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経営者や会社役員の逸失利益の算定について弁護士が解説

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yamazaki_sakura

「相手方の保険会社から提案された逸失利益が少ない……。会社役員の場合は、逸失利益はどうやって計算されるのだろう。」

交通事故によるけがが原因で何らかの後遺症が残ってしまった被害者は、以前と同じようには働くことができず、事故に遭わなければ得られたはずの収入を得られなくなってしまうことがあります。

このように後遺症のために失ってしまう将来得られたはずの収入のことを「後遺症による逸失利益」といい、加害者に対してその損害の賠償を請求できます。
後遺症による逸失利益は、基本的には事故前の収入を基準に計算されます。
ですが、会社役員の役員報酬は『労務対価部分』と『利益配当部分』に分けられ、基本的には『労務対価部分』についてしか逸失利益の計算の基準とされません。

ただし、実際の裁判を見ても役員報酬の全額が「労務対価部分」とされ、役員報酬全額を逸失利益の計算の基礎にされることも少なくありません。
もしも加害者の保険会社から提示されている逸失利益の金額に納得できない方は、「労務対価部分」をどのように理解したら良いのかまずはお調べ頂くことをお勧めします。

今回の記事では、

  • 後遺症による逸失利益の計算方法
  • 役員報酬の『労務対価部分』と『利益配当部分』
  • 実際の裁判例
  • 弁護士に依頼するメリット

などについてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 岡﨑 淳

早稲田大学、及び明治大学法科大学院卒。2012年弁護士登録。アディーレ法律事務所に入所して以来、佐世保支店長、丸の内支店長、北千住支店長を経て、2022年より交通部門の統括者。交通事故の被害を受けてお悩みの方々に寄り添い、真摯な対応を貫くことをモットーに、日々ご依頼者様のため奮闘している。第一東京弁護士会所属。

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後遺症による逸失利益の計算方法について

後遺症による逸失利益の計算方法は次のとおりです。

「基礎収入」は、原則として事故前の現実の収入額を基礎とし、将来現実の収入額以上の収入を得られる証拠があれば、その収入額が基礎となります。
例えば、雇用契約で働いている給与所得者の方などは、通常は源泉徴収票などをもとに事故前の現実の収入が基礎収入とされます。

「労働能力喪失率」とは、後遺症によって事故前と比べてどのくらい労働能力が失われてしまったのかという割合です。
後遺障害等級ごとにどの程度労働能力が喪失するかと言う一応の基準はありますが、必ずしも基準どおりの喪失率が認められるわけではありません。

例えば外貌醜状や歯牙欠損などは、労働能力それ自体には問題がないことも多く、基準よりも低い労働能力喪失率しか認められないこともあります。

参考:労働能力喪失率表|国土交通省

「ライプニッツ係数」は、将来分の収入が一時金で支払われることにより、被害者が将来の利益(利息など)を先に取得することになるため、その得られる利益を前もって控除するための数値です(症状固定時から就労可能年数までの期間に相当するライプニッツ係数を乗じます)。

ライプニッツ係数は、2020年4月1日以降に発生した事故とそれより前に発生した事故の場合で数値が異なりますので、注意が必要です。
2020年4月1日以降に発生した事故に関するライプニッツ係数は、以下のサイトをご参照ください。

参考:就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

役員報酬の『労務対価部分』と『利益配当部分』

会社役員の方の後遺症による逸失利益を考える時に注意が必要なのは、役員報酬全額が逸失利益を計算する「基礎収入」にはならないことがあるという点です。
と言うのは、先ほどご説明したとおり、そもそも逸失利益とは事故にあわなければ得られたであろう収入が失われたという損害です。

ところが、役員報酬については、事故にあって後遺症が残り、事故前と同じように働けなくなったとしても特段金額が下がらないことがあります。
極端な例ですが、親族の経営する会社の役員に名前を連ねているだけであって、事故前も事故後も会社で働いておらず、報酬だけを受け取っているという場合には、当然事故にあったことによる減収がないのですから、そこに損害はありません。

他方、事故によって後遺症が残ったとしても本人の特別の努力によってリカバーできている分についてまで損害がないと評価されるべきではありません。
そこで、役員報酬には、実際の労働の対価である「労務対価部分」と、会社の利益を配当する「利益配当部分」に分けた上で、「労務対価部分」については逸失利益を計算する際に基準となる「基礎収入」とされます。

役員報酬労務対価部分基礎収入に含まれる
利益配当部分基礎収入に含まれない

この点、大企業のいわゆるサラリーマン役員のような場合は、通常は収入全額が労務対価であることが多いでしょう。
他方、中小企業のオーナー社長などの役員報酬には、労務の対価に加えて会社の利益が配当されていることが多いです。

ですが、役員報酬のうち、どこまでが労務対価部分でどこからが利益配当部分か、通常は明確に区別されていません。
そこで、裁判上では、次のような事情を総合的に判断して、役員報酬に占める労務対価部分を検討することになります。

  • 会社の規模、売上げなどの利益状況
  • 役員の地位、職務内容、年齢
  • 役員報酬額
  • 他の役員や従業員の職務内容と報酬・給料額との差異
  • 事故後の報酬額の変更の有無 など

実際の裁判例について

それでは、実際の裁判例をいくつかご紹介します。

【役員報酬全額が労務対価と認められた事例】

1.東京地裁2016年11月17日

  • 被害者の一人会社であったこと
  • 長男の妻が経理事務等を手伝うほかは、被害者が単独で印刷機器の販売等を行っていたこと

などから、役員報酬全額を労務対価部分と認定されました。

2.横浜地裁2013年11月28日

  • 会社の事業について、業務の受注・人員の配置その他の管理業務を一人で行っていたこと
  • 会社に利益が生じた時は内部留保としており、いわゆる不労所得に相当する部分はないこと

などから、役員報酬全額を労務対価部分と認定されました。

3.千葉地裁2013年6月5日

  • 会社は被害者が50%、被害者の妻が30%の持株比率である同族会社であること
  • 従業員は、役員3名・正社員4名・パート2名で、被害者は社員の中で最も長時間勤務している上、業務全体の統括・業務の進行状況の把握・社員の労務管理・経理の確認・その他書類の決裁に加え、施行部のリーダー、施工現場の監督、営業活動を行っていたこと
  • 事故後の売上高、売上総利益、損益がいずれも低下ないし悪化したこと

などから、役員報酬全額が労務対価部分と認定されました。

4.東京地裁2011年3月24日

  • 被害者は、レーザー応用機器の設計・製造及び販売等を目的とする株式会社(従業員41名、過去3年間の平均年商約8億円)の創業者であること
  • 会社設立以降、代表取締役として同社を経営する一方、同社の中心的研究者として活動していたこと

などから、役員報酬全額が労務対価部分と認定されました。

【役員報酬の一部について労務対価と認められた事例】

これに対して、役員報酬の一部について労務対価と認められた裁判例をご紹介します。

1.大阪地裁2014年3月20日

  • 会社の株主は被害者のみ、役員は被害者とその妻のみで従業員は3名のみの小規模会社であること
  • 被害者の事故当時の年収は1320万円と会社の規模や業績から比較的高額であること

などから、役員報酬全額を被害者の労務対価とはできないとされました。
その上で、

  • 被害者も従業員と同様に現場作業を行い、営業・事務作業・見積り・値段交渉などをしていたこと

などから、役員報酬の7割について労務対価部分と認めました。

2.大阪地裁2014年9月9日

  • 役員報酬は事故の7年前から定額であること
  • 事故前年は休業日数に応じて減額されていること
  • 株主配当が行われていないこと
  • 症状固定後、為替差損による損害を理由に減額されていることから、報酬が必ずしも提供労務量と比例しないこと

などから、役員報酬額3360万円のうち7割について労務対価部分と認めました。

3.横浜地裁2012年12月20日

  • 被害者は、飲食店を経営する会社の取締役だが、店長兼バーテンダーとして働き、接客・主食の提供・調理なども担当していること
  • 事故後も会社から役員報酬を受領し、事故による減収はないこと
  • 会社の売上高も概ね維持されていること
  • 会社の規模・組織・利益状況・被害者の担当する業務内容・役員報酬額・他の従業員の給与額などからして、役員報酬の全額が労務対価とは認められないこと

