「追突事故の被害にあってむち打ちに…。『通院頻度によって慰謝料の金額が変わる』と聞いたけれど、それって本当?」
確かに、通院頻度によって慰謝料の金額が変わる可能性はあります。
しかし、交通事故の通院は、被害の状況やケガの程度に合わせた頻度・期間で通院を行うのが基本です。
そのため、必要性のない通院は、慰謝料の増額はおろか治療費も自己負担とされてしまう可能性があります。
適切な慰謝料を受け取るためには、むち打ちによる通院頻度や通院期間の目安を知っておきましょう。
この記事を読んでわかること
- 交通事故のむち打ちによる通院頻度の目安
- 交通事故のむち打ちによる通院期間の目安
- むち打ちで慰謝料を増額するためのポイント
ここを押さえればOK!
また、治療中には、整形外科を受診して必要な検査を受けること、接骨院や整骨院での治療は医師の指示・許可を受けること、後遺症が残った場合は後遺障害等級認定の申請手続きを行うことが大切です。さらに、治療中に弁護士に相談することで、治療費の打ち切り要請への対処、後遺障害等級認定手続きの代行、慰謝料請求において損をしないようにすることができます。
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東京大学法学部卒。アディーレ法律事務所では北千住支店の支店長として、交通事故、債務整理など、累計数千件の法律相談を対応した後、2024年より交通部門の統括者。法律を文字通りに使いこなすだけでなく、お客様ひとりひとりにベストな方法を提示することがモットー。第一東京弁護士会所属。
追突事故によるむち打ち治療の通院頻度の目安|週2~3回
むち打ちとは、外部からの衝撃により、頸部(首)がむちを打ったように大きくしなる結果、頸部の筋肉、靭帯、椎間板等の軟部組織や骨組織が損傷することをいいます。

追突事故の被害にあった場合には、むち打ちの症状が出やすいです。
追突事故の被害にあったことによるむち打ち治療の通院頻度は週に2~3回が一般的です。
もっとも、交通事故の通院頻度は、あくまで医師の指示に従うのが前提となります。
医師より週4回以上の通院が必要ということであれば、その指示に従ってください。
医師による通院頻度の指示に従わないでいると、かえって治療を長引かせてしまうリスクがありますので注意しましょう。
追突事故によるむち打ち治療の通院期間の目安|3~6ヶ月
追突事故の被害にあったことによるむち打ちの通院期間は、3~6ヶ月程度となるケースが多いです。
ただし、これはあくまで目安に過ぎません。医師より治療が必要という指示がある場合は、自己判断で治療をやめることはせずに、医師の指示に従って6ヶ月を超えても治療をするようにしましょう。
むち打ちは、多くの場合治療によって完治します。治療中は不安かと思いますが、医師の指示に従い、治療を続けるようにします。
通院頻度が高く通院期間が長いと慰謝料は増えるのか?
交通事故でケガをした被害者が加害者に請求できる慰謝料の1つに、「入通院慰謝料」があります。
入通院慰謝料は、基本的には入通院期間や入通院日数に応じて慰謝料が算定されます。
そのため、入通院慰謝料を増額させるためには、通院頻度を増やし、少しでも長い期間通院した方がいいのではないかと勘違いされる方がいます。
ですが、医師の指示のない必要以上の「通院かせぎ」は、加害者側の保険会社から不必要な通院との指摘を受け、入通院慰謝料や治療費などが(必要な通院だったものも含めて)減額されてしまう可能性があります。
大切なことは、医師の指示に従い、ケガの程度に応じて適切な治療を行うことです。
そして、より高額な入通院慰謝料を受け取るためには、入通院慰謝料の計算を弁護士の基準で行うことが大変重要です。
入通院慰謝料を計算する基準は、自賠責の基準、任意保険の基準、弁護士の基準(裁判所の基準)の3種類あり、どの基準で計算するかによって慰謝料額が異なります。
自賠責基準 < 任意保険の基準 < 弁護士の基準
自賠責の基準の入通院慰謝料は、日額4300円(※)です。4300円×実際に入通院した日数×2と、4300円×総治療期間(初診から治療を終了した日)のいずれか低い方の慰謝料を受け取ることができます。
※2020年4月1日以降の交通事故の場合
弁護士基準は、基本的に通院期間に応じて慰謝料を算定します。ただし、通院が長期にわたる場合には、実通院日数の3~3.5倍程度に修正されることもあります。
このうち、通常、入通院慰謝料が一番高額になるのが弁護士の基準です(※)。任意保険の基準は、非公開なので正式な計算式は不明ですが、自賠責保険基準と同程度が多少上乗せされた額であることが多いです。
※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。
