交通事故に遭われた後、「夜になると事故の夢を見る」「ふとした瞬間に事故の光景がフラッシュバックする」「なんとなくイライラして眠れない」といった心の不調に悩まされていませんか?
身体のケガとは異なり、精神的な症状は周りに理解されにくく、一人でつらい思いを抱え込んでしまいがちです。
このコラムでは、交通事故が原因で発症する可能性のあるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状や治療法について詳しく解説します。また、慰謝料額の相場や後遺障害として認定してもらうためのポイントもご紹介します。
ここを押さえればOK!
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、加害者に対し、入通院慰謝料と後遺症慰謝料を請求できる可能性があります。特に後遺症慰謝料は、症状が「後遺障害」として認定される(9級、12級、14級など)ことが必要です。
適切な後遺障害認定と慰謝料を得るためのポイントは次の3つです。
1. PTSDと交通事故の因果関係を証明すること。
2. 被害者自身が資料を準備する被害者請求で申請すること。
3. 等級認定に有利なサポートを得るため弁護士へ依頼すること。
交通事故のPTSDに悩む方は、アディーレの弁護士にご相談ください。弁護士が保険会社との交渉も代行しますので、保険会社とのストレスなく治療に専念できます。
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交通事故が原因となるPTSDとは
ここでは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは何か、どのような症状があり、いつ頃発症する可能性があるのか、そしてどのような治療法があるのかについて、分かりやすくご説明します。
(1)PTSDの定義
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、命の危険を感じるほどの強烈な出来事や、自分の力ではどうにもできないほどの強い精神的ストレスを経験した後に、時間が経ってもその時の強い恐怖が心の中に残り、日常生活に影響を及ぼしてしまう状態を指します。
この「強烈な出来事」には、地震などの災害、暴力や犯罪被害、そして交通事故などが含まれます。
PTSDは心の傷つき方であるため、同じ事故を経験しても、心の回復力や受け止め方の違いから、発症する方とそうでない方がいるのが特徴です。
(2)PTSDの症状
PTSDの代表的な症状には、主に次の5つがあります。
- フラッシュバック(再体験):ふとした瞬間に、事故当時のつらい記憶や映像がまるで今起こっているかのように突然よみがえり、強い恐怖や感情の不安定さに見舞われる
- 悪夢:事故に関する同じ悪夢を繰り返し見る
- 過覚醒:いつもイライラする、ささいな物音に過剰に驚きやすい、ぐっすり眠れないなど、常に神経が張り詰めてリラックスできない
- 回避:つらい記憶を呼び起こすような状況や場所(例:事故現場、車)を無意識のうちに避けるようになる
- 感情の麻痺(まひ):心の傷から自分を守るために、喜びや悲しみといった感情が薄れてしまう(感覚が麻痺したように感じる)
こうした症状が1ヶ月以上にわたって続くと、PTSDの可能性が高くなります。少しでも心当たりのある症状が続く場合は、専門家にご相談いただくことをおすすめします。
(3)PTSDの発症時期
PTSDの症状は、一般的に最低1ヶ月間程度続くことが診断の目安とされています。そのため、ショックな出来事から1ヶ月以上経過しても症状が続いている場合、PTSDとして診断される可能性が高まります。
多くの場合、ショックな出来事から6ヶ月以内に症状が出始めますが、稀に6ヶ月を過ぎてから発症するケースもあります。
なお、症状が3ヶ月未満で治まる場合を「急性PTSD」、3ヶ月以上続いている場合を「慢性PTSD」と診断することがあります。
(4)PTSDの治療法
PTSDの治療は、大きく分けて2つの柱で進められます。
- 対症療法:今、苦しいと感じている症状(不眠、不安など)を和らげるための治療
- 根治的な治療:心の傷そのものの回復を促し、PTSDを根本的に治療する方法
PTSDに用いられる主な治療法は、次のようなものがあります。ただし、実際にどのような治療が適用されるかは、症状の内容や状況によって異なりますので、あくまで一例として参考にしてください。
- 持続エクスポージャー療法
- EMDR(眼球運動脱感作療法)
- 認知療法
- グループ療法
- 薬物療法
次に、それぞれの治療法が具体的にどのようなものかをご説明します。
(4-1)持続エクスポージャー療法
トラウマとなったつらい場面をあえて心の中でイメージしたり、記憶を呼び起こすような状況にあえて身を置く方法です。これは、心の傷を避けるのではなく、少しずつ慣れていくための治療です。
しかし、「つらい記憶を我慢して思い出せば治る」という単純なものではありません。必ず知識と経験を持つ専門の治療者の立会いのもと、安全に配慮しながら行う必要があります。自己判断で行うことは避けてください。
(4-2)EMDR(眼球運動脱感作療法)
