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交通事故の治療終了後、治療費で損をしないための注意点を解説

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Nさんは、自動車の衝突事故でむち打ち症を負い、整形外科に通院していました。通院時の治療費は、事故の相手方(加害者)の保険会社から支払ってもらっています。
ところが、通院を開始してから3ヶ月ほど経った頃、加害者側の保険会社の担当者から「通院開始から3ヶ月経ち、そろそろ症状が固定したはずだから治療費の支払いを打ち切りたい。」との連絡を受けました。
Nさんとしては、まだ手足のしびれが残っており、通院を続けたいにもかかわらず、治療費の支払いを打ち切られては困ります。
この記事では、交通事故によりケガを負った場合、

  • 治療費を保険会社から受け取る方法
  • 保険会社に治療費の打ち切りを宣告されたときの対処法
  • 治療終了後、損害賠償請求のためにすべきこと
  • 後遺症が残った場合の手続き

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

交通事故によるケガの治療費を保険会社から受け取る方法は2種類

交通事故によるケガの治療費を、加害者側の保険会社から受け取る方法には、

  • 自分で病院に治療費を支払い、後から保険会社に請求する方法
  • 保険会社から直接病院に治療費を支払ってもらう方法

の2種類があります。
以下、それぞれについて説明します。

(1)支払った治療費を「損害」として保険会社に請求するパターン

これは、被害者が入通院した際にいったん自分で治療費を支払い、治療終了後に加害者側の保険会社に対して治療費を請求する方法です。
具体的な金額は、加害者側の保険会社との示談交渉によって決定します。
この方法により、治療費や通院交通費などの賠償金を受け取るまでの流れを説明します。

  1. 示談交渉開始
    治療費や通院費など、事故で発生した全ての損害額を計算し、支払いを受けるべき金額などについて、加害者(通常は、加害者が加入する保険会社となります)と交渉します。
    後遺症が残った場合は、所定の機関(損害保険料率算出機構など)に対して後遺障害の等級認定の申請も行います。
  2. 示談書を作成する
    被害者と加害者間で賠償内容に合意したら、示談書を作成します。
  3. 示談が成立して賠償金を受け取る
    示談が成立してから1週間~10日程度で賠償金が支払われます。
  4. 示談が不成立だった場合は訴訟に進む
    示談交渉で折り合いが付かない場合、交通事故紛争処理センター(※)による和解あっ旋などを利用することもできます。それでも決着が付かない場合は、最終的には訴訟(裁判)に移行します。

裁判の結果、判決が確定すると、判決の内容に従って賠償金が支払われます。

(※)交通事故紛争処理センターについて詳しくはこちらの記事もご確認ください。

交通事故紛争処理センターとは?業務内容や利用方法を解説

(2)保険会社が直接病院に治療費を払うパターン

治療費の支払いは、本来は上記1のパターン、すなわち後払いが原則です。
もっとも、治療中の被害者の費用負担が大きくなることに配慮し、「一括対応」という方法が用いられるケースが多いです。
一括対応とは、加害者側の保険会社が、自賠責保険と任意保険の賠償金を一括して支払う方法をいいます。
治療費については、加害者側の保険会社が被害本人に代わって病院に直接支払います。
一括対応してもらうためには、加害者側の保険会社に対して同意書を提出する必要があります。
この同意書により、加害者側の保険会社は、治療費を支払う代わりに被害者の治療状況などを病院から教えてもらえるようになります。
これにより被害者の治療状況を把握した保険会社は、事故後しばらく経つと、途中で治療費の支払い打ち切りを宣告してくることがあるのです。

保険会社に治療費の打ち切りを宣告されたらどうする?

