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家賃値上げは拒否できる?交渉ポイントと対処法を弁護士が徹底解説

作成日:更新日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

家賃の値上げ通知を受け取ったとき、多くの入居者は不安を感じます。突然の負担増にどう対処すればよいのか、法的に拒否することが可能なのかを知りたいと考えるでしょう。

実は、家賃の値上げは必ずしも受け入れなければならないわけではありません。入居者には、家賃の値上げを拒否する権利があります。

この記事では、家賃の値上げを拒否するための基本的な知識と、交渉のポイントについて詳しく解説していきます。このコラムを読んで家賃の値上げに備えましょう。

この記事を読んでわかること

  • 家賃の値上げに拒否したい場合の対処法
  • 家賃交渉中の家賃の支払方法

ここを押さえればOK!

家賃の値上げには入居者の合意が必要で、必ずしも受け入れる必要はありません。

家賃の値上げを拒否するためには、まず大家と交渉することが重要です。交渉の際には、値上げ理由を確認し、正当性を判断することが必要です。また、周辺の家賃相場を調査し、交渉材料とすることも有効です。場合によっては家賃の値上げ幅を小さくするなどの妥協点を見つけることも考慮しましょう。

交渉が決裂した場合、大家から調停や裁判を起こされる可能性があります。調停は話し合いの手続きであり、入居者の合意がなければ賃料は上がりません。一方、裁判では裁判官の判断により賃料が上がる可能性があります。この場合、支払った家賃の不足分に利息を支払う必要があります。

交渉中でも、家賃を支払い続ける必要があります。家賃を払わないと賃貸借契約を解除される可能性があるため、値上げ前の家賃額を支払うことが一般的です。もし大家が受け取りを拒否する場合、供託という手段を用いることで、家賃不払いによる契約解除を防ぐことができます。
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

家賃の値上げは拒否できないの?

家賃の値上げに直面したとき、多くの入居者はその正当性や対処方法について不安を抱えます。しかし、家賃の値上げがすべて受け入れなければならないわけではありません。

家賃値上げは入居者の合意が必要で、原則拒否が可能です。ただし、合意なしに家賃値上げが認められる場合もありますので、注意が必要です。

(1)家賃の賃上げは「合意」が必要

家賃の値上げには大家が一方的にできるものではなく、原則入居者の合意が必要です。

したがって、家賃の値上げ通知を受け取った場合でも、即座に値上げを受け入れる義務はありません。

(2)家賃の値上げには「理由」が必要

借地借家法によれば、社会経済事情の変動などで家賃が不相当になった場合に入居者の合意なく賃料を上げることができるとしています。

<家賃が不相当といえるかの考慮要素>

  • 土地建物にかかる税金などがあがった
  • 土地建物の価格があがった
  • 周辺の相場に比べて家賃が低い

これらの事情がある場合、大家にかかる負担が増えるため、家賃の増額を請求することが認められています。

家賃の値上げを拒否するには?

家賃の値上げを拒否するためには、大家と交渉することが必要です。
交渉が決裂した場合、大家側から調停や裁判を起こされる可能性があります。

(1)大家と交渉する

家賃の値上げを拒否する場合、大家との交渉が基本となります。次の交渉のポイントを押さえておきましょう。

(1-1)家賃を値上げする理由を確認する

ますは、家賃を値上げする理由を確認しましょう。
値上げの理由が正当かどうかを知ることで、交渉の材料になります。

このとき、値上げの根拠となった資料も提示してもらうようにしましょう。例えば、税金があがったことが理由な場合には、それを示す固定資産税評価証明書などの資料を見せてもらいましょう。

(1-2)周辺の家賃相場を確認する

次に、周辺の家賃相場を確認しましょう。周辺の相場と比較して高すぎる場合には、そのデータを基に交渉することができます。

家賃相場の調査はインターネットを使ったり、不動産会社に問い合わせたりすることで調査可能です。

(1-3)妥協点を探る

交渉次第では、妥協点を探ることも必要な場合があります。
家賃の総額がやむを得ない場合には、一方的に拒否するのではなく、双方にとって妥協できる条件を見つけましょう。

【例】

  • 家賃の値上げ幅を小さくしてもらう
    例:3万円の値上げを請求されていたところ、2万円の値上げにしてもらう
  • 家賃の値上げ時期を遅らせてもらう
    例:家賃の値上げ時期を半年後にしてもらう
  • 家賃の値上げの代わりに別の条件をのんでもらう
    例:家賃の値上げの代わりに更新料を安くしてもらう など

(2)調停や裁判になる

大家との交渉が決裂した場合、大家側から調停や裁判を起こされる可能性があります。

調停は、裁判所の調停委員が間に入って話し合いをする手続です。これはあくまでも話し合いの手続ですので、入居者の合意がない限り、賃料が上がることはありません。

一方、裁判は裁判官に判断を委ねる手続です。裁判官が賃料を上げるのが妥当と判決を下した場合、入居者の合意がなくても賃料が上がることになります。そしてこの場合、既に支払った家賃の不足分に対して年1割の利息を支払う必要があります。

家賃交渉中の家賃はどうすればいい?

家賃の値上げ交渉が進行中で合意に至っていない場合でも、家賃の値上げに応じないことを理由に現在の家を無理やり追い出されるということはありません。

では、この場合の家賃はどうすればいいのでしょうか。払わなくてもいいのでしょうか。

(1)従来の家賃を払い続ける

家賃交渉中であっても、入居中である以上家賃を払う必要があります。家賃を払わないと、家賃の不払いを理由に賃貸借契約を解除されて、現在の家を追い出される可能性があります。

支払う家賃の額は入居者が家賃として相当と考える金額を支払うので足ります。例えば、家賃の値上げが不当だと考える場合には、値上げ前の従前の家賃額を払えばよいでしょう。例えば、家賃が10万円で、12万円への値上げを請求された場合、交渉が終わるまではとりあえず10万円を支払い続ければ大丈夫です。

(2)家賃の受け取りを拒否されたら供託する

家賃交渉中に大家が受け取りを拒否する場合、供託という手段を取ることができます。

供託とは、法務局などに金銭などを預け、最終的にその財産をある人に取得させる手続のことをいいます。例えば、家賃の受け取りを拒否されている場合、家賃を供託することで家賃を払ったことになり、家賃の不払いを理由に賃貸借契約が解除されるのを防ぐことができます。

参照:供託制度についてご紹介|法務局

【まとめ】家賃値上げは拒否可能!まずは大家と交渉を

家賃の値上げは必ずしも受け入れなければならないわけではなく、入居者には拒否する権利があります。まず、値上げの理由を確認し、周辺の相場を調査した上で大家と交渉することが重要です。

家賃の値上げに直面した際には、焦らずにこの記事で紹介した対処法を実践してください。まずは、大家としっかり交渉を行い、自分の権利を守りましょう。弁護士の助言が必要な場合は、家賃問題を扱う法律事務所に相談するとよいでしょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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