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正社員の休憩時間に給料は出る?出ない?法律上のルールを解説

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

正社員として働く皆さん、休憩時間について疑問や不安を感じたことはありませんか?
「休憩時間中に仕事をしても給料は出ないの?」
「休憩が取れないときはどうすればいいの?」

このような悩みを抱えている労働者は少なくありません。

本記事では、労働基準法に基づく休憩時間のルールや休憩時間に給料が出るケースについて、正社員の休憩時間と給料に関する重要な情報をわかりやすく解説します。
あなたの権利を守り、より良い労働環境を実現するための知識を身につけましょう。

この記事を読んでわかること

  • 休憩時間のルール
  • 休憩時間の原則
  • 休憩時間に給料が出るケース

ここを押さえればOK!

労働基準法では、正社員を含む労働者の健康と福祉を守るため、休憩時間のルールを定めています。1日の労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間が必要です。 休憩時間には3つの原則があります。途中付与の原則、一斉付与の原則、自由利用の原則です。これらの原則に沿って休憩時間が与えられる必要があります。
休憩時間中の給料はありません。しかし、休憩時間中でも実質的に労働をしていると判断される場合は、給料が支払われる必要があります。 例えば、休憩中も電話対応や来客対応が求められる場合、待機時間が実質的な労働時間となる場合、仕事せざるを得ない状況の場合などが該当します。
休憩時間に関するトラブルとしては、休憩時間が取れない場合や、休憩時間中に労働を強いられる場合があります。このような場合、労働者は状況を記録し、上司や人事部門に改善を求めることが大切です。改善が見られない場合は、労働組合や労働基準監督署、弁護士に相談することも検討しましょう。
この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

労働基準法が定める正社員の休憩時間のルール

労働基準法は、正社員を含む労働者の健康と福祉を守るため、明確な休憩時間のルールを定めています。
これらのルールは、労働時間に応じた最低休憩時間の規定と、休憩時間の3原則から成り立っています。
使用者はこれらのルールを遵守する義務があり、労働者はこれらのルールを理解し、適切な休憩時間を確保することが重要です。

(1)労働時間に応じた最低休憩時間の規定

労働基準法第34条は、労働時間に応じた最低休憩時間を以下のように定めています。

  1. 1日の労働時間が6時間以下:0分以上
  2. 1日の労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合:45分以上
  3. 1日の労働時間が8時間を超える場合:1時間以上

これは最低限の規定であり、企業によってはより長い休憩時間を設定している場合もあります。
例えば、1日の労働時間が8時間の場合、法律上は最低45分の休憩時間が必要ですが、1時間の休憩時間を設けている企業は少なくありません。
労働者は、自分の勤務時間に応じた適切な休憩時間が与えられているか確認することが大切です。

(2)休憩時間の3原則:一斉付与、自由利用、途中付与

労働基準法34条は、休憩時間について、以下の3原則を定めています。

1. 途中付与の原則:休憩は労働時間の途中に与えること
2. 一斉付与の原則:原則として、同じ時間帯に全員に休憩を与えること
3. 自由利用の原則:休憩時間中は労働者が自由に利用できること

一斉付与の原則には例外があります。労使協定を締結した場合、特定の業種の場合(運輸業、接客業など)には、各人が個別に休憩を取ることができます。

正社員の休憩時間中の給料支払いに関する法的解釈

正社員の休憩時間中の給料支払いについては、原則として支払い義務はありません。
例えば、12時から13時までが休憩時間と定められ、その間労働者が自由に外出したり休憩したりできる場合、この時間の給料は発生しません。

しかし、休憩時間は、先に説明した3原則に沿っている必要があります。
休憩時間中でも、実質的に労働をしていると判断される場合は、給料を支払う必要があります。

休憩時間が労働時間とみなされるケース

休憩時間が労働時間とみなされる具体的ケースを紹介します。
労働者が自由に休憩時間を利用できない状況にあるか、業務に従事せざるを得ない状況にあるかが重要なポイントとなります。
以下のようなケースでは、休憩時間が労働時間とみなされる可能性が高くなります。

