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交通事故裁判、和解案に納得できなければ拒否しても大丈夫?

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交通事故にあってケガをした場合、事故の相手方に対して治療費や慰謝料などの損害賠償を請求できます。その場合、まず加害者(または加害者側の保険会社)と金額などについて示談交渉をするのが一般的ですが、交渉がまとまらない場合、最終的には裁判に移行することになります。
この記事では、主に裁判中に行われる和解について、弁護士が解説します。

交通事故に関する4種類の「和解」の機会

和解とは、当事者双方がお互いに譲歩することで合意し、紛争を終わらせることをいいます。
裁判の判決によるのではなく、当事者どうしの話し合いで自主的に紛争を解決する方法です。
交通事故の損害賠償金に関しては、

  1. 示談
  2. 交通事故紛争処理センターでの和解
  3. 簡易裁判所での調停
  4. 裁判上の和解

の4つの場面で和解の機会があります。

(1)示談

当事者どうしの話し合いのみで合意することをいいます。交通事故が起きた時、まずは当事者どうしで示談交渉が行われます。

(2)交通事故紛争処理センターでの和解

当事者だけの話し合いでは解決が難しい場合に、交通事故紛争処理センターという民間団体に和解案を提示してもらいながら合意を目指す方法です。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

交通事故紛争処理センターとは?業務内容や利用方法を解説

(3)簡易裁判所での調停

簡易裁判所という公的な機関に調停案を提示してもらいながら合意を目指す方法です。調停は、当事者が合意して紛争を終わらせるという点で和解とほぼ同じです。

(4)裁判上の和解

紛争が訴訟にまで進んだ場合に、裁判手続きの中で当事者どうし話し合いをして合意に至る方法です。

いずれの機会においても、和解の成立には「当事者双方の譲歩」と「当事者間の権利関係に関する争いをやめる約束」が必要です(民法695条・696条)。
要するに、当事者双方がお互いに折り合いを付けながら、合意に至るイメージです。
なお、上記の4つのうち、3.簡易裁判所での調停と4.裁判上の和解には、強制執行力があります。つまり、相手方が和解で合意した約束を守らず、支払いをしてこない場合、裁判所を通じて財産や給料の差押えを行うことによって強制的に支払わせることができます。
これに対し、1.示談と2.交通事故紛争処理センターでの和解には、合意された内容に強制執行力はありません(公正証書により示談書を作成した場合は除く)。

交通事故の裁判での和解タイミングと、メリット・デメリット

以下では、4の裁判上の和解について少し詳しく説明します。
民事裁判では、和解に向けた話し合いは、審理と並行しつつ判決が出るまでの間いつでも行うことができます。つまり、裁判の途中でも、お互いの話し合いが付けば判決を待たずに和解をすることができます。
裁判官は、当事者双方の主張や証拠を検討した上で、これくらいの金額なら妥当だろうという和解案を提示してきます。これを受けた各当事者は、それを受けるか拒否するかを決めることができます。
裁判上の和解がなされると「和解調書」が作成されます。和解調書には、上に述べたように強制執行力があります。
なお、裁判中に裁判所を介さずに当事者どうしで和解することもできますが(これを「裁判外の和解」といいます)、そこで作成された合意書(和解書)には強制執行力はないので注意が必要です。
裁判上の和解が成立すると、訴訟はそこで終了します。
なお、2019年度には全国の地方裁判所に13万1560件の民事訴訟が提起されました(行政訴訟を含む)。そのうち判決により終了した事件は5万7543件(43.7%)、和解で終了した事件は5万626件(38.4%)となっています。

参考:第19表 第一審通常訴訟既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所|裁判所 – Courts in Japan

また、交通事故の事件に限って見ると、2018年度に全国の地方裁判所に提起された交通事故訴訟(1万5705件)のうち、判決により終了した事件は3152件(20.1%)、和解により終了した事件は1万1759件(74.9%)と、和解で終了する割合はさらに高くなっています。

参考:裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)資料2-1-1|裁判所 – Courts in Japan

裁判になっても、全ての事件が判決で終わるわけではなく、和解によって終了するケースも多いことがうかがえます。

(1)和解するメリット

判決ではなく、和解により紛争を終わらせることには、メリット・デメリットの両方があります。まず、メリットから見ていきましょう。

(1-1)敗訴したり、控訴を受けたりするリスクを避けられる

判決の場合は敗訴してしまうリスクがあります。仮に、こちら側の主張が裁判所に認めてもらえず敗訴してしまった場合、相手方からは1円も支払ってもらえません。
判決には基本的に「勝ちか負けか」の二択しかありません。勝訴すれば全額支払ってもらえることになりますが、敗訴するとゼロになってしまうリスクがあるのです。
また、裁判では、同じ事件について3回まで審理を受けることができます。仮に初回の第一審で勝ったとしても、これを不服とした相手方が控訴(こうそ)すると裁判は第二審に移り、今度はそちらで負けてしまうというリスクもあります。
これに対し和解は、「勝ちか負けか」を決めることはしません。お互いが譲歩するため、こちら側の言い分が100%通ることはありませんが、逆にゼロになることもありません。話し合いを通じて、お互いが納得できる結論を導けるというメリットがあります。
また、いったん和解がなされれば、後から合意の内容を覆されることはないため安心です。

