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煽り運転への仕返しに急ブレーキは違法?煽り運転への正しい対処法を解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

煽り運転をされたら、大変腹立たしいことでしょう。
「やられたらやり返す!倍返しだ!」とのセリフが世間を賑わせましたが、ドラマではなく現実世界で仕返しをしようとすると、自らの身を滅ぼしかねません。煽り運転をされ、自動車の運転中に仕返しをしようとすると、他の車や歩行者を巻き込んだ事故となり、刑事責任を問われる可能性もあります。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 煽り運転とは
  • 煽り運転の被害にあわないための予防策
  • 煽り運転をされたときの対応策
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

煽り運転とは?

次の行為は、煽り運転にあたります。

  • 後方から車間距離を詰める
  • 執拗な追跡、幅寄せ
  • 挑発的な運転(主に蛇行)
  • 過度なパッシングやハイビームの点灯
  • クラクションを鳴らす

警察庁の発表によると、煽り運転の約8割は「後方からの著しい接近」でした。さらに、警察に摘発されたケースのうち約4割のケースで、加害者が1キロ以上にわたって煽り運転を続けていたことがわかりました。

参照:「あおり被害経験」35% 8割は「後ろから接近」―警察庁調査|JIJI.COM

煽り運転は厳罰対象!2020年6月30日から「妨害運転罪」が施行

従来、煽り運転は暴行罪や傷害罪、危険運転致死傷罪として処罰されていました。
しかし、これでは実態に応じた適切な取締りができないので、2020年6月30日、道路交通法が改正され、妨害運転に対する罰則や行政処分が整備されました。
妨害運転罪は、危険度に応じて、2種類に区別されます。

  1. 他の車両等の通行を妨害する目的で一定の違反行為をして、他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある運転をした場合
  2. 1行為によって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合

悪質なケースでは、行政罰だけでなく、刑事罰が科せられることになります。

対象行為刑事罰行政罰
他の車両等の通行を妨害する目的で、あおり運転を行った場合3年以下の懲役(※1)
または
50万円以下の罰金
免許取消し
違反点数25点
欠格期間2年(※2)
上記行為によって著しい交通の危険を生じさせた場合5年以下の懲役(※1)
または
100万円以下の罰金
免許取消し
違反点数35点
欠格期間3年(※2)
※1 2022年6月の刑法改正で、懲役刑と禁錮刑は廃止され、拘禁刑に一本化されました。改正刑法は2025年頃までに施行される予定です。
※2 前歴や累積点数があると、交通の危険のおそれを生じさせた場合に最長5年、著しい交通の危険を生じさせた場合に最長10年になります。

妨害運転罪について詳しくはこちらをご覧ください。

あおり運転をされないための対策5つ!妨害運転罪についても解説

煽り運転への仕返しに急ブレーキは違法

後方から著しい接近をされた場合、急ブレーキをかけて仕返ししようと思うかもしれません。
しかし、「危険を防止するためやむを得ない場合」を除き、急ブレーキをかけることは許されません(道路交通法24条)。煽り運転に対する仕返しとして急ブレーキをかけることは、「やむを得ない場合」とはいえないので、道路交通法24条に反します。

違反点数2点と反則金5000~9000円が科せられ、反則金を期限内に支払わなければ、刑事裁判となり、罰金刑を科せられる可能性があります。
急ブレーキをかけたことによって人の死傷する事故が起こった場合、さらに重い処分が科せられる可能性があります。煽り運転をした人が許せないからといって、自らの人生を台無しにするリスクを冒すことはないでしょう。

急ブレーキが許される場合

急ブレーキの許される「危険を防止するためやむを得ない場合」とは、次のような状況をいいます。

  1. 歩行者や自転車が突然飛び出してきた
  2. 天候が急変して急に視界が悪くなった
  3. シカやイノシシ等が突然飛び出してきた
  4. 突然割り込まれた

ただし、急ブレーキをかけても良いかは個別具体的に判断されるため、ここで挙げたケースでも急ブレーキ禁止違反となることがあるので、注意してください。

このような状況でも、急ブレーキをかけることなく通行することが無難です。たとえば、ETCレーンは時速20km以下で通行することが求められています。徐行して進入すれば、ETCの挿入を忘れていても急ブレーキをかけずに済むはずです。

