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残業代請求は司法書士に頼める?弁護士との違いと注意点を解説

作成日:更新日:
kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

残業代請求を考えている方にとって、どの専門家に依頼すべきかは重要な問題です。 

司法書士と弁護士のどちらに依頼するべきか迷っている方もいるかもしれません。 

確かに、費用面だけ見れば司法書士の方が安いかもしれませんが、司法書士にできることは限られているので注意が必要です。 

本記事では、司法書士と弁護士の違いや、司法書士に依頼するときの注意点、弁護士に依頼するメリットを詳しく解説します。 

この記事を読んでわかること

  • 司法書士に残業代請求を頼めるのか
  • 司法書士に残業代請求と頼む時の注意点
  • 残業代請求を弁護士に依頼するメリット

ここを押さえればOK!

残業代請求を専門家に依頼する際、司法書士と弁護士のどちらを選ぶべきか迷う方がいます。司法書士の中でも「認定司法書士」のみが残業代請求を扱えますが、その範囲は限定的です。

認定司法書士ができることは、140万円以下の請求に関する相談・アドバイス、会社との交渉と和解、簡易裁判所での訴訟活動の代理人となることです。しかし、140万円を超える請求や労働審判の代理人にはなれません。
一方、弁護士は金額に関わらず残業代請求を扱え、交渉から訴訟まで一貫して対応できます。また、不当解雇など複雑なケースにも対応可能で、最適な戦略を立てられるメリットがあります。

司法書士に依頼する際の注意点として、請求額の制限、労働審判の代理人になれないこと、不当解雇への対応ができないことが挙げられます。これらの制限により、途中で弁護士に依頼し直す必要が生じる可能性があります。

結論として、残業代請求は初めから弁護士に依頼するした方が良い場合が多いです。弁護士は幅広い業務を行え、複雑なケースにも対応できるため、戦略的に会社側と交渉するには適しています。

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この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

司法書士に残業代請求を頼める? 

残業代請求は、法律に関する事務です。 

法律に関する事務を取り扱えるのは、法律上弁護士だけです(弁護士法72条)。 

しかし、弁護士は数が多くないことから、司法書士のなかでも「認定司法書士」という特別な司法書士は、一部の法律事務のみ(この法律事務を、「簡裁訴訟代理等関係業務」といいます)取り扱うことができます。 

(1)残業代請求を取り扱えるのは認定司法書士のみ 

残業代請求を取り扱えるのは、この「認定司法書士」のみです。 

認定司法書士とは、特別な研修や試験を経て、一定の紛争に限って代理人となることができる司法書士のことです。 

認定司法書士の要件は次の通りです(司法書士法3条2項)。 

【認定司法書士の要件】 

  • 簡裁訴訟代理等関係業務について決められた過程を修了したこと 
  • 法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力があると認定したこと
  • 司法書士会の会員であること

認定司法書士ではない、一般の司法書士は残業代請求の法律相談を受けたり、代理人となったりすることはできません。 

司法書士は、不動産などの登記手続きの代理や、法務局などに提出する書類作成などをメインの職責とする資格です。法律の相談も、これに必要な限度で行うことはできます。 

一般の司法書士は、紛争について依頼人の利益を実現するためにその代理人として活動するための資格もなく、経験もありません。 

司法書士は、特別な研修や試験を経て認定司法書士とならなければ、一定の紛争について依頼人の代理人となり、交渉したり和解したりして解決を目指すことはできないのです。 

(2)認定司法書士でも、頼めるのは請求額140万円以下の場合のみ

認定司法書士であっても、残業代の請求額が140万円を超える場合には、相談を受けたり代理人となることはできません(司法書士法3条1項6号)。 

これは、請求額が大きくなると依頼人の被る利害も大きくなるので、そのような紛争は司法書士は扱えず、弁護士のみが取り扱えるようにする、という趣旨です。 

例えば、残業代の総額が150万円である場合には、認定司法書士であっても対応できません。もし認定司法書士がこのような依頼を受けて代理行為を行うと、弁護士法違反(弁護士法72条)として刑事処罰の対象となります。 

したがって、請求額が140万円を超える場合で専門家に相談・依頼したいと思ったら、弁護士に連絡することになります。 

認定司法書士が残業代請求でできること

認定司法書士が取り扱える残業代請求は、140万円を超えない範囲だけです。 

そして、利用できる法的な解決手段も、簡易裁判所に限られます。 

具体的にどんなことができるのか、わかりやすく説明します。 

(1)相談・アドバイス

認定司法書士であれば、140万円を超えない範囲の残業代請求について、弁護士と同様に法律相談を受け、アドバイスを行うことができます。 

(2)会社との交渉と和解 

認定司法書士は、140万円を超えない残業代請求について、依頼人の代理人として、会社と交渉することができます。 

金額について合意ができたら、140万円を超えない額について、代理人として和解することができます。

(3)簡易裁判所が管轄の訴訟活動の代理人

残業代請求で交渉が決裂した場合、通常は裁判所を利用した紛争解決を目指します。 

裁判所を利用した紛争解決の方法は複数ありますが、認定司法書士が利用できるのは、簡易裁判所のみです。 

認定司法書士は、140万円を超えない残業代請求について、依頼人の代理人として、簡易裁判所に訴えを提起し、書面や証拠を提出し、出廷することができます。 

簡易裁判所は、規模の小さい法律トラブルを簡易な手続きでスピード感をもって解決する事件を管轄します。 

管轄とする民事事件は、請求額は140万円を超えないもので、紛争の内容もあまり難しくないことが多いです。認定司法書士には、そのような簡易裁判所が管轄の訴訟活動の代理のみ許されています。 

