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自転車事故の被害者は刑事告訴できる?判決までの流れと注意点

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リーガライフラボ

Wさんは、通勤のため徒歩で駅に向かう途中、大学生風の男が運転する自転車に衝突され全治2週間のケガを負ってしまいました。男は、スマホを見ながら歩道を走っており、Wさんに気付かず衝突してきたのです。
Wさんは、男に対して治療費や慰謝料を請求しようと考えましたが、男は保険に加入しておらず、賠償のためのめぼしい財産もないようです。しかも、終始悪びれない態度で、最後は連絡も取れなくなってしまいました。
腹の虫が治まらないWさんは、せめて男を刑事告訴して刑事罰を負わせられないかと考えています。

この記事では、

  • 自転車事故で問われる罪
  • 加害者を刑事告訴する方法
  • 刑事告訴する場合の注意点

などについて、弁護士が解説します。

自転車事故での刑事告訴について

まずは、自転車事故を起こした場合に問われる罪から見ていきましょう。

(1)自転車事故で問われる罪とは?

自転車事故を起こした場合、次のような罪に問われる可能性があります。

ア 過失傷害罪(刑法209条1項):不注意により他人にケガをさせた場合……30万円以下の罰金または科料
イ 過失致死罪(刑法210条):不注意により他人を死亡させた場合……50万円以下の罰金
ウ 重過失致死傷罪(刑法211条):重大な不注意により他人を負傷・または死亡させた場合……5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金

スマホを見ながら運転していたような場合は、重大な不注意があるとしてウの重過失致死傷罪に問われる可能性があります。
また、事故後に被害者を救護する義務や警察に報告する義務を怠ると、道路交通法上の救護義務違反(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)や報告義務違反(3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金)に問われることもあります(道路交通法72条1項、117条の5・1号、119条1項10号)。

これらの犯罪の被害者は、次に述べる刑事告訴をすることができます。

(2)自転車事故でも刑事告訴は可能

刑事告訴とは、被害者が警察官や検察官などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めることをいいます(刑事訴訟法230条)。
刑事告訴は、犯人の処罰を促す権利を被害者に与える制度といえますが、そもそも刑事告訴がないと処罰されない犯罪もあります(これを「親告罪」といいます)。
例えば、上に挙げた罪のうち、過失傷害罪は親告罪にあたります。そのため、被害者からの告訴がなければ、加害者は刑事裁判にかけられることもありません。
刑事告訴は被害者本人が行うのが原則ですが、未成年の場合は親権者も告訴することができます。
刑事告訴をするには原則として期限はなく、いつでも可能です。ただし、親告罪の場合は、犯人を知ってから6ヶ月以内に告訴しなければなりません。
なお、物損事故については、故意に他人の物を壊した場合などでない限り、刑事告訴はできません。

(3)被害届との違い

刑事告訴と似ているものに、「被害届」「刑事告発」があります。
被害届は被害者が警察署等に提出するものですが、単に犯罪の被害を受けたことを申告するものに過ぎず、加害者を処罰してもらいたいという意思表示は含まれません。被害届が提出されても何か法的な効果が生じるわけではなく、捜査するかどうかは警察の判断に委ねられます。
これに対し、刑事告訴の場合は、これを受理した捜査機関は捜査を開始しなければなりません。

(4)自転車事故で有罪判決を受けたケース

ここで、自転車交通事故により加害者が実際に有罪の判決を受けたケースを見てみましょう。

【事例1】
男性が自転車で赤信号を無視して交差点に進入したところ、青信号で横断歩道を渡ってきた女性に時速15~20kmの速度で衝突。女性は転倒して頭を打ち、脳挫傷により5日後に死亡した。
→重過失致死罪 禁錮2年、執行猶予3年(東京地方裁判所判決2010年11月12日)。

【事例2】
男性が自転車で信号機や横断歩道のない片側2車線の道路を無理に横断。この自転車を避けようと、右側車線を走行していたワゴン車が左にハンドルを切り、そのワゴン車を避けようとした左側車線のタンクローリーが歩道に乗り上げて歩行者2人が死亡した。
→重過失致死罪 禁錮2年の実刑(大阪地方裁判所判決2011年11月28日)。

【事例3】
自転車を運転する少年が、赤信号を無視して猛スピードで交差点に進入。青信号で直進してきたバイクの側面に突っ込み転倒させ、バイクを運転していた男性は死亡した。
→重過失致死罪 禁錮1年、執行猶予3年(大阪地方裁判所判決2013年7月3日)。

自転車事故発生から告訴、判決までの流れ

では次に、刑事告訴から公訴の提起、判決までの流れを説明します。

(1)警察に報告する

自転車は軽車両に該当するため、運転者(加害者)は、事故を起こしたら必ず最寄りの警察署(派出所・駐在所を含む)に報告する義務があります(道路交通法72条1項後段)。
報告がないと交通事故証明書が発行されず、被害者が後に刑事告訴や損害賠償請求することが困難になってしまいます。
したがって、運転者が警察に報告しようとしない場合は、被害者の方から警察に連絡するようにしましょう。
なお、警察官が現場に到着するまでの間に、自転車の損傷部分や、事故現場を写真撮影しておくとよいでしょう。

