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建設アスベスト被害者や遺族に最大1300万円!給付金について解説

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otsubo

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

2021年6月9日、『特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律(以下、「給付金法」といいます)』が成立し、2022年1月19日に完全施行されました。
給付金法は、建設業務に従事したことによってアスベスト(石綿)にばく露し、中皮腫や肺がん等の疾病にかかった方に対して、訴訟手続によらずに、最大1300万円の給付金を支給するというものです。

実は、これまで、建設業務に従事したことによるアスベスト被害については、主に、国や建材メーカーを被告とする損害賠償請求訴訟を提起することで、金銭的な救済が目指されていました。
この法律の成立・施行によって、国との関係では、このような損害賠償請求訴訟を提起することなく、被害者に金銭的な救済が図られることとなります。

この記事では、建設アスベスト訴訟の経緯や給付金について弁護士が解説します。

この記事を読んでわかること
  • 建設アスベスト訴訟のこれまで
  • 給付金法の内容
この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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建設アスベスト訴訟とは?

アスベストは、その特性から、工業製品の原材料として優れた適格性を有していると考えられていました。
そのため、吹き付け材、保温材、断熱材、耐火被覆板、成形板等の建材に多くのアスベストが使用されていました。
平成7年頃には、日本のアスベスト消費量のうち、なんと約9割を建材製品が占めるようになっていました。

ただ、アスベストは人体に対する有害性が非常に高く、アスベスト含有建材を用いて作業に従事していた建設作業員らにアスベスト(石綿)被害が多発するようになりました。
このようなアスベストの有害性を知り又は知ることができたのに、建材メーカーはその有害性について十分な警告をせず、アスベスト含有建材を製造・販売して利益を上げ続けていました。また、国もこれらに十分な規制も課しませんでした。

このような国と建材メーカーの責任を問うため、2008年に東京地裁で集団訴訟が提起され、これを皮切りに、横浜、京都、大阪、福岡、札幌、さいたま、仙台の各地の地方裁判所で同様の提訴がなされるに至りました。

最高裁判決により国および建材メーカーの責任が確定、基本合意書の締結

2021年5月17日、最高裁判所第一小法廷により、4つの建設アスベスト訴訟(横浜訴訟、東京訴訟、京都訴訟、大阪訴訟)について、国及び建材メーカーの責任を認める判決が言い渡されました。

また、同月18日、この最高裁判決を受け、建設アスベスト訴訟の原告団・弁護団等と国との間で基本合意書が締結されました。今回可決された給付金法の内容は、主に、この最高裁判決や基本合意書の内容がベースとされています。

参考:基本合意書|厚生労働省
参考:建設アスベスト給付金制度について|厚生労働省

給付金法の内容について

それでは、今回完全施行された給付金法の内容とはどのようなものなのでしょうか。
次では、給付金の対象者や請求期限、被害者死亡の場合の取り扱いなどについて解説していきます。

参考:特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律の概要|厚生労働省

(1)対象者の要件について

次の3つの要件を満たす方が、給付金の支給対象となります(給付金法2条3項)。
さらに支給対象者であっても、次でご説明する請求期限内に請求する必要があります。

1. 次の表記載のアスベストにさらされる建設業務(※1)に従事していたこと

期間業務
昭和47年10月1日~昭和50年9月30日までの間石綿の吹付けの作業に係る業務
昭和50年10月1日~平成16年9月30日までの間屋内作業場であって厚生労働省令で定めるものにおいて行われた作業に係る業務(※2)

※1日本国内で行われた、土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業若しくはこれらの作業の準備の作業に係る業務又はこれに付随する業務をいいます(給付金法2条1項)。
※2屋内での石綿吹付作業に係る業務も含まれます。

2. 1の業務に従事したことにより、石綿関連疾病にかかったこと

「石綿関連疾病」とは、次の5つです。

3. 労働者や、ひとり親方等であること

※ひとり親方が行う事業に従事する家族従事者なども含まれます。詳しくは次のサイトをご確認ください。

参考:建設アスベスト給付金制度の概要パンフレット|厚生労働省

(2)請求期限の要件について

給付金の請求には期間制限があります(給付金法5条2項)。そのため、期間制限を経過していないことも給付金の支給要件となります。

      疾病     請求期限
(i)じん肺管理区分管理2、管理3及び管理4と決定された石綿肺管理区分の決定があった日から20年
(ii)(i)以外の石綿関連疾病羅患者※石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断があった日から20年
(iii)死亡死亡日から20年

