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大人同士の養子縁組:手続き・必要書類・注意点について解説 

作成日:
y.kanno

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

大人同士の養子縁組は、法的な親子関係を築くことで相続権や扶養義務を確保し、家族関係を強化するために利用されることがあります。相続対策や家族の絆を深める目的で選ばれることも多く、大人同士であれば手続きも比較的簡便です。 

しかし、法的・経済的なメリットだけでなく、家族関係の複雑化や関係者間でトラブルになりかねないといったデメリットも存在します。 

この記事では、大人同士の養子縁組に必要な手続きや書類、注意点などについて解説します。養子縁組を検討する際には、当事者同士だけでなく、親族など関係者の理解と協力を得ることが大切です。 

この記事を読んでわかること

  • 養子縁組とは 
  • 大人同士で養子縁組をする理由 
  • 大人同士の養子縁組における注意点 など 

ここを押さえればOK!

養子縁組とは、親子関係にない二人に法律上の親子関係を生じさせる手続きで、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
特別養子縁組には厳しい条件があり、一般的に養子縁組と言えば普通養子縁組のことを指します。
したがって、大人同士の養子縁組であれば基本的に普通養子縁組だと考えられます。

大人同士で養子縁組をする理由としては、法的な親子関係を築くことで扶養義務や相続権を確保して財産の円滑な承継を図ることなどがあります。

養子縁組により法的な親子関係が成立するため、相続権や扶養義務が発生し、相続税や扶養義務の負担が生じる可能性があるため、事前に十分な検討が必要になるでしょう。

養子縁組を行う際には、「養子縁組届」や「戸籍謄本」などの必要書類を準備する必要があります。
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

養子縁組とは 

養子縁組とは、簡単に言えば親子関係にない2人に法律上の親子関係を生じさせるための手続です。 

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。 

大人同士の場合は普通養子縁組のみ 

特別養子縁組は、複数の条件を満たす場合にのみ認められるうえ、原則として養子が15歳未満でなければなりません。 

したがって、多くの場合において養子縁組とは普通養子縁組のことを指しており、特に大人同士の養子縁組であれば普通養子縁組であると考えられます。 

大人同士で養子縁組をする理由 

大人同士で養子縁組をする理由は多岐にわたります。 

まず、血縁関係がない場合でも、養子縁組により相続人としての地位を得ることができます。法的な親子関係を築くことで、扶養義務を生じさせることや、相続権を確保して財産の円滑な承継を図ることができるでしょう。 

また、基本的には相続人が多いほど支払うべき相続税を少なくできるため、相続税を減らすために養子縁組をすることもあります(相続税に関して詳しくは税理士に相談するようにしましょう)。 

しかし、たとえば被相続人に子どもがおらず、本来の相続人が数人の兄弟姉妹だけだった場合、養子縁組をしたほうが相続人の人数が少なくなるため、かえって相続税が高くなることもあります。ご注意ください。 

また、長年の友人やビジネスパートナーとの関係を法的に強固にするために養子縁組を選択するケースもあります。 

さらに、社会的な認知を得る手段としても有効であり、家族関係の強化などを目的としてなされるケースもあります。 

なお、尊属(※)または年長者を養子とすることはできません(民法第793条)。 

※自分より上の世代の血族。父母や祖父母、おじ・おばなど 

大人同士の養子縁組で必要なこと・不要なこと 

大人同士の養子縁組において、必要とされる・されない条件について簡単にご紹介します。 

(1)【必要】配偶者がいるときはその同意 

まず、普通養子縁組であれば独身でも養親になることが可能です。 

配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得る必要があります。 

これは、養子縁組が家族全体に影響を及ぼすため、配偶者の理解と協力が不可欠であるからです。配偶者の同意を得ることで、家庭内の調和を保ちつつ、法的な手続きを円滑に進めることが期待できます。 

もっとも、大人同士の場合(養子も成人の場合)であれば、配偶者とともに養子縁組をする(配偶者も一緒に養親となる)必要はありません。 

(2)【不要】家庭裁判所の許可 

大人同士の養子縁組の場合、家庭裁判所の許可は不要です(未成年者を養子とする場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要:民法第798条本文)。 

(3)【不要】実親の同意 

養子となる人が15歳未満である場合、実の親など法定代理人の承諾や同意が必要です。 

一方、大人同士の養子縁組であれば、そのような必要はありません。 

ただし、人間関係を円滑に維持してトラブルを回避するためにも、養子の実親に対して事前に説明し、理解を得ていたほうが望ましいでしょう。 

大人同士の養子縁組における注意点 

大人同士の養子縁組にはいくつかの注意点があります。 

まず、養子縁組により法的な親子関係が成立するため、相続権や扶養義務が発生します。これにより、相続税や扶養義務の負担が生じる可能性があるため、事前に十分な検討が必要になるでしょう。 

また、家族関係が複雑化することも考えられます。現在の家族や親族との関係に影響を及ぼす可能性があるため、事前に関係者全員と十分な話合いを行い、その理解と協力を得ることが重要です。 

さらに、養子縁組を解消する場合にも双方の合意が必要なため、いざ養子縁組を解消したいと思った場合に相手が合意してくれない可能性も想定されます。 

これらの注意点を踏まえ、慎重に判断することが求められます。 

大人同士の養子縁組に必要な書類 

養子縁組を行う際には、いくつかの必要書類を準備する必要があります。 

まず、最も基本的な書類として「養子縁組届」があります。これは市区町村役場で入手でき、養親と養子の双方が署名する必要があります。 

次に、「戸籍謄本」が必要です。養親と養子の双方の戸籍謄本を用意し、養子縁組届と一緒に提出します。 

また、場合によっては「住民票」や「身分証明書」も求められることがあります。これらの書類は、窓口に来た人の住所や身分を確認するために使用されます。特に、住民票は最新の情報を反映している必要があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。 

書類の不備や不足があると手続きが遅れる可能性があるため、事前に必要書類を確認し、準備を整えておくことが大切です。 

基本的に大人同士の普通養子縁組は養子縁組届を役場に提出すれば成立し、養子縁組が成立すると、法的な親子関係が成立します。 

【まとめ】 

大人同士の養子縁組は、法的な親子関係を築くことで相続権や扶養義務を確保し、家族関係を強化する手段として利用されることがあります。 

ただし、事前に十分な検討と関係者との話合いが重要になるでしょう。 

養子縁組を成功させるためには、法的・経済的なメリットとデメリットを慎重に考慮し、関係者全員の理解と協力を得ることが不可欠です。 

大人同士の養子縁組を検討する際には、弁護士や税理士に相談したりして、慎重に進めることをおすすめします。 

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

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