「離婚したいけれど、離婚して生活していけるかな…。」
離婚前からバリバリ仕事をしている方はともかく、専業主婦や扶養の範囲内で働いている方の場合、離婚によるお金の不安は大きいですよね。
実際、厚生労働省の調査によると、母親と子どもだけで生活している世帯の年間就労収入の平均は236万円です(令和2年時点)。
その他児童扶養手当などの収入を含めても、年間収入の平均は272万円にすぎません。
実際に離婚をした方が、離婚を後悔する大きな理由の一つに『経済的な理由』があります。
あとで後悔しないために、離婚にあたっては、夫婦で築いた財産についてしっかりと財産分与をしたり、お子さんがいるような場合には、離婚にあたって養育費について取り決めをすることがとても大切です。
参考:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要|厚生労働省
ここを押さえればOK!
・離婚を決意してから離婚までの流れ
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離婚そのものにかかるお金
離婚届を提出するだけであれば、お金はかかりません。
つまり、夫婦が話合いにより協議離婚する場合であれば、基本的に離婚そのものをするためにお金は必要ないのです。
ただし、協議離婚をする場合であっても、財産分与や慰謝料、養育費などの離婚条件を合意しておくことと、合意した内容は、事後的なトラブル防止のために離婚協議書を公正証書にして作成しておくことをおすすめします。
ちなみに、公正証書を作成する際には手数料が必要になります。
そして、話合いによって円満に離婚できない場合には、離婚調停や離婚裁判をする必要が生じてきますが、裁判所に支払う手数料や、弁護士に依頼した場合には弁護士費用がかかることになるでしょう。
公正証書の作成費用については、こちらの記事をご覧ください。
離婚調停の費用について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
離婚をするまでに必要な準備
離婚するにあたっては、離婚後の生活を具体的にイメージして、経済面・精神面でしっかりと準備する必要があります。
勢いで離婚をしてしまい、後悔する人は決して少なくありません。
相手に離婚を切り出す前に、まずは少なくとも次の点について確認してみましょう。
経済的に自立が可能か
離婚時に請求できるお金は把握できているか
離婚後の生活についてイメージできているか
順にご説明します。
(1)経済的に自立が可能か
夫婦は、婚姻中は婚姻生活にかかる費用(「婚姻費用」といいます)を分担する義務があります(民法760条)。
しかし、離婚後は、法律上の婚姻費用の分担義務はありませんので、基本的に生活費の支払を求めることはできません。
ですから、離婚後は、夫(妻)から生活費を受領せずに、自身だけの収入で生活できるかどうかを具体的に考える必要があります。
厚生労働省の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、約79%の方が母子家庭になる以前から働いています。
実際に離婚をして母子家庭になった場合には、各自治体によって、資格取得に必要な講座費用の一部を援助するなど、就業を支援する制度もありますので、必要に応じて各自治体に問い合わせてみましょう。
参考:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要|厚生労働省
なかなか仕事が見つかりません。
どうやって仕事を見つけたら良いでしょうか。
「マザーズハローワーク」やハローワーク内にある「マザーズコーナー」で子育て中の方の就職支援をしていますから、まずは相談に行ってみるのはいかがでしょうか。
私一人ならパートをしながら生活できると思いますが、子どもの学費などが心配です。
子どもを引き取った親は、養育費をもらえるんですよね?
未成熟子(経済的・社会的に自立していない子どものこと)がいる場合には、未成熟子と同居し養育する親は、他方の親に養育費を請求することができます。
ですが、相手方の失業や病気などで支払が滞るケースもありますので、離婚後の収入について、養育費は毎月必ず貰えるという前提では考えない方が良いでしょう。
先ほどの調査によれば、養育費に関して、調査時にも支払われていると回答した方は、約28.1%でした。
養育費を見込んで離婚後の生活を考えるのは少し危険です。
養育費だけに頼らず、自身が親権者となる場合には、「児童扶養手当」などひとり親世帯が行政から受けられる支援やその金額について事前に調べておきましょう。
児童扶養手当について詳しくはこちらをご覧ください。
さらに、東京都が支給する「児童育成手当」など、居住する地域によっては、児童扶養手当の他にも受けられる福祉制度があります。
これらは、申請しないと受給できませんので、事前に離婚した場合に受けられる支援について確認しておきましょう。
(2)離婚時に請求できるお金などは把握できているか
離婚の際には、離婚の条件についても話し合う必要があります。
その際、次のような金銭的なことについても話し合うことになりますので、事前に、どの項目のお金をいくらくらい請求できるのか把握しておくことが大切です。
財産分与
年金分割
親権者・養育費
慰謝料
それぞれについてご説明します。
(2-1)財産分与
財産分与は、離婚後の経済的自立のために、特に重要です。
財産分与とは何ですか?
