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家族が自転車事故にあって死亡。相手方に損害賠償金は請求できるのか

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警察庁の統計では、2017年に起きた自転車と歩行者との事故は2550件、そのうち歩行者が死亡、または重傷を負った事故は299件にのぼります(※)。
(※)警察庁「平成29年における交通死亡事故の特徴等について(交通安全対策の経緯、高齢運転者事故に係る分析、自転車関連事故に係る分析を含む)」より。
近年、健康志向などから自転車利用者が増加しているといわれ、自転車事故の危険は今後ますます高まることも考えられます。
では、自転車に衝突されるなどの被害にあった場合、相手方に対してどのような賠償を請求できるのでしょうか。
この記事では、自転車事故の被害で死亡した場合に

  • 被害者が請求できる賠償金
  • 死亡事故の場合、損害賠償金の請求は誰が行うか
  • 自転車事故に特有の問題
  • 自転車事故で弁護士に相談するメリット

について解説します。

自転車事故の被害者が受け取れる損害賠償金

交通事故で相手にケガをさせたり、死亡させたりする行為は民法709条の不法行為にあたります。

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法709条

被害者は加害者に対し、不法行為責任に基づく損害賠償請求ができます。
加害者が自動車でも自転車でも、請求できる損害賠償の内容は変わりません。
もっとも、ほとんどの運転者が自賠責保険や任意保険に加入している自動車とは異なり、自転車事故では自動車の場合と比較すると運転者が保険に加入していないケースも多いでしょう。
自転車事故では、運転者が自転車保険などの任意保険に加入しているかどうかで、被害者が実際に得られる金額は大きく左右されるのです。

自転車事故で得られる損害賠償の内容

自転車事故で被害を受けた場合、被害者は加害者に対して以下のような損害賠償を請求できます。

  1. 治療関係費
    治療費・薬代・装具代・通院交通費・付添看護費・入院雑費などです。
    鍼灸や柔道整復など、病院以外の施設で受けた施術費用であっても、医師から指示や同意のあった場合には請求できることがあります。
  2. 慰謝料
    慰謝料とは、ケガを負うことなどにより受けた精神的損害(=痛い・つらいといった苦痛)に対する賠償金です。具体的には、
    • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)……事故により入通院を余儀なくされたことに対する慰謝料
    • 後遺障害慰謝料……事故により後遺症が残り、それが後遺障害と認定された場合に請求できる慰謝料
    • 死亡慰謝料……事故により死亡してしまった場合に請求できる慰謝料
    の3種類があります。
  3. 休業損害
    ケガの療養で仕事を休んだために得られなくなった収入を賠償するものです。
  4. 逸失利益
    交通事故による後遺障害や死亡のため得られなくなった将来の収入を賠償するものです。
  5. 介護費用
    介護が必要になるほど重度の後遺障害が生じた場合、介護のためにかかる費用を請求できます。

自転車の死亡事故ではどれくらいの損害賠償金が支払われているか

では、自転車の死亡事故では実際にどれくらいの賠償金の支払いが命じられているのでしょうか。以下では、過去にあった裁判のケースとしては次のようなものがあります。

【事例1】
成人男性が自転車で信号無視して高速で交差点に進入し、横断歩道を横断中の55歳女性と衝突。女性が11日後に死亡したケース
→賠償金 5438万円(東京地裁判決平成19年4月11日)

【事例2】
男子高校生が自転車で横断歩道から交差点に無理に進入し、保険勧誘員の女性が運転する自転車と衝突。女性が頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡したケース
→賠償金3138万円(さいたま地裁判決平成14年2月15日)

以上のように、過去の裁判において、加害者に対して非常に高額な賠償金の支払いが命じられていることが分かります。

死亡事故の場合、損害賠償金の請求は相続人が行なう

交通事故で被害にあった場合、加害者に対して損害賠償金を請求するのは基本的に被害者本人です。
しかし、死亡事故の場合は被害者本人が亡くなっているため、相続人が請求することになります。以下、詳しく見ていきましょう。

(1)死亡した被害者の損害賠償請求権は遺族に相続される

自転車事故にあった被害者が死亡した場合、加害者に対して損害賠償金を請求する権利は被害者の遺族(=配偶者・子など)に相続されます。
したがって、加害者との示談交渉や損害賠償金の請求手続きについては、死亡した本人の代わりに、相続人である遺族が行うことになります。

(2)死亡慰謝料には2種類ある

被害者が死亡した場合の死亡慰謝料には、

  • 死亡した本人に対する慰謝料
  • 遺族に対する慰謝料

の2つがあります。
通常は、相続人である遺族がこの2つをまとめて請求することになります。

(3)死亡慰謝料の相場は?~死亡慰謝料を算出する基準は3つある~

では、死亡慰謝料の相場はどの程度でしょうか。
実は、死亡慰謝料を算出する基準はひとつではなく、次の3つがあります。

  • 自賠責の基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、必要最低限の賠償基準
  • 任意保険の基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
  • 弁護士の基準……これまでの裁判所の判断の積み重ねにより認められてきた賠償額を目安として基準化したもので、通常、弁護士が交渉や裁判をするときに使う基準(「裁判所基準」ともいいます)

