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騒音は警察に通報していい?相談時のポイントと法的手段も解説

作成日:
y.kanno

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「同じマンションの住人や近所の人が夜中まで騒いでいて困っているけど、直接苦情を言いに行くのは怖い…。こういうことって警察に通報しても良いの?」 

近隣住民による騒音問題で悩んでいる方は少なくありません。 

深夜の大音量の音楽や足音、話し声など、日常生活に支障をきたす騒音は、ストレスや健康被害を引き起こすことがあります。 

騒音問題に対する適切な対処法を理解し、実行することで、安心して暮らせる環境を取り戻しましょう。 

この記事が、あなたの騒音問題解決の一助となれば幸いです。 

この記事を読んでわかること 

  • 騒音問題の概要 
  • 騒音について相談する際のポイント 
  • 警察に通報していい場合 
  • 法的に取り得る手段

ここを押さえればOK!

騒音が続くと、睡眠不足や集中力の低下、イライラや不安感が増し、仕事や学業、家庭内の人間関係にも悪影響を及ぼします。長期間にわたる騒音は慢性的なストレスを引き起こし、心身の健康に重大な影響を与えることもあります。騒音問題の主な原因としては、生活習慣の違いや建物の構造が挙げられます。

騒音に悩まされている場合、まずは管理会社や大家に相談しましょう。警察は民事不介入の原則があるため、住民同士のトラブルには対応しないことが多いです。相談する際には、騒音の発生日時や頻度、音の種類などを詳細に記録し、冷静に状況を説明することが重要です。

大音量で音楽を流し続けるなどの異常な騒音は軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反となる可能性があります。また、騒音によって健康被害が生じている場合には傷害罪が成立することもあります。そのような場合には、警察への通報も検討しましょう。
匿名での通報も可能ですが、具体的な情報を提供することが重要です。

騒音によって被害を受けた場合、刑事責任を追及する場合には、告訴を行い、警察官や検察官に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求めます。民事責任を追及する場合には、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

騒音問題の概要 

まずは、騒音によって引き起こされ得る健康被害や、騒音が発生する主な原因について説明します。 

(1)騒音が引き起こす健康被害 

騒音は、日常生活において深刻なストレスや健康被害を引き起こすことがあります。 

騒音が続くと、睡眠不足や集中力の低下、さらにはイライラや不安感が増すことも多くなるでしょう。 

これにより、仕事や学業に支障をきたすだけでなく、家庭内の人間関係にも悪影響を及ぼすことがあります。 

さらに、長期間にわたる騒音は、慢性的なストレスを引き起こし、心身の健康に重大な影響を与えることもあります。 

騒音問題は単なる不快感にとどまらず、生活の質を大きく損なう可能性があるため、早期の対処が重要です。周辺住民との良好な関係を保ちながら、適切な方法で問題を解決することが求められます。 

(2)騒音問題が発生する主な原因 

騒音問題が発生する主な原因としては、生活習慣や建物の構造などが挙げられます。 

まず、生活習慣の違いが大きな要因です。例えば、夜型の生活を送る人が深夜に音を立てることで、早寝早起きの隣人に迷惑をかけることがあります。また、ペットの鳴き声や子供の遊び声も騒音の原因となり得ます。 

次に、建物の構造も騒音の原因の一つです。特に古いマンションやアパートでは、防音対策が不十分なことが多く、隣室や上下階からの音が直接響いてしまうことがあります。 

さらに、住民同士のコミュニケーション不足も問題を悪化させることがあります。お互いの生活リズムや音に対する感覚を理解し合うことができないと、些細な音でも大きなストレスとなり、騒音問題に発展することがあります。 

