予期せぬ交通事故に遭われただけでも大変なショックかと思います。そのうえ、相手(加害者)が事実と違うことを主張しているとなれば、その悔しさや精神的な苦痛は言葉にできないほどでしょう。
「警察は本当に自分の話を信じてくれるのだろうか」
「相手の嘘がそのまま通ってしまうのではないか」
そのような不安を抱え、眠れない夜を過ごされている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで本記事では、事故の相手がつい口にしてしまう嘘のパターンや、そうした嘘に対抗するために有効な「証拠」の集め方、そして具体的な対処法について分かりやすく解説します。この記事があなたが納得のいく解決へ向けて一歩踏み出すきっかけとなれば幸いです。
ここを押さえればOK!
加害者の嘘に対処するためには、目撃者の証言、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、現場検証といった証拠を被害者自身が収集し、示す必要があります。警察も万能ではないため、事故直後に車両や道路状況の撮影、監視カメラの確認、目撃者の確保、相手との会話録音などの対策を講じることが重要です。
加害者が嘘をつく主な理由は、自身の過失を小さく見せ、刑事上・民事上・行政上の責任を軽減したいというものです。嘘が発覚した場合、被害者への慰謝料が増額される可能性もあります。
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交通事故で加害者がつく嘘と取るべき対処法
ここでは、交通事故で加害者がつきやすい嘘と被害者が取るべき対処法について説明します。
(1)交通事故で加害者がつきやすい嘘
交通事故にあったとき、加害者が事実と異なる説明をすることがあります。
具体的には、次に挙げるように、交通事故当時の状況について事実と異なる主張をし、被害者と主張が食い違うケースがしばしば見られます。
- 一時停止の有無
- 運転速度
- 信号機のランプの色・被害者の飛び出し
- 交通事故の前のあおり行為などトラブルの有無
- 携帯電話の操作の有無
- 衝突の時に交通事故を認識したかどうか など
ただし、加害者が事実と異なる主張をしていても、加害者としては、「嘘」ではなく「勘違い」で事実と異なる主張をしているケースもあります。交通事故は、突然起こりますので、交通事故の状況を的確に把握することは難しく、当事者であっても、交通事故の状況を勘違いしているケースもあるのです。
(2)加害者の嘘に対する被害者がとるべき対処法
加害者が事実と異なる主張をしている場合、被害者としては、次のような証拠を示して、加害者の主張は事実と異なることを明らかにする必要があります。
- 目撃者の証言
- ドライブレコーダーの映像
- 防犯カメラの映像(コンビニのカメラが多い)
- 現場検証
加害者が事実と異なる主張をしている場合、警察が事実を明らかにしてくれると思われているかもしれません。しかし、警察は交通事故の現場にいたわけではありませんので、警察の捜査にも限界があります(加害者の嘘を信じるケースもあります)。
交通事故の被害者としては事故が起こったらすぐに、次のような対処をとっておくのもよいでしょう。
- 双方の車両の状態や信号状況、道路状況を撮影する
- 周囲に監視カメラがないか確認する
- 目撃者を確保する(連絡先を教えてもらい、警察の取調べや民事裁判に協力をお願いする)
- 交通事故の相手方との会話を録音する
交通事故で加害者が嘘をつく理由
では、なぜ交通事故の加害者は嘘をつこうとするのでしょうか。
交通事故が起きると、加害者は被害者に対して、治療費や慰謝料などさまざまな金銭賠償をしなければならなくなります。それだけでなく、運転上必要な注意を怠って人にケガをさせたような場合、懲役刑や罰金刑といった刑罰を科されることもあります。
加害者が嘘をつく最大の理由は、自分の過失の有無や程度について嘘をつくことで、これらの責任を少しでも軽くしたいからです。
人間は、繰り返し嘘を重ね、長い間「そうであって欲しい」と思ううちに、嘘と真実の区別がつかなくなり、自分で作った嘘を真実と思いこむようになることがしばしばあります。こうなると、悪気はなくとも「自分(加害者)が正しい。被害者が間違っている」と加害者が思い込んで、堂々と悪びれずに嘘をつくことになり、態度から嘘を見抜くことが難しくなります。
交通事故で嘘をついたことがばれた場合
交通事故で加害者がついた嘘がばれた場合、加害者の嘘により被害者がさらなる苦痛を受けたとして、後の民事裁判で慰謝料の増額が認められやすくなります。
- 加害者が嘘をつくと、被害者は加害者側に非があることの証拠を集めるため多くの手間や時間をかけなければなりません。