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を離婚に際して分配する制度です。
どのように分ければ良いのでしょうか?
財産分与の割合は、財産の形成に夫婦が貢献した程度を考慮して判断します。
通常の夫婦であれば貢献した割合は50%ずつですので、通常は2分の1ずつ分けることが多いですが、すべてきっちり2分の1にしなければならないわけではありません。
話合いにより、財産分与の内容については臨機応変に合意することができます。
婚姻後に夫婦で築いた財産について、相手名義の財産は相手のものだと誤解されている方も多いです。
しかし、相手の給料が振り込まれた相手名義の口座の預金などは、基本的には財産分与の対象になります(※ただし、財産分与の対象は婚姻後に形成した財産のみ)。
専業主婦(主夫)の方であっても、基本的には財産の形成に貢献した割合は50%として計算されます。
財産分与については、誤って理解していると本来受け取るべき財産を受け取れなくなりますから、財産分与でわからないことがあれば、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
財産分与は離婚時にしないといけないんですか?
早く離婚がしたいので、もめそうな財産分与は後回しにしたいのですが…
基本的には財産分与を請求する権利は、離婚から5年で消滅します(※)。
また、その前であっても、離婚して別々に暮らすと相手と連絡が取れなくなってしまったり、本来共有財産である相手名義の預金などを使われてしまう可能性もあります。
同居している方が相手名義の財産を調べやすいと思いますので、離婚前にしっかり共有財産を調べ、離婚時にどの程度の財産分与を受けられるかしっかり把握した上で話し合うことをお勧めします。
※2026年3月31日までに離婚が成立した場合には、離婚から2年で消滅。
(2-2)年金分割
年金分割とは、婚姻期間に対応する厚生年金・共済年金の保険料納付記録の最大2分の1を分割できる制度のことをいいます。
年金分割は全ての年金が対象ですか?
基礎年金である「国民年金」に相当する部分や、「厚生年金基金・国民年基金」などに相当する部分は分割の対象になりません。
また、婚姻前の期間も分割の対象ではありません。
年金分割制度を利用するメリットがあるのはあくまでも、婚姻中に相手が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合だけですので、注意が必要です。
離婚前に、加入している年金団体(国民年金、共済年金)から、「年金分割のための情報提供通知書」を取り寄せることで、分割対象となる保険料納付記録などを確認することができます。50歳以上であれば、分割後の年金見込額の照会もすることができます。
年金分割の対象とならない公的年金や、個人型確定型拠出年金などの私的年金を分割するためには、上記のような年金分割制度が存在しないので、財産分与の話合いの中で分割を求めていくことになります。
このような年金についても、離婚前にしっかりと把握しておく必要があります。
年金分割は離婚時にしないといけないんですか?
早く離婚がしたいので、後回しにできませんか?
年金分割のためには、年金事務所に標準報酬改定請求書を提出しなければいけません。
この請求の期限が、離婚が成立した日の翌日から5年以内です(※)。
必ずしも離婚前に話し合わなくてはいけないものではありませんが、早めに片付けておいたほうが良いと思います。
※2026年3月31日までに離婚が成立した場合には、離婚が成立した日の翌日から2年以内。
(2-3)親権者・養育費
未成年の子どもがいる場合は、父母の双方または一方を親権者と定める必要があります(民法819条1項)。
2026年4月施行の改正民法により、日本でも離婚後の「共同親権」が導入されました。これにより、従来の単独親権に加え、離婚後の共同親権も選択可能になります。
そのため、この改正民法の施行後は、協議により、単独親権とするか、共同親権とするかを選択することができます。親権者について争いがあり、調停または審判の申立をしている場合には、親権者を定めなくても離婚することが可能です。
通常、親権を有する親が子を実際に監護して育てますが、夫婦で話し合ったうえで、親権と監護権を分離して、監護権のみを有する親が子を実際に育てるケースもあります。
子どもを監護して育てる親は、他方の親に対して、養育費を請求することができますので、養育費の額・支払時期・始期・終期などについても話し合います。
裁判所作成の養育費算定表が公表されていますので、養育費の額の参考にするとよいでしょう。
また、次のサイトでは、受け取れる養育費の目安を簡単に調べることができますので、是非確認してみてください。
離婚をするときに、養育費のことは必ず決めないといけないのですか?
