退職を考えている方のなかには、退職代行の利用を検討されている方も多いでしょう。 退職代行は、退職時の精神的負担を軽減してくれる便利なツールです。
しかし、適切に利用しなければ、後悔することになる場合もあります。
本記事では、退職代行を利用して後悔する主なパターンや、信頼できる業者の選び方などについて解説します。 本記事が、退職代行の利用を考えている方はもちろん、退職を検討中の方にとっても参考になれば幸いです。
この記事を読んでわかること
- 退職代行を利用して後悔するパターン
- 退職代行を利用するメリット
- 退職代行を利用する前にすべきこと
- 信頼できる退職代行業者を選ぶポイント
ここを押さえればOK!
一方で、心理的負担の軽減や、弁護士に依頼した場合は退職条件についても交渉してもらえるなどのメリットがあります。
弁護士に依頼すれば退職条件の交渉も可能ですが、民間業者の場合は基本的に退職意思の伝達のみとなります。料金や対応できる範囲は、契約内容や業者によって異なるため、自身のニーズに合わせて慎重に選択することが大切です。
退職代行は精神的な負担を軽減できる一方で、将来的なキャリアや人間関係への影響も考慮する必要があります。
利用を検討する際は、メリット・デメリットを十分に理解し、自身の状況に適した方法を選択するようにしましょう。
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東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
退職代行を利用して後悔するパターン
まず、退職代行を利用した人が後悔する主なパターンをご紹介します。
(1)悪質な業者を選択してしまった
民間の退職代行業者の中には、いい加減な対応をする業者もいます。このような業者を選んでしまうと、退職手続きが適切に行われず、トラブルに発展する可能性があります。
例えば、料金を支払ったとたん音信不通になってしまったり、追加費用として事後的に高額な請求をされたりするケースです。
また、不適切な方法で業者が介入したことにより、かえって会社との間に無用なトラブルが生じてしまうリスクも考えられます。
結果として、円滑な退職ができず、むしろ状況を悪化させてしまう恐れがあります。
(2)費用が高かった
依頼する際には退職したい一心で、料金のことはそこまで気にならないかもしれません。
しかし、民間の退職代行は、退職意思を伝達するだけですので、高額な費用を支払ってしまうと、後悔することがあります。
あとになって「やっぱり自分で伝えれば良かった」などと思ってしまわないよう、費用対効果を十分に検討して契約することをおすすめします。
(3)退職条件について交渉できなかった
退職代行サービスを利用する際、退職条件についての交渉が不十分だったり、全く行われなかったりすることで後悔するケースがあります。
例えば、退職の意思伝達のみを行う低価格のサービスには、最終給与の支払いや有給休暇の消化などの条件交渉が含まれていません。
そもそも、弁護士資格を持たない民間の業者が退職に関する交渉を行った場合、弁護士法違反(非弁行為)となると考えられます。
そのため、単に退職の意思を伝えるだけでなく、退職条件についての交渉なども含めて依頼したい場合には、弁護士に依頼する必要があります。
(4)出戻りが難しくなった
会社によっては、以前に雇っていた社員を再び雇い入れる制度や慣習があることも珍しくありません。
しかし、退職代行サービスを利用すると、会社の心証が悪くなってしまうことは十分に考えられます。
その結果、将来的に同じ会社に戻りたいと思っても、前の退職時に退職代行を利用したことで、再就職の機会を逃してしまうことになる可能性は否定できないでしょう。
また、業界内での評判にも影響を与え、キャリアの選択肢が狭まることもあり得ます。
このように、将来の可能性を考慮せずに退職代行を利用したことで、後悔するケースがあります。
(5)コミュニケーションを避けたことで罪悪感が生じた
退職代行サービスを利用することで、直接的なコミュニケーションを避けることができますが、これがのちに罪悪感を生むことがあります。
特に、長年働いた職場や信頼関係のある上司・同僚に対して、直接説明や挨拶をせずに退職してしまうと、「きちんと伝えるべきだった」という後悔の念を感じる人もいるようです。
このような心理的な負担は、新しい環境での前向きなスタートの妨げになることもあります。
退職代行を利用するメリット
後悔する人もいるとはいえ、退職代行の利用にはメリットも存在します。
(1)心理的負担の軽減
退職代行サービスの最大のメリットは、退職に伴う心理的負担を大幅に軽減できることです。
