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逆走自転車と自動車の事故における過失割合をケース別に解説

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交通事故件数や、交通事故による死者数は減少傾向にありますが、死亡事故における自転車乗車中の割合は、増加する傾向にあります。
事故が発生した場合には重大な被害が生じることも少なくありませんので、自転車利用者も、道路を利用するにあたっては交通ルールを守って安全第一で運転する必要があります。
今回の記事では、自転車が道路を利用する際の基本的ルールや、ルール違反で逆走して自動車との事故が発生した場合の過失割合などについて解説します。

参考:自転車関連事故件数の推移│国土交通省

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

自転車の逆走は法律で禁止されている

はじめに、自転車の基本的ルールについて説明します。
自転車は、道路交通法上は「軽車両」(道交法2条1項11号)に該当し、車両(同項8号)として扱われていますので、基本的には、自動車と同様のルールを守って道路を走行する必要があります。

ただし、自転車は自動車とは異なり、並進が禁止され(道交法19条)、路側帯の通行ができ(道交法17条の2)、交差点では2段階で右折しなければならない(道交法34条3項)など、自転車特有のルールが設けられている部分もあります。

今回の記事では、特に逆走に関するルールについて紹介します。

(1)自転車には左側走行が義務付けられている

自転車は、自転車専用道(車道と歩道とは分けられた自転車のための道路)がある場合には、自転車専用道を走ります(道交法63条の3)。
道路に自転車が通行できる路側帯(車道の左側に白や青の塗装で区切られたエリア)がある場合には、一定の条件のもとで道路の左側部分に設けられた路側帯を通行することができます。(道路交通法17条の2第1項)。
また、歩道と車道の区別のある道路では、原則として車道を通行しなければならず(道交法17条1項)、歩道を通行することはできません。
そして、自転車が車道を通行する際には、道路の左側部分を通行しなければならず、車両通行帯の設けられていない道路では、道路の左側端に寄って通行しなければなりません(道交法17条1項、18条1項本文)。

つまり、自転車は、原則として道路を左側通行することが義務付けられています。

(2)自転車も一方通行規制を守らなければならない

自転車も道交法上は車両とされていますので、自動車と同じように道路標識に従って道路を通行する義務があります。
例えば、一方通行の標識がある道路では、「自転車は除く」「軽車両は除く」といった補助標識がない限り、自転車も自動車と同じく一方通行の規制に従わなければなりません。
なお、一方通行の道路では、道路の中央より右側を通行してもよい(左側通行をしなくてもよい)とされています(道交法17条5項1号)。

逆走自転車と自動車の事故における過失割合について

「逆走」とは、一般的に、通行すべき道路と反対の道路を通行することや、一方通行の道路を反対方向に通行することをいいます。
左側通行や一方通行のルールを守らない逆走自転車と自動車による交通事故が発生した場合に、両者の基本の過失割合がどうなるのかについて説明します。

(1)道路の右側を走行する自転車と対向車との事故

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【303】

自転車が道路の右側端を通行し、直進してくる対向車と衝突して事故が発生した場合には、基本の過失割合は、自転車:自動車=20:80となります。
自転車側に左側通行のルールに違反した過失がある一方で、自動車側にはルール違反はありません。
そうであるのに、自動車の過失割合が80と高くなっているのは、左側通行のルールがあっても自転車が右側通行をすることは稀ではないこと、自動車側も自転車を確認することが容易で衝突を回避できること、自動車と比べて自転車は交通弱者であることなどが考慮されているためです。

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【302】

このように、自転車が、道路の右側にあるお店などに入るために、道路の左側から右側に移動(センターオーバー)した際に事故が起こった場合には、自転車の過失割合は加算され、自転車:自動車=50:50となります。

(2)一方通行違反の自転車と自動車との信号機のない交差点での事故

一方通行を逆走して信号機のない交差点に入ってきた自転車が、一方通行の道路と交差する道路から入ってきた自動車と衝突し、両方の道路の道幅が同じ程度だった場合(一方が優先道路という関係ではない場合)には、基本の過失割合は自転車:自動車=50:50となります。

一方、自転車の一方通行違反のない、同様の条件下の事故の基本の過失割合は、自転車:自動車=20:80となっていますので、一方通行違反というルール違反が、自転車側の責任を重くしていることがわかります。

(3)過失割合が修正される要素

上記で説明したのは、逆走自転車の事故態様に応じた基本の過失割合です。
実際の交通事故において過失割合を判断する際には、個別具体的な事情を考慮して、基本の過失割合を修正する要素の有無について検討する必要があります。

例えば、自転車側に、酒気帯び運転や、二人乗り、夜間の無灯火運転、並進、傘をさすなどの片手運転などの著しい過失があった場合や、酒酔い運転、いわゆる「ピスト」等の制動装置不良などの重過失があった場合には、過失割合が修正され、自転車側に5~10%程度の過失割合が加算されます。
逆に、自動車側に同じような著しい過失や重過失があった場合にも、自動車側に10~20%程度の過失割合が加算されます。