養育費についての取り決めは必ずしも離婚時にする必要はありません。
ただし、養育費の支払時期は基本的には請求した時からですので、離婚後に養育費を請求する場合、離婚時から請求までの分を遡って請求することはできないため、その点はご注意ください。(※後述の法定養育費については、離婚時に養育費の取決めをしていなくても遡って請求可能)
先ほど、母子家庭の約28.1%の方は養育費の支払を受けられていないとお話ししましたが、そもそも、養育費について取り決めをせずに離婚をした方は取り決めをした方よりも多いのです。
養育費は子どもを育てるための大切な費用です。
実際に支払われるかどうかは別にしても、まずは養育費について話し合い、取り決めをしておくことをおすすめします。
そして、2026年4月施行の改正民法により、養育費の支払義務は従来よりも強化されています。たとえば、今回の改正により、養育費の取り決めをせず協議離婚した場合に、法定養育費を請求できるようになりました。
とはいえ、養育費を支払う側も養育費の額に納得したほうが、自主的な支払いを期待できる面はありますし、先述した「養育費算定表」のほうが法定養育費より高いケースも考えられます。
したがって、改正法施行後も、なるべく離婚前に養育費の話合いをしておいたほうが良いでしょう。
(2-4)慰謝料
離婚に至る原因が、一方の不貞行為などにある場合には、相手方に対して慰謝料を請求できますので、慰謝料の額も話合いの対象となります。
離婚原因として多い「性格の不一致」は、通常一方だけに離婚の責任があるものではないため、慰謝料を請求することは困難です。
なお、相手が浮気をしたから離婚を考えている、というような場合には、離婚を切り出す前にしっかり証拠を集めることをおすすめします。
(3)離婚後の生活についてイメージができているか
離婚後の生活についてイメージする必要があるのは、特に小さな子どもがいる場合です。
特に、これまで専業主婦(主夫)であったという方は、次のような、働きながら子育てをする生活のイメージをしっかりして、不測の事態に備えておきましょう。
- 働きながらワンオペ育児が可能か
- 実家の両親や親族に子育ての協力を依頼できるか
- 突発的な事情で保育園に迎えに行けないときにどうするのか
- 自分が病気になった場合の対処方法 など
離婚を決意してから離婚をするまで流れ

次に、離婚の決意後、実際に離婚成立するまでの流れについて解説します。
(1)離婚後の生活についてシミュレーションをしてみる
離婚後の生活について、収入、支出、子育て、仕事などの側面から具体的にシミュレーションします。
働きながらワンオペ育児ができるか、両親など子育てについて協力してもらえる人はいるか、経済的に自立して生活できるか、利用できる行政支援サービスなどについて、事前に検討しましょう。
(2)離婚についての話合いを進める
次に、配偶者と離婚について話合いをします。
話合いの結果、当事者の合意で離婚することを協議離婚といいます。
離婚する夫婦のうち、およそ9割が協議離婚で離婚します。
協議離婚のほかに、どんな離婚があるのですか?
他には「調停離婚」、「審判離婚」、「裁判離婚」があります。
配偶者から離婚の合意が得られないと、調停や裁判手続を利用して離婚を請求する必要があり、時間と手間がかかります。また、調停や裁判をしたとしても、配偶者が離婚を拒否した場合には、離婚ができるとは限りません。
協議離婚の場合は、当事者が離婚に合意をして離婚届を市区町村役場に提出すれば離婚が成立します。
(3)離婚届の提出
離婚条件についても合意ができたら、必要事項を記入した離婚届を役所に提出します。
離婚条件について話し合う際に、離婚届の提出時期や提出者についても合意しておくとよいでしょう。
【まとめ】離婚後のお金の目途をたてるためにも、離婚前の準備が大切
離婚する前には、親権、養育費、離婚後の経済的自立、離婚後の住まいの確保など、事前に準備しなければならないことが数多くあります。
離婚準備が整っても、配偶者が離婚に同意しない場合や、離婚条件の話合いがうまくいかない場合には、協議離婚は困難です。
話合いがうまくいかない場合には、弁護士へ相談する方法もあります。
離婚でお悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。



























