「離婚を考えているけど、養育費はどれくらいもらえるのか不安」
「養育費について話し合ったけど、本当にもらえるのか不安」
子どもの親権者となった場合に、相手から養育費をもらえるのかどうか、不安な方もおられるかもしれません。
離婚後、子どもを引き取って育てていく親は、子どものために、他方の親に対して養育費を請求することができますし、他方の親も、養育費を支払う責任を負います。
2026年4月から施行された改正民法では、養育費をより受け取りやすくなる制度に変わりました。養育費について不安がある方に向けて、改正民法の内容や養育費のキホンについてわかりやすく解説します。
この記事を読んでわかること
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養育費とは
養育費には、衣食住の費用、教育費、医療費などが含まれます。
養育費の話し合いをすると、「一人で生活するのも大変で、経済的余裕がないから養育費は支払えない」と言われてしまうこともあるようです。
しかし、養育費の支払義務は、「余裕がある時に支払えばよい」という性質のものではありません。
ですから、他方の親が養育費の支払いに難色を示しても、子どものために、しっかりと話し合うようにしましょう。
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者又は子の監護の分掌、父又は母と子との交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
引用:第766条第1項
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。
引用:第877条第1項
参考:養育費|法務省
【2026年民法改正】新設された「法定養育費」とは
これまでの養育費制度では、父母の話し合いや家庭裁判所での手続きによる養育費の取り決めがない限り、養育費を請求することができませんでした。しかし、今回の民法改正によって、夫婦で養育費の取り決めをしていなくても離婚の日から「暫定的な養育費(法定養育費)」として子ども1人あたり月額2万円を毎月末に請求できる制度が新設されました。
この暫定的な養育費の支払がされないときは、養育費の取り決めがなくても、差押えの手続を申し立てることも可能です。
もし離婚後に養育費を請求するのが遅くなっても、離婚の日から遡って請求することが可能です。この暫定的な養育費(法定養育費)は、正式な養育費の取り決めができるか、子どもが18歳になるまで発生し続けることになります。
ただし、この新しい暫定的な養育費(法定養育費)の制度は、改正法が施行された後に離婚したケースにのみ適用されます。施行前(2026年3月31日まで)に離婚した場合は適用されない点に注意しましょう。
養育費が支払われる期間
養育費はいつまで受け取ることができるのでしょうか。
「いつまで」という終期については、養育費が「未成熟子」の監護に関する費用とされることから、子どもが「未成熟子でなくなる時まで」と考えられています。「未成熟子でなくなる」とは、必ずしも成人(※)になるということとイコールではなく、経済的・社会的に自立して生活できるかどうかという点がポイントになります。
養育費の話し合いにおいて、通常、未成熟子でなくなる時点を特定しますが、特定しない場合、基本的に20歳となる時点と考えられます。もっとも、民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことから、今後は「22歳に達した後の3月まで」などといった形で、特定することが望ましいと考えられます。
※民法改正のため、2022年4月1日より、成人(成年)年齢は20歳から18歳に引き下げられました。ただし、子どもが「20歳」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしている場合は、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができます。同様に、改正法施行前に、子どもが「成人」になるまで養育費を受け取る旨の取決めをしていた場合、当時の成人は20歳を想定していたでしょうから、改正後も引き続き、子どもが20歳になるまで養育費を受け取ることができると考えられます。
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について 研究報告の概要|裁判所 – Courts in Japan
養育費の終期について合意できない場合には、裁判所に終期を判断してもらうことになりますが、裁判所が「22歳に達した後の3月まで」などとする可能性は低いと考えられます。
裁判所は、「その子どもが未成熟子かどうか」という観点から、終期について、様々な事情を考慮して判断することになりますが、子どもがまだ幼い場合、「その子どもが20歳になっても未成熟子といえるかどうか」を、事前に判断することは極めて困難であると思われるためです。
養育費を決める方法
養育費を決める方法は、おおきく二通りあります。
夫婦間で話し合う方法、家庭裁判所に調停・審判を申立てる方法について解説します。
(1)夫婦の話し合いで決める
離婚の際に、離婚の条件の一つとして、養育費の額についても夫婦で話し合って合意できるとよいでしょう。
養育費を支払う側が、できるだけ自主的に支払うように、話し合いを十分に行い、お互いが納得する話し合いができればベストです。
その際には、養育費の金額、支払期間(始期と終期)、支払時期(毎月、月末までになど)、振込先、支払いが遅延した場合の遅延金なども決めるようにしましょう。
口約束でも養育費の合意はできますが、後々、合意自体していない、養育費の額が違うなどと言われたりして争いになることがあるので、離婚協議書として書面に残すようにしましょう。
