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不倫相手に送る内容証明の書き方や効果を高めるためのポイントを解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「夫(妻)が不倫をしていた。泣き寝入りはしたくないから、不倫相手に慰謝料を請求したい。」
不倫相手に慰謝料を請求する場合、後から「そんな請求はされていない。」などと言われないためにも『内容証明』で請求することをお勧めします。

内容証明は普通郵便と比べて費用と手間がかかりますが、不倫相手にこちらの本気度を知らせるという意味でもとても有効です。

今回の記事では、次のことについてご説明します。

  • 不利相手に慰謝料を請求する時に内容証明郵便を送る目的
  • 内容証明郵便の書き方
  • 内容証明郵便に記載すべき事項
この記事の監修弁護士
弁護士 池田 貴之

法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。

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不倫相手に内容証明を送る3つの目的

内容証明(内容証明郵便ともいいます)とは、いつ、誰が、誰に対して、どのような内容の文書を送付したか、ということを日本郵便株式会社が証明してくれる制度です。
似たような制度として、配達証明があります。

配達証明は、配達した事実を証明するものであって、文書の内容を証明するものではありません。

内容証明 配達証明
証明できること ・文書の内容
・文書を送った日
・誰が誰に送ったのか
・相手が文書を受け取ったこと
・文書を受け取った日

ですから、「どんな内容の文書を送ったか」ということまで証明したい場合には、内容証明を送る必要があります。

参考:郵便局|日本郵便株式会社

なお、内容証明を送る際には、配達証明も付けることが多いです。

不倫された配偶者が、不倫相手に対して内容証明を送る目的は主に次の3つです。

(1)言った・言わないのトラブルを回避する

不倫相手が、交際相手が既婚者であることを知りながら肉体関係を伴う不倫をした場合は、基本的に不法行為として、交際相手の配偶者に対して、慰謝料を支払う責任を負います。

不倫に気づいた配偶者が、不倫相手に対して慰謝料の支払いや不倫をやめるようを求めても、口頭で伝えるだけだと、後々「そんなことは聞いていない」と反論されてしまうことがあります。

口頭での話合いは、当事者を特定して会話内容を録音していないと、「言った・言わない」の水掛け論になることがあり、どちらの言い分が正しいのかを証明することは難しくなります。

そこで、不倫相手に内容証明を送ることで、後々「言った・言わない」のトラブルを回避することができます(※費用はかかりますが、「内容証明を受け取っていない」と言われないために、配達証明も付けるのが良いです。また、緊急性を示すために、速達も付けるとよいでしょう)。

(2)自分の本気度を相手に知らせてプレッシャーを与える

内容証明は、一般の人が通常の生活で受け取ることはあまりありませんので、突然内容証明が届くと、焦ったり慌てたりして自分の行いを省みることがあります。

そこで、あえて内容証明で不倫の慰謝料を請求することで、不倫相手に対して、不倫についてうやむやにするつもりはなく、きちんと法的な責任を果たしてもらうつもりである、という本気度を伝えることができます。

メールや、SNS、口頭の連絡だけだと、相手も事態の深刻さを理解せず、無視されたり、のらりくらりと交渉を引き延ばされたりした結果、音信不通となることもあります。

不倫相手が内容証明を受け取ることで、不倫の当事者が問題の重大さに気づき、自主的に不倫関係を終わらせることもあります。

(3)慰謝料請求の時効の完成を猶予する

慰謝料の請求は、未来永劫いつでも請求できるものではなく、法律上、一定期間が経過すると請求する権利が消滅すると規定されています。
したがって、慰謝料を請求したいと考えている場合には、この期間内に請求する必要があります(※時効期間が経過した後に請求することも可能ですが、時効期間が経過すると、相手方が時効を主張して支払わないことが多いです)。

