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クラッシャー上司とは?弁護士が特徴、影響、対策を徹底解説 

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a.aihara

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

職場において、クラッシャー上司と呼ばれるリーダーに悩まされている方は少なくありません。 

クラッシャー上司とは、部下に対して過度なプレッシャーをかけたり厳しい指導をしたりして、職場環境を悪化させ、休職や退職に追い込んでつぶしてしまう上司のことをいいます。 

産業医として数多くの実例に接した松崎一葉氏が「クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち」という書籍で紹介した言葉です。 

この記事では、クラッシャー上司の特徴、及ぼす影響、そして企業が取るべき対策について詳しく解説します。 

この記事を読んでわかること 

  • クラッシャー上司とは 
  • クラッシャー上司の特徴 
  • クラッシャー上司が周りに及ぼす影響 
  • 企業ができるクラッシャー上司対策 

ここを押さえればOK!

クラッシャー上司とは、部下に過度なプレッシャーをかけたり厳しい指導を行ったりして、職場環境を悪化させて部下を追い詰める上司のことを指します。

クラッシャー上司の特徴として、高圧的なコミュニケーション、自分が常に正しいという確信、部下の成果を過小評価、過度なプレッシャー、感情的な反応などが挙げられます。
 
クラッシャー上司が及ぼす影響として、部下のメンタルヘルスの悪化、チーム全体の生産性低下、高い離職率、会社の評判低下などが考えられます。これにより、企業は優秀な人材を失い、新たな人材獲得が困難になるリスクが高まります。
 
企業が取るべき対策としては、パワハラに対する対策が参考になります。パワハラ防止の周知・教育、相談窓口の設置と利用促進、問題発生時の迅速な対応、定期的なストレスチェックなどが有効です。
この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

クラッシャー上司とは 

クラッシャー上司とは、部下に対して過度なストレスやプレッシャーをかけたり、厳しい指導をしたりして、精神的に追い込む上司のことを指します。 

このような上司は、部下の精神的な健康や職場全体の生産性に悪影響を及ぼすことが多いため、早急な対応が求められます。 

クラッシャー上司がどのような特徴を持ち、どのような影響を及ぼすのかを理解することは、対策を講じる上で非常に重要です。 

クラッシャー上司の特徴とは 

クラッシャー上司によくみられる特徴を説明します。 

(1)高圧的なコミュニケーションスタイル 

クラッシャー上司の特徴の一つは、高圧的なコミュニケーションスタイルです。 

このタイプの上司は、命令口調で話すことが多く、部下に対して威圧的な態度を取ることが一般的です。例えば、部下の意見を聞かずに一方的に指示を出す、成果が出ない場合には激しく叱責するなどの行動が見られます。これにより、部下は心理的に萎縮し、本来持っている能力を発揮できなくなります。 

さらに、威圧的な態度が続くことで、部下は自分の意見を言うことを避けるようになり、結果として職場全体のコミュニケーションが滞ります。 

(2)自分が正しいという確固たる自信 

クラッシャー上司の特徴の一つとして、自分が常に正しいという確固たる自信を持っていることが挙げられます。 

このタイプの上司は、自分の意見や判断が最善であると信じて疑わず、他人の意見やアドバイスを受け入れることが少ないです。部下からのフィードバックや指摘を無視し、一方的な指示を出すことが多いため、チーム内のコミュニケーションが阻害され、創造的なアイディアが出にくくなります。 

このような態度は、部下の成長を妨げ、職場全体の士気を低下させる要因となります。 

(3)部下の成果を過小評価する 

クラッシャー上司は、部下がどれだけ成果を上げても、それを正当に評価しない傾向があります。 

例えば、部下がプロジェクトを成功させた場合でも、その貢献度を過小評価し、他のメンバーや自分の手柄としてしまうことがあります。これにより、部下は自分の努力が認められないと感じ、モチベーションが低下します。また、上司による部下の業績の過小評価は、部下のキャリア成長にも悪影響を及ぼします。 

結果として、部下の士気が低下し、優秀な人材が他の企業に流出するリスクが高まります。 

(4)過度なプレッシャーと無理な要求 

クラッシャー上司は、現実的でない目標や期限を設定し、それを達成するように強制することがあります。 

例えば、通常の業務時間内では到底達成できない量の仕事を割り当てたり、無理なノルマを設定し、達成できなければ叱責するのです。これにより部下が受ける過度のプレッシャーは、部下のメンタルヘルスにも悪影響を及ぼし、うつ病や不安障害などの精神的な問題を引き起こすリスクが高まります。 

(5)感情的な反応と不安定な態度 

クラッシャー上司は、感情的になりやすく、不安定な態度を取ることが多いです。 

例えば、些細な問題でも激怒したり、気分のムラが激しく、一貫性のない指示を出すことがあります。これにより、部下は上司の反応を恐れて、仕事に対する不安が増します。また、上司の感情的な反応は、職場の雰囲気を悪化させ、チームの士気を低下させます。 

