「現場検証」という言葉を耳にすると、緊張感や不安を感じるかもしれません。しかし、この手続きは事故の真相を明らかにするための重要な捜査の1つなのです。
現場検証は、事故の状況を明らかにする捜査の一環として行われます。
加害者側と被害者側で事故の状況の言い分が違う場合も、どちらが正しいことを言っているのかを明らかにするのを助けてくれますので、できる限り協力するようにしましょう。
このコラムでは、交通事故における当事者が立ち会う現場検証・実況見分の流れや立ち会い注意点、よくある疑問点などをお届けします。
ここを押さえればOK!
現場検証や実況見分に立ち会う際には、事実をしっかり伝え、異なる点があれば訂正を求めるようにしましょう。交通事故の被害に遭い、現場検証や実況見分に不安がある場合や賠償金額が心配な方は、一度アディーレ法律事務所へご相談ください。
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交通事故における現場検証とは?実況見分との違いとは?
まず、交通事故の現場検証について知っておきましょう。似た言葉である「実況見分」との違いも紹介します。
(1)交通事故における現場検証とは
交通事故における現場検証とは、飲酒運転やひき逃げなどの事件があり、裁判所が発付する令状に基づき、事故現場の状況を調べることです。
(2)現場検証と実況見分との違いとは
似た言葉として「実況見分」を聞いたことがあるかもしれません。
現場検証と実況見分はどちらも事故現場の状況を調べるという点で同じ意味として使われることがあります。しかし、法律上は強制か任意かなど次のような違いがあります。
- 「(現場)検証」は裁判所の発付する令状(検証許可状)に基づく強制力のある捜査
- 「実況見分」は令状が不要な任意の捜査(あくまでも任意の協力によるもの)
現場検証は令状に基づく強制捜査です。一方で、実況見分は任意捜査のため、立ち合いをするかどうかはあくまでも任意です。しかし、実況見分もできるかぎり立ち会うことをおすすめします。
交通事故の現場検証はいつ行われる?
交通事故の現場検証は、飲酒運転やひき逃げなど事件性があることが判明して、裁判所が捜査の令状を発付してから行われます。
一方で、実況見分は、基本的には人身事故の場合に、加害者・被害者立会いで行われるのが原則です。事故直後に行うことで、事故が起きた当時の現場の状態を調べることができます。
交通事故の現場検証・実況見分にかかる時間はどれくらい?
交通事故の現場検証にかかる時間は30分から1時間程度でしょう。
しかし、複数の車両を巻き込む事故の場合や重症のケガを負った人がいる場合などの場合は1時間以上かかるケースもあります。
交通事故の現場検証・実況見分の流れとは?警察は現場検証で何をやっているの?
当事者が立ち合いを求められる場合、現場検証(実況見分)の流れは基本的に次のような流れで行われることが多いでしょう。
- 警察が当事者に事情を聴取する
- 警察が調書を作成する
詳しく見ていきましょう。
(1)警察が当事者に事情を聴取する
当事者の立ち合いがある場合、警察が当事者から事故の経緯や状況を聞くことから始まるでしょう。
【聞かれることの例】
- 事故当時に車がどの位置にいたのか
- 事故当時いつの時点で相手方を認識したのか
- 事故当時にブレーキを踏んだ位置はどこだったのか など
車にドライブレコーダーを装着している場合には、ドライブレコーダーの録画映像も提出するとよいでしょう。
(2)警察が検証調書・実況見分調書を作成する
警察は当事者からの聴き取りや現場状況の調査(捜査)をしつつ、検証調書・実況見分調書を作成します。
検証調書・実況見分調書とは警察が作成する調査(捜査)の結果をまとめた書面です。
【検証調書・実況見分調書に記載されるものの例】
- 事故現場の状況
- 信号機や横断歩道の位置
- 道路の最高速度、交通規制
- 路面の状態(乾燥しているか、濡れているか)
- 道路の見通し、勾配、幅
- 照明の有無(夜間の事故の場合)
- スリップ痕、ブレーキ痕の有無
- 運転車両の状況
- 車両番号
- 損害の部位、程度
- 当事者・目撃者の説明
- 相手を発見した地点
- ブレーキを踏んだ地点
- 衝突した地点 など
検証調書や実況見分調書はのちの加害者への賠償金・慰謝料請求でも証拠になります。例えば、当事者の間で事故の状況や発生した損害に関する言い分が食い違う場合、実況見分調書や供述調書に記された事故当時の状況が証拠となります。
交通事故の現場検証・実況見分の立ち合いで気を付けることとは?