トラウマとなった経験を思い出しながら、医師が動かす指を目で追いかけてもらう(眼球運動を行う)ことで、脳の働きを活性化させ、心の処理を促す方法です。
一見すると単純な動きに見えますが、この治療法も必ず知識や経験のある専門の治療者のもとで行われるべきものです。
(4-3)認知療法
事故や出来事に対する自身の考え方やこだわり(認知のゆがみ)を見直すことで、物事の別の見方や捉え方を学んでいくことを目指す方法です。
(4-4)グループ療法
PTSDを抱える複数の方が集まり、それぞれの悩みや経験を語り合う方法です。自分だけではないと感じられることで、安心感を得たり、回復へのヒントを得たりすることが期待されます。
(4-5)薬物療法
不眠や不安、落ち込みといった症状を和らげるために、抗不安薬、気分安定薬、抗うつ薬などを用いる方法です。これらの薬は、つらい症状を一時的に軽減し、他の治療法に取り組むための土台を整える役割も果たします。
交通事故でPTSDを発症した場合に受け取れる可能性のある2つの慰謝料
もし交通事故が原因でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまった場合、加害者に対して次の2つの慰謝料を請求できる可能性があります。
- 入通院慰謝料
- 後遺症慰謝料
それぞれどのような費用なのかを分かりやすくご説明します。
(1)入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故で負ったケガ(この場合、精神的な傷病であるPTSDを含みます)の治療のために病院へ入院・通院することを余儀なくされたことによる精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。
この慰謝料は、治療にかかった期間や、実際に入院・通院した日数に基づいて計算されます。一般的に、治療期間が長引くほど、慰謝料の金額も高くなる傾向があります。
(2)後遺症慰謝料
交通事故によるPTSDを理由として後遺症慰謝料を受け取るためには、原則として、そのPTSDの症状が「後遺障害」として認定されることが必要になります。
ここでは、「後遺障害(等級)」とは何か、そして後遺症慰謝料の金額の目安について詳しくご説明します。
(2-1)後遺障害とは
後遺障害とは、治療を続けてもこれ以上改善が見込めない状態(症状固定)になった後も残ってしまった障害のことで、その症状の重さによって1級から14級の等級に分けられています。数字が若いほど(1級に近いほど)、症状が重いことを意味します。
PTSDなどの精神的な障害で認定される可能性があるのは、主に9級、12級、14級のいずれかです。
PTSDやうつ病といった精神的な障害は、「非器質性精神障害」と呼ばれています(脳や神経の物理的な損傷がない精神障害のことです)。
| 等級 | 認定要件(症状) |
| 9級10号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの |
| 12級13号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの |
| 14級9号 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの |
(2-2)後遺症慰謝料の相場とは
後遺症慰謝料の金額は、どの基準を使って計算するかで変わってきます。
後遺症慰謝料の相場を決める基準は次の3つです。
- 自賠責の基準:自賠責保で採用されている基準。慰謝料の基準額は基本的に3つの算定基準のうち最も低くなりやすくなります。
- 任意保険の基準:各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準。慰謝料の基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度になる傾向にあります。
- 弁護士の基準:過去の裁判例をもとに設定された基準。弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちでは基本的に最も高額となりやすくなります。

ご自身に過失がない場合(2020年4月1日以降の事故)について、最も金額差が開きやすい自賠責の基準と弁護士の基準の目安を比較してみましょう。
| 等級 | 自賠責の基準 | 弁護士の基準 | 差額 |
| 9級 | 249万円 | 690万円 | 441万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 | 196万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 | 78万円 |
この表からも分かる通り、適正で少しでも高額な慰謝料を受け取るためには、弁護士の基準(裁判所が認める基準)を使って交渉を進めることが非常に重要です。
被害者の方がご自身で加害者側の保険会社と交渉しても、保険会社は通常、自社の任意保険の基準や自賠責の基準に近い金額を提示してくることがほとんどです。
これに対し、私たち弁護士が依頼者の方に代わって交渉や手続きを行う場合は、最も高額となる可能性が高い弁護士の基準(裁判所の基準)を利用して慰謝料を算定します。その結果、提示額が増額し、適正な賠償額での示談成立が期待できます。