法律上定められている不倫の慰謝料請求権の消滅時効は、次のいずれか早い方です。

  • 配偶者と不倫相手の不貞行為から20年
  • 配偶者の不貞行為と不倫相手が判明した日から3年

※なお、2020年3月31日までに不貞行為時から20年が経過している場合は、「除斥期間の経過」により、不貞慰謝料を請求する権利は消滅しています。

不倫の慰謝料を請求する考え方は、大きく次の2通りに分けられます。

  1. 単発の不倫についての慰謝料請求
  2. 不倫を原因として離婚したことについての慰謝料請求

1については、不倫をした配偶者及び不倫相手の両方について請求できます。
一方で、2については、原則として、請求できるのは不倫をした配偶者のみで、特段の事情がない限り、不倫相手には請求することができないと考えられています(最高裁判所判決平成31年2月19日)。

したがって、不倫相手に対しては、 不倫の事実及び不倫相手を知った時から3年以内であれば、1の請求をすることができます。

時効の完成が間近に迫っているという場合、取り急ぎ内容証明を送ると、「催告」といって、その後6ヶ月間に限り、時効の完成を猶予することができます(※必ずしも内容証明でなくても良いのですが、後から「そんな書面は受け取っていない」と言われないために通常は内容証明を送ります)。

時効完成の猶予

ただし、時効の完成の猶予は1回しか認められません。
最初の内容証明を出してから6ヶ月が過ぎそうだと言って再度内容証明を出してもそれ以上も時効の完成を猶予する効力はありませんので注意が必要です。

ですから、1回目の内容証明によって時効の完成が猶予されている間に慰謝料が支払われないようでしたら、その間に訴訟提起など、時効の完成を阻止する方策をとる必要があります。

不倫相手に送る内容証明の書き方

内容証明を送る方法は2通りあります。
一つは、インターネット上で完結する「e内容証明(電子内容証明)」です。
これは、24時間ネットで差し出すことができたり、複数人に対して内容証明を一括して出すことができますので、弁護士など内容証明を頻繁に利用する人が多く利用しています。
しかしながら、「不倫相手に内容証明を送りたい」と考えている方は、繰り返し内容証明を利用することもあまりありません。

そこで、ここではもう一つの方法である郵便局で差し出す内容証明の書き方について説明します。

内容証明の書き方には、次のようなルールがあります。

  • 同じものを3部用意する(不倫相手への送付用、謄本2通(自分と郵便局の保管用))。
  • 用紙は自由なので、市販の内容証明用紙以外の用紙利用も可能で、手書きでもPCで作成してもよい。
  • 謄本には行数、字数の制限がある。
区別行数・字数の制限
縦書き・1行20字以内、1枚26行以内
横書き・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内
  • 謄本が2枚以上になる場合は、そのつづり目に契印が必要。
  • 字数の数え方や、使用できる記号、修正方法などにも決まりがある(詳しくは下記サイトの「内容証明 ご利用の条件等」のページ参照)。

参照:郵便局|日本郵便株式会社

不倫相手に送る内容証明の記載事項

不倫相手に送る内容証明には、どのような内容を記載すべなのかについて説明します。

(1)不倫の事実

配偶者と不倫相手が肉体関係を伴う不倫をしたという事実を記載します。
肉体関係を伴う不倫について、判例や実務では「不貞行為」という言葉を利用しますので、不貞行為という言葉を利用するとよいでしょう。
また、内容証明を差し出した人のことを、「通知人」や「差出人」と言ったりします。

不倫の事実としては、誰が、誰と、いつ不倫したかということを、端的に記載するようにします。
例えば、次のように記載します。

「〇〇は、通知人の配偶者である〇〇と、遅くとも〇年〇月頃から、継続的に不貞行為を行っています。」
「〇〇は、通知人の配偶者である〇〇と、〇年〇月〇日、〇〇というホテルで不貞行為を行いました。」

(2)不貞行為によって精神的苦痛を受けたこと

配偶者と不倫相手の不貞行為によって、自分が精神的苦痛を受けたことを記載します。
精神的苦痛が身体の不調として現れており、また通院している事実があれば、その事実について具体的に記載することもあります。

