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交通事故裁判、和解案に納得できなければ拒否しても大丈夫?

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「交通事故にあってケガをして裁判になった…。裁判所の提示する和解に納得できない場合、拒否したらどうなるの?」

交通事故の被害にあった場合、まずは加害者側(加害者やその任意保険会社)と賠償金の金額などについて示談交渉をするのが一般的ですが、交渉がまとまらない場合、最終的には裁判に移行することになります。

交通事故の裁判は7割以上が和解で終了し、判決によって終了するのは2割程度に過ぎません。
裁判で和解をすると、敗訴リスクを避けることができ、判決に比べて早期に問題の解決が可能です。
他方、裁判で和解をするためには、必ず当事者双方が譲歩しなければいけませんから、100%の請求は認められません。

この記事では、次の内容について弁護士がご説明します。

  • 裁判で和解をするメリット・デメリット
  • 裁判所の提示する和解を拒否する場合

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交通事故に関する4種類の「和解」の機会

「和解」とは、当事者双方がお互いに譲歩することで合意し、紛争を終わらせることをいいます。
裁判で裁判官に判断してもらう判決によるのではなく、当事者どうしの話合いで自主的に紛争を解決する方法です。

交通事故の損害賠償金に関しては、次の4つの場面で和解の機会があります。

  1. 当事者間での示談
  2. 交通事故紛争処理センター等での和解
  3. 簡易裁判所での調停
  4. 裁判上の和解

(1)示談

当事者どうしの話合いのみで合意することをいいます。
交通事故が起きた時、まずは当事者どうしで示談交渉が行われます。

(2)交通事故紛争処理センター等での和解

当事者だけの話合いでは解決が難しい場合に、交通事故紛争処理センターという民間団体などに和解案を提示してもらいながら合意を目指す方法(いわゆる「ADR」)です。
交通事故紛争処理センターについて詳しくは、こちらの記事もご確認ください。

交通事故紛争処理センターとは?メリットと利用法を弁護士が解説

(3)簡易裁判所での調停

簡易裁判所という公的な機関に調停案を提示してもらいながら合意を目指す方法です。
調停は、当事者が合意して紛争を終わらせるという点で和解とほぼ同じです。

参考:民事調停手続|裁判所 – Courts in Japan

(4)裁判上の和解

紛争が訴訟にまで進んだ場合に、裁判手続の中で当事者どうしが話合いをして合意に至る方法です。

いずれの機会においても、和解の成立には「当事者双方の譲歩」と「当事者間の権利関係に関する争いをやめる約束」が必要です(民法695条・696条)。
要するに、和解とは、当事者双方がお互いに折り合いを付けながら、合意に至るイメージです。
なお、今ご説明した4つのうち、3.簡易裁判所での調停と4.裁判上の和解には、強制執行力があります。
つまり、相手方が和解で合意した約束を守らず、賠償金の支払いをしない場合、裁判所を通じて財産や給料の差押えを行うことによって強制的に賠償金を支払わせることができます。
これに対し、1.示談と2.交通事故紛争処理センターでの和解には、合意された内容に強制執行力はありません(公正証書により示談書を作成した場合は除く)。

強制執行力がないとどうなるのですか?

相手方が賠償金を支払わなくても、相手方の財産の差押えはできません。
相手方の財産を差し押さえるには、裁判を起こして判決を得るなどが必要になります。

差押えの要件などについて詳しくはこちらの記事もご確認ください。

差押えの仕組みと流れを徹底解説!どんな財産が差押え対象となる?

交通事故の裁判での和解タイミングと、メリット・デメリット

それでは、4.裁判上の和解について少し詳しく説明します。 

民事裁判では、和解に向けた話合いは、裁判の審理と並行しつつ判決が出るまでの間であればいつでも行うことができます。
つまり、裁判の途中でも、お互いの話合いが付けば判決を求めずに和解をすることができます。
裁判官は、当事者双方の主張や証拠を検討した上で、これくらいの金額なら妥当だろうという和解案を提示してきます。
これを受けた各当事者は、それを受けるか拒否するかを決めることができます。
裁判官の提案だからと言って、拒否できないわけではありません。
また、和解はしたいけれど金額に納得できないという場合には、裁判官を通じて金額について相手方と話合い、金額に折合いがつけば合意した金額で和解をすることもできます。
裁判上の和解がなされると「和解調書」が作成されます。
和解調書には、強制執行力がありますので、和解後、相手方が和解で決められた賠償金を支払わない場合には、相手方の財産を差し押さえることができます。
なお、裁判中に裁判所を介さずに当事者どうしで和解することもできますが(これを「裁判外の和解」といいます)、そこで作成された合意書(和解書)には強制執行力はないので注意が必要です。

