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レンタカー事故を起こしたらどうする?必要な手続きと保険について解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「旅行先でレンタカーを借りたいけど、もしレンタカーで事故を起こしたら補償なんかは大丈夫なのかな?」

電車やバスなど公共交通機関の発達した都心部に住んでいると、維持費を払って自動車を保有するよりも、旅行などのイベントの際にレンタカーを利用したほうが費用は安く済むと考えていらっしゃる方も多いです。
実際に、運輸局に登録されているレンタカーの台数は2021年度は88万4189台、10年前(2011年度)の48万2837台の約1.8倍に増加しています。
経済的で便利なレンタカーですが、交通事故の危険は常に潜んでいます。
レンタカーを借りたいという方は、万が一に備えて、レンタカーで事故を起こした時の補償の有無などを押さえておきましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

レンタカーの申込み時の注意点

レンタカー事業者は、自動車保険に加入しなければ事業を行うことができませんので、レンタカーには予め自動車保険が付いています。
ですから、レンタカーを借りる際、別途、自分で自動車保険に加入する必要はありません。
ただし、保険の対象となるのは、事前に申請した運転手だけです。
申込み時の運転手として申請していなかった人が運転中に事故を起こした場合にはレンタカーの保険を使うことができません。

レンタカーの申込み時や利用開始の際に、必ず、運転する可能性のある人全員の氏名を申請してください(※ドライバーを1人に限定する、リースに近いレンタカー契約もありますので、念のためレンタカー会社に確認してください)。
運転手を申請する際、通常は免許証の提示を求められますので、事前に準備しておきましょう。

また、レンタカーを返却する際、車体に傷などがあると、借りる前からあったのか借りている間についた傷なのか問題になりますので、運転開始前に、スマホ等で、レンタカーの状態を写真撮影しておくこともお勧めします。

レンタカー事故を起こした場合にすべき行動

次に、レンタカーで事故を起こしてしまった際に取るべき適切な対処法を解説します。
レンタカーであれ、自家用車であれ、事故を起こしたときの義務は異なりません。

道路交通法72条1項は、交通事故が起きた時の運転手の義務として、次の義務を規定しています。

  1. 負傷者の救護義務
  2. 道路の安全確保義務
  3. 警察への報告義務

これらの義務に違反した時は、道路交通法違反という犯罪になります。
旅行中などに、レンタカーで事故を起こした場合であっても、必ずこれらの義務は遵守しましょう。

(1)病院で診てもらう

出血しているなど緊急性のある場合には、まず怪我の治療を優先しましょう。

軽微な事故で、けがをしている可能性がない場合は別ですが、外見上怪我をしているかわからない場合でも、身体に違和感を感じる場合などは、警察への報告などを済ませたうえで、念のため病院で治療を受けておきましょう。
後々事故の症状があらわれてきた際、保険による補償を受けるためには基本的には医師の診断書が必要になります。
旅行中で怪我をしているのに我慢してしまい、事故から数日経った後に地元の病院で治療を受けても、その症状が事故によるものなのか特定できないことがあります。

そうなると、発生した症状が事故によるものなのか争われ、保険会社から保険金の支払いを拒まれてしまいかねません。

(2)身の回りの安全を確認し危険防止措置をとる

二次被害を防ぐために、車を路肩に移動させ、道路の安全を確保する必要があります。
もし車を移動させられないなら、発炎筒、停止表示板、停止表示灯を設置して後続車に事故を知らせましょう。

特に高速道路では、路肩に自動車を止める場合でさえ危険なので、確実に道路の安全を確保するように努めてください。
運転手や同乗者は、事故に遭わないようにガードレールの外側に避難しましょう。

(3)警察に連絡する

事故の軽重を問わず、交通事故を起こした際には警察に連絡をしなければなりません。

警察に届け出なければ報告義務違反(ひき逃げ・当て逃げ)となり、発覚時に処罰が加重される可能性があります。

(4)レンタカー会社に連絡する

レンタカー会社に連絡しましょう。レンタカー会社によっては、事故受付センターを連絡先に指定しているところもあります。レンタカー会社から保険会社にも連絡するように指示された場合には、あわせて保険会社にも連絡してください。

レンタカーの事故に対する保険に関する注意点

先ほどご説明したとおり、レンタカー会社は、営業許可のため、対人補償・対物補償・搭乗者補償などのついた自動車損害賠償責任保険へ加入しています。

その保険料は、レンタカーの基本料金に含まれていますので、別途支払う必要はありません。

通常は、レンタカー付帯の自動車保険にレンタカー自体の車両保険(※)も含まれているので、物損事故や自損事故にも対応してもらうことが可能です。

ただし、レンタカー会社によっては任意保険で支払われる金額に限度があるため、賠償額がそれを超えた場合に、自己負担額が生じるおそれがあります。

レンタカー事業者が加入を義務づけられている自動車保険は、対人保険は8000万円以上、対物保険は200万円以上、搭乗者保険は500万円以上です。
特に対人保険は無制限という保険を付けているレンタカー会社が多いと思いますが、レンタカー付帯の自動車保険の補償内容は、契約時にしっかり確認しましょう。

※レンタカー自体の車両保険は、営業許可に必須でないため、レンタカー業者によっては付帯していないことがありえます。

事故の賠償金は基本的には保険会社から支払われますが、次の2点に注意が必要です。

  1. 保険が適用される場合であっても、レンタカーの契約者は「免責額」を支払わなくてはいけないこと
  2. レンタカーが破損等した場合には、修理期間の補償費用としてNOCを支払う必要があること

それぞれについてご説明します。

(1)借りた本人が支払う「免責額」とは?