(1-2)具体的な金額を認識した上で協議できる

判決では、自分が請求した金額について認められるか(100%)・認められないか(0%)の二択しかありません。どちらの結果になるかは、判決が出るまで分かりません。勝訴を確信していたのに、蓋を開けてみたら敗訴だったということも当然あり得ます。
これに対し和解は、お互いが納得できる金額を具体的に提示し合いながら協議を進めます。これにより、予想外の結果を避けられるというメリットがあります。

(1-3)判決を待つのに比べて、解決を前倒しできる

判決は、全ての審理を尽くした後、裁判の最後の段階で下されます。事件によっては審理が長引き、判決までに2年も3年もかかることが珍しくありません。
これに対して和解は、話し合いがまとまれば、そこで紛争は終了となります。つまり、和解は判決に比べて、解決を前倒しできるメリットがあります。

(1-4)本人尋問で裁判所に出廷する必要がなくなる

裁判では、当事者双方が裁判所に出向いてお互いの質問に答えることが求められます。これを本人尋問といい、精神的にも時間的にも非常に大きな負担となります。
この点、本人尋問の前に和解ができれば、本人尋問のためにわざわざ裁判所に出向く必要はなくなります。

(1-5)事故相手からスムーズに損害賠償金が支払われる可能性が高い

和解は、当事者どうしの話し合いの結果、お互いが納得して行われるものです。したがって、裁判所から一方的に言い渡される判決に比べ、相手方からスムーズに賠償金が支払われる可能性が高くなります。
仮に和解で合意した賠償金が支払われなくても、裁判上の和解の際に作成される和解調書の効力によって、支払いを強制執行することが可能となります。

(2)和解するデメリット

他方、和解には次のようなデメリットもあります。

(2-1)こちら側の主張が完全には認められない

メリットのところで述べたように、判決の場合、勝訴すればこちら側が主張した請求額が全額認められるのが原則です。これに対し和解では、お互いが譲歩して金額を決めていくため、こちら側が主張する請求額が完全には認められないというデメリットがあります。

(2-2)通常、遅延損害金を受け取れない

遅延損害金とは、金銭の支払いが遅れた場合に課されるペナルティです。
交通事故で被害者にケガを負わせた場合、加害者は被害者に対して、事故の当日から実際に賠償金を支払うまでの間の遅延損害金を支払わなければなりません。
判決の場合、被害者は加害者に対し、賠償金に加えてこの遅延損害金(年3%)も請求できます。しかし、和解の場合は通常、遅延損害金は請求できないか、またはできたとしても少額となります。

(2-3)損害賠償金に弁護士費用を上乗せできない

判決の場合、勝訴すれば裁判のためにかかった弁護士費用も相手方に請求できます。
これに対し和解では、被害者は加害者に対して弁護士費用の請求はできないか、またはできたとしても少額にとどまります。

裁判官からの和解案に納得できない!拒否しても大丈夫?

通常、交通事故の裁判では、争点(=争いのポイント)が整理されて証拠が出揃うと、事故の目撃者や当事者双方に対する尋問手続きに入ることになります。そして、この尋問手続きに入る前のタイミングで、裁判所が当事者に対し和解案を示して和解の勧告を行ないます。
交通事故の場合、裁判所は損害の明細など、和解案の根拠をかなり詳しく示してくれるのが一般的です。

和解案を拒否するとどうなるのか?

では、裁判所から示された和解案を拒否するとどうなるのでしょうか。
裁判の当事者には、裁判所が示した和解案を拒否する権利はもちろんあります。
もっとも、裁判所の和解案は、おおむね裁判官が書こうとしている判決の内容と大差ない傾向があります。したがって、たとえ裁判所の和解案を拒否したとしても、後の判決で、和解案とほぼ同じ内容の判決が出る可能性は高くなります。
したがって、どうせ同じような結論になるなら、裁判所の和解案を受け入れ、争いを早めに終わらせるという手もあります。
他方、判決では、損害賠償金に加えて遅延損害金や弁護士費用も加算されるというメリットがあります。
そこで、判決を待つか、和解を選ぶかは悩ましいところです。こちら側に有利な証拠が十分揃っており、確実に勝訴できそうなら判決を選ぶのも一つの手です。他方、勝敗が微妙に見えるときは、金額については多少妥協しつつ、確実な支払いを受けるため和解を選ぶほうがよい場合もあります。
いずれにしても、それまでの裁判の経過やこちら側が有している証拠、裁判官の態度などを総合的に見て、どちらを選ぶか慎重に判断するしかありません。

【まとめ】交通事故の和解についてはアディーレ法律事務所にご相談ください

和解は判決と比べて、具体的な金額を認識した上で協議できること、争いを早期に解決できることなどが大きなメリットです。
とはいえ、納得できない和解案を拒否する権利も、当事者にはあります。
判決と和解のどちらを選ぶべきか、また和解するにしてもどのような条件で和解するかは、なかなか判断が難しいものです。
和解を拒否するかどうか、またはどのような条件で和解を受け入れるべきかなど、交通事故被害における和解に関してお困りの場合は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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