和解に強制執行力を持たせるためには、必ず裁判上での和解が必要です。

裁判上の和解が成立すると、訴訟はそこで終了します。
なお、2019年度に全国の地方裁判所に提起された交通事故訴訟(1万4506件)のうち、判決により終了した事件は2680件(18.4%)、和解により終了した事件は1万0609件(73.1%)と、和解で終了する割合は判決よりもかなり高くなっています。

参考:裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)資料2-1-1|裁判所 – Courts in Japan

裁判になっても、全ての事件が判決で終わるわけではなく、和解によって終了するケースも多いことがうかがえます。

(1)和解をするメリット

判決ではなく、和解により紛争を終わらせることには、メリット・デメリットの両方があります。まず、メリットから見ていきましょう。

(1-1)敗訴するリスクを避けられる

判決の場合は敗訴してしまうリスクがあります。
仮に、こちら側の主張が裁判所に全く認めてもらえずに敗訴してしまった場合、相手方からは1円も支払ってもらえません。
判決には、敗訴すると賠償金がゼロになってしまうリスクがあるのです。
これに対し和解は、「勝ちか負けか」を決めることはしません。
和解ではお互いが譲歩することが必要なため、こちら側の言い分が100%通ることはありませんが、逆にゼロになることもありません。
話合いを通じて、お互いが納得できる結論を導き、敗訴するリスクを避けるというメリットがあります。

(1-2)具体的な金額を認識した上で協議できる

判決では、自分が請求した金額について認められるか・認められないかの二択しかありません。
どちらの結果になるかは、判決が出るまで分かりません。
勝訴を確信していたのに、蓋を開けてみたら敗訴だった、あるいは賠償金のほんの一部しか認められなかったということも当然あり得ます。
これに対し和解は、お互いが納得できる金額を具体的に提示し合いながら協議を進めます。
これにより、予想外の結果を避けられるというメリットがあります。

(1-3)判決を待つのに比べて、早期に解決ができる

判決は、全ての審理を尽くした後、裁判の最後の段階で下されます。
事件によっては審理が長引き、判決までに2年も3年もかかることが珍しくありません。
さらに、裁判で勝訴しても、相手が控訴(※判決を不服として、さらに上級の裁判に改めて判断してもらうことです)すると、さらに解決まで時間がかかります。
これに対して和解は、話合いがまとまれば、そこで紛争は終了となります。
つまり、和解は判決に比べて、解決が早くなるという大きなメリットがあります。

(1-4)本人尋問で裁判所に出廷する必要がなくなる

裁判では、当事者である原告と被告の双方が裁判所に出向いて、お互いの質問に答えることが求められます。
これを本人尋問といい、精神的にも時間的にも非常に大きな負担となります。
この点、本人尋問の前に和解ができれば、本人尋問のためにわざわざ裁判所に出向く必要はなくなります(※本人尋問の後であっても、判決が出る前であれば和解は可能です)。

(1-5)事故相手からスムーズに損害賠償金が支払われる可能性が高い

和解は、当事者どうしの話合いの結果、お互いが納得して行われるものです。
したがって、裁判所から一方的に言い渡される判決に比べ、相手方からスムーズに賠償金が支払われる可能性が高くなります。

仮に和解で合意したとおりに賠償金が支払われなくても、先ほどご説明したとおり、和解調書には強制執行力がありますから、相手の財産に対して強制執行をすることが可能となるのです。

(2)和解するデメリット

他方、和解には次のようなデメリットもあります。

(2-1)こちら側の主張が完全には認められない

メリットのところで述べたように、判決の場合、勝訴すればこちら側が主張した請求額が全額認められる可能性があります。

これに対し和解では、お互いが譲歩して金額を決めていくため、こちら側が主張する請求額が完全には認められないというデメリットがあります。

(2-2)通常、遅延損害金を受け取れない

遅延損害金とは、金銭の支払いが遅れた場合に課されるペナルティです。
交通事故で被害者にケガを負わせた場合、加害者は被害者に対して、事故の当日から実際に賠償金を支払うまでの間の遅延損害金を支払わなければなりません。
判決の場合、被害者は加害者に対し、賠償金に加えてこの遅延損害金(2020年4月1日以降の交通事故については年3%)も請求できます。
しかし、和解の場合は通常、遅延損害金は放棄することが多いです。
ですから、遅延損害金は請求できないか、またはできたとしても少額となります。

