交通事故でケガを負い、身体的な痛みだけでなく、「治療費はどうなる?」「仕事に行けない間の収入は?」そして何より「慰謝料は一体いつ、いくらもらえるんだろう…」といった、先の見えない不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
特に慰謝料については、保険会社から提示される金額が必ずしも適正とは限りません。
実は、交通事故の慰謝料を最も高額となる基準で受け取るためには、弁護士に依頼することが非常に重要です。
この記事では、交通事故の慰謝料が実際に支払われるまでの期間や、そのプロセス、そして少しでも早く慰謝料を受け取るための具体的な方法について、弁護士が詳しく解説します。
ここを押さえればOK!
慰謝料支払いまでの一般的な流れは、まず交通事故発生から治療が始まり、完治せず症状が残ってしまった場合には症状固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)となります。その後、加害者側の保険会社との示談交渉が始まり、双方の合意により示談が成立します。
示談成立前に慰謝料や賠償金の一部を受け取る方法として、相手の自賠責保険の仮渡金制度や被害者請求、相手の任意保険会社による一括対応や内払いがあります。
慰謝料の支払いを早め、適正な額を受け取るためには、医師の指示に従い適切に治療を行うこと、必要な書類を滞りなく準備・提出すること、そして最も重要なのが弁護士に依頼することです。弁護士は基本的に最も高額となる弁護士基準で慰謝料を算定し、保険会社との交渉を代行するため、被害者の負担を軽減して適切な額の慰謝料の獲得に繋がります。
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交通事故慰謝料の支払いまでの一般的な期間

交通事故の慰謝料は、加害者側の任意保険会社と示談が成立してから、通常2週間程度で振り込まれます。
ただし、この期間はあくまで示談成立後の話であり、交通事故が発生してから示談成立までの期間がどのくらいかかるかによって、全体的な支払いまでの期間は大きく異なります。
軽微な事故で治療期間が短い場合や、争点がない場合は比較的早く示談が成立し、慰謝料が支払われることもあります。
しかし、怪我の程度が重い場合や、後遺障害が残る可能性がある場合、また過失割合などで争いがある場合は、示談成立までに数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。
交通事故発生から慰謝料支払いまでの全体フロー
交通事故が発生してから慰謝料が支払われるまでの、一連の流れを分かりやすく解説します。各段階でどれくらいの期間を要するのかも合わせて確認しましょう。
(1)交通事故の発生から治療終了・症状固定までの流れ
交通事故発生後、まずは病院での治療が始まります。
怪我の程度にもよりますが、骨折だと、治療は数ヶ月、場合によっては1年以上続くこともあります。
治療しても、残念ながら完治せず何らかの障害が残ることがあります。医師が「これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない」と判断した段階を「症状固定」と呼びます。
治療期間中、加害者側の任意保険会社から治療費が直接病院に支払われることが一般的です。治療費の心配なく治療できますが、休業損害など治療費以外の賠償項目については、症状固定後・後遺障害等級認定を受けてから、示談交渉で請求することが多いです。
(2)示談交渉の開始から成立までの流れ
治療が完了した後、又は症状固定を経て後遺障害等級認定を得た後に、加害者側の保険会社との示談交渉が始まります。
示談交渉では、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料(後遺障害が残った場合)、逸失利益など、損害賠償の項目や総額、過失割合等について話し合います。
示談交渉の期間は、ケースによって大きく異なります。
- 軽傷で争点もない場合:数週間~数ヶ月
- 争点が多い場合や、後遺障害の等級認定が必要な場合:半年~1年以上
双方が示談内容に合意し、示談書に署名捺印することで示談が成立します。そして、この示談成立から概ね1〜2週間程度で慰謝料が指定の口座に振り込まれるというのが一般的な流れです。
示談成立前に慰謝料や賠償金を受け取る方法
示談成立までには時間がかかることもあります。
しかし、働けない期間の生活費などで金銭的な負担が生じることがありますよね。
そうした際に、示談成立を待たずに、慰謝料などの賠償金の一部を受け取る方法があります。
(1)相手の自賠責保険の仮渡金制度
自賠責保険には、示談が成立する前に一定の金額を補償する「仮渡金制度」があります(自動車損害賠償保障法17条1項)。
これは、被害者が当面の生活費や治療費として必要なお金をすぐに受け取れるようにするための制度です。
ケガの程度などに応じて、5万円、20万円、40万円のいずれかの金額が支払われます(死亡の場合は290万円)。
必要書類をそろえて仮渡金を請求すれば、およそ1週間程度で支払われます。
仮渡金は1回しか請求できず、受け取ったお金は最終的な賠償金から差し引かれます。
(2)相手の自賠責保険の被害者請求
加害者側の自賠責保険に対して、被害者自身が直接損害賠償を請求する「被害者請求」という方法があります。被害者請求では、加害者側の任意保険会社との示談が成立する前であっても、自賠責保険の範囲内で損害賠償金を受け取ることができます。
【上限】
- 傷害による損害:120万円
- 後遺障害による損害(後遺障害の等級に応じて):75万円~4000万円
- 死亡による損害:3000万円
特に、治療が長引きそうな場合や、相手の任意保険会社との交渉が難航している場合に有効な手段です。
