突然解雇を言い渡された時、その解雇が本当に正当なものかどうか、迷うことはありませんか?
「仕事ができないから」「協調性がないから」「経営が厳しいから」など、様々な理由が挙げられることがありますが、果たしてそれは適切な理由でしょうか。
不当解雇とは、一見すると正当な理由に見えても、実は法律や就業規則に違反する解雇を指します。
このコラムでは、そんな不当解雇について詳しく解説します。
自分や身近な人が不当解雇に遭遇した際、どのように対処すべきか、そしてどのような権利が守られているのかを知っておくことは非常に重要です。
この記事を読むことで、不当解雇の実態を理解し、いざという時の備えに役立てましょう。
この記事を読んでわかること
- 不当解雇とは
- 不当解雇にあたるケース
- 不当解雇された場合の対処法
- 不当解雇に対する慰謝料や損害賠償
ここを押さえればOK!
具体的には、合理的な理由のない解雇、法律で禁止されている解雇、就業規則などのルールに違反する解雇 の3つに分類されます。
例えば、「経営者の好き嫌い」や「単に仕事ができないから」だけでは解雇できません。
不当解雇された場合の対処法としては、労働基準監督署や弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談することで、不当解雇の無効を主張したり、解雇期間中の賃金請求を行うことが可能です。
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中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。
不当解雇とは
不当解雇とは、労働基準法や労働契約法などの法律や就業規則に違反する解雇のことをいいます。
不当解雇には大きく分けて(1)合理的な理由のない解雇、(2)法律で禁止されている解雇、(3)就業規則などのルールに違反する解雇 の3つがあります。
不当解雇と正当な解雇の違いとは?
次に、不当解雇と正当な解雇の違いについて見ていきましょう。
(1)不当解雇1:合理的な理由がない解雇
正当な解雇には客観的に合理的な理由と社会一般から見て相当と言える必要があります。
客観的に合理的な理由がない場合や社会一般から見て相当と言えない場合には「不当解雇」にあたります。
例えば、「経営者の好き嫌い」や「単に仕事ができないから」だけでは解雇できません。
解雇が「不当解雇」にならないためには、次のポイントを考慮する必要があります。
- 解雇理由が解雇しなければならないほど重大なものなのか
- 解雇理由は会社への悪影響を与えているか
- 雇用時に求められた能力と比べてどうなのか
- 改善の見込みがあるのか
- 解雇を避けることはできなかったのか
- 指導や教育で状況が改善できなかったか
- 解雇ではなく配転や降格で対応できなかったのか
- 解雇の動機や目的が不当なものではないか
- 解雇に至るまでの経緯が適正か
- 本人の意見を聞く機会をもうけたか
- 他の従業員に対する処分とバランスをとれているか など
具体的に見ていきましょう。
(1-1)能力不足や勤務態度が悪いことを理由とする解雇
能力不足や勤務態度が悪いことを理由とする解雇も「不当解雇」になる可能性があります。
例えば、入社して間もない労働者に対し、十分な教育や指導がないまま成績不良を理由に解雇することは「不当解雇」に当たります。
一方で、会社から十分な指導や調整を行っているにもかかわらず、改善が見られない場合や指導に従わない意思を明確にしている場合には「正当な解雇」となる可能性があるでしょう。
(1-2)転勤拒否を理由とした解雇
転勤拒否を理由とした解雇も「不当解雇」になる可能性があります。
例えば、転勤の必要がないのに退職に追い込む目的で転勤を命じ、拒否されたことで解雇した場合や、重度の要介護者を介護していて転勤が難しいことを理由に転勤を拒否されたことで解雇した場合には「不当解雇」に当たる可能性があります。
一方で、業務上必要な転勤命令に対し、合理的な理由なく転勤拒否をしたことを理由に解雇した場合には「正当な解雇」となる可能性があるでしょう。
(1-3)協調性のなさを理由とした解雇
協調性のなさを理由とした解雇も「不当解雇」になる可能性があります。
例えば、協調性のない社員であっても、注意指導をして改善する機会を与えたり、他の部署に配転することを検討したりせず、いきなり解雇をすると「不当解雇」に当たります。
一方で、協調性が求められる仕事で、繰り返し指導をしたのに従わず、仕事に大きな影響を及ぼしている場合などには、「正当な解雇」となる可能性があるでしょう。
(1-4)経営難による人員整理の解雇
経営難による人員整理の解雇も「不当解雇」になる可能性があります。