(2-3)損害賠償金に弁護士費用を上乗せできない

判決の場合、勝訴すれば裁判のためにかかった弁護士費用の一部(通常は認容された賠償額の10%程度)も相手方に請求できます。
これに対し和解では、被害者は加害者に対して弁護士費用の請求はできないか、またはできたとしても少額にとどまります。

ただし、弁護士費用特約が付いている保険に加入している場合には、弁護士費用は保険会社が支払います!

裁判官からの和解案に納得できない!拒否しても大丈夫?

まず、通常の裁判の流れと和解のタイミングについて簡単にご説明します。

【裁判の流れと和解のタイミング】

通常、交通事故の裁判では、争点(=争いのポイント)が整理されて証拠が出揃うと、事故の目撃者や当事者双方に対する尋問手続に入ることになります。
そして、この尋問手続に入る前のタイミングで、裁判所が当事者に対し和解案を示して和解の勧告を行ないます。
表のとおり、この段階では、原告も被告もお互いに主張や書面による証拠を出し尽くしていますので、裁判官も事案の内容を詳細に把握しています。
ですから、交通事故の場合、裁判所は損害の明細などの証拠に基づいて、和解案の根拠をかなり詳しく示してくれることも多いです。

和解案を拒否するとどうなる?

では、裁判所から示された和解案を拒否するとどうなるのでしょうか。
裁判の当事者には、裁判所が示した和解案を拒否する自由がもちろんあります。
もっとも、裁判所の和解案は、裁判官が書こうとしている判決の内容と大差ない傾向があります。

証人尋問・当事者尋問が残っているとは言え、基本的には証人や当事者の話す内容は「供述書」という形ですでに裁判に提出されていますから、証人尋問・当事者尋問によって劇的に裁判官の判断が変わってしまうことは多くはないのです。

したがって、たとえ裁判所の和解案を拒否したとしても、後の判決で、和解案とほぼ同じ内容の判決が出る可能性は高いです。
そこで、どうせ同じような結論になるなら、裁判所の和解案を受け入れて争いを早めに終わらせるという手もあります。
他方、判決では、損害賠償金に加えて遅延損害金や弁護士費用も加算されるというメリットがあります。
判決を待つか、和解を選ぶかは悩ましいところです。
こちら側に有利な証拠が十分揃っており、確実に勝訴できそうなら判決を選ぶのも一つの手です。
ただし、相手方から控訴されると解決はさらに先になります。
他方、勝訴が微妙な時は、金額については多少妥協しつつ、確実な支払いを受けるため和解を選ぶほうがよい場合もあります。
いずれにしても、それまでの裁判の経過やこちら側が有している証拠、裁判官の態度などを総合的に見て、どちらを選ぶか慎重に判断するしかありません。

和解に応じるかどうかは、判決の見込みなどから慎重に検討する必要があります。
まずは弁護士に相談されることをお勧めします。

【まとめ】交通事故の和解は、早期に問題を解決できるというメリットがある

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 交通事故の和解のタイミングは次の4つ。
    1. 当事者間での示談
    2. 交通事故紛争処理センターでの和解
    3. 簡易裁判所での調停
    4. 裁判上の和解
  • 裁判で和解をするメリットは次の5点。
    1. 敗訴するリスクを避けられる
    2. 具体的な金額を認識した上で協議ができる
    3. 判決よりも早期に解決ができる
    4. 本人尋問のために裁判所に出廷する必要がなくなる
    5. 事故の相手方からスムーズに賠償金が支払われる可能性が高い
  • 裁判で和解をするデメリットは次の3点。
    1. こちらの主張が完全には認められない(お互いの譲歩が必要なため)
    2. 通常、遅延損害金が受け取れなくなる
    3. 損害賠償金に弁護士費用を上乗せできない
  • 裁判所の提示する和解案を拒否することもできる。ただし、判決内容は、裁判所の提示する和解案からそれほど離れないことが多い。

判決と和解のどちらを選ぶべきか、また和解するにしてもどのような条件で和解するかは、なかなか判断が難しいものです。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年7月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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