免責額とは、レンタカーで事故を起こした運転手が本来負担しなければならない金額のうち、レンタカーの契約者が支払わなければならない最大の金額です。

通常、車両免責額と対物免責額のそれぞれで5万~15万円程度に設定されています。

免責というと、支払いを免除される金額と思うかもしれません。
ですが、あくまでも保険会社が支払いを免除される金額ですので、レンタカー利用者にとっては支払い義務のある金額となります。

要は、保険会社が支払わないため、レンタカーの契約者が自分で負担しなければいけない分とご理解ください。

免責額は、必ず支払わなくてはいけないんですか?
免責額も支払わなくても良い場合はありますか?

任意の加入ですが、「免責補償制度(CDW)」に加入すれば、1日1000円程度の追加料金(※レンタカー会社や車種などによって異なります)で、免責額の支払いも免除されます。
もっとも、自動車免許を取得して1年未満の人などCDWに加入できないこともありますので、加入の条件などはあらかじめレンタカー会社にご確認ください。

レンタカー運転中の事故は自分の保険の他車運転特約で補償される?

それでは、レンタカー会社の保険では補償されない損害や免責額について、自分が加入してる保険は使えるのでしょうか?

この点、かつてはレンタカーを除外する自動車保険がありましたが、最近は、レンタカーも他車運転特約の対象とするのが通常です。
他車運転特約が使える場合は、対人・対物とも補償されるでしょう。
他車運転特約と車両保険にセットで加入していた場合には、レンタカーの車両賠償にも自身の保険を利用することができるはずです。

ただし、他車運転特約を使うと、保険等級が上がり、翌年以降の保険料負担が増えることがあります。

ご自身の保険を使うかどうかは、使う場合と使わない場合のその後の負担をよく検討するのが良いでしょう。
詳しくは自身の加入している保険会社に尋ねてみてください。

他車運転特約が使えるとしても、本来、レンタカーの利用料金にレンタカーの自動車保険料が含まれているはずですので、レンタカーの事故の際は、レンタカーの自動車保険を優先的に利用するべきです。

営業許可の条件として自動車保険加入が義務付けられていることからも、それが予定されているといえるでしょう。

しかしながら、シートベルト未着用等の理由でレンタカー付帯の保険が適用されない場合や、損害額がレンタカー付帯の保険の限度額を超える場合、レンタカー会社が保険料を未払いだったというような例外的な場合には、ご自身の他車運転特約が頼りになります。

(2)レンタカー修理期間の保証費用として必要なNOCとは?

レンタカーで事故を起こして破損すると、その車両を貸し出せないことによる機会損失や清掃・修理に要した人件費などの損害が生じます。

このような営業損害は、自家用車の事故ではなくレンタカーの事故に限って生じるものなので、通常の自動車保険では補償されません。
そのため、レンタカーで事故を起こすと、NOCという名目で2万~10万円程度を請求されます(車種や自走できるか等によって金額が異なります)。
NOCは事故を起こした場合のほか、盗難、故障、汚損、臭気などにより修理や清掃が必要になった場合にも請求されるので、注意しましょう。

通常、各レンタカー会社にNOCも契約者に負担させないための補償制度がありますので、万が一の時にNOCを負担したくないという場合には、レンタカー会社に確認しておきましょう。

保険の補償が適用されない場合

レンタカー会社の保険や免責補償制度に加入していても保険が適用されない場合があります。

保険が適用されない場合の一例を挙げますので、交通ルールやレンタカー会社との契約をきちんと守って利用しましょう。

  • 飲酒運転をして事故を起こした
  • シートベルト未着用だった
  • 無免許だった
  • 警察やレンタカー会社への連絡を怠った
  • レンタカー会社に連絡することなく被害者と示談をした
  • レンタカーの引渡し時に申告していない人が運転中に事故を起こした
  • レンタカーの延滞中に事故を起こした
  • 定員をオーバーして状態で運転していた
  • 車道以外の場所を運転していた   など

【まとめ】レンタカー運転中に事故を起こした場合、レンタカー付帯の保険により補償されない損害もある

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • レンタカーには付帯の自動車保険がついているが、保険により補償される範囲はレンタカー会社によって異なるため、借りる前に補償の範囲を確認すべき。
  • レンタカー付帯の自動車保険によっても、次の負担が生じる可能性がある。
    1. 免責額…保険が適用される場合であっても、保険会社が支払を免責される分。免責分はレンタカーの契約者が負担しなければいけない。通常5万~15万円程度。
    2. レンタカーの修理期間のNOC…レンタカーを貸し出せない期間の営業補償。通常2万~10万円程度。
  • レンタカー会社によっては、免責額やNOCについても補償されるプランがある。万が一の時に発生する費用などを検討してプランを決めるべき。
  • レンタカーを借りた際の交通事故であっても、自分の保険に他車運転特約がついている場合には、レンタカー付帯の保険で補償されない損害や免責額について自分の保険で補償される可能性がある。ただし、等級が上がるため、自分の保険を使うかどうかは慎重に検討すべき。
  • 飲酒の上事故を起こした場合など、レンタカー付帯の保険では補償されないことも多い。

自動車が必要な時にだけ借りて使えるレンタカーはとても便利ですが、普段、乗りなれていないことなどもあって、レンタカー事故は決して少なくありません。
万が一の事故に備えて、どのような補償があるのかしっかり押さえた上でレンタカーを借り、事故を起こさないようにご利用ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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