クラッシャー上司が周りに及ぼす影響とは 

クラッシャー上司は、「扱いづらい人」というだけにとどまらず、周りに次のような悪影響を及ぼします。 

(1)部下のメンタルヘルスへの悪影響 

クラッシャー上司の行動は、部下の精神的健康に影響することがあります。高圧的な態度や過度なプレッシャー、無理な要求は、部下の受けるストレスを高めてしまうためです。 

例えば、上司が日常的に叱責を繰り返す場合、部下は自信を喪失し、仕事に対する恐怖感や不安感が増します。このような環境では、部下がメンタルヘルスを害するリスクが高まるでしょう。 

部下がメンタルヘルス問題を抱えると、長期的な休職や離職、さらには会社の責任を問う可能性があり、企業にとっても大きな損失となりえます。 

(2)チーム全体の生産性低下 

高圧的なリーダーシップは、チーム全体の士気を低下させ、結果として生産性が低下します。クラッシャー上司の威圧的な態度や過度な要求は、部下のモチベーションを奪い、仕事に対する意欲を削いでしまいます。 

例えば、上司が無理な納期や過剰な業務を命じる場合、部下は疲労感や絶望感を抱き、仕事の効率が低下するでしょう。 

さらに、上司の顔色を窺って部下同士のコミュニケーションも阻害され、情報共有や協力が不十分になるため、チームの連携が取れず、さらなる生産性低下を招くおそれもあります。 

(3)高い離職率と人材流出 

職場環境が悪化することで、優秀な人材が離職するリスクが高まります。 

クラッシャー上司の下で働く部下は、精神的なストレスや不満を抱え続け、改善されなければ最終的には職場を去る決断を下すでしょう。特に、キャリア志向の高い優秀な人材は、自分の成長やキャリアアップの機会を求めて、より良い職場環境を求めて転職する傾向があります。 

これにより、企業は貴重な人材を失うだけでなく、新たな人材を採用・育成するためのコストも増加します。さらに、離職率が高まると、残されたチームメンバーにも負担がかかり、さらなる人材流出を招く悪循環が生じます。 

(4)会社の評判が下がり人材獲得が困難に 

クラッシャー上司の存在は、社内だけでなく社外にも影響を及ぼします。特に、会社の評判が下がることで、人材獲得が困難になる問題は深刻です。 

クラッシャー上司による高圧的なリーダーシップや不適切な行動は、社内の雰囲気を悪化させ、従業員の不満を増大させます。この不満がSNSや職場口コミサイトを通じて外部に広がると、会社の評判は悪化します。 

悪評が広まると、優秀な人材がその企業に応募することを避けるようになるでしょう。特に最近は、求職者が企業の口コミや評判を重視する傾向が強まっており、ネガティブな評価が多い企業には魅力を感じなくなります。 

結果として、企業は新たな人材を獲得するために、より高い給与や特典を提示しなければならなくなり、採用コストが増加します。それでも、悪評の影響で採用が難航することもあるでしょう。 

企業ができるクラッシャー上司対策とは 

クラッシャー上司は、パワハラが問題になることも多いです。 

企業は、①優越的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えており、③労働者の就業環境が害されるものは、パワーハラスメントとして、防止措置を講ずる義務があります(労働施策総合推進法30条の2)。 

パワーハラスメントの対策が、クラッシャー上司の対策にも有効と考えられますので、企業にできる対策について説明します。 

参考:労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント防止措置」が中小企業の事業主にも義務化されます|厚生労働省 

(1)周知・教育 

職場でパワハラを行ってはならない旨の方針を明確にし、従業員に周知します。 

もし認知された場合、就業規則の何条で問題になり、厳正に対処する旨も同様に周知します。加えて、もし相談したとしても仕事上不利益に取り扱うことはないことを明確にします。 

また、パワハラなどの研修や教育プログラムを導入するとより効果的です。 

(2)相談窓口の設置と利用促進

 相談窓口を設置して従業員に対し定期的に告知して、従業員が気軽に相談できる環境を整えることが重要です。 

相談窓口も形ばかりでなく、きちんと社内で対応できる人物を配置します。これにより、問題が早期に発見され、適切な対策が講じられます。 

(3)ヒアリングと指導 

もしパワハラの問題が把握されたら、当事者から具体的な事実についてヒアリングして把握します。 

席移動や異動などでクラッシャー上司と被害者を物理的に引き離すなど、被害者に配慮した措置を行います。また、パワハラの事実関係が確認できたら、上司に対する処分も行います。 

今後同じような問題が発生しないよう、再発防止策を検討します。 

(4)定期的なストレスチェック 

従業員のストレスチェックを行い、問題がある場合には早期に把握したうえで、ヒアリングなどを行い、業務の調整など必要な対策を行います。 

【まとめ】 

クラッシャー上司は、高圧的なコミュニケーションスタイルや過度なプレッシャーを通じて、部下のメンタルヘルスやチームの生産性に悪影響を及ぼします。 

企業ができる対策としては、パワハラは厳禁であることの周知や教育を行い、相談窓口の設置、問題が把握されたら迅速に適切な措置をとることがあげられます。 

問題を放置せず、被害者を守りつつ、職場環境の改善を図りましょう。 

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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