日本人の死因の中で最も多いがん。
その中でも、男性は肺がん、女性は大腸がんで亡くなる方が多くいます。
がんになる要因には、さまざまなものが考えられます。
たばこやお酒はがんを誘発するものとして有名ですが、今回の記事では「職業がん」を採りあげて、職業とがんの関連性について解説します。
職業がんとは
職業がんとは、発がん性のある化学物質を仕事中に皮膚や口から体内に吸収してしまい発症する職業病です。
特定の環境で働いている人たちにがんが多発することが報告されています。
たとえば福井県の三星化学工業の工場では10人中7人が膀胱がんにかかりました。
ふつうに生活していて発症するのが肺がん、大腸がん、胃がんであるのに対して、職業がんでは皮膚がんや膀胱がん、肺がんが多いのが特徴です。
職業がんは、若年のうちに発症する場合もありますが、長期間の潜伏期間を経て初めて発症する場合もあります。そのため、勤務期間中に発症するとは限らず、離職後しばらく経ってから初めて発症することもあります。なお、病理組織変化や症状、治療については、一般のがんと変わりません。
参照:第2章 人におけるがんとその原因|株式会社 医療科学社
アスベスト(石綿)による中皮腫、肺がんは、現代における職業がんの一種です。
2014年に発行されたWHOの書籍「白石綿・クリソタイルアスベスト」によると、少なくとも年間10万7000人もの人々が職業ばく露の肺がん、中皮腫、石綿肺で亡くなっています。
参照:9.見過ごされているアスベスト(石綿)肺がん|中皮腫・じん肺・アスベストセンター
がんになりやすい職業
仕事柄、発がん性物質を扱う可能性のある仕事としては、以下のものが挙げられます。
- 採鉱
- 石炭ガス精製
- 石油精製
- 家具製造
- ドライクリーニング
- アルミニウム製造
特にアスベスト(石綿)によってがんにかかりやすい仕事としては、以下のものが挙げられます。
- アスベスト(石綿)鉱山での労働
- アスベスト(石綿)製品の製造、加工
- アスベスト(石綿)原料・製品の袋詰め、運搬作業
- 耐火建造物の鉄骨への吹きつけ作業
- 耐火建築内の電気配線工事、配管工事
- 古い建築物の補修、解体
- 造船、船舶の修理、自動車修理
雇用者は、労働者が安全に働ける環境を提供しなければなりません。
しかし、化学物質の有害性が十分に確認できていないことも事実です。そのため、残念ながら被害が起きてから対策する後追い状態になってしまっています。
定期的な健康診断が重要!
職業がんは、潜伏期間が長いのが特徴なので、退職してもその後の定期的な健康診断が重要です。
検査によって、一定の症状が認められると、無料で健康診断を受けられる健康管理手帳をもらうことができます。
仕事柄発症するがんとはいえ、自分の身はしっかり自分で守る必要があります。
アスベスト(石綿)の健康被害でお悩みの(元)労働者・ご遺族の方は、アスベスト(石綿)訴訟を取り扱っているアディーレ法律事務所にご相談ください。