あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

任意保険に入ってない車と事故を起こした場合の対処とは?受けられる補償と注意点を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

交通事故に遭ってしまっても、当事者双方が任意保険に加入していれば、通常は任意保険会社を通じて、事故の過失割合や賠償額などの話し合いが行われます。
しかしながら、事故の相手方が任意保険会社に加入していない場合は、自分が受けた損害について、相手方の任意保険会社から賠償金の支払いを受けることはできません。
相手方本人が自主的に損害賠償を支払えばよいのですが、支払いをしないときには、損害賠償を受けるために、必要な対処をする必要があります。
今回の記事では、加害者が任意保険に加入していなかった場合の対処方法や注意点などについて解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

任意保険と自賠責保険の内容と違いを確認しよう

自動車保険には、任意保険と自賠責保険が存在します。
自賠責保険は、法律上加入が強制されていますので、加入していない自動車については、運行の用に供することはできません(自動車損害賠償保障法5条、以下「自賠法」といいます)。
もし、自賠責保険に加入せずに自動車を走行させたような場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という厳しい罰則があります(自賠法86条の3第1項)。

自賠責保険に加入しても、人身損害の補償額には上限がありますし、また物的損害は補償対象とはなりませんので、損害すべてを賠償できるものではありません。
万が一、自分が重大な交通事故の加害者となり、高額の賠償責任を負うこととなった場合には、自賠責保険ですべての損害をカバーすることはできないのです。
したがって、自動車の保有者は、人身損害を生じさせた場合に不足する賠償額分について、また物的損害についても補償を受けるために、通常任意保険にも加入しています。
任意保険への加入は、自賠責保険への加入と異なり法律上強制されているものではありませんので、任意保険に加入していないこと自体は法律上問題にはなりません。

統計によれば、任意保険(対人賠償)の普及率(車種合計)は74.8%です。
自家用普通乗用車に限れば、任意保険(対人賠償)の普及率は82.6%と高くなっています。
また、この普及率は地域により違いがあり、最も低い都道府県が沖縄県の54.3%、最も高いのが大阪府の82.7%となっています。

参照:自動車保険の概況2019年度(2018年度統計)|損害保険料率算出機構

任意保険未加入の車両との物損事故はどうなる?

交通事故による被害が車両などの物損のみで、人身的な損害(人損)がない場合には、加害者加入の自賠責保険から補償を受けることはできません。
自賠責保険の補償対象は人損のみで、物損は対象外であるためです。
したがって、物損は、加害者本人か、加害者加入の任意保険会社から賠償を受けることになりますが、加害者が任意保険に加入していないとなると、基本的に加害者本人に請求することになります。
加害者本人に支払い意思及び支払い能力があればよいのですが、任意保険に加入していない者は、賠償を支払う能力がないケースも少なくありません。
このような場合、加害者に賠償金支払いを求めて訴訟を提起し、最終的に勝訴したとしても、結局その賠償金を回収できないことがありますので、自分が加入している車両保険を利用することを検討せざるを得ないケースもあります。
自分が加入している車両保険が利用できるのかどうかについては、「一般条件」か、「車対車・限定特約」かなどの加入条件によって異なりますので、保険会社に問い合わせてみるようにしましょう

(1)一般条件の車両保険で補償される事故

一般条件で車両保険に加入していれば、ほとんどの交通事故による車両損害をカバーすることができます。
除外されるのは、保険会社によって異なりますが、地震・噴火・津波などによる自動車の損害など極めて限定されています。
他の自動車と衝突や、ガードレール接触などの単独事故はもちろん、当て逃げにも対応可能しています。

(2)車対車・限定特約で補償される内容

車対車・限定特約は、一般条件よりも保険料が安く、補償範囲も狭くなります。
例えば、他の自動車との衝突は補償対象となりますが、ガードレール接触などの単独事故、当て逃げなどは対象外となります。

任意保険未加入の車両との人身事故はどうなる?

交通事故で人身的被害を受けた場合、加害者が任意保険に加入していなくても、加害者が加入している自賠責保険から補償を受けることができます。
ただし、自賠責保険は損害の程度別に賠償額の上限が決まっていたりしますので、すべての損害の賠償が受けられるわけではありません。
例えば、自賠責保険では、傷害による保険金は120万円、後遺障害による保険金は等級により75万〜4000万円、死亡による保険金は3000万円が上限となっており、一般的に、任意保険会社との交渉の結果受け取ることのできる賠償額よりも低額となっています。

金額が足りない場合は被害者の自動車保険を利用できることも

加害者の自賠責保険で十分な補償が受けられない場合には、不足分について、被害者自身の自動車保険を使って補償を受けることができます。
ただし、被害者が契約している任意保険に「人身傷害特約」が含まれていることが必要です。
人身傷害保険では、被害者側に過失があったとしても、過失割合と関係なく特約の範囲内で保険金が支払われます。

