「広告代理店で働いているけれど、残業が多い。
それだけでなく、残業代もしっかりと支払われていない。
残業が多いのはしかたないけれど、せめて残業代はしっかり支払ってほしい!」
広告代理店は、残業が多い業界として有名です。
広告代理店で残業が多い理由としては、クライアントの要望に応える必要があることや接待が多いことなどが挙げられます。
このような残業に対して、残業代がしっかりと支払われていないことも珍しくありません。
しかし、支払われていない残業代は、弁護士に依頼して請求することで支払ってもらえる可能性があります。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- 広告代理店の残業時間と残業が多い理由
- 広告代理店の働き方と残業代の問題点
- 未払い残業代の請求を弁護士に依頼するべき理由
中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。
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広告代理店の残業時間と残業が多い理由
広告代理店の残業時間や、残業が多い理由についてご説明します。
(1)広告代理店の残業時間はどれくらい?
広告代理店は、外部から見れば一見華やかな世界に見えますが、実際は残業が多く激務な業界です。
ある転職サイトが調査した2020年の月平均残業時間が多い業種ランキングのデータによると、広告系は次のとおり職種に応じて残業時間が異なります。
営業職:25.5時間
プロデューサー・プランナー:25.2時間
編集・ライター:22.7時間
広告宣伝:20.1時間
デザイナー・クリエイター:19.2時間
また、残業時間が最多なのは教育職で38.6時間、最小は営業事務アシスタントの9.2時間でした。
なお、2020年はテレワークの実施により調査対象の全業種で残業時間が前年より下回っていました。
(2)広告代理店に残業が多い理由とは?
広告代理店に残業が多い理由には、次のようなものがあります。
- 繁忙期の忙しさが激しい
- クライアントの要望に応える必要がある
- 接待が多い
(2-1)繁忙期の忙しさが激しい
広告代理店では、繁忙期になると残業時間が月100時間を超えることも珍しくありません。
広告業界では、広告の出稿量が増える次のような時期が繁忙期と言われています。
- 年度末
- 新年度
- 年末年始
- クリスマス
- ボーナス商戦期
繁忙期以外でも、デザイナーなどは締切間近には忙しくなってしまい、残業が増える傾向があります。
(2-2)クライアントの要望に応える必要がある
広告代理店の売上はクライアント次第です。
このため、クライアントからの要望には最優先で応じる必要があります。
クライアントによっては、急に広告代理店の担当者を呼び出したり、急な修正依頼を行ったりすることもあります。
なかには、修正依頼を「今日中に仕上げてほしい、明日の朝に届けてほしい」などというように、無茶な要望をされることもあります。
広告代理店がクライアントに対して弱い立場にある場合には、要望に応じざるを得ません。
このように、クライアント次第で残業が増えてしまうことがあります。
(2-3)接待が多い
広告代理店は、飲み会やクライアントとの接待の機会も多いといわれています。
クライアントと顔を合わせる営業職は、接待をする機会が特に多いです。
このような接待は、通常の業務の時間とは別に行われることも多いため、接待のために残業をするということも起こり得ます。
広告代理店の働き方と残業代の問題点
広告代理店に多い契約形態と、残業代未払いの問題点をご説明します。
広告代理店で残業代未払いの問題が出やすい契約形態には、次の2つがあります。
- 裁量労働制
- 固定残業代制
これらの契約形態であることを理由に残業代が出ないという取扱いをされていることがあります。
しかし、これらの契約形態であっても、残業代をもらえる可能性があります。
(1)問題点1|裁量労働制だから残業代が出ない
広告代理店で残業代が出ない場合、その理由が「裁量労働制を採用しているから」というものであることがあります。
「裁量労働制」とは、いつからいつまで何時間働くのかを労働者の裁量に委ね、始業・終業時刻を決めない働き方のことです。
裁量労働制の下では、何時間働いたとしても、あらかじめ定めた一定の時間だけ働いたものとみなされます。
例えば、1日のみなし労働時間が8時間の場合、忙しくて1日10時間働いても、仕事がなくて1日5時間しか働かなくても、どのような場合でも8時間だけ働いたとみなされます。
裁量労働制を採用している企業の中には、「裁量労働制だから残業代を支払わない」とするケースがあります。
しかし、裁量労働制を採用しているからといって、どのような場合であっても残業代を支払わなくても良いというわけではありません。
裁量労働制を採用していたとしても残業代を支払わなければならないケースはあります。
裁量労働制を採用していたとしても残業代を支払わなければならない典型的なものとしては、裁量労働制の対象業務以外の業務に従事する従業員が残業をした場合です。