また、不倫の態様や時期が特に許しがたく、精神的苦痛が増したと主張したい場合には、その具体的事情を記載します。
例えば、次のように記載します。

「〇〇の不貞行為により、通知人の夫婦関係は毀損され、通知人は多大なる精神的苦痛を受けました。」
「〇〇の不貞行為により、通知人は多大なる精神的苦痛を受けて精神的に不安定になり、精神科を受診したところ、不貞を原因としたうつ病と診断され、通院しております。」
「〇〇の不貞行為は、通知人の妊娠中に行われたものであるところ、その事実を知った通知人は甚大なる精神的苦痛を被りました。」

(3)不貞行為の違法性

不貞行為が、違法であって不法行為に該当すること(民法709条)通知人が受けた精神的苦痛については、不倫相手がその損害を賠償する責任を負うこと(民法710条)を記載します。
例えば、次のように記載します。

「本件不貞行為は、民法709条の不法行為に該当します。」
「本件不貞行為は、不法行為に該当しますので、〇〇は、通知人が受けた精神的苦痛について、その損害を賠償する責任を負います(民法709条、710条)。」

(4)要求の内容

不倫相手に対して要求することを記載します。
要求内容として多いのは、交際中止、接触の禁止、慰謝料の請求です。
例えば、次のように記載します。

「通知人の配偶者との交際関係は直ちに終了させ、今後通知人の配偶者と接触する(直接会う、メール、SNS等)ことは厳に控えてください。」
「慰謝料として、金〇〇万円を請求いたします。」

慰謝料の支払いを要求する場合には、支払い方法(銀行振込の場合は、通知人の口座情報を記載)、支払期限も記載します。

(5)要求に応じてもらえない場合の措置

こちらが本気であることを伝えるためにも、不倫相手がこちらの要求に応じなかった場合や、誠意ある対応を取らなかった場合などに、こちらが予定している措置についても記載します。
例えば、次のように記載します。

「期間内に慰謝料の支払いが確認できない場合や、誠意あるお返事がいただけない場合には、事前に連絡することなく、訴訟提起などの法的措置をとります。」

不倫相手への内容証明の送り方

郵便局のルール通りに、内容証明に記載すべき事項について記載したら、郵便局で内容証明を差し出します。
内容証明に対応している郵便局は限られますので、最寄りの郵便局に、事前に問い合わせて確認するとよいでしょう。

内容証明を差し出す際には、郵便局に次のものを持参して、配達証明や速達のオプションを付けて送付を依頼しましょう。

  • 内容文書(不倫相手へ送付するもの)
  • 内容文書の謄本2部(差出人及び郵便局の保管分)
  • 差出人及び受取人の住所氏名を記載した封筒
  • 郵便料金は通常1000~2000円(内容文書の長さやオプションにより異なる)
    基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金(440円、2枚目以降は260円増)+配達証明や速達の加算料金

郵便局で実際に内容証明を差し出す際には、その場で修正できるように、念のため差出人の印鑑も持参するとよいでしょう。

不倫相手に内容証明を送ったあとは?ケースごとの対処法

内容証明を送付後は、どのような対応を取るべきでしょうか。
ケース別に、取るべき対処法について説明します。

(1)要求が承諾された→示談書を作成

一番良いのは、こちらの要求(交際終了や慰謝料請求)について不倫相手から、そのまま応じる旨回答がくることです。
このようなケースでは、合意内容について示談書を作成し、双方が署名するようにします。合意内容について後々齟齬が生じ、争いとなることもありますので、合意内容は客観的に証拠となるよう、書面に残した方がよいでしょう。
合意書面には、一般的に次のようなことを記載し、同じものを2通準備してそれぞれ保管します。

  • 不倫の事実と内容
  • 不倫相手が慰謝料を支払う責任を負うこと
  • 慰謝料の金額
  • 慰謝料の支払い期限、支払い方法
  • 接触禁止の合意と合意違反のペナルティ
  • 清算条項
  • 合意当事者の住所、氏名、署名、押印 など

