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遺留分侵害額請求とは?仕組みや時効、手続の流れを弁護士がやさしく解説

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「遺言書の内容が自分に不利で納得できない」「生前贈与のせいで遺産がほとんど残っていない」。このような相続の悩みは、家族間の問題だからこそ誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまいがちです。

そこでこの記事では、不公平な遺産配分に対して金銭を請求できる「遺留分侵害額請求」の仕組みをはじめ、権利を失わないために知っておくべき「期間制限(時効など)」、そして解決までの具体的な「手続の流れ」をわかりやすく解説します。

正しい知識をもつことで、感情的な対立を避けながら、あなたの正当な権利をしっかりと守るための最適な選択ができる可能性が高まります。

遺留分侵害額請求とはどのような制度か

「遺言書の内容が不公平で、自分の取り分が全くない」「生前贈与のせいで遺産がほとんど残っていない」。このような場合に、相続人が最低限受け取れる遺産を確保するための制度が「遺留分侵害額請求」です。

本来、遺産を誰にどう譲るかは被相続人(亡くなった方)の自由ですが、残された家族の生活保障や公平性の観点から、一定の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されています。

この権利を守るために、侵害している相手に対して金銭を請求できるのがこの制度の大きな特徴です。では、具体的にどのような権利であり、以前の制度と何が変わったのかを見ていきましょう。

最低限の遺産を「お金」で請求できる権利

遺留分侵害額請求とは、簡単に言えば「私の遺留分を侵害している分を、お金で払ってください」と請求することです。対象となるのは、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子ども、親など)です。

たとえば、「長男に全財産を譲る」という遺言があった場合、他の子どもは遺産をもらえなくなってしまいます。しかし、遺留分をもつ相続人であれば、長男に対して「遺留分侵害額に相当する金銭」を支払うよう求めることができます。

大切なのは、遺産そのもの(不動産や株式など)を返すよう求めるのではなく、「お金」での解決を基本としている点です。これにより、遺産分けのトラブルをスムーズに解決しやすくなっています。

法改正で「物の返還」から「金銭請求」へ変更

この制度は、2019年7月の法改正によって大きく変わりました。それ以前は「遺留分減殺請求(げんさいせいきゅう)」と呼ばれており、請求すると不動産や株などの遺産そのものが、請求した人とされた人の「共有状態」になってしまうのが原則でした。

しかし、不動産などが共有になると、売るにも貸すにも相手の同意が必要になり、新たなトラブルの火種になりがちでした。そこで改正法では、原則として「金銭債権」が発生する仕組みに改められました。

つまり、遺産そのものを共有するのではなく、計算された金額を支払えば解決できるようになったのです。これにより、権利関係が複雑になるのを防げるようになりました。

請求には「1年」または「10年」の期限がある

遺留分侵害額請求を検討する際、もっとも注意しなければならないのが「期間制限(時効など)」です。どれだけ正当な権利をもっていても、法律で定められた期間を過ぎてしまうと、請求権そのものが消滅してしまい、法的に請求することができなくなってしまいます。

特に、遺留分の請求期限は他の法的手続と比べても比較的短く設定されています。「まだ悲しみが癒えていないから」「親族ともめたくないから」と先延ばしにしていると、取り返しのつかないことになりかねません。

確実に権利を行使するために、知っておくべき具体的な期限と、期限が迫ったときの対処法について解説します。

権利が消えてしまう「時効」に注意

請求できる期間には、大きく分けて二つのリミットがあります。

一つ目は「相続の開始および遺留分が侵害されていることを知ったときから1年」です。亡くなったことや、自分に不利な遺言書・生前贈与があることを知ってから1年以内にアクションを起こさなければなりません。

二つ目は「相続開始のときから10年」です。たとえ遺言書の内容を知らなかったとしても、亡くなってから10年が経過すると、自動的に請求権は消滅します(除斥期間)。

特に「知ってから1年」というのはあっという間です。四十九日や一周忌などの法要に追われているうちに期限が過ぎてしまった、ということがないよう、早めの確認と決断がとても大切になります。