- 嘘をつくのは加害者の真摯な反省の態度とは言えませんので、被害者にとっては非常にやり切れない辛い気持ちになります。
また、加害者が民事裁判において故意に(わざと)噓をついた場合、10万円以下の過料(=前科の付かないペナルティ)を科されることもあります(民事訴訟法209条1項)。
交通事故の加害者が問われる3つの責任
交通事故が起きた場合、加害者側が負う法的な責任としては、次の3つがあります。
(1)刑事責任:刑罰が科される
交通事故で人をケガさせた場合、加害者には犯罪が成立します。
この場合、交通事故の加害者には、刑事上の責任として、刑罰が科されることになります。
刑罰には、例えば次のようなものがあります。
- 自動車運転過失致死傷罪(自動車運転死傷処罰法5条)
交通事故で人にケガをさせたり、死亡させた場合に成立します。
「過失」とは不注意やミスのことで、わき見運転や前方不注意、歩行者の飛び出しに気づかない、ウインカーを出さずに方向転換する、などの行為が含まれます。自動車運転過失致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮または100万円以下の罰金になります。 - 危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法2条)
これは、単なる不注意にとどまらず、飲酒し酩酊した状態で運転したり、赤信号をわざと無視したりして人を死傷させた場合に成立します。行為が悪質なため、上で述べた自動車運転過失致死傷罪よりも罪が重くなります。危険運転致死傷罪の法定刑は、人にケガをさせた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役になります。 - 救護義務違反(道路交通法72条1項)
交通事故により人にケガをさせた場合、運転者は直ちに運転を停止し、負傷者を救護しなければなりません。これを救護義務といいます。運転者がこの救護義務を怠った場合(いわゆるひき逃げ)の法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります。
※この救護義務違反は故意犯ですので、加害者が「交通事故で人をけがさせたことを知ったうえで、救護せずに交通事故の現場から立ち去る」ことが必要です。
これらの犯罪が起訴されるかどうかは、加害者の過失(不注意)の程度や、行為の悪質さなどによって決まります。加害者側は、これらの罪を免れる、または軽くするために、虚偽の申告をすることがあるのです。
2008年から刑事裁判に「被害者参加制度」が施行され、交通事故の被害者も裁判の手続きに参加できるようになりました(過失運転致死傷罪及び危険運転致死傷罪)。法廷で、被害者から加害者に対して質問することが可能になるなど、より適切な事件の解決が図られるようになりました。
参照:被害者参加制度が利用しやすくなりました 犯罪の被害者をサポートするために|政府広報オンライン
(2)民事責任:被害者が受けた損害を賠償する
民事上の責任とは、加害者が被害者の受けた損害を賠償する責任です。
民法709条(不法行為による損害賠償)では、次のように定められています。
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
引用:民法709条
ここでいう「損害」とは、ケガの治療費や、ケガにより減った収入、入通院や後遺障害による精神的苦痛などを指します。加害者は被害者に対し、これらの費用や慰謝料をお金で賠償しなければなりません。
(3)行政上の責任
行政上の責任とは、公安委員会から運転免許の取消し・停止などの処分を受けることをいいます。
どのような処分を受けるかは、加害者の過失の程度によって決まります。
例えば、交通事故時に酒気帯び運転(呼気1L中のアルコール濃度0.25mg以上)をしていた場合は、一発で免許取消しとなってしまいます。
【まとめ】交通事故での嘘がばれると、慰謝料が増額される可能性あり
残念なことですが、事故の加害者が自分を守るために、事実とは異なる証言をしてしまうケースは珍しくありません。
しかし、決して泣き寝入りする必要はありません。 ドライブレコーダーの映像や目撃者の証言など、「客観的な証拠」を丁寧に揃えて事実を証明できれば、相手の嘘を退け、結果として適切な慰謝料などが認められる可能性は十分にあります。警察任せにするのではなく、冷静に証拠を集めて対抗することが重要です。
とはいえ、お怪我の治療やお仕事がある中で、嘘をつく相手と交渉を続けるのは、心身ともに相当な負担がかかるものです。
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