治療したけど結局治らなかった」
このように、交通事故による骨折などのケガで手の指関節に後遺症が残ることがあります。これを手指の可動域制限といいます。
手指の可動域制限について後遺障害認定を受けるためには、交通事故を原因として関節が腱側に2分の1以上動かせないことや屈伸できなくなるなどの条件を満たす必要があります。

適切な賠償金を受けるためにも、手指の可動域制限での後遺障害認定に必要な条件について知っておきましょう。

ここを押さえればOK!

手指の可動域制限は、交通事故によって手指の機能に障害が生じ、関節の可動域が制限される後遺症のことです。
後遺症に関する賠償金を受け取るためには、基本的に後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
後遺障害等級の認定には、後遺症の原因が交通事故であること、症状固定と診断されたこと、医学的に説明できること、という3つの条件があります。
手指の可動域制限の原因は、器質的変化と機能的変化の2つに分けられます。
器質的変化は、エックス線写真やMRIなどの画像で、器質的な損傷が確認できることが必要です。
機能的変化は、症状に応じて可動域制限を測定する必要があります。

交通事故の被害に遭い、手指の後遺症の後遺障害認定や慰謝料請求でお悩みの方は、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士
弁護士 南澤 毅吾

東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。

目次

手指の可動域制限とは

手指の可動域制限とは、一般的に、交通事故によるケガによって、手指の機能に障害が生じ、関節の可動域が制限されて、関節が自由に曲がらなくなる後遺症のことです。
交通事故で骨折や脱臼、神経を損傷したような場合に、生じることがあります。

後遺症が後遺障害認定される前提となる3つの要件

後遺症に関する賠償金(逸失利益や後遺症慰謝料)を受け取るためには、後遺障害等級の認定を受けることが重要です。
そこで、まず後遺障害に等級認定されるための要件について説明します。
後遺障害と認定されるためにはまず、前提となる要件を満たす必要があり、それは次の3つです。

  1. 後遺症の原因が交通事故である
  2. 症状固定(それ以上治療しても改善がみられない状態)と診断された
  3. 医学的に説明できる

それぞれ説明します。

(1)後遺症の原因が交通事故である

まずは、交通事故により後遺症の原因となる傷害を負ったという事実が必要です。
基本的には、事故直後に通院、治療し、事故による骨折や脱臼、神経の損傷が確認されていなければなりません。

たとえば、事故から何日も経過した後に病院を受診すると、事故から受診までに別の理由でケガをして、そのケガが原因で後遺症を負ったのではないかと疑われ、事故と後遺症との因果関係が否定されるおそれがあります。

そのため、交通事故の被害に遭った際には、事故直後に病院を受診し、必要な検査や治療を受けるようにしましょう。

(2)「症状固定」と診断されたこと

後遺障害の認定を受けるためには、医師により、これ以上治療しても改善の見込みがない(これを「症状固定」といいます)という診断を受ける必要があります。
仮に、主治医に完治したと診断されたり、症状固定の診断がなされなかったりした場合には、後遺症が残ったとはいえないため、後遺障害の認定を受けることはできません。

(3)医学的に説明できる

後遺障害は、自覚症状があるだけでは足りず、その自覚症状が医学的に説明できるものである必要があります。
たとえば、単に「指の関節が曲がらない」という自覚症状があるだけでは不十分で、骨折や脱臼をして、それによる神経損傷が認められるなど、関節が曲がらないことの医学的説明ができる必要があります。

手指の関節に可動域制限がおこる2つの原因

関節に可動域制限がおこる原因は、大きく2つの原因に分けることができます。

  • 器質的変化によるもの
  • 機能的変化によるもの

それぞれについて説明します。

参考:関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領|厚生労働省

(1)器質的変化

器質的変化による手指の可動域制限とは、たとえば次のようなものです。

  • 関節自体の破壊や強直によるもの(関節がまったく動かない状態)
  • 靱帯や腱、筋肉など関節外の軟部組織の変化によるもの

器質的変化による手指の可動域制限がおこる原因としては、骨折、脱臼、関節内の筋組織の壊死、骨の癒着、靱帯の伸縮・延長、筋肉の血行障害などが考えられます。

器質的変化は、手指の可動域制限の原因となっている場所を物理的に特定することができます。そのため、器質的変化による手指の可動域制限が後遺障害認定されるためには、エックス線写真やCT画像、MRI画像などで器質的な損傷を確認することが必要です。