弁護士の基準で計算した入通院慰謝料を受け取るためには、基本的に弁護士への依頼が必要です。示談する前に、金額が増額する可能性があるのかどうか、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
むち打ちの治療中注意すること

追突事故の被害にあってむち打ちの治療中、注意すべきことについて説明します。
(1)必ず整形外科を受診し、必要な検査を受ける
追突事故の被害にあい、むち打ちが疑われる症状が出た場合、速やかに整形外科を受診して、医師の診察を受けます。そして、診断に必要な検査を受けるようにしてください。
事故直後に医師の診察・診断を受ければ、「交通事故によりむち打ちとなった」ことの証拠を得ることができます。
また、後遺症が残った場合には、適切な後遺障害等級の認定を受けることが非常に大切です。そのためには、MRI検査やCT検査、レントゲン検査の他、次のような検査結果による後遺症の裏付けがあると有利な資料となります。
【神経学的検査の例】
検査名 | 検査内容 |
---|---|
ジャクソンテスト | 被験者が頭を後ろに反らせた状態で、医師が頭頂部を下方に圧迫します。この時、肩、腕、手などに痛みやしびれがあるかどうかで、神経根障害を調べます。 |
スパーリングテスト | 被験者が椅子に座り、医師が被験者の頭部を後ろに倒し、その状態で右や左に傾けながら圧迫します。この時、肩、腕、手などに痛みやしびれが出るかどうかで、神経根障害を調べます。 |
腱反射テスト | 腱を打腱器で叩いて、正常な反射(筋萎縮反応)が返ってくるかどうかを検査します。 |
筋電図検査・神経伝達速度検査 | 筋肉や神経に電気による刺激を与え、神経や筋肉に異常がないかを検査します。 |
筋委縮検査 | 上肢または下肢の周囲径を図り、筋委縮(筋肉の痩せ)が生じていないかを確認します。 |
(2)接骨院や整骨院での治療は医師からの指示・許可を受ける
「近くにむち打ちの治療で評判のいい接骨院があるから通院したい」という希望がある方は少なくありません。
しかし、接骨院は「柔道整復師」が「施術」を行う施設であり、「医師」が「医療行為」を行う病院ではありません。
そのため、自己判断で接骨院に通っても、加害者側の保険会社から、「治療には不必要な支出である」とされて治療費が支払われない可能性があります。また、入通院慰謝料算定の際に接骨院での通院日数が考慮されなかったりするリスクもあります。
そのため、整形外科で医師から接骨院に通う指示・許可を受けてから通うようにしましょう。医師の指示・許可があれば、接骨院に通うことが治療に必要だったことの裏付けとなります。
また、接骨院に通いだしても、整形外科で医師の治療を受けることはやめないようにしましょう。
(3)後遺症が残った場合は後遺障害等級認定の申請手続を行う
治療を終了しても痛みや痺れといった後遺症が残った状態を、「症状固定」といいます。
治療をしても症状の改善が見られず後遺症が残った場合には、医師から症状固定の診断を受けます。
そして、後遺症については、入通院慰謝料とは別に、後遺症慰謝料や逸失利益を受け取ることができますが、そのために、後遺障害等級認定の申請を行います。
等級認定を受けていなければ、基本的に後遺症慰謝料を受け取ることは難しいからです。
後遺症慰謝料などの金額は、認定された後遺障害等級に応じて変わります。
むち打ちによる後遺症の場合、多くが14級に認定されますが、後遺症の症状や内容によっては12級に認定されるケースもあります。
自賠責の基準、弁護士の基準で算定した後遺障害慰謝料は次のようになります。任意保険の基準は非公開なので省略しますが、自賠責の基準と同程度が多少上乗せした金額であることが多いです。
後遺障害等級 | 自賠責の基準 | 弁護士の基準 | 差額 |
12級 | 94万円 | 290万円 | 196万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 | 78万円 |
※2020年4月1日以降に発生した事故
むち打ちと後遺障害等級認定についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
むち打ちの治療中から弁護士に相談すべき理由
ここでは、むち打ちの治療中から弁護士に相談すべき理由について解説します。
(1)治療費の打ち切りを打診されても冷静に対処できる
むち打ち治療の通院期間が6ヶ月を超えるなど長期化した場合、加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを打診されるケースがあります。
もし治療費の打ち切りを打診されたら、「まだ痛むのにどうしよう」「でも治療費を払ってくれないなら通院をやめるしかない」など、不安になるのは当然です。しかし、保険会社の言いなりに治療を止めてしまうのは、せっかく治療してケガが良くなっていたのに、逆効果かもしれません。