これらの3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般的に
弁護士の基準>任意保険の基準>自賠責の基準
となります。

なお、慰謝料算出の3つの基準について、詳しくはこちらをご参照ください。

交通事故慰謝料の「弁護士基準」とは?増額のポイントも解説

では、自転車の死亡事故の場合において、自賠責の基準と弁護士の基準による死亡慰謝料の相場をそれぞれ見てみましょう。

(3-1)自賠責の基準の場合

自賠責の基準では、死亡した本人の死亡慰謝料は400万円です。
これに加え、遺族の慰謝料は次の通りとなります。

  • 遺族が1名の場合:550万円
  • 遺族が2名の場合:650万円
  • 遺族が3名以上の場合:750万円
  • 死亡した本人から扶養されていた場合:+200万円

(いずれも、2020年4月1日以降に発生した事故による場合。)
なお、ここにいう「遺族」とは、原則として死亡者本人の父母・配偶者・子となります。

(3-2)弁護士の基準の場合

これに対し、弁護士の基準では、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」というものを用います。
これは、過去の裁判例で認められた金額をもとにしており、自賠責の基準、任意保険の基準と比べて高額になります。
死亡した本人の死亡慰謝料と遺族の慰謝料を合算して算出します。
金額は、死亡した本人の家族内における立場によって変わります。
具体的には、死亡した本人が遺族から見て

  • 一家の大黒柱の場合:2800万円
  • 母親、配偶者の場合:2500万円
  • その他の場合:2000万~2500万円

となります。これらを基準にし、個別の事由を考慮して金額が増減されます。
例えば、飲酒運転やひき逃げなど、事故の内容が悪質だった場合は、金額が増額される場合もあります。

(4)死亡事故の場合は、葬儀費用なども請求できる

死亡事故の場合、遺族は加害者に対し葬儀費用なども請求することができます(ただし、上限あり)。

自転車事故の特有の問題

自転車事故には、自動車事故にはない特有の問題が生じます。
小規模な事故でケガも軽く、加害者側も賠償にきちんと応じる場合はあまり大きな問題になることはありません。
しかし、死亡など重大な事故になり賠償金額が大きくなると、加害者が任意保険に入っておらず賠償金を支払ってもらえないケースがでてきます。
この点について、以下で詳しく説明します。

(1)相手が自動車のとき以外、自動車保険は使えない

交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償を請求する際、加害者側が自動車であれば、通常は加害者が加入している自賠責保険や任意の自動車保険から賠償金が支払われます。
しかし、自転車どうしあるいは自転車と歩行者の事故では、自動車保険は使えません。
たとえ加害者が自動車の自賠責保険に入っていたとしても、自転車は軽車両のため自賠責保険の補償の対象外となってしまうのです。
また、自転車には自動車の自賠責保険のような強制加入の保険がありません。そこで、加害者が自転車保険などの任意保険に加入していない限り、加害者本人に直接支払ってもらうしかなくなります。そして、賠償額などについての示談交渉も、加害者本人と直接行うことになります。

(2)加害者が未成年のケースが少なくない

自転車事故の場合、加害者が未成年者(20歳未満の者。2022年からは18歳未満の者)であるケースが少なくありません。この記事の冒頭でご紹介した警察庁の資料によると、2017年に起きた自転車と歩行者の事故のうち、死亡・重傷事故における加害者は19歳以下の未成年者が約40%を占めています。
不法行為の加害者が未成年者の場合、自己の行為を責任をもって行う能力(これを「責任能力」といいます)が欠けるとして賠償責任を負わないことがあります(民法712条)。
ここでいう責任能力の目安は、12歳程度(小学校卒業程度)とされています。つまり、おおむね12歳未満の子どもが自転車事故で他人にケガを負わせても、賠償責任を負わないことになります(ただし、12歳というのは絶対的な基準ではなく、個別に判断されることになります)。
このように、加害者が未成年者で責任能力がない場合、監督義務者である親権者(親)が代わって責任を負うことになります(民法714条)。
なお、加害者が12歳を超えており責任能力はあったとしても、未成年者の場合は賠償金を支払えるだけの資力がないことがほとんどです。この場合、事故について親権者(親)の監督義務違反が認められれば、親が賠償責任を負うとされています。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

【自転車事故】未成年の加害者の責任とは?責任能力と損害賠償請求

(3)賠償金を十分得られない可能性がある

加害者が自転車保険や個人賠償責任保険などに入っていて、その保険がカバーする補償の上限額が高ければ、十分な賠償金を支払ってもらえる可能性はあります。
しかし、加害者がそのような保険に入っていない場合や、加入している保険の補償上限額が低い場合は、加害者自身によほどの資力がない限り、十分な賠償金を得られないことになります。
なお、この記事の冒頭でご紹介した警察庁の資料によると、2017年に起きた自転車と歩行者の衝突事故のうち、死亡・重傷事故において加害者が自転車保険などの任意保険に加入していた割合は約60%にとどまっています。

