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煽り運転への仕返しに急ブレーキは違法?煽り運転への正しい対処法を解説

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2020年秋、「やられたらやり返す!1000倍返しだ!」とのセリフが世間を賑わせました。
もっとも、それはドラマの世界だからこそ面白いのであって、現実世界で仕返しをしようとすると自らの身も滅ぼしかねません。特に自動車の運転中に仕返しをしようとすると、他の対向車や歩行者を巻き込んだ事故となり、刑事責任を問われる可能性もあります。
そこで、今回は「煽り運転への正しい対処法」を弁護士が解説します。

煽り運転とは?

次の行為は、煽り運転にあたります。

  • 後方から車間距離を詰める
  • 執拗な追跡、幅寄せ
  • 挑発的な運転(主に蛇行)
  • 過度なパッシングやハイビームの点灯
  • クラクションを鳴らす

警察庁の発表によると、煽り運転の約8割は「後方からの著しい接近」でした。さらに、警察に摘発されたケースのうち約4割のケースで、加害者が1キロ以上にわたって煽り運転を続けていたことがわかりました。

参照:「あおり被害経験」35% 8割は「後ろから接近」―警察庁調査|JIJI.COM
参照:あおり運転、4割が1キロ超の挑発 22%は同乗者あり|朝日新聞デジタル

煽り運転は厳罰対象!2020年6月30日から「妨害運転罪」が施行

従来、煽り運転は暴行罪や傷害罪、危険運転致死傷罪として処罰されていました。
しかし、これでは実態に応じた適切な取締りができないので、2020年6月30日、道路交通法が改正され、妨害運転に対する罰則や行政処分が整備されました。

妨害運転罪は、危険度に応じて、2種類に区別できます。

  1. 妨害運転(交通の危険のおそれ)
    他の車両等の通行を妨害する目的で一定の違反行為をして、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした場合。
  2. 妨害運転(著しい交通の危険)
    1の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合。

悪質なケースでは、行政処分だけでなく、刑事罰が科せられることになります。

対象となる行為刑事罰行政罰
妨害運転
(交通の危険のおそれ)
3年以下の懲役
または
50万円以下の罰金
免許取消し
違反点数25点
欠格期間2年(※)
妨害運転
(著しい交通の危険)
5年以下の懲役
または
100万円以下の罰金
免許取消し
違反点数35点
欠格期間3年(※)

※前歴や累積点数があると、交通の危険のおそれを生じさせた場合に最長5年、著しい交通の危険を生じさせた場合に最長10年になります。

煽り運転への仕返しに急ブレーキは違法

後方からの著しい接近に対して、急ブレーキをかけて仕返ししようと思うかもしれません。
しかし、「危険を防止するためやむを得ない場合」を除き、急ブレーキをかけることは許されません(道路交通法24条)。煽り運転に対する仕返しとして急ブレーキをかけることは、「やむを得ない場合」とはいえないので、道路交通法24条に反します。

煽り運転に対する仕返しとして急ブレーキをかけることは、急ブレーキ禁止違反となります。違反点数2点と反則金5000~9000円が科せられ、反則金を支払わなければ、刑事裁判となり、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられることになります。

急ブレーキをかけたことによって、人の死傷する事故が起きるとさらに重い処分が科せられる可能性があります。煽り運転をした人が許せないからといって、自らの人生まで台無しにするリスクを冒すことはないでしょう。

急ブレーキが許される場合

急ブレーキの許される「危険を防止するためやむを得ない場合」とは、次のような状況をいいます。

  1. 歩行者や自転車が突然飛び出してきた
  2. ETCの挿入を忘れてゲートが開かなかった
  3. 天候が急変して急に視界が悪くなった
  4. シカやイノシシ等が突然飛び出してきた
  5. 突然割り込まれた

ただし、急ブレーキをかけても良いかは個別具体的に判断されるため、ここで挙げたケースでも急ブレーキ禁止違反となることがあるので、注意してください。

このような状況でも、急ブレーキをかけることなく通行することが無難です。たとえば2.ETCレーンは時速20キロメートル以下で通行することが求められています。徐行して進入すれば、ETCの挿入を忘れていても急ブレーキをかけずに済むはずです。

