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ひき逃げの被害者が使える保険を解説!加害者不明でも諦めないで!

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ひき逃げは、通常の交通事故と異なり、加害者が逃げてしまっていて、事故当初は加害者が誰かもわかりません。
警察の捜査などにより加害者を特定できれば、加害者に対して損害賠償を請求することができますが、加害者が特定できない場合には、どうなるのでしょうか。

この記事では、ひき逃げの被害に遭ってしまった方へ、ひき逃げ事件の現状や、被害回復の方法などについて解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

日本におけるひき逃げ事件の現状

ひき逃げの概要と近年の日本でのひき逃げ事件の現状を下記見出しにて説明する。

(1)ひき逃げとは

交通事故で負傷者が発生した場合(人身事故)、交通事故に関連する車両の運転者(同乗者も含む)は、負傷者を救護すべき義務があります(道路交通法72条第1項前段)。これを、負傷者救護義務といいます。
また、関連する車両の運転者(同乗者も含む)は、法律上、直ちに運転を停止し、道路に生じている危険を防止するなどの必要な措置をとる必要があります(道路交通法72条1項前段)。これを、危険防止等措置義務といいます。
さらに、警察官に対して、直ちに、起こしてしまった交通事故の概要について報告しなければなりません(道路交通法72条第1項後段)。

人身事故を起こしたにもかかわらず、このような負傷者救護義務や危険防止等措置義務を果たさずに現場から離れてしまうと、「ひき逃げ」となり、道路交通法違反の罪として罰される可能性があります。

(2)ひき逃げ事件の現状

「令和2年版犯罪白書」によると、2005年からひき逃げ事件は減少傾向にあり、2019年は、前年比866件(10.4%)減の7491件です。そのうち、死亡事故が127件、重傷事故が688件、軽傷事故が6676件となっています。
検挙率は、年々増加しており、また事故の結果が重大であればあるほど高くなっています。
2019年のひき逃げ事件の検挙率は、死亡事故は100.8%(※)、重傷事故が84.2%となっていますが、全体では64.4%にとどまっており、加害者不明のひき逃げ事件が35.6%に上っています。

※検挙件数には前年以前に認知された事件に係る検挙事件が含まれることがあるため、検挙率が100%を超えることがある。

参考:令和2年版犯罪白書|法務省

ひき逃げ被害者が利用できる保険・補償(加害者が判明している場合)

ひき逃げの被害に遭った後、警察の捜査によって加害者が判明するケースもあります。
加害者が判明したケースにおいて、被害回復のために利用できる保険・補償を説明します。

(1)加害者が加入している保険

ひき逃げで損害を被った被害者は、加害者が判明すれば、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
具体的には、加害者加入の自賠責保険や、任意保険から損害賠償を受け取ることになります。
自賠責保険は、自動車やバイク、原動機付自転車の保有者に法律上加入が義務付けられているものですので、仮に加害者が任意保険に加入していなくても、自賠責保険から損害賠償を受け取ることができます。

加害者が自転車に乗っていた場合はどうなるのでしょうか。
この場合、加害者及び加害者の一定の家族が自転車保険(自動車保険や火災保険、傷害保険の特約、自転車専用の保険)に加入しており、その保険を利用することができれば、保険会社から損害賠償を受け取ることができます。
自治体によっては、条例で自転車保険の加入が義務付けられている地域もありますが、自賠責保険と異なり未加入者に対する強い罰則もありませんので、実際に交通事故の加害者が加入しているかどうかは不明です。

東京都では、2020年4月1日施行の改正条例により、自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等への加入が義務付けされました。
この施行条例直前の東京都の調査によれば、条例施工前の自転車利用者の加入率は46.6%にとどまっていますので、条例施行により加入率が向上することが期待されています。

参考:令和元年度「自転車利用中の対人賠償事故に備える保険等に関する加入状況調査」結果|東京都

(2)加害者が保険に加入していない場合は?

