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【弁護士が解説】後遺障害12級13号と12級6号・7号の違いとは?

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

後遺障害12級13号と12級6号・7号の違いとは、難しい言葉でいうと、次のようになります。

  • 後遺障害12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 後遺障害12級6号:1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  • 後遺障害12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

これらの後遺障害等級は、12級という同じ等級になるため、基本的に慰謝料の金額に違いはでません。ただし、逸失利益の計算で違いが出る可能性があります。逸失利益と言われてもピンとこないかもしれませんが、最終的に受けとれる賠償金に数百万円の違いが出るケースもあります。

交通事故の被害に遭った方にとって、どの等級に認定されるかはとても重要ですので、等級の違いについてきちんと知っておくようにしましょう。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 12級13号と12級6号・7号における認定基準の違い
  • 12級13号と12級6号・7号の慰謝料の相場
  • 12級13号と12級6号・7号における逸失利益の違い
  • 適正な等級認定を受けるためのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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12級13号と12級6号・7号における認定基準とは

ここでは、後遺障害12級13号、12級6号・7号それぞれの認定基準について説明します。

(1)後遺障害12級13号の認定基準

後遺障害12級13号とは、「局部に頑固な神経症状を残すもの」になります。

具体的に言うと、他覚的所見(※)が認められる痛み・しびれ・麻痺といった症状を指します。

※他覚的所見とは、具体的には、痛みやしびれ、麻痺が生じる原因があることを証明する、次のような所見があることをいいます。

  • 脳挫傷痕、脳内出血痕(CT画像、MRI画像)
  • 脊髄損傷痕(MRI画像)
  • 神経根圧迫所見(MRI画像)および腱反射異常
  • 骨折後の変形癒合、偽関節(XP画像)
  • 靭帯断裂(MRI画像、造影CT画像)
  • 軟骨損傷(MRI画像、造影CT画像)

なお、他覚的所見のない痛みやしびれ、麻痺については、医学的に一応説明がつく限りで後遺障害14級9号が認定されることになります。

後遺障害14級9号についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

後遺障害14級9号とは?認定されるための4つのポイントと慰謝料の相場

(2)後遺障害12級6号の認定基準

後遺障害12級6号とは、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」になります。

簡単に言うと、上肢(肩から手首までの部分)の肩・ひじ・手首の関節のうち1つの関節が動かしづらい状態にあり、その原因となる、骨折後の変形癒合などの器質的損傷が認められることをいいます。

そして、この「動かしづらい状態」とは、具体的に、関節の主要運動の可動域(=動かせる範囲)が、ケガをしていない関節の動きの4分の3以下に制限されているものをいいます。

なお、関節の可動域がケガをしていない関節の可動域角度の2分の1以下に制限されているものは後遺障害10級10号に認定されることになります。

(3)後遺障害12級7号の認定基準

後遺障害12級7号とは、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」になります。

簡単に言うと、下肢(脚の付け根から足首までの部分)の股関節、ひざや足首の関節のうち1つの関節が動かしづらい状態にあり、その原因となる骨折後の変形癒合などの器質的損傷が認められることをいいます。

そして、この「動かしづらい状態」とは、12級6号の場合と同じく、関節の主要運動の可動域(=動かせる範囲)が、ケガをしていない関節の動きの4分の3以下に制限されているものをいいます。

なお、関節の可動域角度がケガをしていない関節の可動域角度の2分の1以下に制限されているものは後遺障害10級11号に認定されることになります。

後遺障害12級の慰謝料の相場とは

次に、後遺障害12級13号と12級6号・7号の慰謝料の相場について見ていきましょう。

後遺症慰謝料の金額の相場は、後遺障害等級(1級、2級…14級)に応じて決められることが一般的です。

後遺障害12級13号と12級6号・7号は同じ「12級」であるため、慰謝料の金額の相場も基本的に同じとなります。

ただ、ここで注意してほしいことは、慰謝料の3つの基準のうちどの基準を使うかで、金額の相場が変わってくることです。そのため、慰謝料の相場を知るにあたっては、慰謝料の3つの基準を知っておくことが大切になります。

慰謝料の3つの基準

慰謝料の3つの基準とは、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準」です。くわしくは、次のとおりです。

算定基準概要
自賠責の基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、慰謝料の基準額は基本的に3つの算定基準のうち最も低くなります。
ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者側の過失が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。
任意保険の基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険の基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。
弁護士の基準弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士に示談交渉を依頼した場合などに使われる算定基準です。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちでは基本的に最も高額となります。