(1)休憩中の電話対応や来客対応が求められる場合

休憩中に電話対応や来客対応が求められる場合、その時間は労働時間とみなされる可能性が高くなります。以下のような状況が該当します。

  1. 休憩中でも顧客からの電話に出なければならない
  2. 休憩中に来客があれば対応しなければならない
  3. 休憩中でも緊急時の対応が求められる

例えば、コールセンターのオペレーターが昼食を取りながら電話対応をしている場合や、受付担当者が休憩中でも来客があれば対応しなければならない場合などが該当します。
このような状況では、労働者は実質的に休憩を取れていないため、労働時間として扱われ、適切な賃金が支払われるべきでしょう。

(2)待機時間が実質的な労働時間となる場合

例えば、以下のような場合は待機時間も労働時間とみなされる可能性が高くなります。

• タクシー運転手が待機中でも配車の指示に従わなければならない場合
• トラック運転手が荷物を積むために待機中の場合

これらの場合、完全に労働から離れて自由に過ごせる状態ではないため、給料の発生する労働時間となる可能性が高く、適切な賃金が支払われるべきでしょう。

(3)仕事せざるを得ない状況の場合

例えば、1人勤務で労働している場合、休憩時間といわれても、何かあれば対応しなければならない状況が多く、休憩時間に労働せざるを得ないという方は少なくありません。
このような場合には、休憩ではなく労働時間とされる可能性が高いでしょう。

正社員の休憩時間に関するトラブル事例と対処法

主な休憩時間に関するトラブル事例として、休憩時間が取れない場合や、休憩時間中に労働を強いられる場合があります。これらの問題に対しては、法的な対応や適切な給与請求が可能です。労働者は自身の権利を理解し、必要に応じて適切な対処を行うことが重要です。

(1)休憩時間が取れない場合の対処法

慢性的に休憩時間が取れない場合には、労働者としては、第一に、きちんと休憩時間が付与されることを求めたいところです。また第二に、労働時間とされる部分については給与の支払いを求めます。

休憩時間が取れない場合の具体的な対応手順は次の通りです。

  1. まず、就業規則や労働契約書を確認し、休憩時間の規定を把握する
  2. 休憩時間が取れない状況を記録する
  3. 上司や人事部門に状況を説明し、休憩時間について改善を求める
  4. 改善が見られない場合、労働組合がある場合は労働組合に相談する
  5. 労働基準監督署に相談し、指導を仰ぐ
  6. 必要に応じて、労働問題に詳しい弁護士に相談する

(2)休憩時間中に労働を強いられた場合の対処法

休憩時間中に労働を強いられた場合、労働時間として、以下の手順で給与請求を行うことができるでしょう。慢性的に休憩時間に労働を強いられる場合には、きちんと休憩できるように求める必要もあります。

  1. 労働の実態を記録:日時、内容、頻度などを記録する
  2. 労働したことの証拠収集:メールや業務記録など
  3. 未払い賃金の計算:基本は時給×休憩中の労働時間(1日の労働時間が8時間、1週間の労働時間が40時間を超えるときは、基本的に25%以上の割増率)
  4. 使用者への請求:記録と計算結果を基に、未払い給与の支払いを求める
  5. 労働基準監督署へ相談:支払いがない場合、相談して対応や指導を仰ぐ
  6. 法的手続きの検討:支払いがない場合、労働審判や訴訟を検討する(労働問題を扱う弁護士へ相談する)

【まとめ】休憩時間に給料は出ないが、労働した場合は別

正社員の休憩時間は労働基準法で決められており、使用者はルールに従って労働者に付与する必要があります。
休憩時間は原則として給料は支払われませんが、休憩時間中に労働した場合には労働時間となり、給与支払いの対象となります。
労働者は、ひとりひとりが自身の権利を理解することが重要です。
自分の休憩時間の実態を確認し、必要に応じて上司や人事部門と話し合いましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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