「失業保険を一度もらうと、どうなるの?」
失業保険は多くの人にとって重要なセーフティネットですが、その仕組みや影響については意外と知られていないことが多いのです。
実は、失業保険を一度もらうと、それまでの雇用保険の加入期間がリセットされます。再度失業保険を受け取りたいと思ってもすぐには失業保険を受け取ることができません。
このコラムでは、失業保険を一度もらったあとのデメリットや受給の条件、さらには知っておくべき注意点について、わかりやすく解説します。
ここを押さえればOK!
新しい職場で再び失業保険を受け取るには、一定期間(自己都合退職では12か月以上、会社都合退職では6か月以上)の雇用保険加入が必要です。失業保険には受給回数の制限はありませんが、受給条件を毎回満たす必要があります。
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東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。
失業保険は一度もらうとどうなる?デメリットとは?
失業保険は、在職中に給料からの天引きで雇用保険料を納めておき、いざ失業したときに、失業手当(お金)をもらえるという制度で、正確には、「雇用保険」から「基本手当」を受給する手続となります。
ただし、失業保険を一度もらうと、それまでの雇用保険の加入期間がリセットされます。
失業保険をもらうためには、雇用保険に一定期間加入している必要があります。
例えば、10年間勤務した後に失業保険をもらうと、次の就職先での雇用保険加入期間は0からスタートします。次の就職先で一定期間の雇用保険の加入期間を経ないと次の就職先で失業しても失業保険を受け取れないという事態が生じるのです。
失業保険はどうすればもらえる?
失業保険は失業後待っていれば自動的に受け取れるというものではありません。
失業保険をもらうには条件を満たし、自分で手続きをする必要があります。ここでは失業保険をもらえる条件や失業保険のもらい方について簡単に説明します。
(1)失業保険をもらえる条件とは
失業保険をもらえる条件は、次の3つです。失業保険をもらうためにはこれらの条件すべてを満たす必要があります。
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
- 失業した後まだ仕事が見つかっていないものの、働く意思と能力があること
- ハローワークに求職の申し込みをし、失業の認定を受けること
ただし、倒産や解雇などで退職した場合や、自己都合退職であっても、出産・育児や介護等により離職した人については、離職日以前1年間に、加入していた月が満6ヶ月以上あれば受給資格を得られます。
失業保険をもらおうとしたら、実は雇用保険が未加入だったということもあります。雇用保険に加入しているか確認する方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)失業保険のもらい方
失業手当は、退職すれば自動的に振り込まれるものではありません。労働者自身がハローワークに行って、次のような申請手続をする必要があります。
- ハローワークに失業手当申請に行く
- 雇用保険受給者説明会への参加
- 失業認定日に求職活動の報告をする
- 失業手当(失業給付金)を受給する
失業保険をもらうには求職活動をする必要があり、原則として4週間に1度、指定された日に管轄のハローワークに行って、求職活動の状況などを報告する必要があります。
失業保険の申請には離職票が必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
失業保険でもらえる金額やもらい方、もらえる期間について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
失業保険は一度もらうと次はいつもらえる?何年後?
失業保険は一度もらうと、それまでの雇用保険の加入期間がリセットされます。そのため、再び受給するには、新しい職場で少なくとも6ヶ月~1年間雇用保険に加入し、雇用保険を払わなければなりません。
- 自己都合退職:新しい職場で12ヶ月以上雇用保険に加入する必要
- 会社都合退職(解雇や倒産など):新しい職場で6ヶ月以上雇用保険に加入する必要
2025年4月1日以降に自己都合退職した場合の失業保険について
これまで自己都合退職の場合、失業保険の受給について、7日間の待機期間満了の翌日から2ヶ月間の給付制限期間が設けられておりましたが、2025年4月1日以降に自己都合退職した者は、その給付制限期間が1ヶ月間に短縮されました。
もっとも、5年間で3回以上自己都合退職している場合は、給付制限期間が3ヶ月とされます。
また、雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練等を受けた場合(あるいは受けようとする場合)は、給付制限期間が解除されます。自己都合退職をした日の前から1年以内に教育訓練等を受けたのであれば、7日間の待機期間満了の翌日からの給付制限期間が解除され、自己都合退職した日以降に教育訓練等を受けるのであれば、教育訓練等の受講開始日以降は給付制限期間が解除されます。
教育訓練等を受けた、あるいは受けようとすることを理由として、給付制限期間が解除されるには、ハローワークに申し出ることが必要とされます。詳しくは、厚労省のホームページをご覧ください。
失業保険についてよくある質問(FAQ)
最後に、失業保険についてよくある質問をまとめました。参考にしてみてください。
(1)失業保険をもらう回数に制限はある?
失業保険の受給回数には上限はありません。
しかし、毎回きちんと受給条件を満たす必要があります。
(2)失業保険をもらうと年金はどうなるの?
失業保険をもらうと、失業保険を受け取っている期間すでに受け取っている年金の支給はストップします。
また、失業すると厚生年金から国民年金に切り替わります。その期間に支払う保険料が働いていた時よりも減り、働き続けた場合よりも将来受け取れる年金額も減ってしまいます。
(3)失業保険をもらった後働かないとどうなるの?
失業保険をもらったあと働かなくても問題ありません。
ただし、失業保険をもらうには働く意思と能力があることが必要です。定期的に求職活動の状況などを報告する必要があります。
失業保険に関するよくある質問は以上です。その他退職に関する手続きについてはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】失業保険を一度もらうと雇用保険の加入期間がリセットされる
失業保険を一度もらうと、雇用保険の加入期間がリセットされ、再受給には一定期間雇用保険に加入する必要があります。
このように失業保険をいったんもらってしまうと、次の失業保険を受け取りづらくなる側面もありますが、失業後の生活を支える重要な糧ですので、積極的に受け取るようにしましょう。
今の会社を退職したいが、直ぐには転職先が見つかりそうもなく、その間の生活が心配だと思われていても、2025年4月1日以降は、失業保険の給付制限期間が1ヶ月に制限される、あるいは教育訓練等を受けることで給付制限期間が解除されることもあり、その心配もある程度軽減され、従前より退職に踏み出し易くなるかもしれません。
しかし、失業保険の受給を前提として退職を考えているものの、会社がなかなか退職を認めてくれない、会社とトラブルを抱えていて退職について言い出しにくいといったお悩みを抱えている方もおられます。そうした場合は、退職代行を利用して退職手続を進めることで、精神的な負担を軽減することができるかもしれません。
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