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目の前で事故が起きたらどうする?通報の必要性と注意点について解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「先日、目の前で事故が起きた…。運転中だったからそのまま立ち去ってしまったけれど、事故の目撃者は何かしなければいけないの?」

道路交通法上、車両を運転している時に自分が当事者となる交通事故が起こった時は、警察に事故を報告しなければいけません。

他方、自分とは無関係に目の前で事故が起きた場合、警察に通報すべき法的義務はありません。
目の前で事故を目撃すると精神的にも動揺するでしょうし、関わりたくないという心理も働いて、通報に消極的になるかもしれません。

それでも、通報しないことで特段不利益を被ることはありません。もちろん、好意で通報することは何の問題もありませんし、時には被害者や警察の助けになるでしょう。
今回は、弁護士が「目の前で事故が起きた場合の対応方法」を解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

目の前で事故が起きても通報の義務はない

事故を起こした車の運転手などには、警察に報告する義務があります(道路交通法72条1項)。この報告義務は、交通事故の当事者が負う義務ですので、加害者であるか被害者であるかを問いません。

一方、目の前で、自分とは無関係な事故を目撃した目撃者には、たとえ目撃者が1人しかいなかったとしても、警察に通報する義務はありません。

そのため、警察に報告しなかったからといって何らかの処分があるわけではありません。

たとえば、交通事故の被害者が死んでしまい、遺族から「すぐに救急車を呼んでいれば助かったかもしれないのに、目撃者が通報しなかったから死んでしまった」などと言われて損害賠償責任を負うことはありますか?

たとえば、いったん助けてあげようと思って自分の車に乗せた後、途中で気が変わって病院には連れて行かずにどこかに被害者を放置したような、極めて限定的な場合を除き、目撃者が通報しなかったことをもって損害賠償責任を負うことは基本的にはありません。被害者を救助すべき義務を負うのは、あくまでも事故の当事者なのです。

事故の当事者が連絡できない場合は通報を

事故の状況によっては、運転手自らが警察に連絡することができず、救急車を呼ぶことさえ難しいことがあります。
この場合でも、目撃者に通報の法的義務はありません。

しかし、その運転手が亡くなったことをニュースで知ったときに「自分が警察や救急車を呼んでいれば助かったかもしれない」と後悔すると、そのモヤモヤは一生消えないかもしれません。
急いでいて捜査に協力できないのであれば、匿名でも構わないので、通報しましょう。

後日、事故現場に「目撃者を探しています」などという看板が立っている場合には、警察も目撃者がいなくて困っている可能性があります。
もしも協力しても良いと思うのであれば、警察に連絡を取ってみるのが良いでしょう。

事故の目撃者として捜査に協力する場合

人身事故であれば、警察は実況見分として事故現場の状況を調べ、書面化します。
その際に、目撃者として警察から実況見分の立会いを求められたり、話を聞かれることがあるので、なるべく応じましょう(実況見分に応じなければならない法的な義務はありません)。
もしその場で質問に応じることができないため警察から氏名や連絡先を尋ねられた場合には後日話を聞かれる可能性があるので、なるべく捜査に協力してください。

また、事故を目撃した時に車を運転しており、車にドライブレコーダーが設置されている場合には、その記録を警察に提出するように求められます。

事故の目撃者として捜査に協力する場合の注意点とは?

事故の目撃者として捜査に協力する場合の注意点をお伝えします。

(1)何度も話を聞かれることがある

被害者が死亡したケースや被害者と加害者の言い分が食い違うケースでは、目撃者に対して何度も警察が話を聞こうとすることがあります。

煩わしく感じるかもしれませんが、もし適当に答えてしまい、それまでの回答と矛盾が生じた場合には、さらに事態がややこしくなりかねません。

忙しい場合には、回答をあいまいにするのではなく、別の機会にしてくれるように警察にお願いしましょう。

目撃した交通事故が刑事裁判になり、加害者が事故の態様を争っている場合などは、証人として裁判に出廷して証言を求められる可能性もあります。

(2)嘘の話をすると罪に問われる可能性がある

事故を起こした当事者の1人と知り合いだったケースなど、事実と異なると認識しながら一方当事者に有利な虚偽の供述をしたいと思うことがあるかもしれません。

しかし、人身事故において嘘をつくと、犯人隠避罪(刑法103条)に問われるリスクがあるので、嘘をつくのはやめましょう。

たとえば、次のケースを想定してみましょう。

人気のない交差点で自動車と自転車の接触事故を目撃したAさん(仮名)。自動車の運転席から降りてきたのは職場の上司であるBさん(仮名)、助手席からはその奥さんが降りてきました。Bさんは、Aさんに気づくなり近づいてきて「自動車を運転していたのは妻ということにしてほしい」と頭を下げます。AさんはBさんからお酒の匂いがするのに気づきました。

この状況で、仮にAさんが「自動車を運転していたのは奥さんだ」と警察に話すと、犯人隠避罪が成立します。
3年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科される可能性がありますので、自分の人生まで台無しにしかねません。毅然とした態度で断るのがいいでしょう。

また、裁判で証言を求められた際、虚偽の証言をすると偽証罪(刑法169条)になるリスクもあります。偽証罪は、法定刑が3ヶ月以上10年以下の懲役という重い罪ですので、加害者または被害者が知り合いでも、嘘の証言をすることは許されません。

※2022年6月の刑法改正により、懲役刑と禁錮刑は廃止され、拘禁刑に一本化されました。改正刑法は2025年頃までに施行される予定です。

事故の映像をSNSにアップしてもいいの?

目の前で事故を目撃すると、思わずスマホなどで撮影する方もいるかもしれません。

ですが、撮影した事故の映像をSNSにアップすると、事故の関係者の肖像権(承諾なく撮影されたものをみだりに公表されない自由)を侵害することになりかねません。

フォロワーを増やす目的や加害者を社会的に罰する目的で交通事故現場や加害者の車両・顔などの写真などをSNSにアップすると、加害者から損害賠償を求められる可能性があるので、注意しましょう。

交通事故の加害者が、事故を起こしたことが一見して分かるような写真を顔写真と共にSNSにアップした場合、加害者への名誉毀損罪などの犯罪が成立する可能性もありますので、絶対にしてはいけません。

【まとめ】自分と無関係な交通事故が目の前で起きた時、警察に通報する義務はない

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 車を運転中に交通事故にあった時は、事故の当事者であれば警察に事故を報告する義務がある。
  • 他方、目の前で自分と無関係に交通事故が起きたとしても通報の義務はない。
  • 警察に通報すると、実況見分の立会いを求められたり、警察に事情聴取をされる。場合によっては、裁判で証言を求められる可能性もある。
  • 人身事故を目撃して、加害者をかばうために嘘をつくと、犯人隠避罪に問われるおそれがある。また、裁判で嘘の証言をすると偽証罪に問われるおそれがある。

けが人がいるにもかかわらず通報できる人がいない場合には、匿名でも良いので警察や救急に通報した方が、後々ご自身の気持ちの上でもすっきりすることが多いでしょう。
もしも、目撃者として警察に話を聞かれた場合には、自分の認識したとおりに話しましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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