ひき逃げの加害者が判明しても、加害者が任意保険に加入していないことがあります。任意保険に加入していなくても、加害者に資力があれば、加害者本人から損害賠償を受け取ることができますが、任意保険に加入していない人に十分な資力があることは期待できません。

また、ひき逃げの加害者が特定できない場合には、損害賠償を請求すべき相手方がわからないことになります。そうすると、いつまでも被害回復が行われないことになり、被害者にとって極めて酷な状況となってしまいます。
加害者が判明しない場合や加害者が任意保険に加入していない場合でも、次のような保険・補償を利用できることがありますので、利用を検討するとよいでしょう。

ひき逃げ被害者が利用できる保険(加害者不明の場合)

ひき逃げ加害者が不明のケースでは、被害者自身が加入している次のような保険を利用できることがあります。

(1)人身傷害保険

人身傷害保険とは、被保険者(主に運転する人)やその家族、および契約車両に乗っている人が事故にあって死傷した場合に補償を受けることができる保険です。
保険会社によって名称は異なり、「人身傷害補償保険」や「人身傷害補償特約」とも呼ばれています。通常の自動車保険に特約として付帯するケースが多いようです。
具体的な保険内容や、保険が利用できるケースは異なりますが、基本的には、保険金額を上限として、実損額(治療費、休業損害、葬儀費用など)が補償されます。
人身傷害保険には、契約車両に搭乗中の事故による死傷だけを保険対象とするもの、他の車両に乗っているときの事故による死傷も保険対象とするもの、歩行しているときの事故による死傷も対象とするものなどいくつかの種類があります。

ひき逃げ事故の被害に遭った場合には、人身傷害保険に加入しているのか、どのような事故態様で利用できる人身傷害保険なのかについて確認しましょう。不明点については、保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

(2)無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは、事故の加害者が任意の自動車保険に加入していない場合や、加入していても補償内容が十分でない場合に、加害者が負担すべき損害賠償額のうち、自賠責保険や政府保証事業等の保険金額を超える部分について補償が受けることができる保険です。ひき逃げで加害者が特定できない場合にも補償の対象となります。
保険会社により、「無保険車傷害特約」と呼ばれることもあります。
一般的な無保険車傷害保険では、補償の対象となるのは、記名被保険者(主に運転する人)と配偶者、同居の家族、別居の未婚の子ども及び契約車両に同乗中の者です。

ただし、一般的に、被害者が事故で死亡するか、後遺障害を負った場合のみ補償を受けられる保険ですので、ケガをしただけでは損害(治療費や休業損害等)について補償を受けることができません。

(3)車両保険

ひき逃げ事件で自分の車両に損害が生じた場合は、車両保険に加入していれば、車両の損害についての補償を受けることができます。
ただし、車両保険を利用すると次年度の保険料が上がってしまうケースがありますので、利用前に保険会社に問い合わせるようにしましょう。
人身傷害保険や無保険車傷害保険は、人の身体に生じた損害を保障する目的の保険であるため、車両など物の損害の補償を受けることはできません。

ひき逃げで補償や賠償を望めないときは政府保障事業を利用可能

ひき逃げの加害者が不明の場合や、自賠責保険に加入していない場合には、ケガをしたり死亡したりした被害者は、基本的に自賠責保険により補償を受けることはできません。
このような場合には、政府の補償事業に損害の補償を求めることができます。

政府保障事業は、被害者が被った損害について、国(国土交通省)が加害者の代わりに立替え払いする制度です。

政府保障事業での賠償金の支払限度額は、自賠責保険と同額で次のとおりです。利用できるのは人身事故(ひき逃げ)のケースのみで、物損事故(当て逃げ)では利用することはできません。

  • 傷害 120万円
  • 死亡 3000万円
  • 後遺障害等級によって75万~4000万円

また、治療の際に健康保険や労災保険などから給付を受けた場合、給付された分の金額が政府保障事業の保障金から差し引かれますし、人身傷害保険から既に損害に対する支払いを受けている場合には利用することができません。

参考:損害賠償を受けるときは?|国土交通省

【まとめ】ひき逃げ被害者が利用できる保険もある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • ひき逃げに遭っても、後に加害者が判明し、かつ加害者が保険に加入していれば加害者加入の保険から賠償を受けられる。
  • 加害者不明な場合や、加害者が保険に加入しておらず十分な補償を受けられない場合には、被害者自身が加入している人身傷害補償保険や無保険車傷害保険などを利用するか、政府保障事業を利用することが可能。
  • ひき逃げに遭ったら、速やかに警察に通報して捜査に協力し、病院で必要な治療を受ける。
  • 保険について不明点は、保険会社に問い合わせる。

加害者が判明し、加害者に対して適切な損害賠償を請求したいとお考えの方は、交通事故に対応している弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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