必要書類をそろえて請求すれば、概ね30日程度で支払われますが、後遺障害部分の調査がある場合などではそれ以上かかる可能性が高いです。
被害者請求の必要書類や申請手順など、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)相手の任意保険会社に一括対応を求める
加害者側の任意保険会社が、病院に直接治療費を支払ってくれるしくみのことを「一括対応」といいます。
一括対応は、法令で認められた制度である被害者請求とは異なり、あくまでも任意保険会社のサービスとして行われています。
広く一括対応のサービスは行われていますが、一定の場合には一括対応を受けられないこともあります。
また、一括対応でけがの治療中であっても、「完治するのに必要な期間を過ぎた」として一括対応を打ち切られることがあります。
治療費打ち切りの対処法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(4)加害者側の任意保険会社に内払いを求める
加害者が加入している任意保険会社に対して、示談成立前に、治療費や休業損害などの一部を「内払い」として支払ってほしいと依頼することも可能です。
これは保険会社の任意によるもので、必ずしも応じてもらえるとは限りませんが、交渉次第では認められるケースもあります。
内払いで支払われた金額は、最終的に示談が成立する際に、示談金額から差し引かれます。
慰謝料の支払いを早めるためのポイント
慰謝料の支払いを少しでも早く受けるために、知っておくべきポイントを解説します。
(1)適切に治療を行い、症状固定を目指す
治療が適切に行われ、完治しない場合には症状固定を経て適切な後遺障害等級認定を受けることで、示談交渉が進みやすくなり、適切な額の慰謝料獲得に繋がります。
医師の指示に従い、通院を継続し、必要な検査やリハビリをきちんと受けることが大切です。治療が途中で中断したり、治療日が長期間空いたりすると、その後の慰謝料請求に悪影響が出る可能性もあります。
通院期間が慰謝料に与える影響について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)必要な書類を滞りなく準備・提出する
後遺障害等級の申請、各種請求、示談交渉には、診断書、領収書、カルテ、休業損害証明書など、手続に応じた様々な書類が必要になります。
これらの書類を滞りなく、迅速に準備し、保険会社や関係機関に提出することで、手続きがスムーズに進み、結果として慰謝料の支払いも早まる可能性があります。
後遺障害等級認定に必要な書類や手続きの流れについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
適正な額の慰謝料を獲得するための注意点
適正な金額の慰謝料を受け取るために、交渉や手続きにおいて注意すべき点を説明します。
(1)慰謝料は弁護士基準で算定する

交通事故の慰謝料には、「自賠責の基準」「任意保険の基準」「弁護士の基準(裁判の基準)」3つの算定基準があります。
このうち、基本的に、弁護士の基準で慰謝料を算定すると最も高額になります(※)。
しかし、任意保険会社は通常、自社の任意保険の基準や自賠責の保険基準で慰謝料を提示してきますので、知らずに不当に低い金額で示談を成立させてしまうケースもあります。
慰謝料を弁護士の基準で算定するためには、弁護士への依頼が必要です。本人が弁護士基準で算定した慰謝料の支払いを求めても、通常、任意保険会社は応じないためです。
弁護士が代理人として交渉することで、弁護士の基準での交渉が可能となり、慰謝料額を増額できる可能性があります。
※自賠責保険は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準が最も高額となることもあります。
交通事故の慰謝料を「弁護士の基準」で受け取るために知っておくべきことについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(2)過失割合に納得できないときは修正を求める
交通事故の損害賠償額は、被害者と加害者双方の「過失割合」によって調整されます。
もし、提示された過失割合に納得できない場合は、安易に同意せず、修正を求める交渉が必要です。
不正確な過失割合を認めてしまうと、受け取れる慰謝料が減額されてしまうため、注意しましょう。
過失割合の修正要素について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
(3)後遺障害等級認定を受けてから交渉する
症状固定時に残った後遺症については、後遺障害の等級認定を受けてから示談交渉に入るようにしましょう。等級認定を申請する際には、一度交通事故を扱っている弁護士に相談ください。認定が得られる見込みや、等級についてアドバイスを得ることができるでしょう。
後遺障害等級が認定されると、別途「後遺症慰謝料」と「逸失利益」を請求できるようになり、賠償額が大きく増える可能性があります。
逸失利益の基本、計算方法や慰謝料との違いについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
交通事故の被害にあったら弁護士にご相談ください
交通事故の慰謝料は、その金額や支払いまでの期間など、様々な不安を伴います。
保険会社との交渉や後遺障害等級認定の手続などを、被害者ご自身で行うのは精神的、肉体的にも大きな負担となるでしょう。
弁護士にご相談・ご依頼いただくことで、適正な慰謝料額の算定、後遺障害の申請サポート、保険会社との交渉代行など、ご本人にかかる負担を軽減し、より早く適切な慰謝料を受け取る可能性を高めることができます。
交通事故の慰謝料支払いに関して少しでも疑問や不安がある場合は、ぜひ一度、アディーレ法律事務所にご相談ください。