(2)ケガをしたら人身事故扱いにする

事故によりケガをしたら、事故後速やかに医療機関を受診し、医師に診断書を作成してもらって警察に提出します。
警察に診断書を提出して人身事故扱いになると、後日警察からの事情聴取があり、供述調書などの書類が作成されます。
受診が遅くなると、ケガと事故の因果関係を疑われ、さまざまな不利益を受けることになります。事故当日、遅くても翌日には受診するようにしましょう。

(3)刑事告訴するか判断する

実況見分などの際に、警察から刑事告訴の説明があります。それを受けて、告訴するかどうかを判断します。
検察官が、加害者を起訴(=刑事裁判にかけること)するかどうか判断するにあたっては、被害者の処罰感情も考慮します。
したがって、刑事告訴の際に処罰感情が強いことを訴えると、起訴の可能性が高まります。
なお、上で述べたように、親告罪である過失傷害罪の場合はそもそも刑事告訴がなければ加害者は起訴されません。

(4)刑事告訴の手続きを行う

刑事告訴は、原則として事故現場に最寄りの警察署に告訴状を提出して行います。
口頭で告訴することも可能ですが、その場合も通常は警察署で告訴状を作成するよう促されます。
告訴状には、法律上特に決まった形式はありませんが、通常はA4サイズの用紙に次の項目を記入します。

  • タイトル(「告訴状」)
  • 宛て名(「〇〇警察署長殿」)
  • 作成年月日
  • 告訴する者(告訴人)の住所、氏名、電話番号、押印
  • 告訴される者(被告訴人)の氏名
  • 告訴の趣旨(例:「被告訴人の以下の行為は、重過失致傷罪(刑法211条)にあたるため、被告訴人を厳罰に処することを求め、告訴します。」)
  • 告訴事実(具体的な事故の状況、ケガの内容などを記載)

告訴状に加え、交通事故証明書や事故現場の写真、診断書などの書類も添付します。
加害者のどのような行為によりいかなる被害を受けたのか、告訴事実の欄にわかりやすく書くことが重要です。

(5)告訴状受理から判決までの流れ

告訴状が受理されると、捜査機関による捜査→起訴・不起訴の判断→裁判期日→判決という流れとなります。以下、一つずつ説明します。

(5-1)捜査

告訴状が受理されると、主に警察により、告訴状に記載された犯罪が本当に行われたのかどうかの捜査が開始されます。
もっとも、告訴状を提出しても受理されるとは限りません。
告訴状の内容が不明瞭だったり、犯罪が行われたと疑うに足りる資料が不足している場合は、告訴状が受理されないこともあります。
したがって、告訴状をうまく作成することが重要です。自力での作成が難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

(5-2)逮捕または勾留

捜査の結果により、加害者を逮捕する必要性(逃亡のおそれなど)が認められれば警察官により逮捕され、その身柄が検察官に送られます。
その後、検察官の判断で、加害者を勾留して捜査を継続するか、在宅捜査にするかが決められます。
逮捕の必要性がなければ、逮捕せずにはじめから在宅で捜査を行うケースもあります。

(5-3)さらなる捜査

加害者が勾留されているどうかを問わず、取調べや証拠収集などの捜査は続きます。
なお、勾留される場合の期間は、原則として最長20日間です。

(5-4)起訴・不起訴の決定

検察官は、加害者を勾留した場合は、勾留期間(最長20日間)が終了するまでの間に、起訴するかどうかを決定しなければなりません。
これに対し、在宅捜査の場合は期間制限がないため、加害者を起訴するまでに3ヶ月以上かかることもあります。
検察官が起訴すれば刑事裁判に移行し、不起訴とすればその時点で手続きは終了します。

(5-5)刑事裁判~判決

起訴が決定したら刑事裁判に移り、加害者は「被告人」という立場になります。
月に1回程度のペースで審理があり、事実関係を否認し争うと1年以上になる場合もあります。
裁判で証拠の取調べや被告人への質問を終えると、判決が裁判官から言い渡されます。

自転車事故の刑事告訴における注意点

続いて、自転車事故で刑事告訴をする場合の注意点について説明します。

(1)必ずしも起訴になるわけではない

刑事告訴をすれば必ず加害者が起訴されるというわけではありません。加害者が起訴されるかどうかは捜査の結果によります。有罪にできる証拠が揃わないなどの理由により、起訴されないこともあるので注意が必要です。
起訴するかどうかを決める際に、告訴状に示された被害者の処罰意思が考慮されることはありますが、起訴するかどうかの最終判断は検察官に委ねられます。

(2)刑事告訴は損害賠償請求に影響しない

自転車事故の加害者は、刑罰という刑事上の責任の他に、治療費や慰謝料の支払いといった民事上の賠償責任も負います。
これらの責任は全く別個のものなので、刑事告訴したことにより民事上の賠償責任について被害者が有利・不利になることはありません。
なお、自転車事故の場合、加害者が保険に未加入のケースが多いため、賠償金の回収が難しい場合もあります。そのような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

【まとめ】自転車事故の刑事告訴でお悩みの方は弁護士に相談を

自転車事故の加害者は過失致傷罪など刑事上の責任を負うため、被害者は刑事告訴することが可能です。
もっとも、告訴したとしても必ず加害者が起訴されるわけではありません。
起訴されるかどうかは、告訴状の書き方が一つのポイントになります。
また、自転車事故の加害者は保険に未加入のケースが多いため、賠償金の回収が困難な場合があります。
自転車事故で刑事告訴を検討している方は、弁護士に相談されることをおすすめします。

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