(2)家庭裁判所の調停・審判で決める
【離婚前】
離婚前に話し合いをしても合意できない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申立て、その中で養育費の額や支払方法などについても話し合います。すでに別居していて、離婚調停での話し合いが長引くと、その間、相手方から生活費がまったくもらえないと生活に困ってしまうかもしれません。
そのような場合は、離婚調停と共に、養育費も含めた生活費(婚姻費用)の調停も申立てて話し合い、先に婚姻費用についての調停を成立させたりします。婚姻費用については、話し合いが成立しない場合でも、審判を希望すれば、裁判所が双方の事情を考慮して審判で決めてくれることもあります。
調停で離婚に合意できなければ、家庭裁判所に離婚訴訟を提起して、離婚を請求するとともに、養育費も請求して、裁判所に判断してもらうことになるでしょう。
【離婚後】
離婚後、当事者同士で話し合っても養育費の額について合意できない場合には、家庭裁判所に養育費の支払いを求める調停を申立てます。
調停で話し合っても養育費について合意できない場合には、審判の手続きに移り、裁判所が双方の事情を考慮して養育費について判断します。
養育費の算定方法

子育ては、いくらお金があっても足りないというのが実情かもしれません。
当事者の話し合いで、養育費について満足な合意をすることができれば、これに越したことはありませんね。
しかし、当事者の話し合いで合意できない場合には、「いくら養育費を請求できるか(支払うべきか)」が問題となります。そのような場合は、妥当な養育費の額を計算して、それを目安にすることになります。
養育費の基本的な算定方法と、養育費の相場がすぐにわかる養育費算定表の見方について解説します。
ここでは、養育費を請求し・受け取る側を権利者、養育費を請求され・支払う側を義務者といいます。
(1)養育費の基本的な算定方法(標準算定方式)
まず、養育費の基本的な算定方法(標準算定方式)を説明します。
標準算定方式は、親の収入のうち、子どもが義務者と同居していた場合に子どものために充てられていた費用を計算し、その費用(子どもの生活費)を、権利者・義務者の収入割合で案分し、義務者が負担する子どもの生活費(=養育費)を算定する、という考え方を採用しています。
算定は、次のような順序で行います。
(1-1)基礎収入の算出
総収入から税金などを控除して、基礎収入(養育費を算定する基礎となる収入)を算出します。
税金などの控除は、標準的な割合(総収入が高いほど割合は低くなる)を総収入に掛けることで、基礎収入の算出を簡略化しています。
(給与所得者の場合)基礎収入=総収入×38~54%
(自営業者の場合)基礎収入=総収入×48~61%
参考:司法研修所編『養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究』法曹界
(1-2)子の生活費を算出
<計算式>
義務者の基礎収入(X)×子の生活費指数÷(義務者の生活費指数+子の生活費指数)
(1-3)義務者の養育費分担額を算出
<計算式>
(子の生活費)×義務者の基礎収入(X)÷(義務者の基礎収入(X)+権利者の基礎収入(Y))
参考:東京・大阪養育費等研究会『簡易迅速な養育費等の算定を目指して~養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案~』判例タイムズ1111号
(2)養育費の相場はいくら?
上記の標準算定方式により、1件1件養育費を計算すると、基礎収入の金額自体を争ったり、計算方法自体が複雑だったりして、養育費を巡る紛争が長期化・複雑化するなど、子の福祉にとって望ましくない結果を引き起こす可能性があります。
そこで、養育費の簡易迅速な算定を目指して、典型的な家族を前提として、一見して養育費の額がわかる算定表が作成され、実務ではこの算定表が積極的に利用されています。
最新の算定表は、次の裁判所のホームページから取得できます。
権利者と義務者の収入(給与の場合は、税引き前の収入)、子どもの年齢、数がわかれば、算定表に当てはめるだけで妥当な養育費がわかります。基本的には、この算定表を利用して養育費を判断し、算定表に当てはまらない事情がある場合は、上記の標準算定方式で個別に計算することになります。
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について)|裁判所 – Courts in Japan
次のホームページで養育費の目安を調べることができますので、目安を知りたい方はお試しください。
養育費が支払われない(不払い)の時の3つの対処法
親であれば、離婚しようとしまいと、子どもに対してその生活を保持する責任を負っています。
しかし、残念ながら、離婚後の母子世帯で継続して養育費を受領できているのは少数派です。
厚生労働省のデータによれば、およそ4人中3人の母子家庭で養育費を継続的に受領できていません。そして、およそ半分の方が、養育費を受け取ったことがありません。
参考:養育費について|厚生労働省
(平成28年度データを参照 母子世帯で「現在も養育費を受けている」と回答したのは、調査総数の24.3%のみ。また、「養育費を受けたことがない」と回答したのは、調査対象の56%に上る)
これは、極めて深刻な状況といってよいでしょう。データによれば、養育費の合意ができても、後々支払いが滞る可能性がおおいにあります。対処法を3つ紹介します。
(1)強制執行の手続きをとる
2026年に施行された改正民法では、強制執行認諾文言付き公正証書や調停調書・審判書などがない場合でも、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書があれば未払いの養育費を理由にすぐに財産の差押えの申し立てが行えるようになります(※)。