一括対応の場合、加害者側の保険会社は主治医からの治療状況を聞き、治療終了もしくは症状固定(=これ以上治療しても良くも悪くもならない)と判断すると、治療費の支払いを打ち切ろうとします。
しかし、本来、治療の終了時期は被害者本人と医師が決めることです。
治療期間の長さは、後で述べる後遺障害等級認定を受ける際の判断要素の1つです。治療期間が短いと後遺障害認定で不利になる可能性もあります。
また、慰謝料や休業損害の額も治療期間をもとに算出するため、完治していないのに治療をやめると受け取れる損害賠償の金額も少なくなるおそれがあります。
したがって、適切な額の損害賠償を受け取るためにも、まだ完治していないのであれば治療を続けるべきです。
保険会社からの一方的な治療費打ち切り宣告に従う義務はありません。

治療開始から治療費の打ち切りを宣告されるまでの目安

一括対応の場合、治療開始から一定期間が経つと加害者側の保険会社から治療費打ち切りの連絡が来ます。
打ち切りを宣告される治療期間はケガの内容により異なりますが、むち打ち症の場合はおおむね3ヶ月から半年程度といわれています(あくまで目安です)。

治療費打ち切り宣告への対処法

では、実際に治療費の打ち切りを宣告された場合、どうすればよいのでしょうか?
以下で、治療費打ち切り宣告をされた時の対処法を4つ説明します。

(1)保険会社に治療費支払いの延長を交渉する

主治医に治療継続の必要性を認めてもらい、保険会社に説明してもらうと打ち切りが撤回される可能性があります。

(2)加害者の自賠責保険に仮渡金を請求

加害者側の任意保険会社に治療費の支払い延長を求めても認められなかった場合、加害者が加入する自賠責保険に仮渡金を請求する方法もあります。
仮渡金とは、11日以上の治療が必要なケガを負った被害者に対し、ケガの程度によって5万円・20万円・40万円の一時金が支払われる制度です。
ただし、自賠責保険における傷害(ケガ)に関する賠償金の上限は120万円であり、すでに一括対応で支払い済みの治療費があればその分は差し引かれます。

(3)被害者が加入している任意保険に保険金を請求

被害者本人が加入している任意保険に人身傷害保険特約が付いていれば、これを利用して治療費を支払う方法もあります。
人身傷害保険特約は、任意保険への加入時にセットで含まれている場合が多いです。ご自身の加入している保険の内容を確認してみましょう。
人身傷害保険特約では、被害者に過失(=不注意やミス)があるかどうかに関わらず支払いを受けられます。
支払いのタイミングは治療中ではなく、完治後もしくは症状固定後に、後遺障害の有無などが確定してからとなります。もっとも、示談成立前にまとまった額の保険金を受け取れるのがこの特約のメリットとなります。
なお、人身障害保険特約を利用しても、保険の等級が下がることはありません。

(4)弁護士に相談する

弁護士に依頼し保険会社と交渉してもらい、治療費の打ち切りを延長できる場合もあります。
また、治療費をいったん自己負担し、示談交渉の際に弁護士からまとめて請求してもらう方法もあります。

交通事故の治療終了後にやるべきこと

十分な治療が終了した後は、治療により生じた損害の賠償を加害者側に請求することになります。
以下では、加害者側に損害賠償請求するためになすべきことを説明します。

(1)示談成立の前に弁護士に相談して賠償額が妥当かどうか確かめる

示談交渉は、いったん示談(=合意)が成立するとやり直しがききません。
加害者側の保険会社から示談書が送られてきたら、急いで署名・押印したりせず、不当に不利な内容になっていないか確認しましょう。
内容に不明点などがある場合は、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。
なお、交通事故の賠償金額を算出する基準としては、

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判所基準ともいいます)

の3つがありますが、どの基準を用いるかによって賠償金の額が変わります。

3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般的に、

弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準

となります。
被害者が、自分自身(または加入している保険会社の示談代行サービス)で示談交渉を行うと、加害者側の保険会社は、自賠責基準や任意保険基準を用いた低い金額を提示し、話をまとめようとしてきます。
これに対し、弁護士が被害者の代理人として交渉する際には弁護士基準が適用され、賠償金を増額できる可能性が高くなります。
このことからも、加害者側との示談交渉については弁護士に相談することをおすすめします。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