(4)過失割合の算定も難しい

過失割合とは、事故が発生したことについての各当事者の過失(=不注意・ミス)の割合をいいます。
例えばある交通事故について、被害者の過失が2割、加害者の過失が8割の場合、過失割合は20:80となります。仮に、事故により被害者に生じた損害額が1000万円だった場合、1000万円のうち200万円は被害者自身が負担し、加害者は800万円を被害者に支払うことになります 。
自転車と歩行者の事故の場合、通常は自転車のほうの過失割合が高くなりますが、被害者の過失割合によってはその分損害賠償金が減額されてしまいます。
自転車事故で加害者が自転車保険などに加入していない場合は、過失割合を当事者どうしで算定をしなければなりません。この場合、交通事故についての専門知識がないと正確に算定するのは難しくなります。

(5)裁判になる可能性が高い

自動車事故であれば、賠償額などについての示談交渉は、通常は事故の相手方が加入する保険会社の担当者と行うことになります。しかし、自転車事故では加害者が任意保険に加入していないケースもあるため、加害者が任意保険に加入していなければ示談交渉は加害者本人と直接行わなければならないこととなるでしょう。
この場合、相手方がそもそも交渉に応じない(または、連絡がとれない)ことが多いうえ、交渉できたとしても、直接の加害者・被害者という関係ではお互い冷静に話し合うことも難しくなります。
これらのことから、自転車事故では自動車事故に比べ、示談交渉では解決せずに訴訟(裁判)を提起せざるを得なくなる可能性が高まります。

自転車事故にあったときに弁護士に依頼するメリット

上でご紹介した裁判例のケースからも分かるように、自転車事故は自動車事故と同じくらい重大な結果になることも多くあります。
にもかかわらず、自動車事故と比べ、加害者側と示談交渉したり適正な後遺障害・過失割合を主張するのが難しいという特徴があります。
そこで、自転車事故にあったときは、早めに弁護士に相談してサポートを受けるべきです。
以下、弁護士に依頼した場合のメリットをご説明します。

(1)過失割合・逸失利益の算定を行ってもらえる

過失割合や逸失利益の算定は、専門的な知識がなければ正しく行うのが困難です。
明らかに加害者側の過失割合のほうが大きいのに、加害者が賠償金の額を少しでも減らそうと、被害者側の過失割合を大きく主張してくることもあり得ます。
弁護士に依頼すれば、弁護士が警察から実況見分調書などの刑事記録を取り寄せて精査することで適正な過失割合を算定できる可能性は高まります。
また、被害者が主婦や高齢者だった場合、逸失利益の額が過小評価されがちですが、弁護士が入ることにより適正な算定をすることができます。

(2)適正な損害賠償金を得られるよう交渉してもらえる

自転車事故の場合、自動車事故の場合と比較すると、賠償額についての示談交渉は加害者側の保険会社ではなく、直接加害者本人を相手に行わなければならないことが多くなります。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、被害者の受けた損害を法的根拠に基づいて主張することで交渉を有利に展開するだけでなく、上でご紹介した弁護士の基準による慰謝料などの算出により、適正な賠償金を得られやすくなります。
また、示談交渉がうまくいかず裁判になったときも、弁護士が法廷で法的根拠にかなった主張を展開することで有利な判決を得られる可能性が高まります。

(3)弁護士費用は自動車保険の弁護士費用特約が使えることも

弁護士に示談交渉などを依頼すると、弁護士費用が別途かかります。
弁護士費用が心配なときは、被害者本人またはご遺族が加入している自動車保険の弁護士費用特約が使えることがあります。
弁護士費用特約は、被保険者1名につき一定金額(保険内容により金額は異なります)まで弁護士費用を支払ってもらえるものです。
弁護士への法律相談費用が別途支払われるものもあります。
弁護士費用特約が「日常生活事故型」「自転車事故型」となっている場合は、自動車事故以外、例えば歩行中に自転車に追突されたときなどにも使えることが多いです。
ご家族が自転車事故にあったときは、まず被害者本人またはご遺族の自動車保険などに弁護士費用特約が付帯されているかどうか確認し、保険会社に今回の事故に関して弁護士費用特約を利用できるのか問い合わせてみましょう。

【まとめ】自転車の死亡事故については弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自転車事故の被害者は、加害者に対して治療関係費や慰謝料、休業損害、逸失利益、介護費用などを請求できます。
  • 自転車事故の被害者が死亡した場合、加害者に対する損害賠償請求は、相続人である遺族が行うことになります。
  • 加害者が自転車の場合、賠償金が十分に支払われない、過失割合の認定が難しいなど、多くのトラブルが生じがちです。
  • 弁護士に依頼すれば、加害者との交渉などを任せられ、より適正な賠償金を得られる可能性が高まります。

自転車事故にあったら、まずは弁護士にご相談することをおすすめします。

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