また、被害者が契約している任意保険に「無保険車傷害特約」が含まれていれば、それを利用して死亡・後遺症による損害に対する保険金の支払いを受けることができます。

実際にどの程度の保険金が受け取れるかは、ケースバイケースですので、保険会社に問い合わせて確認するようにしましょう。

通勤や仕事中の事故なら労災が使えることも

通勤途中や業務中の事故であれば、労災保険を利用することができます。
労災保険が利用できれば、健康保険のような自己負担分(通常3割)はなく無償で治療を受けることができます。
ただし、労災保険を利用できる場合には、健康保険を利用することはできません。
また、労災保険には様々な給付内容があり、自賠責保険の補償内容と一部重なる部分があります。
例えば、労災保険でも自賠責保険でも、ケガのために働くことができず収入を失ったときは、賃金の一部相当額が給付されますが、双方の保険から2重にこの休業補償を受け取ることはできません(休業特別支援金は別)ので、注意が必要です。

加害者の雇い主や、親に請求できることも

加害者が仕事中に事故を起こした場合、加害者本人だけでなく、働いている会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります(民法715条)。
また、加害者が未成年の場合は、親が事故車両の所有名義であるなど自賠法上の「運行供用者」であったり(自賠法3条)、事故発生に親の監督義務違反が認められるような場合には(民法714条)、親に損害賠償を請求できることがあります。

加害者と交渉をする際の注意点

通常、交通事故の示談交渉は任意保険会社に代わりに行ってもらうことができますが、加害者の過失が100%のケースでは、自身が加入している保険会社の負担は0ですので、示談交渉を代わりに行ってもらうことはできません。
自身で、加害者など損害賠償を請求できる者に対して、直接請求し、交渉する必要があります。

(1)納得していないなら示談を成立させない

自分の受けた被害について適切な賠償を受けるためにも、希望額を伝えて、納得できない点については反論するようにします。
話し合いには時間がかかるかもしれませんが、一度示談を成立させてしまうと、後で自分に不利な点に気づいたとしても基本的に示談をやり直すことはできません。
賠償を受けられず経済的に困窮してしまうような場合には、示談成立前に、「被害者請求」をすることにより加害者加入の自賠責保険から直接保険金を受け取ることもできますので、自賠責保険や専門家に問い合わせてみてください。

(2)慰謝料以外も計算して請求する

請求することのできる損害賠償の項目は、交通事故の被害内容によって異なります。
項目の一例は次の通りですが、漏れがないよう、それぞれの項目について計算するようにしましょう。

  • 自動車の修理代
  • 入院雑費
  • 治療費
  • 通院費
  • 付添看護費
  • 休業損害
  • 傷害慰謝料
  • 逸失利益
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料
  • 葬儀関係費
  • 将来看護費 など

(3)損害賠償請求の時効が来る前に話し合う

交通事故の被害者は、加害者に対して、交通事故により受けた損害について賠償請求することのできる権利があります。
しかし、未来永劫いつでも請求できるわけではなく、法律上、請求できる期間が決まっており、それを消滅時効といいます。消滅時効が完成してしまうと、この損害賠償請求権は行使することができなくなります。
権利があるのにそれを行使せずに放置する人まで法律上保護する必要はない、と考えられているためです。

加害者に対する損害賠償請求権の時効は、損害及び加害者を知った時から、人身事故で5年、物損事故で3年です(民法724条の2、2020年4月1日以降に発生した人身事故の場合)。
この消滅時効が完成する前に、示談を成立させるように話し合いをすすめるとよいでしょう。
なお、一定の行為を取ることで時効の完成を阻止することができますので、時効完成が近づいていてもあきらめずに、弁護士に相談して対処してもらうとよいでしょう。

加害者の自賠責保険に対する被害者請求権も時効にかかります。この時効は、人身事故であっても3年で完成しますので注意するようにします(自賠法19条、2010年3月31日以前の事故の場合は2年)。
具体的な時効期間は、傷害部分の損害については事故日から、死亡の損害については死亡日から3年間です。後遺症部分の損害については、実務的には症状固定日または最後の等級認定からと考えられていますが、事故時とする考え方もあり、難しい議論がありますので、個別具体的には弁護士の意見を聞くようにしましょう。
3年以内に請求が困難な場合には、実務上、自賠責保険に対して時効中断申請を行うことによって、中断時から新たに3年間の時効期間が進行しますので、忘れずに申請するようにしましょう(2010年3月31日以前の事故の場合は2年延長)。

【まとめ】交通事故に関するお悩みは弁護士に相談を

自動車の事故に遭ってしまっても、加害者が任意保険に加入していれば、任意保険との示談に交渉により損害賠償をしてもらうことができます。
しかしながら、加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者加入の自賠責保険や、加害者本人などと交渉して賠償金を受け取る必要があります。
自賠責保険や加害者本人への請求は、自分自身で行うこともできますが、不安な点がありましたら、交通事故を取り扱う弁護士に一度相談することをお勧めします。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-250-742
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています