今回の記事では、離婚調停不成立となった方に向けて、次のことについて弁護士が解説します。
- 離婚調停が不成立となる理由
- 調停不成立後の手続き
- 離婚訴訟における注意点
ここを押さえればOK!
調停では調停員を交えて話し合い、合意に至れば調停成立、合意できなければ調停不成立となります。調停不成立の主な理由には、親権争い、不倫を認めない、DV加害者の話合い拒否、相手との音信不通、慰謝料や財産分与でもめている、などがあります。
調停不成立後は、再度の協議や離婚訴訟の提起が必要です。訴訟では、法定の離婚事由を証明するための証拠が重要で、裁判所が最終的に判断します。訴訟を提起する前に、弁護士に相談して見込みを確認することが推奨されます。
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離婚調停不成立とはどのようなことか
日本では、離婚する夫婦のうち、約87.5%(2024年統計)が当事者や代理人を通じた話合いで離婚が成立しています。これを協議離婚といいます。
話合いで離婚や離婚条件の合意ができない場合には、離婚を希望する当事者は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停を申し立てた側を「申立人」、申し立てられた側を「相手方」といいます。
離婚調停では、調停員を交えて話合いを継続し、話合いがまとまれば調停成立、話合いが決裂すると調停不成立となります。
離婚する夫婦のうち、調停離婚による離婚は、約7.6%(2024年統計)程度です。
参考:離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率|政府統計の総合窓口(e-Stat)
離婚調停が不成立になる主な理由
相手方が期日に出席せずに話合い自体ができなかったり、出席はしたけれども話し合っても合意できなかったりして、審判もなされない場合には、調停は不成立として、調停手続きは終了します。
不成立となる理由は、調停の当事者によって異なりますが、主な理由は次のとおりです。
(1)親権争いをしている

日本では、これまでは離婚後の「単独親権」のみが認められていましたが、2026年4月施行の改正民法により、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選ぶことが可能になりました(民法819条)。
これにより、離婚の際には、夫婦の話合いや裁判所の判断によって、「共同親権」にするか、従来どおりどちらか一方の「単独親権」にするかを決めることになります。
(1-1)共同親権でも「誰と住むか」は重要
たとえ共同親権となった場合でも、子どもの生活の安定のため、一般的には父母のどちらか一方が「監護者」として子どもと同居し、日常のお世話をすることが多いです。
一方で、同居していない親(監護者でない親)も、共同親権者であれば子どもの進学や医療などの重要事項の決定に関与することになります。
(1-2)争点の変化
以前は「どちらが親権者になるか」が争いになりがちでした。
今後は、「共同親権にできる関係性か」「どちらが監護者として適切か」といった点が議論の中心になるでしょう。
調停や裁判でも、単に親権を取り合うのではなく、離婚後の子育ての分担(共同親権か単独親権か、監護者はどうするか)について、子どもの利益を最優先に定めていくことになります。話合いがまとまらない場合は、最終的に家庭裁判所が家族の事情を考慮して判断を下します。
(2)不倫を認めていない
離婚調停では、次のような理由から、不貞行為(自由な意思で配偶者以外の第三者と肉体関係を持つこと)の存在が争いになることがあります。
- 離婚したいと希望する側に不貞行為が認められれば、離婚原因を作出した者(「有責配偶者」といいます)として離婚請求が認められない可能性がある。
- 離婚を拒否する側に不貞行為が認められれば、法定の離婚事由があるため(民法770条1項1号)、最終的には訴訟で離婚が認められる可能性がある。
- 不貞行為が認められると、不貞行為をした側は配偶者に対して慰謝料を支払う責任を負う。
離婚調停は、調停員の介入はありますが、あくまで当事者の話合いによる解決を目指す手続きです。
したがって、通常の裁判のように、双方の主張を突き合わせて争点を明確にしたうえで、裁判官が争点について証拠に基づく事実認定をして結論を下す、ということはありません。
不貞行為の有無について、調停の当事者間で争いになり、一方があいまいにしたまま離婚することはできないということであれば、そのために調停不成立となることがあります。