多くの人にとって、上司や同僚に直接退職の意思を伝えることは非常にストレスフルな経験です。
特に、人間関係が殺伐としていたり、パワハラなどの問題があったりする職場では、この負担はさらに大きいと考えられます。
退職代行を利用することで、退職に伴う対面でのやりとりを避けられ、精神的な負担を軽減できます。
結果として、退職にともなう手続きをより穏やかな気持ちで、かつ効率的に進めることができ、次のキャリアに向けて前向きな姿勢を維持しやすくなるでしょう。
(2)弁護士に依頼すれば退職条件の交渉も任せられる
前述のとおり、弁護士資格を持たない民間の業者が退職に関する交渉を行うことは、基本的に弁護士法に違反します(非弁行為)。
その点、弁護士に依頼すれば、退職金や未払い残業代の請求、有給休暇の消化など、退職にともなう条件についての交渉も任せることが可能です。
また、「辞めるなら損害賠償を請求する」など、会社側が不当な要求をしてきた場合も、法的根拠に基づいて反論し、退職者の利益を守ることができます。
ただし、依頼する際には、契約の内容(どの範囲まで対応してもらえるのか)についてしっかりと確認するようにしましょう。
契約内容により対応してもらえる範囲によって、費用も変わってくると考えられます。
このように弁護士による退職代行は、単なる退職意思の伝達にとどまらず、退職者の権利と利益を最大限に確保するための強力なツールとなり得るのです。
退職代行を弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
退職代行を利用する前にすべきこと
(1)自社の就業規則を確認する
まずは自社の就業規則を確認しておきましょう。
就業規則には退職に関する手続きや条件が明記されており、これを理解することで不必要なトラブルを回避できることがあります。
例えば、退職時に必要な書類、退職金の算定方法などです。
(2)退職後について考える
退職後の生活やキャリアについて十分に考えることが必要です。
具体的には、次の就職先や転職の方向性、必要な期間、当分の生活費の確保などです。
退職後の計画が不明確なまま退職を急ぐと、後悔する可能性もあります。
また、退職後の明確なビジョンを持つことで、退職代行をより効果的に活用でき、スムーズな転職や新生活のスタートにつなげられるでしょう。
信頼できる退職代行業者を選ぶポイント
最後に、退職代行業者を選ぶ際のポイントについてご説明します。
(1)依頼するのは弁護士か、民間の業者か
弁護士ではない民間の退職代行業者の場合、依頼できることは基本的に退職意思を代わりに伝えてもらうことだけです。
その分、費用は比較的安価に抑えられていることが多いようです。
一方、弁護士に退職代行を依頼すれば、有給休暇の消化や退職金など、その他の退職条件について会社と交渉してもらうことも可能です(※契約した内容による)。
そのため、入社して日が浅く、単に退職意思を代わりに伝えてほしいだけなのか、それに加えて退職時の諸条件についても交渉したり、会社からの不当な要求に対応したりしてほしいのかによって、選ぶべき退職業者が変わってくることもあるでしょう。
(2)料金体系の透明性
信頼できる退職代行業者を選ぶうえで、料金体系の透明性も重要なポイントです。
信頼できる業者は、事前にサービスの内容と料金を明確に提示し、わかりやすく説明します。
例えば、基本料金に加えて、オプションサービスの料金が明確に記載されているか、成功報酬型の場合はその条件が詳細に説明されているかを確認しましょう。
また、料金の支払方法や返金ポリシーなどが明確であるかについても確認すべきです。
(3)過去の実績と口コミ評価
過去の実績と口コミ評価が重要な判断材料となることもあります。
具体的な成功事例や対応実績数を確認してみましょう。
また、過去の利用者による口コミや評価は、サービスの質や対応の丁寧さを知る上で貴重な情報源となります。
ただし、インターネット上の評価は操作されている可能性もあるため、なるべく複数の情報源を比較検討することが大切です。
【まとめ】
退職代行サービスは、心理的負担の軽減や時間・労力の節約など、多くのメリットがある一方で、適切に利用しなければ後悔することになるリスクもあります。
退職代行は便利なツールですが、自身の状況と照らし合わせて慎重に判断することにより、後悔のない退職を実現してください。
また、弁護士に退職代行を依頼すれば、退職意思の伝達だけでなく、退職時の条件について会社と交渉してもらえます。
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