かつて「奇跡の鉱石」と呼ばれていたにもかかわらず、現代では「静かな時限爆弾」として忌み嫌われるアスベスト(石綿)。
ここでは、アスベスト(石綿)がどのようなものなのかをご紹介します。
アスベスト(石綿)とは
アスベスト(石綿、いしわた)とは、地中でつくられる繊維状の岩石です。
化学的に作られたものではなく、自然に存在します。
燃えない、軽い、加工しやすい、粘着性がある、頑丈、安い――。
さまざまな長所をもっており、「奇跡の鉱石」と重宝されていました。
1970~1990年代を中心に、屋根瓦、天井、壁などの建築材料に非常に多く使われてきたのです。
アスベスト(石綿)は、6種類に分けることができます。
- クリソタイル
- クロシドライト
- アモサイト
- アンソフィライト石綿
- トレモライト石綿
- アクチノライト石綿
日本で主に使用されていたのは、クリソタイル、クロシドライト、アモサイトです。
そのうち、クロシドライト、アモサイトはクリソタイルよりも発がん性が高いため、1995年には輸入・製造・使用が禁止されました。
2012年3月以降、クリソタイルを含むアスベスト(石綿)を製品に使用することが原則禁止されました。
なぜアスベスト(石綿)が危険なのか?
空気中に浮遊しているアスベスト(石綿)の繊維は、極めて軽く、呼吸とともに体内に侵入します。
髪の毛の5000分の1の細さなので、空気中に浮遊していても目には見えません。
鼻毛によって侵入を阻止されるもの、痰によって体外に排出されるものもありますが、肺の深部まで入り込んでしまうと、体内で分解・排出することができずに、蓄積されます。
そのような状態でX線検査をすると、肺付近に白くもやもやとしたものが映ります。
「肺にアスベスト(石綿)が刺さっている」と表現されることもあります。
そして、数十年かけて肺をむしばみ、呼吸機能を低下させ、肺がんなどを発症させるのです。
アスベスト(石綿)が建築資材に使われていたとしても、損傷していなければ人体に危害を及ぼさないとされています。アスベスト(石綿)製品があるからといって、直ちに心配する必要はありません。
アスベスト(石綿)を見分けられる?
私たちの日常生活に潜むアスベスト(石綿)は、天井に吹き付けられていたり、石こうボードなどの建材に含まれていたりします。
アスベスト(石綿)は加工しやすいので、さまざまな形状で製品に使われていたのです。
そのため、アスベスト(石綿)がどこに使用されているかを見分けることは困難でしょう。
建材の品番がわかれば、国土交通省のホームページでアスベスト(石綿)を使っているかを調べられます。
アスベスト(石綿)が自分の家の建築資材に使われていると思うと気持ち悪いですが、セメントや合成樹脂で固められている以上、ふつうにその住宅で暮らしていても体に害はありません。
もっとも、経年劣化でアスベスト(石綿)がむきだしになると、体に害が及ぶ危険性もあるので、気になる人はこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】
アスベスト(石綿)が、肺の奥深くに入り込んでしまうと、数十年かけて肺をむしばみ、呼吸機能を低下させ、肺がんなどを発症させます。
アスベスト(石綿)の健康被害でお悩みの(元)労働者・ご遺族の方は、アスベスト(石綿)訴訟を取り扱っているアディーレ法律事務所にご相談ください。