交通事故の現場検証・実況見分の立ち合いで気を付けてほしいことがあります。交通事故の現場検証・実況見分の立ち合いの際に失敗してしまうと、のちの刑事裁判や賠償金請求で不利になってしまう可能性があります。
<交通事故の現場検証・実況見分の立ち合いで気を付けてほしいこと>
- 事実をしっかり伝える
- 事実と異なるときは訂正してもらう
- 相手方が違うことを言っていても冷静に対応する
それぞれ見ていきましょう。
(1)事実をしっかり伝える
現場検証・実況見分の立ち合いで大事なのは、あなたが記憶していることを具体的にはっきり伝えます。わからないことはわからないと正直に伝えましょう。
実況見分で曖昧な回答をしたり、自分の落ち度を認めるような発言をしたりすると、後に加害者側に賠償金や慰謝料を請求する際に不利になってしまうことがあります。
(2)事実と異なるときは訂正してもらう
警察官から「こうではなかったですか」、「加害者はこう言っています」などと言われても、もしもあなたの記憶と違うのであれば、違うと言いましょう。
後で修正しようと思っても、一度検証調書や実況見分調書に記載されてしまうと、修正が難しくなります。警察が作成した検証調書や実況見分調書も見せてもらって、事実と異なる記載がされていないかを確認しましょう。
(3)相手方が違うことを言っていても冷静に対応する
相手方が事故の状況について、あなたの認識と違うことを言っていると思うことがあっても、冷静に対応するようにしましょう。
交通事故の現場の状況などを客観的に調べるもので、相手方の言っている内容が本当なのかどうか、その場で詳細に確認するものではありません。相手方に対する感情は切り離して、あなたはあなたの認識する事故の状況を警察に説明しなくてはいけません。
交通事故の現場検証・実況見分に関してよくある質問(FAQ)
最後に、交通事故の現場検証・実況見分に関してよくある質問についてまとめています。参考にしてください。
(1)実況見分は任意、実況見分に立ち会えなかったときはどうすればいい?
実況見分に立ち会えない場合、警察が後から主張を聞きにくるかもしれません。事故の状況など記憶が薄れないうちにメモを残しておくとよいでしょう。
もし実況見分の結果に納得できない場合には、警察に訂正を申し入れましょう。
(2)交通事故の現場検証・実況見分で行う「指さし」って意味あるの?
交通事故の現場検証・実況見分で行う指さしは、言葉だけで伝わりにくい事故現場の状況をわかりやすくするという意味があります。
交通事故の現場で当事者が車などを指さして、写真を撮られている姿を見たことがあるでしょう。車の損傷位置などを指さしてもらいながら写真を撮ることで、後から写真を見返したときにどこか車のキズなのかがわかりやすくなります。
(3)物損事故から人身事故に切り替えると、現場検証・実況見分はどうなるの?
物損事故では実況見分や現場検証が行われることはあまりありません。物損事故から人身事故に切り替えると、捜査の一環として現場検証・実況見分が行われる可能性が高いでしょう。
【まとめ】現場検証とは現場の状況を調べること|不安があれば弁護士へ相談を
現場検証は事故の真相を明らかにする重要な手続きです。立ち会う際は、事実を正確に伝え、冷静に対応することが大切です。
検証や実況見分に不安や疑問がある場合や少しでも多くの賠償金(示談金)を受け取りたい場合には、早めにアディーレの弁護士に相談しましょう。アディーレの交通事故被害の専属チームがサポートしてくれます。
交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、弁護士費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。
すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。
また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様にあらかじめご用意いただく弁護士費用は原則ありません。
(以上につき、2025年7月時点)
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