(4)労働審判で必要となる書面作成など 

弁護士が残業代請求の交渉が決裂した場合、通常、弁護士が真っ先に次の手段として検討するのは、労働審判という裁判所を利用した解決方法です。 

認定司法書士が残業代請求で代理できるのは、簡易裁判所が管轄の訴訟活動のみですので、地方裁判所を管轄とする労働審判の代理人にはなれません。 

そこで、認定司法書士の中には、本人が労働審判を申し立てを行って、出廷することを前提に、後方で書面の作成をサポートするというサービスを行うこともあるようです。 

しかし労働審判をするのであれば、初めから弁護士に依頼して、代理人として書面作成や出廷をしてもらった方がよいでしょう。 

司法書士に残業代請求を頼む際の注意点 

認定司法書士に残業代請求を頼む主なメリットは、弁護士よりも費用が低額であることが多い点にあると考えられます。 

しかし、認定司法書士に残業代請求を依頼する際には、次の点に注意して、理解したうえで依頼するようにしましょう。 

(1)請求額が140万円を超える請求ができない 

認定司法書士に残業代請求を依頼する際の大きな制約は、先ほど説明した通り、請求額が140万円を超える場合には対応できないことです。 

140万円を超える場合、司法書士は代理人として、会社と交渉することも、簡易裁判所で訴訟行為を行うこともできません。 

司法書士に相談した後、残業代を概算したら140万円を超えていた、というような場合には、結局司法書士には依頼できません。 

残業代を自分で計算するのも大変なので、初めから弁護士に相談した方がよいかもしれません。 

(2)司法書士は労働審判の代理人になれない 

残業代が140万円を超えなければ、認定司法書士に依頼することはできます。 

しかし、交渉が決裂した場合、次の段階として、裁判所を利用した解決を模索しなければなりません。 

弁護士であれば、通常「労働審判」を選択します。 

労働審判とは、労働トラブルを柔軟かつ迅速に解決するための地方裁判所での手続きです。 

裁判官と審判員が関与して、残業代請求を含めた労働トラブルについて審理を行います。 

原則3回以内の期日(早ければ3ヶ月程度)で審理を終えることとされており、迅速なトラブルの解決を目指しています。 

弁護士に依頼していれば、申立てから書面や証拠の準備、期日の裁判官からの質問への対応まで、弁護士が代理人として対応することができます。 

しかし、認定司法書士は労働審判の代理人にはなれません。認定司法書士が裁判所を利用しようと思ったら、簡易裁判所で残業代請求の訴えを起こすことしかできません。 

認定司法書士が労働審判の代理人になれないことは、依頼者にとって大きなデメリットです。 

依頼した認定司法書士が代理人となれない以上、労働審判での解決を目指す場合、新しく弁護士に依頼するか、自分で手続きを行う必要があるためです。

(3)認定司法書士は、不当解雇を争う場合に対応できない 

残業代請求は、自主的な退職や、解雇をきっかけにする人が大変多いです。 

残業代請求だけでなく、解雇が不当であることを争う場合、その代理人なれるのは弁護士だけです。 

認定司法書士は対応できません。 

認定司法書士が取り扱うことができるトラブルは、140万円以下の請求に限られます。 

不当解雇の場合、解雇の適法性が問題となることから、トラブルの額を金銭に見積もることができません。このため、140万円を超える請求と同じものとみなされるのです。 

したがって、認定司法書士であっても、不当解雇についての争いの代理人になることはできません。 

不当解雇など法律上の争点がある場合には、初めから残業代請求を含めて弁護士に対応を依頼した方がよいでしょう。 

残業代請求を弁護士に依頼するメリット 

初めは認定司法書士がよいと思っても、途中で認定司法書士にできないことをお願いしたくなり、弁護士に依頼することになれば、費用が2重にかかってしまうリスクがあります。 

「初めから弁護士に対応を依頼すれば、時間も費用も節約できた」という事態は避けなければなりません。 

初めから残業代請求を弁護士に依頼するメリットとしては、次のようなものがあります。 

(1)交渉から訴訟まで対応できる 

弁護士は、当事者間の交渉から労働審判、通常訴訟まで一貫して対応できるため、交渉で解決できなかった場合でも、手続きを通じて依頼が可能です。 

(2)戦略をたてて最適な手段で戦える 

労働トラブルは、交渉が決裂したとしても労働審判で解決できるケースが多いです。 

仮に労働審判でも解決できなかった場合、通常訴訟を選択することもできます。 

不当解雇をとことん争う場合には、労働審判だけでなく通常訴訟を選択した方が効果的なケースもあります。 

紛争について、具体的にどの点が法律上問題になるのかという検討、判例の立場は自分に不利なのか有利なのか、解決するためにどの手続きを選ぶのが最適なのかという分析、選んだあとの手続きの遂行という面で、弁護士に依頼する事には大きなメリットがあります。 

【まとめ】残業代請求は、初めから弁護士に相談・依頼するのがおすすめ 

認定司法書士は請求額が140万円以下の場合に限られた業務を行えますが、複雑なケースや高額な請求には対応が難しいです。 

一方、弁護士は、法律事務について制限のない幅広い業務を行うことができ、労働審判から訴訟まで一貫して対応できます。 

残業代請求や不当解雇について、戦略的に会社側と戦うためには、弁護士に依頼する方がよいでしょう。 

残業代請求は、残業代請求を積極的に取り扱っている弁護士に依頼するようにしましょう。 

一度、残業代が請求できるのか、請求できるとしていくらになりそうかなど、相談だけでもしてみませんか? 

アディーレ法律事務所は、残業代請求と不当解雇に関して、ご相談は何度でも無料です(2024年12月時点)。 

残業代請求や不当解雇でお悩みの方は、一度アディーレ法律事務所へご相談ください。 

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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