違法な急ブレーキによる事故の責任

急ブレーキは追突事故を引き起こしかねない危険なものです。
追突事故の場合、通常は追突した側が責任を負いますが、追突された側の急ブレーキが原因の場合には追突された側も一定の責任を負います。過失割合の目安は、次のとおりです。

追突した側追突された側
一般道路7030
高速道路5050

煽り運転をした側よりも急ブレーキをかけた方の責任が重いと判断される可能性もあるのです。

煽り運転の被害にあわないための予防策

警察庁が2018年、2019年に刑法を適用した事例(131件)を調べたところ、加害者側の約9割が「進行を邪魔された」など被害者側の行為を原因に挙げたことがわかりました。
最も多かったのは、47件の加害者が回答した「進行を邪魔された」です。次に、「割り込まれた・追い抜かれた(29件)」、「車間距離を詰められた(11件)」と続きます。
加害者の思い込みによることも多いのですが、勘違いされないように自衛することも大切です。

参照:あおり運転、一方的な思い込みが半数 警察庁初調査|日本経済新聞

(1)十分に車間距離をとる

追突事故を避けるためにも十分な車間距離をとることが大切です。
一般に高速道路では、速度と同じだけ車間距離を空けるのがよいとされ、一般道路では高速道路ほどではないものの近づきすぎないように注意したほうがよいとされています。
高速道路には車間距離を確認する車間距離確認表示板が設けられていますので、それを目安にするといいでしょう。

もっとも、前を走る車との距離を正確に把握することはなかなか難しいかもしれません。
高速道路であれ一般道路であれ、前の車が通過した地点を通過するのに最短でも2秒置く必要があるといわれています。

横の車両との車間(側方間隔)、後ろの車両との車間もほどよく空けることが大切です。

(2)みだりに車線変更をしない

複数車線の道路では、車線変更をみだりにせず、基本的に一番左側の車線を走行しましょう。
右側の車線は前の車を追い越すときにのみ利用し、また、車線変更するときにはバックミラーや目視で十分に安全確認を行ってください。

(3)急な割り込みをしない

急な割り込みや無理な幅寄せをせずに、思いやりを持った運転を心がけましょう。
車両同士では顔が見えない分、反感を買いやすいのも事実です。
自分ではこのくらい許されると思える運転でも、強引な運転には注意してください。

(4)後続車に接近されたら急ブレーキをかけるのではなく道を譲る

時折ミラーで後方を確認して、後続車が速度を上げて接近して来たら、少し左にそれて道を譲りましょう。

(5)ドライブレコーダーを装着する

前方だけでなく後方を確認できるドライブレコーダーが煽り運転の対策として有効です。煽り運転をする人がドライブレコーダーの存在を認識してくれるかはわかりませんが、実際に煽り運転の被害に遭ってしまったときには何よりも重要な証拠となります。

ドライブレコーダーを装着していない状態で煽り運転の被害に遭ったなら、同乗者に煽り行為をスマホで撮影してもらったりナンバープレートの番号を控えてもらったりするのが良いでしょう。もっとも、高速道路などシートベルトを外して後ろを振りむくことが危険な場合には、証拠を残すことよりも身を守ることを優先すべきです。

煽り運転を受けたときの対応策

煽り運転をされたときには、急ブレーキで仕返ししようとするのではなく、速やかに道を譲り、なるべく関わり合いにならないことが大切です。もし追い回されたら、道路上には停車せず、人目のある駐車場やサービスエリアなど安全なところへ移動して110番通報をしましょう。あらかじめハンズフリーのワイヤレススピーカーを設置しておくと運転しながら110番通報をすることができます。
車を止めたら、ドアを必ずロックし、警察官が到着するまで車内で待機します。

【まとめ】煽り運転の被害に関して弁護士へ相談しよう

煽り運転への仕返し目的で急ブレーキをかけることは違法であり、自身も法的責任を負いかねません。急ブレーキは危険であり、自身だけではなくまわりの無関係な人まで巻き込むおそれがあるので、煽り運転をした相手に対しては、仕返しなどの私的制裁ではなく、弁護士や警察と相談して法的手段を検討するようにしてください。

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