(2)機能的変化

機能的変化による手指の可動域制限とは、たとえば次のようなものです。

  • 神経麻痺、疼痛、緊張によるもの  など

上肢(肩関節・肘関節・手関節までの3大関節及び手指の部分)には、正中(せいちゅう)神経・橈骨(とうこつ)神経・尺骨(しゃっこつ)神経の3本の神経があり、それぞれ手指まで走行しています。
それらの神経が麻痺することによって、手指の関節が自由に曲がらなくなることがあります。

たとえば、正中神経麻痺が生じると、神経麻痺の傷害がおこっている場所にもよりますが、親指の付け根の筋力低下、指の屈曲(曲げること)が困難になったり、親指からくすり指の2分の1までの掌の感覚障害が生じたりする症状がおこります。

特に機能的変化による手指の可動域制限は、その原因を丹念に調べ、症状に応じて可動域制限を測定することが必要です。

関節可動域制限(ROM)の測定方法

関節可動域の測定は、1995年に日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会が定めた「関節可動域表示ならびに測定方法」(2022年4月改定)に従って行います。

関節可動域(Range of Motion)とは、障害などが起きないで各関節が生理的に運動することができる範囲(角度)のことです。
手指の関節の機能障害の検査は、関節の可動域を測定し、健側(=正常な側)の可動域または参考可動域の角度と比較することによって評価します。左右ともに障害がある場合などは、「関節可動域表示ならびに測定方法」に定めのある参考可動域との比較で判断されます。

測定は、原則として他動運動(医者や理学療養士など他人に関節を動かしてもらうこと)により行いますが、適切でない場合には、自動運動(自分で関節を動かすこと)により測定します。
具体的には、関節角度計を用いて、関節の運動範囲を5%刻みで測定します。

なお、検査は、親指とそれ以外の指で異なります。

(1)親指の可動域制限の測定方法

親指関節の可動域については、角度計を用いて橈側外転、掌側外転、屈曲・伸展(合計値)の角度を計測します。

そして、比較する参考角度は次のとおりです。

【親指関節の参考可動域角度】

運動方向橈側外転掌側外転屈曲(MP)伸展(MP)屈曲(IP)伸展(IP)
参考可動域角度  609060108010
※MP……中手指節関節(親指の根元の関節(第2関節)) IP……指節間関節(親指の第1関節)

(2)親指以外の指の可動域制限の測定方法

親指以外の指の関節の可動域については、角度計を用いて屈曲・伸展(合計値の角度)を計測します。外転・内転の角度を測ることもあります。

比較する参考角度は次のとおりです。

【親指以外の指関節の参考可動域角度】

運動方向屈曲(MP)伸展(MP)屈曲(PIP)伸展(PIP)屈曲(DIP)伸展(DIP)
参考可動域角度90451000800
※MP……中手指節関節(指の根元の関節) PIP……近位指節間関節(親指以外の指の第2関節) DIP……遠位指節間関節(親指以外の指の第1関節)

参考:関節可動域 / ROM(かんせつかどういき)|e-ヘルスネット(厚生労働省)
参考:関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領 (7)各論|厚生労働省
参考:関節可動域表示ならびに測定法改訂に関する告知(2022年4月改訂) | 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会(https://www.jarm.or.jp/member/kadou.html)

<コラム> 手の骨と関節

手指の後遺障害は、手の骨・関節の部位に着目して症状が判断されます。そこで手の骨と関節の構造について見てみましょう。

【手の骨と関節】

  • 末節骨(紫色):指の最も先端部分の骨です。
  • 中節骨(黄色):指の真ん中の部分の骨です。親指にはありません。
  • 基節骨(緑色):指の根元の骨です。
  • 中手骨(青色):手の甲にある骨です。
  • DIP関節(遠位指節間関節):指の先端から数えて最初の関節です。親指にはありません。
  • PIP関節(近位指節間関節):指の先端から数えて2番目の関節です。親指にはありません。
  • IP関節(指節間関節):親指の先端から数えて最初の関節です。
  • MP関節(中手指節関節):指の根元部分の関節です。
  • CM関節(手根中手関節):手の甲の根元部分の関節です。

手指の可動域制限障害の後遺障害等級認定の基準

後遺障害は、その症状の内容や重さにより1~14級に振り分けられています。重いものから1級、2級……と類型的に定められています。

参考:後遺障害等級表|国土交通省

そして、手指の可動域制限障害について、該当する後遺障害等級はおおむね次のとおりです。

等級後遺障害
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
7級7号1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8級4号1手のおや指を含み3の手指又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
9級13号1手のおや指を含み2の手指又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
10級7号1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
12級10号1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
13級6号1手のこ指の用を廃したもの
14級7号1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

それぞれ詳しく説明します。

(1)4級6号 両手の手指の全部の用を廃したもの

両手の手指の全ての指が用を廃した場合には後遺障害4級6号に当たります。

ここで、「手指の用を廃した」とはどういう場合をいうのかを説明します(他の等級においても同じ意味です)。

手指の用を廃したもの次のいずれかに当たる場合をいいます。
ア 手指の末節骨の半分以上を失った
イ 中手指節関節(MP関節・指の根元の関節)もしくは近位指節間関節(PIP関節・親指以外の指の第2関節)(親指の場合は指節間関節(IP関節・第1関節))に著しい運動障害を残すもの

具体的には、少し専門的になりますが、次に当たる場合をいいます。

  • 手指の末節骨の長さの2分の1以上を失った状態
  • 中手指節関節(MP関節・指の根元の関節)又は近位指節間関節(PIP関節・親指以外の指の第2関節)(親指の場合は指節間関節(IP関節・第1関節))の可動域が健側(=正常な側)の可動域角度の2分の1以下に制限される状態
  • 親指については、橈側外転又は掌側外転のいずれかが健側の2分の1以下に制限されている状態
  • 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚(=体の内部で感じる感覚)及び表在感覚(=皮膚の表面で感じる感覚)が完全に脱失した状態

(2)7級7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

片方の手の5本の指、または親指を含む4本の指の用を廃した状態です。

(3)8級4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの

片方の手の親指を含む3本の指、または親指以外の4本の指の用を廃した状態です。

(4)9級13号 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの

片方の手の親指を含む2本の指、または親指以外の3本の指の用を廃した状態です。

(5)10級7号 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

片方の手の親指、または親指以外の2本の指の用を廃した状態です。

(6)12級10号 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

片方の手の人差し指、中指、薬指のいずれか1本の指の用を廃した状態です。

(7)13級6号 1手のこ指の用を廃したもの

片方の手の小指の用を廃した状態です。

(8)14級7号 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

片方の手の親指以外の手指の第1関節(遠位端指節間関節・DIP関節)を屈伸することができない状態です。

遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの次のいずれかに当たる場合をいいます。
ア 遠位指節間関節(DIP関節・親指以外の指の第1関節)が強直した状態
イ 屈伸筋の損傷等原因が明らかであって、自動で屈伸できない状態又はこれに近い状態

なお、手指が欠損した場合(切断などで失われた場合)には、手指の機能障害による後遺障害ではなく、手指の欠損傷害として後遺障害等級が認定されます。
手指の欠損による後遺障害等級は、その程度により3~14級に類型化されています。

手指に関する障害について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

交通事故による手指の後遺障害等級について徹底解説

【まとめ】手指の可動域制限が後遺障害認定されるには少なくとも親指以外が屈伸できない状態が必要

指の可動域制限とは、一般的に、交通事故によるケガによって手指の機能に障害が生じ、間接の可動域が制限されて、間接が自由に曲がらなくなる後遺障害のことです。
後遺症に関する賠償金を受け取るためには、基本的に、後遺症が後遺障害として認定される必要があります。
ただし、等級認定の条件を満たしているかどうかや、適切な等級認定かどうかを判断するためには専門知識が必要です。
そして、後遺障害認定の申請には、おさえておくべきポイントがあります。
後遺障害認定の申請手続を弁護士に任せれば、適切な後遺障害等級認定の可能性をさらに高めることができるでしょう。

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