経営難による人員整理の解雇が不当解雇にあたるかどうかの判断では、次のようなポイントを考慮します。
- 人員削減の必要性
- 経営不振など、企業が経営する上で人員削減の必要性が高いことが必要
- 解雇回避努力
- 配転、出向、希望退職の募集など、可能な限り解雇以外の手段を試み、解雇を回避するための努力をしていることが必要
- 被解雇者選定の合理性
- 整理解雇の対象者が、客観的で合理的な基準により、公正に選ばれていることが必要
- 手続きの相当性
- 解雇の対象者や組合に、人選の基準や当否につき十分に説明し、協議していることが必要
例えば、希望退職の募集などの手段をとることもなく、解雇に踏み切った場合や人員整理のための解雇をしながら新規採用を続けていた場合には「不当解雇」とされる可能性が高いでしょう。
(2)不当解雇2:法律で禁止されている解雇
次の解雇は法律で禁止されています。
次の解雇をした場合には原則「不当解雇」となります。
- 業務上の病気やけがによる休業中と、その後30日間の解雇
- 産前産後休業中と、その後30日間の解雇
- 結婚・妊娠・出産を理由とする解雇
- 性別を理由にした解雇
- 労働基準監督署などへの申告や通報などを行ったことを理由とする解雇
- 労働組合の組合員であることや正当な労働組合活動を理由とする解雇
- 育児介護休業などを申し出たことや取得したことを理由とする解雇
- パワハラ・セクハラを相談したことを理由とする解雇
- 公益通報をしたことを理由とする解雇 など
(3)不当解雇3:就業規則などのルールに違反する解雇
就業規則に定められた手続きに反する解雇も「不当解雇」に当たります。
通常、就業規則には次のような解雇への手続が定められています。
【例】
- 懲戒処分について懲戒委員会で審議すること
- 懲戒処分をするときは従業員の弁明を聴くこと など
就業規則にこのような手続が定められているにもかかわらず、これらの手続が守られないまま解雇された場合には「不当解雇」に当たります。
不当解雇された場合の対処法とは?
次に、不当解雇の疑いがある場合にとるべき対処法を紹介します。
(1)労働基準監督署への相談
労働基準監督署は、労働基準法などに違反した会社に対して改善のための指導を行う公的機関で、労働トラブルなどの相談に乗っています。
ただし、労働基準監督署は不当解雇の相談すべてを解決できるわけではありません。
例えば、解雇予告や解雇予告手当を労働基準法の定める通り支払うことを促すということであれば、原則として指導可能です。
これに対し、解雇理由の是非については労働基準監督署が介入することが難しいのが実情です。解決方法の一般的なアドバイスなら受けられますので、アドバイスだけでも受けたい方は一度労働基準監督署に相談してみてもいいかもしれません。
(2)弁護士への相談
不当解雇が疑われる場合、法律のプロである弁護士に相談するのもよいでしょう。
「不当解雇に当たるかどうかの見極め」から「裁判」になったときの対応までしてもらえます。
自分では会社側と交渉するのが難しい場合も弁護士に交渉してもらうことが可能です。
弁護士であれば、不当解雇の無効を主張したり、解雇期間中の賃金請求を請求したり、最終的な解決を目指すことができます。
不当解雇だったらどうなるの?
裁判所で不当解雇と判断された場合、「解雇は無効」です。
解雇が無効となると、会社との雇用関係が継続し、復職や解雇期間中の賃金の支払いを求めることができます。
(1)会社への復職をする
解雇が無効となると、会社の雇用関係は継続し、まだ会社に在籍していることになります。会社への復職を希望する場合には、会社への復職が可能です。
(2)解雇期間中の賃金の支払いを請求する
解雇後の従業員に給与を支払わなかった期間について、さかのぼって給与を支払うことを「バックペイ」と言います。
このバックペイは、解雇してから解決するまでの期間が長くなればなるほど支払額が大きくなります。そのため、会社側からすると「不当解雇」の疑いがある場合には早く解決したいという動機付けになることもあります。
【まとめ】不当解雇とは法律や就業規則に違反する解雇のこと|弁護士へ相談を
不当解雇とは、労働基準法や労働契約法、就業規則に違反する解雇を指します。
不当解雇には大きく分けて(1)合理的な理由のない解雇、(2)法律で禁止されている解雇、(3)解雇の手続きを無視した解雇の3つがあります。
不当解雇の疑いがある場合、弁護士に相談することが重要です。不当解雇が認められると、解雇は無効となり、復職や賃金の支払い、さらには慰謝料の請求ができる可能性があります。
不当解雇の疑いがある場合、早めに弁護士に相談し、自分の権利を守るための適切な対応を取りましょう。
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