なお、遺留分侵害額請求をすると、この請求権は金銭債権(お金を支払えと請求する権利)になりますが、この金銭債権の消滅時効にも注意しなければなりません。
金銭債権の消滅時効は、遺留分侵害額請求をしたときから5年間(2020年3月31日以前に遺留分侵害額請求を行っている場合は10年間)です。
この期間内に相手から支払いを受けなければ、お金を受け取る権利が消滅するおそれがあります。

そのため、遺留分侵害額請求をしたあとも、お金を支払ってもらうまでは迅速に手続を進めることが重要です。

期限を守るための「内容証明郵便」

もし期限ギリギリになってしまった場合でも、諦める必要はありません。期限内に権利行使の意思表示を行うことで、権利を保全する手段があります。具体的には、相手に対して「遺留分侵害額請求をします」という意思を明確に伝えることで、期間経過による権利の消滅を防ぐことができます。

このとき、単に口頭やメールで伝えるのではなく、「内容証明郵便(配達証明付)」を利用するのが確実です。これを使えば、「いつ」「誰が」「どのような内容」を送ったかを郵便局が証明してくれるため、あとで「聞いていない」「期限を過ぎている」と言われるリスクを防げます。

まずは内容証明郵便を送って権利を行使した証拠を残してから、具体的な金額の交渉に入るのが一般的な進め方です。

実際に請求を行う際の手順と流れ

「実際に請求したいけれど、何から始めればいいかわからない」という方も多いでしょう。いきなり裁判を起こすわけではありません。

法律上の手続には段階があり、基本的には当事者同士の話合いからスタートし、解決しなければ裁判所の手続へと移行していきます。相手が親族である場合、感情的になりやすく、話がこじれてしまうことも少なくありません。

どのようなステップを踏んで解決を目指すのか、全体像を把握しておくことで、落ち着いて行動できるようになります。ここでは、具体的な交渉の始め方から、話合いで決着がつかない場合の法的な手続について説明します。

まずは相手方との話合いから始める

最初に行うのは、相手方(遺産を多く受け取った人)との「協議(話合い)」です。前述した内容証明郵便を送ったあと、具体的な請求額を提示し、支払方法や時期について交渉します。

この段階で双方が納得すれば、合意書を作成して解決となります。合意書には、のちのちのトラブルを防ぐために「清算条項(これ以上はお互いに請求しないという約束)」などを盛り込み、公正証書にしておくと安心です。

相手が素直に応じてくれれば、時間も費用もそれほどかけずに解決できます。しかし、相手が「遺留分の侵害はない」と主張したり、金額に納得しなかったりする場合は、次のステップに進む必要があります。

話がまとまらない場合は裁判所の手続へ

当事者同士での話合いが難しい、あるいは相手が話合いに応じない場合は、家庭裁判所に「遺留分侵害額の請求調停」を申し立てます。

調停では、裁判官や調停委員という公平な第三者が間に入り、双方の言い分を聞きながら解決策を探ってくれます。直接顔を合わせずに話を進めることも可能です。もし調停でも話がまとまらなければ(不成立)、決着をつけるためには、別途「訴訟(裁判)」を提起することになります。

訴訟では、お互いが証拠を出し合い、最終的には裁判所が判決を下します。手続が長引くほど精神的・金銭的な負担も増える傾向にあるため、早い段階で弁護士に相談し、見通しを立てておくことが重要です。

まとめ

遺留分侵害額請求は、不公平な相続から正当な権利を守るための重要な制度ですが、最短「1年」という短い期間制限がある点に最大の注意が必要です。

まずは自分の権利が侵害されていないかを確認し、期限が過ぎる前に内容証明郵便を送ることが解決への第一歩となります。相手方との話合いに不安がある場合や、手続を確実かつ有利に進めたい場合は、弁護士への相談が近道です。

アディーレ法律事務所では、相続問題について経験豊富な弁護士が親身にサポートします。お困りのことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。