(2)内容証明を無視された→さらなる通知の送付や法的措置を検討

内容証明が不倫相手に送達されたのに、期限までに返事がないなど無視された場合には、次に、さらなる通知の送付や法的措置を検討します。
法的措置を取りたいと考えている方は、取るべき法的措置の種類(調停の申立てや訴訟提起など)や、法的措置を取った場合の勝訴見込み(証拠は十分か)などについて、早めに弁護士に相談してみるとよいでしょう。

不倫相手に対して自分で慰謝料を請求しても無視をされたり、相手がのらりくらりと返事を先延ばしをするなどすることは少なくありません。
弁護士に交渉を依頼することにより、訴訟をすることなく事態が改善することも多いですので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

(3)回答が送られてきた→内容を確認

不倫相手から回答が届いたら、その記載内容を確認します。
不倫の証拠があるのに、不倫の事実を否定した場合は、反論する必要がありますので、反論内容を考えます。
不倫の事実を認めたけれども、慰謝料の減額交渉をしてきた場合には、減額に応じるか、応じられるとしてどこまでかを考えます。
不倫相手からの言い分にどのように反論してよいかわからない場合や、交渉することがストレスに感じるような場合には、交渉のプロである弁護士に相談し、交渉を依頼するのもよいでしょう。

不倫相手へ送る内容証明の効果を高めるためのポイント

多くの人にとって、内容証明を受け取る機会はほとんどありませんので、内容証明が届くだけでも、不倫相手に対して一定の心理的効果を期待することができます。
ただ、より内容証明の効果を発揮させるためには、次のようなポイントに気を付けるようにします。

(1)事実以外を記載しない

客観的に把握している事実を、端的に明確な言葉で記載します。
事実に反することや、いたずらに事実を誇張したり、抽象的な内容を書き連ねたりすると、かえって不倫の真実味が薄れて、不倫相手が心理的に受ける効果が薄れてしまうかもしれません。
また、感情の赴くままに、不倫相手を誹謗中傷したり、脅迫めいた内容を記載するのは、自分に不利になりますので、厳に控えるべきです。

(2)弁護士に相談し、弁護士の名前で送る

多くの人にとって、内容証明を受け取ることはほとんどありません。その内容証明が、弁護士からであればなおさらです。
そこで、弁護士名義で内容証明を送ることで、内容証明のインパクトを強めて、不倫相手に「真剣に対応しよう」と思わせる心理的効果を期待することができます。

弁護士名義で内容証明を送るためには、弁護士に内容証明の作成を依頼する必要があります。
弁護士によっては、内容証明の作成と作成名義人となることだけを依頼することもできますし、内容証明送付後の交渉や合意書作成も含めて依頼することもできます。
費用は弁護士によって異なりますので、相談時に確認するようにしましょう。

【まとめ】不倫相手に慰謝料を請求する場合、内容証明で請求するのが良い

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 内容証明は、いつ、だれが、誰に、どのような文書を送ったのかということを日本郵便株式会社が証明してくれる文書である。
  • 内容証明だけでは、相手が文書を受け取ったのか、いつ受け取ったのかということは証明できないため、内容証明にあわせて配達証明を付けるのが良い。
  • 内容証明を送る目的は次のとおり。
    1.後々の「言った・言わない」のトラブルを防ぐ
    2.慰謝料請求の本気度を相手に分からせる
    3.時効が間近に迫っている場合に、一時的に時効の完成を猶予する
  • 不倫相手に慰謝料を請求する際の記載事項は次のとおり
    1.不倫の事実
    2.不貞行為により精神的苦痛を受けたこと
    3.不貞行為の違法性
    4.要求の内容(慰謝料の請求であれば金額など)
    5.要求に応じてもらえない場合の措置
  • 相手が要求に応じる場合には、示談書を作成する
  • 相手が要求を無視するようであれば、弁護士に相談することも検討すべき。弁護士に依頼することにより、交渉で慰謝料が支払われることも多い。
  • 不倫相手に内容証明を送る際に効果を高めるポイントは次のとおり。
    1.事実以外を記載しない
    2.弁護士に依頼し、弁護士名で送付する。

アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

(以上につき、2022年3月時点)

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