などから、役員報酬から利益配当部分を除外した8割相当の720万円について労務対価部分と認めました。

弁護士に依頼するメリットについて

今回ご紹介した裁判例のように、中小規模の会社のオーナー社長・役員などについては、逸失利益を計算する際の「基礎収入」については役員報酬のどの部分が「労務対価部分」なのかまずは検討しなければいけません。
役員の方であれば報酬も比較的高額になりますから、逸失利益の計算については保険会社との意見も鋭く対立しがちです。

逸失利益について保険会社との意見が対立するのは基礎収入の点だけでなく、他にも労働能力喪失率や喪失期間についても、場合によっては意見が食い違うことがあります。
弁護士であれば、保険会社の提示が裁判例を前提に妥当かどうか判断することができます。
さらに、交通事故の示談交渉などを弁護士に依頼する場合、次のようなメリットがあります。

(1)最終的に受領できる金員が増額する可能性があること

弁護士に依頼した場合、ご自身で示談交渉をする場合と比較して最終的に受け取れる金額が増額される可能性があります。
というのは、損害賠償を算出するための保険会社(自賠責保険及び任意保険)の基準と弁護士の基準は異なるのです。

通常は、自賠責の基準が一番低く、弁護士の基準が一番高くなります(※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)。

特に、後遺障害等級が認定されるようなけがを負った場合、後遺症慰謝料についての自賠責の基準と弁護士の基準の差は次のとおりです。

任意保険会社の基準は、通常は自賠責の基準よりは高いですが、弁護士の基準には及びません。
弁護士に依頼した場合には、弁護士は、もらえる賠償額が一番多くなるように通常(被害者側の過失が大きくない場合)は、弁護士の基準をベースに交渉します。
その結果、弁護士の基準に近い金額で示談できることもよくあります。

他方、弁護士に依頼せずご自身で交渉しても、なかなか弁護士の基準では示談できないことが多いです。
そのため、弁護士に依頼することで、もらえる賠償額が増額する可能性があります。

交通事故は弁護士に依頼しないと損?弁護士への依頼でもらえる示談金が増える可能性も

(2)煩わしいやり取りから解放されること

ご自身で保険会社との交渉をすべてなさるのはなかなか大変です。
時には担当者の態度に不快な思いをすることもありますし、そもそも、日中仕事をされている方であれば、交渉の時間を確保することも難しいでしょう。
弁護士に依頼した場合には、方針について決定すれば、実際の保険会社とのやり取りは弁護士が担当しますので、保険会社との煩わしいやり取りから解放されます。

なお、弁護士に示談交渉を依頼する場合、弁護士費用が心配という方は相談料や着手金が無料で、交渉により示談金が増額できた場合に報酬を請求するという「成功報酬制」の弁護士にご依頼されることをお勧めします。
まずは、もし弁護士に依頼した場合にはどの程度賠償金が増額する可能性があるのか、相談料を無料とする弁護士事務所に相談をしてみて、弁護士に依頼するメリットがあるか検討してみてください。

【まとめ】会社役員の逸失利益は報酬の「労務対価部分」が基礎とされるが、報酬全額が「労務対価部分」と評価できる場合もある

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 後遺症による逸失利益は、「基礎収入」×「労働能力喪失率」×「労働能力喪失期間分のライプニッツ係数」の計算式で算出します。
  • 「基礎収入」は、基本的には事故前の現実の収入額とされます。
  • 会社役員の役員報酬は、実際に労働した対価である「労務対価部分」と会社の利益の分配を受けている「利益配当部分」に分けられ、「労務対価部分」についてのみが「基礎収入」とされる。
  • 役員報酬の労務対価部分は、次の事情を総合的に考えて判断する。
    1. 役員の地位、職務内容、年齢
    2. 役員報酬額
    3. 他の役員や従業員の職務内容と報酬・給料額との差異
    4. 事故後の報酬額の変更の有無 など
  • 実際の裁判例では、役員報酬の全額が「労務対価部分」と判断されている事例も少なくない。
  • 交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すれば、最終的に受領できる賠償金が増額される可能性があるなどのメリットがある。

交通事故の被害に遭った方が、賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりお客様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年3月時点)

アディーレ法律事務所は、次のとおり、交通事故の賠償金請求を得意としています。

後遺障害等級獲得人数は4000人以上です

※2010年3月~2020年3月までの実績

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