「看護師として働いているけれど、残業が多くて大変。
それだけでなく、残業代がしっかり支払われていないことも気になっている。
看護師も残業代を請求できないの?
残業代の請求方法について知りたい!」
看護師は残業が多く、とても大変な仕事です。
患者の方の命を預かる仕事ですから、特別な仕事だという意識を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、看護師の方であっても、労働者であることに変わりはありません。
看護師も残業代を請求することはできます。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- 看護師の時間外労働の状況
- 看護師の残業が多くなる要因
- サービス残業の残業代を病院に請求する流れ
中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。
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看護師の時間外労働の状況
看護師の時間外労働に関して、ある転職サイトによって2018年度に行われた調査によると、1ヶ月の時間外労働時間は「5時間未満」が約26%と最多でした。
また、「5~10時間」「10~20時間」がそれぞれ約18%であり、約10%が「20~30時間」であるとの結果が出ました。
「残業なし」とした方が約13%であった反面、30~70時間以上という時間を回答した方も一定数いました。
残業が発生しやすい時間帯としては、「日勤の終業後」が92.8%と突出していました。
もっとも、日勤や夜勤、準夜勤などの始業前に出勤するいわゆる「前残業」をするケースもありました。
看護師の残業が多くなる要因
看護師の残業が多くなる要因には、次のものがあります。
- 交代勤務による勤務形態
- 看護記録の作成
- 突発的な業務
- 研修・勉強会への参加
(1)交代勤務による勤務形態
入院施設のある病院などの場合、看護師は、2交代制または3交代制の勤務形態で働くことが一般的です。
2交代制では1日の労働時間が長くなりやすく、3交代制では生活リズムが崩れやすくなるというデメリットがあります。
交代勤務のうち、夜勤では、2~3時間程度の仮眠時間が設けられることがあります。
しかし、この仮眠時間を全て休めているとは限りません。
患者の方の容体が急変したりナースコールで呼び出されるなどして、十分な休憩が取れないこともあります。
仮眠時間中であっても、ナースコールの対応など看護業務を行うことが義務付けられており、実際にそうした対応をそれなりの頻度で行うこともあります。
このような場合、労働からの解放が保証されていたとはいえません。
そのため、仮眠時間の全てが労働時間として扱われる可能性があります。
交代勤務の業務の中には、引継ぎや申し送りなどもあります。
本来、これらの引継ぎや申し送りの時間は業務時間に組み込まれていなければなりません。
しかし、看護師の場合は状況に応じて引継ぎ・申し送りに時間がかかってしまうこともあります。
業務時間を超えて引継ぎ・申し送りに時間がかかってしまうと、その時間は残業時間となってしまいます。
(2)看護記録の作成
看護師は、看護記録を作成しなければなりません。
看護記録は、看護の経過や今後の看護計画などを記した重要な書類です。
本来、看護記録の作成も勤務時間内に行われるべきです。
しかし、病院によっては、「看護記録の作成は定時が終わってから行う」という暗黙のルールがあることもあります。
そのような暗黙のルールがなかったとしても、実際には人手が足りず、患者対応などの看護業務で手一杯になってしまっていることが多いです。
このため、勤務時間内に看護記録を作成する十分な時間が取れないというのが現実である職場も多くあります。
そうなると、看護記録の作成は残業して行うということになってしまいます。
看護記録の作成は、残業を発生させる大きな原因となっているのが実情です。
(3)突発的な業務
看護師の仕事は、必ず定時で終われるというものではありません。
定時の間際に、次のような突発的な業務が発生することがあります。
- 患者の容体急変への対応
- 患者の家族からのクレーム対応
- 患者やその家族からの相談対応
定時の間際にこのような突発的業務が発生してしまうと、これらへの対応のために残業しなければならなくなってしまいます。
突発的業務への対応のための残業に対しても、残業代は発生します。
(4)研修・勉強会への参加
医療に関する技術や知見は日々進歩しているため、それに追いつくための研修や勉強会が欠かせません。
研修や勉強会への参加の必要性は、新人看護師だけでなく、ベテラン看護師であっても変わりません。
しかし、このような研修や勉強会を業務シフトの時間内に開催することは、人員配置の都合上難しいということが多くあります。
多くの場合では、研修や勉強会への参加は定時の時間外に残業したうえで行われることになります。
研修や勉強会への参加が各看護師の任意によるものではなく、その参加が職場から強制されている場合には労働時間(残業時間)として扱われ、残業代が発生することがあります。
もっとも、研修や勉強会への参加は残業として扱われないという職場もあり、サービス残業が発生するひとつの原因となっています。
サービス残業の残業代を病院に請求する流れ
サービス残業の残業代を病院に請求する流れは、次のとおりです。
残業代の証拠を集める
弁護士に依頼して残業代請求をしてもらう
これらについてご説明します。
(1)残業代の証拠を集める
残業代請求をするにあたっては、残業代の証拠を集める必要があります。
残業代の証拠には、主に次のようなものがあります。
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 給与明細、預金通帳
- 就業規則、賃金規程
- タイムカード
- 日報(始業・終業の時刻を記載しているもの)
- web打刻ソフトのスクリーンショット
- 出勤簿
(2)弁護士に依頼して残業代請求をしてもらう
残業代請求は、全て自分で行わなければならないというわけではありません。
残業代請求は、弁護士に依頼して行ってもらうという方法もあります。
残業代請求を弁護士に依頼するメリットには、次のものがあります。
- 弁護士が代理人として職場とやりとりをしてくれるため、自分で職場とやりとりをしなくて済み、交渉のストレスが軽減される
- 豊富な知見に基づいて残業代を請求できるかどうか、いったいいくらの残業代を請求できるかを判断・計算してくれる
- 職場が残業代の支払を拒絶した場合などには、労働審判や訴訟といった裁判手続きを代わりに行ってくれ、裁判手続きに自分で対応する負担が軽減される
残業代請求は、決して簡単な手続きではありません。
特に、忙しい看護師の方にとっては、自分で残業代請求の準備をして請求し、職場との交渉まで行うのは負担が大きいです。
だからといって残業代請求を諦めてしまうのは、もったいないことです。
看護師の方の場合は、弁護士に依頼して残業代請求を行うことがおすすめです。
【まとめ】看護師のサービス残業代請求は弁護士に依頼しましょう
この記事のまとめは次のとおりです。
- ある調査によると、看護師の1ヶ月の時間外労働は、「5時間未満」が約26%と最多。
他方、30~70時間以上という残業時間の方も一定数いる。 - 看護師の残業が多くなる要因には、交代勤務による勤務形態であることや看護記録の作成をしなければならないこと、突発的な業務が発生することなどがある。
- サービス残業の残業代を病院に請求する流れは、「残業代の証拠を集める→弁護士に依頼して残業代請求をしてもらう」というもの。
看護師は、さまざまな理由で残業が多くなりがちな職業です。
しかも、残業代を十分にもらえていないという看護師の方も多いです。
たしかに、看護師は患者の方の命を預かるとても崇高な仕事です。
しかし、そのことは残業代を請求しなくてよいということにはつながりません。
発生している残業代を請求しないままでいることは、とてももったいないことでもあります。
ぜひ、しっかりと残業代を請求して、働いた分に見合った対価をもらうようにしましょう。
アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点
残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。