必ず医師と相談して、治療を継続する必要があるのか、それとも症状固定になるのか診断してもらうようにしましょう。
医師が症状固定と診断すれば後遺障害等級認定の申請を検討します。治療継続の必要があるのであれば、治療費の支払いの継続を求めて保険会社と交渉するなどします。
弁護士に相談すれば、保険会社との交渉のアドバイスをもらえるでしょう。また、弁護士に慰謝料請求の交渉を依頼すれば、弁護士に保険会社との治療継続の交渉もしてもらうことができます。
(2)後遺障害等級認定手続きも代行してもらえる
症状固定となったら、後遺障害等級認定申請を行います。
後遺障害として認定されると、後遺障害に関する賠償金を請求することができます。賠償金額は、1~14級の等級によって異なります。一方で、認定されなければ基本的に後遺症に関する賠償金を請求することは難しくなります。
ですので、適切な額の賠償金を受け取るためには、「認定を受けること」+「認定を受けたのが適切な等級であること」が必要です。
申請の方法には、加害者側の任意保険会社を通して行う「事前認定」と、自分で行う「被害者請求」の2通りあります。
事前認定は、自分で手続を行わないので手軽です。しかし、加害者側の任意保険会社が、「認定を受けるために必要な記載があるか」「必要な資料があるか」「より高い等級が認められる可能性があるのか」などを調べてアドバイスしてくれるわけではありません。
認定に足りる記載があるか、資料があるかどうかをしっかり事前に調べて申請するためにも、被害者請求の方法で申請した方がいいでしょう。
弁護士に依頼すれば、申請に必要な書面やカルテ等を事前に調べたうえで、あなたの利益を一番に考えて、申請手続きを代行してもらうことができます。
また認定結果に不満足の場合で、結果が覆される可能性があるケースでは、新たな医学的資料を集めたうえで、異議申立てをして争うこともサポートしてくれます。
(3)慰謝料請求で損をしない
加害者側の任意保険会社は、あなたが1人で交渉していると、弁護士基準や弁護士基準に違い金額で示談に応じてくるようにいってくることは、ほとんどありません。
このことを知らずに、「保険会社が言うのだから妥当な金額だろう」と思って示談に応じてしまう方が残念ながらいます。
そうすると、交渉により増額可能性があったケースでは、結果として「もらえたはずだったお金をもらえなかった」ことになり、損をしてしまうことになります。
弁護士に交渉を依頼していれば、弁護士はあなたの利益を一番に考えて、一つ一つの賠償の項目について、漏れがないか、増加可能性がないかを検討したうえで、強い姿勢で保険会社との交渉に臨みます。
保険会社から何らかの反論があっても、適切に再反論を考えることもできるでしょう。
適切な金額の賠償金を受け取ることはあなたの正当な権利です。
弁護士は、その経験や法的知識を駆使して、その権利を実現するために全力でお手伝いします。
【まとめ】追突事故によるむち打ち治療の通院頻度は週2回~3回程度が一般的。医師の指示以上に通院することは避けるべき!
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 交通事故のむち打ちによる通院頻度は週に2回~3回程度、通院期間は、3ヶ月~6ヶ月程度となるケースが多い。
- 通院頻度は多ければ多いほどいいというものではなく、必要性の認められない通院は保険会社から治療費や慰謝料を減額されてしまうケースもある。
- 通院期間が3ヶ月~6ヶ月を超えて長期化した場合、加害者側の保険会社から一方的に治療費を打ち切られてしまうケースもある。
- むち打ち治療中の注意点3つ
- 必ず整形外科を受診し、必要な検査を受ける
- 接骨院や整骨院での治療は医師からの指示・許可を受ける
- 後遺症が残った場合は後遺障害等級認定の申請手続を行う
・むち打ち治療中から弁護士に相談すべき理由
- 治療費の打ち切りを打診されても冷静に対処できる
- 後遺障害等級認定手続きも代行してもらえる
- 慰謝料請求で損をしない
賠償金請求は、示談する前に、増額可能性がないのかどうか、弁護士へ相談するようにしましょう。
交通事故による賠償金請求でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。
アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。
弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。
(以上につき、2024年8月時点)
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。