これらの原因を理解し、適切な対策を講じておくことが、騒音問題の解決に繋がるでしょう。 

管理会社や大家への相談 

騒音に悩まされている場合、警察への通報が頭によぎることもあるでしょうが、まずは管理会社や大家への相談が先です。 

警察は、原則として民事不介入なので、住民同士のトラブルに対応してくれることは基本的にありません。 

ただし、後述するように、あまりに度が過ぎた騒音被害が生じているようなら、警察に通報すべき場合もあります。 

なお、逆恨みされるなど、トラブルがより深刻化するリスクもあるため、騒音の主のところに直接苦情を言うのは避け、管理会社や大家を通すようにすると良いでしょう。 

一戸建てに住んでいる場合や、同じマンションではない近隣住民の出す騒音に悩んでいる場合には、役所の市民窓口に相談するという方法もあります。 

(1)管理会社や大家に相談する際のポイント 

相談する際には、具体的な情報を提供することが重要です。 

また、感情的にならず冷静に状況を説明することが大切です。感情的な訴えは問題解決を遅らせる可能性があるため、客観的な事実に基づいて話すよう心掛けましょう。 

さらに、管理会社や大家がどのような対応を取ることができるのかを事前に確認しておくと良いでしょう。 

注意喚起の手紙を送ってほしいなど、具体的な対応策を提案することが効果的な場合もあります。 

最後に、相談後のフォローアップも行うと良いでしょう。問題が解決するまでの進捗状況を確認し、必要に応じて追加の情報を提供することで、スムーズな解決を目指すことができます。

(2)相談時に伝えるべき情報 

騒音の発生日時や頻度、音の種類(例えば、足音、音楽、話し声など)、音量を詳細に記録しておきましょう。 

また、騒音がどの程度の時間続くのか、どの時間帯に特にひどいのかも伝えると効果的です。 

騒音によってどのような影響を受けているか(例えば、睡眠不足やストレス)も具体的に説明することで、管理会社や大家が適切な対応を取りやすくなる可能性もあります。

警察に通報していい? 

管理会社や大家に相談しても事態が改善しない場合、警察に通報や相談をしてもいいのでしょうか。 

(1)警察に通報していい場合 

まず、大音量で音楽を流し続けているなど、通常では考えられないほどの大きな騒音が生じている場合には、軽犯罪法違反となる可能性があります。 

同法違反で処罰の対象となるには、「警察など公務員の制止をきかずに」大きな音を出して近隣に迷惑をかけていることが必要なので、まずは警察に注意してもらうと良いでしょう。 

地域によっては、騒音が都道府県の迷惑防止条例違反になることもあります。 

また、睡眠障害など、騒音によって健康被害が生じている場には傷害罪(刑法第204条)が成立する可能性があります。 

(2)匿名で通報できる? 

結論から言えば、匿名での通報は可能ですが、匿名で通報する場合には、特に具体的な状況や詳細な情報を提供することが重要になります。 

例えば、騒音の発生日時、頻度、音の種類、どのような影響を受けているかなどを明確に伝えることで、警察が迅速かつ適切に対応できるようになるでしょう。 

しかし、匿名の通報では警察があとで追加の情報を求めることが難しくなります。警察が通報者の名前を漏らすリスクを考慮し、心配ならば騒音の主に通報者が自分であることを伝えないようお願いしたうえで、警察に名乗っても良いでしょう。 

法的手段を検討する場合 

騒音によって被害を受け、加害者の法的責任を追及したい場合に取るべき手段を、刑事責任・民事責任に分けてご説明します。 

(1)刑事責任を追及する場合 

異常な騒音によって健康被害を受けた場合、前述のとおり騒音の主の行為には傷害罪が成立する可能性があります。 

騒音の主の刑事責任を追及したい場合には、告訴することをご検討ください。 

告訴とは、被害者が警察官や検察官に対して犯罪事実を申告し、加害者の処罰を求めることです。告訴が受理されると、警察官などは捜査を開始しなければならないことになっています。 

もっとも、実際は告訴を受理してもらえないこともあるようです。 

一方、被害届は、単に犯罪の被害を受けたことを申告するものに過ぎず、加害者を処罰してもらいたいという意思表示は含まれません。被害届が提出されても何か法的な効果が生じるわけではないため、騒音の主の刑事責任を追及したい場合には、告訴を検討すると良いでしょう。

(2)民事責任を追及する場合 

民事責任を追及する方法としては、損害賠償請求が考えられます。 

異常なほど大きな騒音が原因で、健康を害するなどの損害が生じた場合には、騒音の主に対して不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。 

もっとも、健康被害と騒音の因果関係を証明する必要があるなど、いくつかのハードルがあるため、請求を検討しているのであれば、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。 

【まとめ】 

隣人の騒音問題は、日常生活に深刻なストレスや健康被害をもたらすことがあります。まずは冷静に状況を把握し、騒音の記録を取ることが重要です。管理会社や大家に相談する際には、具体的な情報を提供し、冷静に対応を求めましょう。 

ひどい騒音であれば、警察に通報することも考えましょう。匿名での通報も可能ですが、通報時には詳細な情報を提供することが大切です。 

また、加害者に対する法的手段を検討する場合は、適切な手続きを踏むことが求められます。 

騒音問題に対する適切な対処法を理解し、実行することで、健やかな生活を取り戻しましょう。 

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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