職場でのパワハラに苦しんでいるあなたへ。
毎日が憂鬱で、心身ともに疲弊しているのではないでしょうか。
パワハラは単なる職場のトラブルではなく、法的に違法とされる行為です。しかし、多くの人が「どう訴えればいいのか」「証拠はどう集めるのか」といった具体的な方法に悩んでいます。
このコラムでは、パワハラの定義から訴えるための具体的な手順、必要な証拠、そして公的機関や弁護士に相談する方法までを詳しく解説します。あなたが一歩踏み出し、安心して将来のキャリアを築くためのガイドとなるでしょう。
この記事を読んでわかること
- パワハラとは
- パワハラを訴える方法とは
- パワハラを訴えるために必要な準備とは
ここを押さえればOK!
パワハラを訴える方法としては、上司本人に直接訴える、会社内の相談窓口に訴える、労働局に相談する、そして裁判所に訴えるといった4つの方法があります。会社に訴える場合、社内のコンプライアンス窓口や人事部門が調査を行いますが、適切な対応がなされないリスクもあります。労働局に相談すると、労働局が調査や指導を行います。裁判所に訴える方法としては、労働審判や通常の裁判があり、迅速な解決が期待できる労働審判と、費用と時間がかかる通常の裁判があります。
パワハラを訴えるためには証拠を集めることが重要で、録音データ、動画、写真、メールやSNSの記録、メモ、医師の診断書などが証拠となりえます。また、弁護士に相談することで適切なアドバイスを受け、手続きを代理で行ってもらうことが可能です。弁護士に依頼することで、訴える側の負担を軽減することができます。
東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
パワハラとは
職業におけるパワハラとは「職場での優越的な立場を利用して、業務の範囲を超えた言動により、他の労働者に精神的・身体的苦痛を与える行為」を指します。
<パワハラの例>
- 身体的攻撃:上司が部下に対して、殴ったり蹴ったりする行為
- 精神的攻撃:上司が部下に対し人格を否定するような発言
- 過大な要求:過剰なノルマ達成を強要し、未達成に対し強く叱責する行為
- 過小な要求:退職させるために、簡単な作業などに配置転換する行為
- 人間関係からの切り離し:意に沿わない社員に対し、長期間にわたり、仕事を取り上げた上で、一人部屋へ席を移動させたり、自宅研修等をさせたりする行為
- 個の侵害:思想や信条を理由として、集団で特定の社員を監視し、ロッカーを無断で点検する行為
パワハラを訴える方法
パワハラを訴えるには主に4つの方法があります。「上司本人に訴える」「会社に訴える」「労働局に訴える」そして「裁判所に訴える方法」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)上司本人に訴える
パワハラしている上司に、「こういう行為で苦しんでいます。やめていただきたいのですが」と直接話してみると、効果がある場合があります。加害者がパワハラをしているという自覚がない場合があるからです。
しかし、直接パワハラの苦情を伝えると、かえってパワハラが悪化しそうな場合は、次に紹介する外部機関への相談を検討しましょう。
(2)会社に訴える
会社内の相談窓口に訴えることです。社内のコンプライアンス窓口や人事部門に相談することで、内部調査が開始され、場合によってはパワハラをしていた上司に対して部署異動など処分がなされる可能性もあります。
しかし、会社が適切に対応してくれなかったり、相談したことが上司にバレてパワハラがより悪化したりする可能性もありますので、注意が必要です。
(3)労働局に訴える
労働局に訴えることもできます。各都道府県の労働局はパワハラなどのハラスメントなどに関する相談を受け付けています。
労働局にパワハラを相談すると、労働局がパワハラの調査を行い、場合によっては会社に対し指導やあっせんを行ってくれます。
(4)裁判所に訴える
裁判所に訴えることもできます。
裁判所に訴える方法としては「労働審判に訴える方法」と「裁判に訴える方法」があります。
(4-1)労働審判で訴える
労働審判とは、労働者と会社との間で発生する労働関係のトラブルを解決するための制度です。パワハラ加害者の違法行為を原因とする会社に対する損害賠償請求をして会社を巻き込む必要があります。
労働審判は、期日が原則3回までに制限されており、裁判と比べてより迅速・柔軟な解決が期待できます。
労働審判で、両者が納得できれば、調停が成立します。調停が成立しなければ、審判や請求棄却、24条終了という形になりますが、納得がいかない場合には、裁判で決着をつけることになります。
(4-2)裁判で訴える
裁判では、加害者の行為がパワハラに当たるか否か白黒をつけ、慰謝料の支払いなどを命じてもらうことができます。
ただし、裁判は、手続が長期化することが多く、その分費用も高額になりがちです。弁護士費用や裁判所の手数料など、労働審判に比べて経済的な負担が大きくなる傾向があります。 また証拠についても厳格に判断されます。
パワハラを訴えるために必要な準備
パワハラを訴えるためには適切な証拠を集め、弁護士に相談することがおすすめです。
(1)パワハラの証拠を集める
パワハラを訴えるには、まず証拠を集めることが重要です。
例えば、あなたが「パワハラがあったこと」を訴えても、上司がパワハラをしていないと否定されてしまえば、「パワハラがあったこと」を証明することが難しくなります。
<パワハラの証拠の例>
- 録音データ:パワハラ発言の録音
- メールやSNS:パワハラ内容の記録
- メモなどの記録:被害内容を詳細に記録したもの
- 医師の診断書:パワハラにより精神的・身体的被害を受けた場合の診断書
(2)弁護士に相談する
パワハラを訴えることや裁判手続きに不安がある場合には、パワハラの問題を扱っている弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談することで適切なアドバイスを受けられるほか、依頼することで手続きを代理で行ってもらうことができます。
パワハラを訴えることは訴える側も精神的・肉体的にストレスがかかる行為です。弁護士に代理で行ってもらうことであなたにかかる負担を少しでも減らすことができます。
【まとめ】パワハラを訴える方法は4つ|困ったときは弁護士へ相談を
パワハラを訴えるためには、まず適切な証拠を集め、公的機関や弁護士に相談することが重要です。証拠としては、録音データ、メール、SNSのメッセージ、医師の診断書などが有効です。証拠を確保した上で専門家に相談することで、適切な手続きを進めやすくなります。
パワハラに悩んでいるなら、まずは証拠を集めて公的機関やパワハラを扱っている弁護士に相談しましょう。あなたの権利を守るため、一歩踏み出す勇気を持って行動してください。