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復権とは?その種類や復権後の注意点について解説

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「自己破産後に『復権』すれば、破産手続中の制限や不便はなくなるの?」
復権とは、破産手続きによって制限されていた権利や資格が回復することで、「当然復権」と「申立てによる復権」の2種類があります。
復権しても、信用情報機関に記録された自己破産の事実はすぐには消えないため、一定期間はローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることは難しいでしょう。

ここを押さえればOK!

自己破産の復権とは、破産手続きによって制限された権利や資格が回復することです。これにより、「破産者」としての法的地位から解放され、資格・職業制限が解除されます。

復権には、免責許可決定の確定などにより自動的に権利が回復する当然復権と、免責が認められなかった場合でも、債務の完済などの条件を満たすことで裁判所に申し立てて権利を回復する申立てによる復権の2種類があります。

自己破産手続中は、資格・職業の制限に加え、居住地・旅行の制限、郵便物の転送、財産開示の義務などが課されます。

復権後も、信用情報機関に自己破産の記録は残るため、ローンやクレジットカードの審査に通りにくくなる可能性があります。
また、7年以内での再度の破産は免責が認められにくいといったリスクもあります。

借金問題でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

自己破産の復権とは

自己破産の復権とは、破産手続きによって制限されていた権利や資格が回復することです。
具体的には、自己破産手続きによって「破産者」となった方が、その法律上の地位から解放され、自己破産の手続中に課されていたさまざまな資格や職業の制限が解除されることを指します。

復権には「当然復権」と「申立てによる復権」の2種類があり、それぞれ条件や手続きが異なります。

ちなみに、自己破産の手続中に制限が発生し得る主な資格や職業は次のとおりです。

  • 警備員
  • 生命保険外交員
  • 弁護士
  • 税理士
  • 行政書士
  • 公認会計士
  • 貸金業の登録
  • 質屋営業の許可   など

また、取締役などの会社の役員が破産手続開始決定を受けた場合、いったんは役員を退任しなければなりません(民法第653条2号)。
ただし、自己破産の開始決定を受けたことは役員の欠格事由ではないため、復権していなくても、株主総会などで再任されれば役員になることができます。

自己破産の手続中に制限される資格・職業について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

破産による欠格事由とは?制限される資格・職業がある?

復権の種類

前述のとおり、復権には、「当然復権」と「申立てによる復権」の2種類があります。
それぞれについて説明します。

(1)当然復権について

自己破産手続きにおいて、裁判所から「免責許可決定」が下され、その決定が確定した場合には、当然復権となります。
当然復権によって、別途手続きをすることなく、自動的に破産者としての資格や職業の制限が解除されます。

また、免責許可とならなかった場合でも、たとえば次のような事情があれば、当然復権となります。

  • 債権者全員の同意により、破産手続廃止の決定が確定した
  • 詐欺破産罪について有罪の確定判決を受けることなく破産手続開始の決定から10年が経過した
  • 再生計画認可の決定が確定した

(2)申立てによる復権について

申立てによる復権は、自己破産手続きにおいて当然復権が認められない(免責が許可されない)場合でも、一定の要件を満たせば、破産者が裁判所に申し立てることで、破産者としての資格制限を解除できる制度です。

たとえば、免責不許可事由があったなどの理由で免責が認められなかった場合でも、次のような事情があれば、この申立てによる復権が認められる可能性があります。

  • すべての債務について弁済が完了した
  • すべての債務について消滅時効が成立した
  • すべての債務について債権者から債務を免除された

自己破産で、資格や職業以外に制限されること

自己破産手続き中には、資格や職業の制限以外にもいくつかの制限が課せられます。

  1. 居住地・旅行の制限:居住地の変更(引越し)や宿泊を伴う旅行をするには、裁判所の事前許可が必要になります。
  2. 郵便物の転送::管財事件の場合、破産管財人宛に破産者宛の郵便物が転送されます。これは、破産管財人が破産者の財産状況や債務の有無を正確に把握し、財産隠しを防ぐ目的があります。郵便物は破産管財人によって開封・確認されたあと、本人に返還されます。
  3. 財産開示:破産者は、その所有する財産(不動産、現金、預貯金など)の内容を裁判所に開示しなければなりません。

管財事件について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

管財事件とは?手続きの流れや注意点についても解説

復権後の生活

復権を果たすと、破産手続きによって制限されていた多くの権利が回復し、新たな生活を始めることができます。ここでは、免責許可を得ても継続する制限や注意点について説明します。

復権後も継続する制限や注意点

復権後の注意点は、たとえば次のとおりです。
(免責許可決定が確定し、当然復権したケースを想定しています。)

  1. 信用情報:自己破産の記録は一定期間、信用情報機関に残ります。これにより、ローンやクレジットカードの審査に影響が出る可能性があります。
  2. 再度の破産:7年以内に再び破産すると、免責が認められない可能性が高まります。
  3. 心理的影響:自己破産を経験したことが精神的な負担や傷となり、積極的に行動することが難しくなる人もいます。

復権後は、これらの点に留意しながら、慎重に新生活をスタートさせることが大切です。

復権に関するよくある質問(FAQ)

(1)復権にかかる費用は?

復権にかかる費用は、復権の種類や方法によって異なります。
当然復権の場合、復権のために別途費用はかかりません。

一方、申立てによる復権では、以下の費用が発生します。

  1. 申立手数料
  2. 郵便切手代
  3. 戸籍謄本や住民票の取得費用

費用の詳細は、申立予定の裁判所に確認するようにしましょう。

(2)復権後にローンを組んだりクレジットカードを作ったりできる?

復権しても、すぐにローンを組んだりクレジットカードを作ったりするのは難しいでしょう。
なぜなら、復権しても、信用情報機関に記録された自己破産の事実はすぐには消えないからです。この「事故情報」は、信用情報機関によって異なるもののおよそ5~10年間登録されます。
この期間中は、金融機関が信用情報を照会すると自己破産の事実が判明するため、審査に通るのは極めて困難でしょう。

信用情報機関について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

あなたの信用情報は大丈夫?開示手続きとよくある疑問

(3)自己破産しても、年金や生活保護は受給できますか?

自己破産は、年金受給権や生活保護の受給に影響を与えません。
自己破産手続き中や復権後も、受給要件を満たしていればこれまで通り年金や生活保護を受け取ることが可能です。

【まとめ】

自己破産の復権とは、破産手続きによって制限されていた権利や資格が回復することです。当然復権と申立てによる復権があり、それぞれ条件や手続きが異なります。
復権後は多くの権利が回復しますが、信用情報などの面で注意点も残ります。

借金問題でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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