違法な急ブレーキによる事故の責任

急ブレーキは追突事故を引き起こしかねない危険なものです。
追突事故の場合、通常は追突した側が責任を負いますが、追突された側の急ブレーキが原因の場合には追突された側も一定の責任を負うことになります。
煽り運転をした側よりも、仕返しに急ブレーキをかけた側の責任の方が重いと判断される可能性もあるのです。

煽り運転の被害にあわないための予防策

煽り運転にあわないに越したことはありませんので、まずは煽り運転の被害を予防するための対策をご紹介します。

(1)十分に車間距離をとる

追突事故を避けるためにも十分な車間距離をとることが大切です。高速道路には車間距離を確認する車間距離確認表示板が設けられていますので、それを目安にするといいでしょう。

もっとも、前を走る車との距離を正確に把握することはなかなか難しいかもしれません。
高速道路であれ一般道路であれ、前の車が通過した地点を通過するのに最短でも2秒置く必要があるといわれています。

横の車両との車間(側方間隔)、後ろの車両との車間もほどよく空けることが大切です。

(2)みだりに車線変更をしない

複数車線の道路では、みだりに車線変更をせず、基本的に一番左側の車線を走行しましょう。
右側の車線は前の車を追い越すときにのみ利用し、また、車線変更するときにはバックミラー、サイドミラー、目視で十分に安全確認を行ってください。

(3)急な割り込みをしない

急な割り込みや無理な幅寄せをせずに、思いやりを持った運転を心がけましょう。
車両同士では顔が見えない分、反感を買いやすい場合があります。
自分ではこのくらい許されると思える運転でも、強引な運転には注意してください。

(4)後続車に接近されたら道を譲る

時折ミラーで後方を確認して、後続車が速度を上げて接近して来たら、仕返しに急ブレーキをかけるのではなく、少し左にそれて道を譲りましょう。

(5)ドライブレコーダーを装着する

前方だけでなく後方も確認できるため、ドライブレコーダーをあらかじめ車に装着しておきましょう。煽り運転をする人がドライブレコーダーの存在を認識してくれるかはわかりませんが、実際に煽り運転の被害に遭ってしまったときには何よりも重要な証拠となります。

ドライブレコーダーを装着していない状態で煽り運転の被害に遭ったなら、同乗者に煽り行為をスマホで撮影してもらったり、ナンバープレートの番号を控えてもらったりすると良いでしょう。
もっとも、証拠を残すことよりも身を守ることを優先すべきです。

煽り運転をされたときの対応策

煽り運転をされたときには、なるべく関わらないことが重要です。
急ブレーキで仕返ししようとするのではなく、速やかに道を譲るようにしてやり過ごしましょう。
もし追い回されたら、道路上には停車せず、人目のある駐車場やサービスエリアなど安全な場所へ移動して110番通報をしてください。あらかじめハンズフリーのワイヤレススピーカーを設置しておけば、運転しながら110番通報をすることができます。
車を止めたら、ドアを必ずロックし、警察官が到着するまで車内で待機するようにしてください。

【まとめ】煽り運転をされても関わり合いにならないことが重要!仕返しで急ブレーキは重大な事故につながるリスクあり

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 2020年6月30日から「妨害運転罪」が施行され、悪質なケースでは行政罰だけでなく、刑事罰が科せられる
  • 煽り運転に対する仕返しとして急ブレーキをかけることは、道路交通法24条に反する違法行為
  • たとえ煽り運転をされた側であっても、仕返しの急ブレーキが原因で追突事故が発生した場合、その責任を負うことになる
煽り運転の被害にあわないための予防策
  • 十分に車間距離をとる
  • 複数車線の道路ではみだりに車線変更をしない
  • 急な割り込みや無理な幅寄せなど、強引な運転をしない
  • 後続車に接近されたら急ブレーキをかけるのではなく道を譲る
  • ドライブレコーダーを装着する
  • 煽り運転をされたときは、なるべく関わり合いにならないようにする
  • 追い回された場合には、道路上には停車せず安全な場所へ移動して110番通報をする

煽り運転への仕返し目的で急ブレーキをかけることは違法であり、自分も法的責任を負いかねません。急ブレーキは危険であり、まわりの無関係な人まで巻き込むおそれがあるので、煽り運転をした相手に対しては、仕返しなどの私的制裁ではなく、弁護士や警察に相談して法的手段を検討するようにしてください。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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