実際に、これらの3つの基準の慰謝料の相場を比べると、次のようになります。

このように、自賠責の基準と弁護士の基準では、約200万円の差がでます。
慰謝料の金額の計算には、弁護士の基準を使うことをおすすめします。

弁護士の基準を使うには、弁護士への依頼がおすすめです。
なぜなら、被害者自身が保険会社に対し、弁護士の基準を使うように交渉しても応じてもらえることがほとんどないからです。
一方、弁護士は、加害者側の保険会社に対して訴訟も辞さない態度で交渉にのぞむため、当初は自賠責の基準や任意保険の基準であった提示額が弁護士の基準もしくはそれに近い金額に増額できる可能性があります。

弁護士に依頼することで慰謝料が増額できる可能性があることについてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

後遺障害12級13号と12級6号・7号の場合、逸失利益に違いが出る!?

後遺障害12級13号か12級6号・7号かどうかで、逸失利益の金額に違いが出る可能性があります。

ここでは、まず逸失利益とは何かについて説明した後に、どうして違いが出るのかについて説明します。

(1)逸失利益とは?

「逸失利益」とは、本来であれば得られるべきであるにもかかわらず、得られなかった利益のことをいいます。

例えば、交通事故で後遺症が残り、将来就く仕事に制限が生じ、本来得られるはずの収入が得られなくなった場合に、得られたはずの収入分を逸失利益として加害者に請求することができるのです。

また、逸失利益は働いている人だけが請求できるものと考えているかもしれませんが、専業主婦であっても「家事」を行っていますので、家事ができないことに対する逸失利益を請求することができます。

なお、交通事故で死亡し、将来得るはずだった収入が得られなくなった場合にも逸失利益は認められます。

(2)逸失利益の計算方法

逸失利益の計算方法は、後遺障害による逸失利益と死亡による逸失利益とで、少し異なる計算をします。

ここでは、後遺障害が残った場合の逸失利益の計算方法について解説します。

後遺障害による逸失利益は、基礎となる事故前の収入額(「基礎収入額」)に、今後どの程度労働能力を失うのかという「労働能力喪失率」と「労働能力喪失期間」の中間利息控除のためのライプニッツ係数を掛けて計算します。

  • 労働能力喪失率:後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合のこと(後遺障害12級の労働能力喪失率は14%となることが一般的です)
  • ライプニッツ係数:利息などを控除するための数値

(3)後遺障害12級13号と12級6号・7号の逸失利益の違い

後遺障害12級13号と12級6号・7号では、「労働能力喪失期間」が違ってくる可能性があります。

12級6号や7号のような機能障害は「一生治らない」と考えられますが、12級13号のような神経症状の後遺障害は、一般的には「いずれ軽減するか、本人がある程度その症状に慣れていく」と考えられており、裁判所もそのような考えがあることを示しています(いわゆる『赤い本』平成19年版下巻の講演録所収の「むち打ち症以外の原因による後遺障害等級12級又は14級に該当する神経症状と労働能力喪失期間」)。

そのため、後遺障害による労働能力喪失期間について、12級6号や7号の場合は「67歳まで(高齢者の場合は「平均余命の半分」)」とされる傾向にあるのに対し、12級13号の場合は、軟部組織原因の場合は10年、骨折後変形癒合等の場合は10~20年程度とされる傾向にあります(※)。

したがって、12級13号に認定されるよりも12級6号・7号に認定されるほうが、労働能力喪失期間が長くなり、逸失利益も高くなる可能性があります。

【45歳の会社員(基礎収入600万円)が後遺障害12級に認定された場合の逸失利益の一例】(2020年4月1日以降に起きた事故の場合)

認定された等級12級6号または7号12級13号
逸失利益の額1338万7080円
(計算式)
600万円×14%×15.937(労働能力喪失期間22年のライプニッツ係数)
716万5200円
(計算式)
600万円×14%×8.530(労働能力喪失期間10年のライプニッツ係数)

(※)なお、12級13号の労働能力喪失期間が10~20年になる場合とは裁判となります。裁判外での交渉の場合には、5~10年程度が主張されることが多いようです。

後遺症があっても後遺障害として認定されない!?認定されるための3つのポイントとは

後遺症の症状があるのに、後遺障害等級の認定を受けられないことがあります。

なぜなら、後遺障害等級の認定は、医師が行うわけではなく、提出した書類などを参考に第三者機関(自賠責損害調査事務所など)が行うため、書類の記載に不足がある場合や検査が不足している場合には、実際の症状の有無にかかわらず後遺障害等級の認定が行われないからです。