(3)DVの加害者が話合いに応じない
精神的・肉体的・経済的DVは、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として、不貞行為と同じく、法定の離婚事由となる場合があります。
そして、このようなDVは不法行為に該当しますので、被害者は、加害者に対して、DVが原因で離婚せざるを得なくなったとして、受けた精神的苦痛について慰謝料を請求することができます。
しかし、調停はあくまで話合いによる解決を目指すものですので、加害者側がDV行為を否定して当事者間で争いになり、あいまいにしたまま離婚できないということであれば、そのために調停不成立となることがあります。
(4)相手と別居しており連絡もつかない
調停は話合いによる解決を目指すものですので、調停成立には両者の合意が必要です。
したがって、相手方が合意を拒否している場合だけではなく、相手方が裁判所に出廷せずに話合い自体ができず、離婚についての相手方の意思が不明な場合も調停不成立となります。
(5)慰謝料や財産分与でもめている
離婚をすることについては争いがなくても、慰謝料の有無やその額、財産分与の対象となる財産の範囲やその額について争いがあると、調停不成立となることがあります。
早期の離婚を希望する場合には、離婚調停だけ成立させて、慰謝料や財産分与については審判の判断を求めるか、訴訟を提起することもできます。
しかし、紛争の一回的解決という観点からは、離婚と同時に解決することが望ましいと考えられます。
相手方が強く離婚を希望する一方で、慰謝料や財産分与については一切譲歩しないという態度をとるような場合には、先に離婚して相手の希望をかなえてしまうと、さらに慰謝料や財産分与の交渉は困難になることが予想されます。
そこで、慰謝料や財産分与に争いがある場合には、離婚調停を不成立としたうえで、訴訟において離婚も含めて裁判所に審理して判断してもらうことが多いようです。
離婚調停が不成立になった後の手続き
離婚調停が不成立になった後、調停に代わる審判により、家庭裁判所の判断で審判離婚が成立することもあります。
審判に納得できない場合、当事者が審判の告知を受けた日から2週間の間は、書面で異議を申立てることができ、異議申立てがなされると審判離婚の効力はなくなります。
異議申立てがなされずに2週間経過すると、審判は確定します。
異議申立てが可能であることから、審判離婚は実務上あまり利用されていません。
離婚自体には同意しているが離婚条件にわずかな意見の違いがある場合で、当事者が審判に委ねることに合意している場合や、離婚・離婚条件に争いがないが当事者の一方がどうしても出廷できない場合などに、限定的に利用されているようです。
したがって、離婚調停が不成立となった場合には、通常は離婚訴訟を提起して離婚を目指すことになります。
(1)離婚訴訟を提起する
調停が不成立になったとしても、調停と訴訟は別々の手続きですので、自動的に訴訟が開始されるわけではありません。
離婚を希望する者は、自ら訴状を作成して証拠を準備し、家庭裁判所へ提出して、訴訟を提起する必要があります。
提出すべき書類や証拠などは、裁判を求める内容によって異なりますので一概に説明することは困難ですが、基本的に戸籍謄本は必要となります。
また、訴えには費用がかかり、収入印紙(請求する内容や金額によって異なる)と郵便切手(被告への書類送達などに利用する。家庭裁判所によって異なる)を準備して納付する必要があります。

(2)管轄の裁判所で訴訟の手続きをする
訴訟を提起する裁判所は家庭裁判所になりますが、全国どこの家庭裁判所でも良いわけではなく、管轄の裁判所である必要があります。
管轄は、原則として夫婦いずれかの住所地を受け持つ家庭裁判所です。ただし、その家庭裁判所と調停を行った家庭裁判所が違う場合には、調停を扱った家庭裁判所となることもあります。
離婚調停不成立証明書が必要になることも
離婚調停が不成立となった後、2週間以内に離婚訴訟を提起すると、調停申立手数料を訴訟提起に必要な手数料に流用することができ、訴状に添付すべき印紙代は、調停申立の際に納付した印紙代を控除した差額でよいとされています(民事訴訟費用法5条1項)。
そこで、離婚調停と異なる家庭裁判所に訴訟を提起して手数料の流用を希望する場合には、調停不成立証明書の提出が必要となります。
同じような書類として、「事件終了証明書」がありますが、これは離婚訴訟提起前に、離婚調停を経たことを示す書類として必要となります。
裁判が開かれる
一般的な離婚訴訟は、次のように進んでいきます。
1.訴状や証拠を準備して、家庭裁判所に訴訟を提起する。
2.約1~2ヶ月後に、第1回期日が指定される。
※4月は裁判官の人事異動の時期、8月は夏季休暇のため、第1回期日の指定は遅れる傾向があります。
3.第1回期日で、被告が答弁書を提出。
4.第2回期日以降、当事者が主張や立証を順番に行い、争点を整理する(期日は1ヶ月に1回程度指定される)。
5.親権や親子交流など子どもに関する件で争いがある場合には、家庭裁判所調査官が、裁判官の命令により、適宜専門的知見に基づいて、夫婦どちらに親権を認めるのが子の福祉に資するか、子の様子の調査、子の意向確認など必要な調査を行う。
6.当事者尋問・証人尋問を行う。
7.裁判所による和解の提案(裁判官は訴訟中どのタイミングでも和解の提案ができるが、尋問前後が多い)。
8.和解が成立しない場合は、裁判所が判決を下す。
9.判決に納得がいかない当事者は、判決書の通達を受けた日から2週間以内に控訴する。
10.控訴なく2週間すれば判決は確定する。
離婚訴訟をする前に知っておきたい注意点
離婚訴訟提起を検討している方に向けて、事前に知っておきたい注意点を説明します。
(1)調停を経ていないと離婚訴訟に進めない
基本的に裁判を提起して離婚を求めるためには、調停を申立てて話し合ったけど離婚が成立しなかったという事情が必要です。
離婚に関する夫婦間の意見が大幅に異なり、調停で話合いが成立しないことが見込まれても、調停をすることなく訴訟を提起することはできません。
これを、「調停前置主義」といいます。
身分上の問題については、裁判所が公の場で強権的に関与する前に、まずは当事者同士の話合いで解決することが望ましいと考えられているためです。
調停で話し合ったという事情が存在すれば、調停の終わり方は、調停不成立であっても取り下げであっても問題はありません。
しかし、例外的に、配偶者が行方不明など、離婚について話し合うことが不可能で調停をすることができないケースでは、調停を経ずに離婚訴訟を行うことができます。
(2)離婚調停の内容は引き継がれない
離婚調停と離婚訴訟は別々の手続きですので、離婚調停で主張した内容や提出した書類は、訴訟手続きに引き継がれません。
そのため、調停において提出した主張書面や証拠書類等は、訴訟手続きにおいて再度提出する必要があります。
(3)証拠が必要となる
訴訟においては、自分が裁判所に認めてもらいたい事実について、主張し、証拠を提出して証明しなければなりません。
離婚訴訟においては、法定の離婚事由の存在(民法770条1項各号)が極めて重要です。
相手方が離婚を拒否する限り、法定の離婚事由がなければ、裁判所は離婚を認めないためです。
離婚事由など、争いのある事実については、裁判所は証拠に基づいて判断します。
証拠が十分に準備できなければ、事実について証明がないとして、事実の存在は否定されてしまいます。
したがって、訴訟を提起する前に、しっかりと証拠を準備するようにしましょう。
(4)被告の出席は必須でない
調停のように話し合いでの解決を目指す手続きではないため、被告が出席せず、何ら書面を提出しないとしても、最終的な裁判所の判断を得ることができます。
ただし、被告が出席しない場合でも、裁判所に離婚を認めてもらうためには、法定の離婚事由(民法770条1項各号)の主張及び立証が必要です。
(5)敗訴するとしばらく離婚が難しい
確定した判決には既判力(後の裁判で、同一事項について、確定した判決の判断について争うことができないという拘束力)があります。
したがって、仮に「離婚しない」という判決が出て確定した場合には、既判力により、同じ理由で離婚訴訟を提起することができなくなりますので、注意が必要です。
しかし、夫婦関係は時の経過により変化しますので、裁判後に新たな事情が生じたとして、離婚を求めることはできます。ただし、どれくらいの期間が経過すれば訴訟を提起することができるのかは、ケースバイケースの判断となるでしょう。
また、離婚訴訟を提起する際には、この既判力の問題がありますので、勝訴できる見込みについてもある程度検討する必要があります。
法定離婚事由について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【まとめ】離婚調停不成立になれば多くの場合に離婚訴訟を提起することになる
今回の記事のまとめは次のとおりです。
離婚訴訟では、法律に基づいた主張・立証を行う必要があります。自分でそのような書類を準備して争うのには、手間や労力がかかりますし、精神力も必要です。
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