※じん肺管理区分管理2以上の石綿肺に相当するものの、じん肺管理区分の決定を受けていない石綿肺の起算日ついては、(i)ではなく、(ii)となると考えられます。

(3)特定石綿被害建設業務労働者等が亡くなられた場合について

特定石綿被建設業務労働者等が亡くなられた場合、ご遺族が自己の名で給付金を請求することができます(給付金法3条2項)。
ご遺族が複数いる場合における、給付金の支給を受けることができる順位については、次の表のとおり規定されています(給付金法3条3項、同条4項)。

1位配偶者(事実婚の配偶者を含む)
2位
3位父母
4位
5位祖父母
6位兄弟姉妹

ご遺族が請求する場合について、注意点が2点あります。
まず1点目は、同順位のご遺族が複数いた場合、1人の請求が同順位のご遺族全員の請求とみなされるという点です。

給付金法3条5項では、「給付金の支給を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、その一人がした請求は、その全額について全員のためにしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす」とされています。

例えば、配偶者が存在せず、子が2人以上いる場合、複数の子のうち1人が給付金を請求した場合、子の全員が請求したものとみなされます。
2点目は、給付金の支給を受けることができる方の範囲が民法の相続法の規定と若干異なり、順位が上の方が支給を受けることができるという点です。

例えば民法では、配偶者と子がいる場合、それぞれ法定相続人となり、2分の1ずつの法定相続分を有していることになります。
これに対して、給付金法では配偶者の方(1位)が子(2位)よりも順位が上になっています。
そのため、配偶者がいる場合には、たとえ子がいたとしても、給付金の請求権を有するのは配偶者のみということになります。

(4)給付金額について

給付金額については、次のようなプロセスで決定されます。

疾病の類型によって基本的な給付金額を算出

減額事由の有無により減額

給付金額の決定

参考:建設アスベスト給付金制度について|厚生労働省

(4-1)基本的な給付金額について

基本的な給付金額は、病態の区分に応じて、次のようになっています(給付金法4条1項)。

疾病金額
1じん肺管理区分管理2の石綿肺又はこれに相当する者で
指定合併症にかかっていない者
550万円
2じん肺管理区分管理2の石綿肺又はこれに相当する者で
指定合併症にかかった者
700万円
3じん肺管理区分管理3の石綿肺又はこれに相当する者で
指定合併症にかかっていない者
800万
4じん肺管理区分管理3の石綿肺又はこれに相当する者で
指定合併症にかかった者
950万
5中皮腫、肺がん若しくは著しい呼吸器障害を伴うびまん性
胸膜肥厚にかかった者、じん肺管理区分管理4の石綿肺に
かかった者若しくはこれに相当する者又は良性石綿胸水
にかかった者
1150万
61又は3により死亡した者1200万
72、4、5により死亡した者1300万

※遅延損害金及び弁護士費用については支給されません。

(4-2)減額事由について

上でご説明した病態が認められても、次の二つの理由で減額されることがあります。

1.石綿ばく露期間による減額

次の表の石綿ばく露期間を下回る場合には、100分の90に減額されます(給付金法4条2項)。

疾病石綿ばく露期間
肺がん又は石綿肺10年
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚3年
中皮腫又は良性石綿胸水1年

2.喫煙習慣による減額

肺がんにかかった特定石綿被害建設業務労働者等で、喫煙習慣がある方については、100分の90に減額されます(給付金法4条3項)。なお、石綿ばく露期間による減額事由も認められる場合、石綿ばく露期間による減額により算出された金額に、100分の90を乗じた金額が給付金額とされます。

例えば、肺がんによって亡くなった方で、喫煙習慣とばく露期間による減額がある場合には、給付金額は1053万円(1300万円×0.9×0.9)となります。

【まとめ】建設アスベスト被害者及びご遺族は給付金受給を!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 給付金法によって、建設アスベスト被害者は、訴訟によらずに、最大1300万円の給付金の支給を受けることが可能となる
  • 給付金の対象となるのは、次の3要件全てを満たす方
    1. 過去の一定期間アスベストにさらされる建設業務に従事することにより
    2. 石綿関連疾病(5種類)にかかった
    3. 労働者やひとり親方等であること
  • 被害者がすでに亡くなっていても、ご遺族による請求が可能
  • 給付金額は、疾病の種類や減額事由の有無によって異なり、495万~1300万円となる
  • 石綿ばく露期間、および、(肺がんの場合)喫煙習慣による減額がある

給付金法による救済の対象であるのに、気づかずにお金を受け取れないとしたら、非常に残念なことです。「対象かも?」と思われた方は、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。 アディーレ法律事務所では、建設アスベスト給付金の請求手続に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した賠償金や給付金からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年1月時点

アスベスト被害にあわれた方またはそのご遺族の方は、アスベスト被害に積極的に取り組んでいるアディーレ法律事務所にお気軽にご相談ください。

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