これまでの民法では、父母間で養育費の支払を取り決めていたとしても、養育費の支払がなかったときに養育費の支払義務を負う親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などが必要でした。
ただし、このルールは、民法等改正法の施行前(2026年3月 31日以前)に養育費の取決めがされていた場合には、2026年4月1日以降に発生する養育費に限って適用されることになります。
※ 法定養育費が未払いの場合には、養育費の取決めをしておらず、父母間で作成した文書がない場合でも、法定養育費の未払いを理由にすぐに財産の差押えをすることが可能です。
強制執行により、どれくらいの額を回収できるのでしょうか。
強制執行の対象は相手方の財産ですが、預金や給与となる場合が多いと思われます。
相手方の生活もありますので、給与で差し押さえられるのは、基本的に税金等を控除した残額の2分の1までです(民事執行法151条の2第1項3号,152条第3項)。
参考:差押さえ可能な給料の範囲|裁判所 – Courts in Japan
養育費が支払われなかったら、そのたびに強制執行しなければならないとすると、手続きが大変そうです。
給与等の差押えは、一度手続きを行えば、将来分も継続的に差し押さえることができます(民事執行法151条の2第1項3号)。
参考:将来発生する養育費の差押さえについて|裁判所 – Courts in Japan
(2)履行勧告・履行命令の制度を利用する
履行勧告・履行命令は、家庭裁判所の調停・審判調書などに養育費の支払いについて記載されている場合のみ利用できます。
公正証書を作成しただけの場合には利用できませんので注意しましょう。
履行勧告は、家庭裁判所により、履行状況を調査し、相手方に対して取り決め通りに支払うよう履行を勧告し、督促してもらう制度です(履行勧告、家事事件手続法289条)。
勧告に強制力はありませんが、相手方は、裁判所から直接督促を受けることになるので、一定の効果が期待できるというメリットがあります。
履行勧告によっても支払われない場合、家庭裁判所が相当と認めると、一定の時期までに支払うよう命令を発してもらうこともできます(履行命令、家事事件手続法290条)。この命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられるという制裁があるので、一定の強制力を有します。
履行勧告・履行命令は、強制執行と異なり、手続き費用もかからず、手続き自体も簡単で口頭での申立ても受け付けてもらうことができます。
(3)弁護士に相談する
養育費の未払いがある場合、どのような対処法が適切なのか、慎重に判断する必要があります。
弁護士であれば、事案の内容を踏まえて、突然強制執行の手続きをする前に、交渉によって自主的な支払いを求めたり、裁判所による履行勧告の手続きを利用したりした方がいいかについて、的確にアドバイスすることができるでしょう。
さらに、弁護士であれば、差押得るための相手方の財産を調査できる可能性もあります。
例えば、預金口座を差押える場合、基本的に銀行名と支店名を調査しておく必要があります。しかし、弁護士であれば、職権により調査することで、支店名を特定できることがあります。
弁護士であっても、銀行の支店や、職場などを特定できないこともあります。その場合は、裁判所の「第三者からの情報取得手続」という制度を利用することで、相手方の勤務先や、銀行口座について把握することができます。
相手方の職場や預金口座などの財産の情報がわからない場合には、弁護士に相談・依頼することで、相手方の財産を特定できる可能性が高まります。

養育費に関するよくみられるお悩み(Q&A)
養育費に関してよくみられるお悩みについて解説します。
(1)養育費は課税の対象になる?
原則として、養育費を受領しても、所得税は課されません。
ただし、養育費の支払いは月払いが原則ですので、将来の養育費を一括で支払いを受けた場合には、贈与税の課税対象となる可能性があります。
(2)再婚したら養育費はどうなる?
養育費の支払義務者は、事情の変化があったとして、家庭裁判所に対して、養育費の減額を請求することができます。
減額請求が認められるかどうかは、再婚相手と子どもが養子縁組をするかどうか、再婚後の家庭の状態、再婚相手と前夫の経済力など、様々な事情を考慮して判断されますが、再婚相手が家族全体の生活費を負担するのであれば、減額請求が認められる可能性は高くなるでしょう。
【まとめ】養育費が支払われない場合には弁護士に相談する等の対応を
養育費は、実際に監護する親が、監護していない親に請求できるものですが、子どもからすれば、親に対して子が請求することのできる権利です。
子どものために、離婚の際には、養育費についてしっかり話し合って合意できるとよいでしょう。
合意しても、支払われなくなることがありますが、子どもの権利のために、しっかりと請求するようにしましょう。
ご自身で話し合ったり、請求したりするのは時間や労力がかかり、精神的なストレスもかかるかもしれません。
弁護士であれば、代わりに相手方と話し合い、調停を申立てて調停に出席することもできますし、複数ある請求手段の中から適切な手段を選択して対応することが可能です。
ご自身で対応するのが難しいと感じた場合には、離婚や養育費の請求を取り扱っている弁護士にご相談ください。
アディーレ法律事務所では、現在養育費を受け取れておらず、養育費を請求したいという方からのご相談を承っています。
適切な額の養育費を請求することは、お子様の将来のためにもとても重要です。
養育費のご相談はお電話で可能ですので(フリーコール|0120-554-212) 、一度ぜひお問い合わせください。


