後遺障害等級が認定されないという事態を防ぐためには、次の3つのポイントに気を付ける必要があります。

【適正な後遺障害等級認定を受けるためのポイント】
  1. 医師に自覚症状を細かく伝えておく
  2. 必要な検査を漏れなく受ける
  3. 後遺障害診断書を正しく書いてもらう

自覚症状を伝えることや検査を受けるということは「もうすでに行っている」と思われるかもしれませんが、実は足りないということもあるので注意が必要です。

(1)医師に自覚症状を細かく伝える

まず、医師に自覚症状を細かく伝えることがおすすめです。なぜなら、後遺障害等級の認定のためには、どのような自覚症状があるのかがとても大切だからです。

例えば、ただ「腕が痛い」というだけでなく、「いつから、どのように、どのあたりが痛むのか」など、より具体的に症状を伝えるようにしましょう。

特に、痛みやしびれなどは外から見てもどのような症状であるかがわかりません。どのような痛みかが一番わかるのはあなたです。細かく伝え、医師の診断書に書いてもらうことで、後遺障害等級の認定の際にも、あなたがどのような痛みをかかえているのかをわかってもらうことができます。

(2)必要な検査を漏れなく受ける

後遺障害等級の認定のためには、適切な検査を行ない、自覚症状を客観的に裏付けることが重要です。

しかし、医師であっても後遺障害等級の認定のための治療経験が豊富というわけではありません。そのため、後遺障害等級の認定に必要な検査がなされないときは、被害者自ら必要な検査を申し出る必要があります。

交通事故案件の経験豊富な弁護士に早めに相談すれば、どの等級の認定が期待できるか、そのためにはどのような検査が必要か、どういった資料を取得する必要があるかなど、認定に向けて一緒に戦略を立ててもらえます。

(3)後遺障害診断書を正しく書いてもらう

後遺障害等級の認定のためには後遺障害診断書を正しく書いてもらうことが大切です。

後遺障害等級の認定は、医師が作成する「後遺障害診断書」を中心に判断されます。これまで説明したとおり、医師であっても後遺障害等級の認定のための治療経験が豊富なわけではありません。

医師が作成した後遺障害診断書の記載では、後遺障害等級の認定をするには足らずに後遺障害等級が認定されないということもあります。

そのため、被害者自身で、特に、他覚所見や自覚症状の欄がしっかり記載されているか、よく確認する必要があります。

また、記載漏れだけでなく、あいまいな表現にも注意が必要です(例:「〇〇に違和感がある」など)。曖昧な表現では後遺障害等級が認定されないことがあります。

【後遺障害診断書】

後遺障害診断書に、後遺障害等級の認定のために十分な記載がなされているかチェックすることが大切です。ご自身でのチェックに不安がある場合は、弁護士に依頼するとより安心です。

後遺障害診断書についてさらにくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

後遺障害診断書はどこでもらうことができる?依頼する時の注意点も解説

【まとめ】後遺障害12級13号と12級6号・7号では逸失利益に違いが出る可能性あり

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 後遺障害12級13号と12級6号・7号の違い
  • 12級13号:他覚的所見がある痛み・しびれ・麻痺など
  • 12級6号:肩・ひじ・手首の関節のうち1つの関節が動かしづらい状態(関節の主要運動の可動域(=動かせる範囲)が、ケガをしていない関節の動きの4分の3以下に制限されているもの)にあり、その原因となる骨折、脱臼等の受傷や変形癒合が認められること
  • 12級7号:股関節、ひざや足首の関節のうち1つの関節が動かしづらい状態(関節の主要運動の可動域(=動かせる範囲)が、ケガをしていない関節の動きの4分の3以下に制限されているもの)にあり、その原因となる骨折、脱臼等の受傷や変形癒合が認められること
  • 後遺障害12級13号と12級6号・7号の慰謝料の相場は、290万円(自賠責の基準では94万円)となる。
  • 後遺障害12級13号の労働能力喪失期間は12級6号や7号の場合よりも短い期間となる可能性があり、逸失利益の金額にも違いが出る可能性がある。
  • 後遺障害等級の認定には、自覚症状をきちんと伝えたり、必要な検査を漏れなく受けたりする必要がある。後遺障害診断書の内容もチェックすることが大切。

後遺症があれば、後遺障害等級の認定はされるだろうと考えているかもしれません。

しかし、後遺症があっても後遺障害等級が認定されないことがあります。それは、検査が足らないことや書類の記載が足らないことなどが理由となっています。一度判断された認定を覆すことはとても難しいのが実情です。後遺障害等級の認定申請を行う前に弁護士へ相談されることをおすすめします。

交通事故の被害に遭った方が、賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

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(以上につき、2022年5月時点)

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