交通事故の慰謝料を「弁護士基準」で受け取るために知っておくべきこと

(2)必要な書類を用意する

基本的には加害者側の保険会社から書類一式が送られてきますが、次のようなものを被害者ご自身で用意しなければならないこともあります。

  1. 損害賠償請求書
  2. 交通事故証明書
  3. 医師の診断書や診療報酬明細書
  4. 修理見積書
  5. 休業損害証明書

など

後遺症が残った場合

治療終了後、症状が固定し後遺症が残ってしまった場合の制度として後遺障害の等級認定があります。
以下で、後遺症が残った場合の手続きを説明します。

(1)治療終了はいつになる?

交通事故のケガにより後遺症が残った場合、症状固定(=これ以上治療しても良くも悪くもならない)のタイミングで治療終了となります。
症状固定のタイミングは法律判断ですが、基本的には担当医の医学的な見地からの意見が重視されます。

(2)後遺障害等級の申請手続きをする

担当医より症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定の手続きに入ります。
後遺障害等級とは、後遺障害を症状の重さに応じて1~14級(および介護1級・2級)の14段階で区分したものです。

参考:後遺障害等級表|国土交通省

所定の機関(損害保険料率算出機構など)より後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益(=後遺障害のために得られなくなった将来の収入)なども請求できるようになります。
以下では、後遺障害等級認定の申請手続きについて説明します。

(2-1)後遺障害診断書を提出する

後遺障害診断書とは、後遺障害の部位や症状を詳細に記載した診断書です。治療を担当した医師に作成してもらいます。
この後遺障害診断書を、所定の機関に提出して審査を受けることになります。

(2-2)申請方法は事前認定と被害者請求の2種類

後遺障害等級認定の申請手続きには、

  • 事前認定
  • 被害者請求

の2種類があります。
事前認定は、加害者側の保険会社を通じて申請する方法です。
申請手続きのほとんどを加害者側の保険会社に任せるため、手間がかからないというメリットがあります。
しかし、加害者側保険会社は被害者の味方ではありません。手続き自体は規定どおり行うにしても、被害者にとって有利な障害等級が認められるよう尽力する立場にはありません。
そのため、事前認定の場合、必要最低限の書類しか提出されず、十分な等級が認定されないケースもあり得ます。
これに対し、被害者請求は、被害者自身が申請する方法です。被害者が自ら必要書類を収集し、加害者が加入する自賠責保険会社に提出します。
全ての手続き自分でしなければならないため手間はかかりますが、必要な資料を被害者自身がチェックでき、追加で提出したりできるため、納得できる結果になりやすいというメリットがあります。

(2-3)後遺障害等級認定が認められると賠償金が支払われる

必要書類が全て提出されると、損害保険料率算出機構などの審査機関が後遺障害診断書などを審査し、いずれかの等級に該当すれば後遺障害等級が認定されます。
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料などが保険会社から支払われます。
支払いのタイミングは、事前認定と被害者請求の場合で異なります。

  • 事前認定の場合:示談交渉が成立した後
  • 被害者請求の場合:先に自賠責保険から支払い→示談成立後、任意保険から残額が支払われる

後遺障害等級の認定を受けた後、加害者側の保険会社が提示する後遺障害慰謝料に納得いかない場合は、示談はせずに調停や裁判などで争う方法もあります。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

示談交渉が決裂!交通事故の賠償金に納得できない時の解決法

【まとめ】治療後の保険会社との交渉はアディーレ法律事務所にご相談ください

交通事故によるケガの治療が終了すると、通常は加害者側の保険会社から示談書が届きます。
加害者側の保険会社は、示談交渉で不当に低い金額を提示してくることも少なくありません。
いったん示談(=合意)が成立するとやり直しがききません。そのため、示談成立の前に弁護士に相談し、示談内容や金額が妥当かどうか確かめることをおすすめします。
交通事故によるケガを負った場合、加害者側の保険会社との示談交渉についてはアディーレ法律事務所にご相談ください。

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