裁量労働制は、どのような業務に対しても適用できるわけではありません。
裁量労働制の対象業務は、限定されています。
裁量労働制には、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。
広告代理店の場合には、次のものが対象業務とされ、これに該当しなければ、裁量労働制が適用されないと考えられます。
- 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務(専門業務型裁量労働制)
- 広報を担当する部署における業務のうち、効果的な広報手法等について調査及び分析を行い、広報を企画・考案する業務(企画業務型裁量労働制)
具体的にどのような職種であればこれらの対象業務にあたるのかは、ケースに応じて個別に判断されます。
広告代理店で勤務していたとしても、これらの対象業務に従事していなければ、裁量労働制を適用することはできません。
例えば、営業の職種は、上記対象業務に該当しないことが明らかです。
したがって、営業職の従業員には裁量労働制を適用することができません。
そのため、営業職の従業員が残業をすれば、会社は残業代を支払われなければならないのです。
裁量労働制とはどのような制度かについて、詳しくはこちらをご覧ください。
(2)問題点2|固定残業代制だから残業代が出ない
広告代理店では、「固定残業代制」で働いているケースもあります。
「固定残業代制」とは、あらかじめ一定の時間残業したものとみなして固定額を残業代として支払う制度のことです。
例えば、月10時間をみなし残業時間とした場合、月5時間しか残業しなかったとしても10時間分の固定残業代をもらうことができます。
このような固定残業代制を採用している場合、「固定残業代制を採用しているから残業代は一切追加で出ない」と主張されることがあります。
しかし、このような主張は誤りです。
あらかじめ定めたみなし残業時間を超えて残業をした場合には、追加で残業代を支払わなければならないというのが固定残業代制のルールです。
このため、例えば月10時間をみなし残業時間とした場合、月20時間残業したとしたら、みなし残業時間を超えた10時間分の残業代を支払ってもらえることになります。
固定残業代について、詳しくはこちらをご覧ください。
未払い残業代の請求を弁護士に依頼するべき理由
通常の契約形態で残業代が出ない場合はもちろんのこと、裁量労働制や固定残業制とされており残業代が出ない場合でも、先ほどご説明したように本来支払われるべき残業代が支払われないときには、会社に対して残業代請求をすることができます。
残業代請求は、労働者本人が会社と交渉することも可能です。
しかし、労働者本人が会社と交渉する場合、うまくいかない場合も多いです。
労働者本人が会社と交渉してうまくいかない理由には、次のようなものがあります。
- 証拠をきちんと集めることができなかった
- 残業代を正しく計算できなかった
- 会社が真剣に取り合ってくれなかった
現実的には、毎日のように残業があるという方も多いです。
そのような中で、証拠をきちんと集めたり残業代を正しく計算するなど、残業代請求の準備をする時間を作り出すことは難しいです。
このような場合には、残業代請求を弁護士に依頼するというのもひとつの方法です。
残業代請求を弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。
- あなたに代わって残業代請求の準備や会社との交渉などを行ってくれるため、準備や交渉などに伴うあなたの負担が軽減される(証拠集めはご自身で行わなければならない部分もあります)
- 会社が任意に残業代を支払ってくれない場合には、労働審判や訴訟などの裁判手続きをあなたの代わりに行って残業代を請求してくれる
- あなたに代わって会社に残業代請求を行うため、会社が真剣に取り合ってくれる可能性が高まる
【まとめ】裁量労働制などを理由に残業代が未払いになっていても残業代がもらえる可能性はある
この記事のまとめは次のとおりです。
- 広告代理店に残業が多い理由としては、クライアントの要望に応える必要があることや接待が多いことなどが挙げられる。
- 広告代理店では、裁量労働制や固定残業代制を採用していることを理由に残業代が出ないことがあるが、これらの場合でも残業代をもらえる場合がある。
- 未払い残業代の請求は弁護士に依頼するべき。
未払い残業代の請求を弁護士に依頼するメリットとして、あなたに代わって残業代請求の準備や会社との交渉などを行ってくれるため、準備や交渉などに伴うあなたの負担が軽減されることなどがある。
広告代理店は、華やかな仕事ですが、残業も多い仕事です。
しかも、残業代がしっかりと支払われていないことも少なくありません。
しかし、華やかな仕事だからといって、せっかく残業をしたのに残業代を支払われなくても良いという理由にはなりません。
もらえるはずの残業代は、きっちりともらうようにしましょう。
アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点
残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。