また、自転車の運転者が児童等(概ね13歳未満)や高齢者(概ね65歳以上)の場合には、保護の必要性が高いことから、自動車側に5~10%程度過失割合が加算されます。

逆走自転車の事故では誰が過失割合を決めるのか

交通事故が発生したら、警察に状況を報告しなければなりませんので、交通事故の過失割合は警察が決めると思っている方もいるかもしれません。
しかしながら、過失割合は警察が決めるものではなく、事故の当事者が話し合って決めることになります。
当事者が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が本人の代わりに相手方と交渉してくれますが、保険会社が一方的に過失割合を決定するものではなく、被害者側と加害者側との合意により、過失割合が決まります。
過失割合について当事者の意見が異なり、話し合いによっても合意できない場合には、最終的に訴訟を提起して、裁判所が判断することになります。

逆走自転車での事故でも損害賠償を請求できる

自転車で逆走したというルール違反が事故発生の原因の一つとなっていても、それだけで相手方に損害賠償を請求できない、ということにはなりません。
例えば、過失割合が50:50であっても、重症を負った等自転車側の損害額の方が多額になるような場合には、相手方に過失割合相当の責任を求めて、損害賠償請求をすることが可能です。
次では、請求できる損害賠償の項目や、過失割合と賠償額との関係を説明します。

自転車事故で請求できる損害賠償の項目

次の表は、自転車事故で請求できる可能性のある損害賠償の項目一覧です。
このうち、実際にどの損害項目について請求できるかは、実際に受けた損害内容によって異なりますので、自分のケースについて具体的に知りたい場合には、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。

【自転車事故で請求できる可能性のある損害賠償の項目一覧】

自転車の修理代又は買替代事故で故障した自転車の修理費用又は買替費用
入院雑費事故で負ったケガの治療のために入院期間にかかった雑費
治療費事故で負ったケガの治療のためにかかった費用
通院交通費事故で負ったケガの治療のための通院に要した交通費
付き添い介護費被害者に付添が必要だった場合の看護費
休業損害事故で負ったケガのために収入が減った分の損害
傷害(入通院)慰謝料入通院が必要な傷害を負ったために被った精神的苦痛に対する慰謝料
逸失利益後遺障害が残ったために、又は死亡したために失ってしまう将来得られたはずの収入についての損害
後遺障害慰謝料後遺障害のために被った精神的苦痛に対する慰謝料
死亡慰謝料死亡のために被った精神的苦痛に対する慰謝料
葬儀関係費葬儀に要した費用
将来看護費重い障害のために将来の看護が必要とされる場合
弁護士費用 など判決に至らない限り、弁護士費用が損害賠償項目に含まれることはほぼありません(和解だと弁護士費用分は賠償してもらえないと考えた方がよいということです)。なお、判決に至ったとしても、賠償される額は弁護士費用全額ではなく、通常は、訴訟で認容された額の10%程度となります。

逆走自転車の事故で過失割合・賠償額に納得できないなら弁護士に相談を

相手方の任意保険会社に過失割合やそれにもとづく賠償額を提示された場合、「自分も逆走してしまったから悪かった」「保険会社が言っているのだから間違いないだろう」と思ってしまうかもしれません。
しかしながら、任意保険会社提案の過失割合が正しいとは限りません。
相手方の任意保険会社が、自分側の過失割合を修正する有利な事情について、もれなく調査して事実を把握してくれるとは限らないためです。
提案された過失割合や、それをもとに算出された賠償額が適切かどうか不明な場合や、納得できない場合には、すぐに示談を成立させる必要はありません。
まずは、提案内容について吟味し、考慮すべき事情がきちんと考慮されているのかどうかを検討する必要があります。
交通事故の対応実績のある弁護士であれば、提案内容の妥当性や、損害項目の漏れ、損害の算定方法などについて、より有利な合意を目指すことができるかどうかを判断することができますので、一度相談してみることをお勧めします。

【まとめ】逆走自転車の事故の過失割合については弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめです。

  • 自転車で道路を逆走していて事故が発生した場合には、自転車側にも事故発生の過失がある。
  • 具体的な事故状況によっては、自動車側に過失が加算され、自転車側の過失が減算されることもある(その逆もある)。
  • 自転車側に逆走という過失があっても、直ちに相手方に損害賠償請求ができなくなるわけではない。

過失割合の判断は、事故状況を正確に把握し、過去の裁判例などの知識がないと困難なケースがあります。
適切な損害賠償を受け取るためにも、示談を成立させる前に、一度交通事故の実務経験のある弁護士に相談することをお勧めします。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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