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いくつかの情報を入力するだけで本来受け取れるはずのおおよその慰謝料額(弁護士の基準による慰謝料額)を知ることができます。ぜひ一度チェックしてみてください。
軽症の場合の慰謝料計算
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交通事故で発症したPTSD|「後遺障害」として認定される基準とは
交通事故が原因でPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまった場合に、後遺症慰謝料を受け取るために重要となる「後遺障害」認定の基準や等級について詳しく解説します。
(1)PTSDの後遺障害認定要件
PTSDやうつ病などの精神的な障害が、「後遺障害」として認定されるためには、次の2つの要件を両方満たしている必要があります。
- 次の(ア)の精神症状のうち1つ以上が認められること
- 次の(イ)のうち1つ以上の能力について、能力の欠如や低下が認められること
| (ア)精神症状 | (イ)能力に関する判断 |
| 1.抑うつ状態 2.不安の状態 3.意欲低下の状態 4.慢性化した幻覚・妄想性の状態 5.記憶または知的能力の障害 6.その他の障害(衝動性の障害・不定愁訴(=だるい・眠れない)など) | 1.身辺日常生活(食事・入浴・更衣など) 2.仕事、生活に積極性・関心を持つこと 3.通勤・勤務時間の遵守 4.普通に作業を持続すること 5.他人との意思伝達 6.対人関係・協調性 7.身辺の安全保持・危機の回避 8.困難・失敗への対応 |
(2)PTSDの後遺障害等級
上記の(ア)の精神症状と(イ)の能力の低下が認められた場合、その症状の重さや仕事・生活への影響の程度に応じて、以下のいずれかの後遺障害等級が認定される可能性があります。
(2-1)9級10号:仕事に「相当な程度」の制限がある状態
「通常の仕事はできるものの、非器質性精神障害(PTSDなどの精神的な病気)のため、就労できる職種がかなり大きく制限される」と判断される状態です。
| 就労の有無 | 認定要件 |
| 就労している者、または就労の意欲はあるものの就労はしていない場合 | (イ)の2~8のいずれかひとつの能力が失われているもの、または(イ)の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの |
| 就労意欲の低下または欠落により就労していない場合 | (イ)の1について、ときに助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの |
(2-2)12級13号:仕事に「多少の障害」が残っている状態
「通常の仕事はできるものの、非器質性精神障害(PTSDなどの精神的な病気)のため、仕事に多少の障害が残っている」と判断される状態です。
| 就労の有無 | 認定要件 |
| 就労している者、または就労の意欲はあるものの就労はしていない場合 | (イ)の4つ以上について、ときに助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの |
| 就労意欲の低下または欠落により就労していない場合 | (イ)の1について、適切にまたはおおむねできるもの |
(2-3)14級9号:仕事に「軽微な障害」が残っている状態
「通常の仕事はできるものの、非器質性精神障害(PTSDなどの精神的な病気)のため、軽微な障害が残っている」と判断される状態です。
- (イ)の1つ以上について、ときに助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの
交通事故で発症したPTSDを後遺障害として認定もらうためのポイント
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、外から見て症状の重さが分かりにくい精神的な障害であるため、適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、身体的なケガとは異なるポイントを押させておく必要があります。
ここでは、交通事故で発症したPTSDを後遺障害として認定してもらうための3つのポイントを紹介します。
(1)PTSDと交通事故の因果関係を証明する
交通事故でPTSDを発症した場合、交通事故との因果関係を証明する必要があります。なぜなら、PTSDは外から見てわかるケガとは異なり、本当に交通事故を原因として発症したものかを疑われることがあるからです。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)が交通事故によるものだと認めてもらうためには、単に「事故後に発症した」という事実だけでなく、以下のようなさまざまな点を総合的に見て判断されます。
- 事故状況:交通事故の衝撃の程度や、被害者の方がどれほどの恐怖や生命の危険を感じたか(例えば、事故の凄まじさ、負傷の程度など)
- 症状の具体的内容:発症したPTSDの症状(フラッシュバック、不眠、回避行動など)が、事故の状況とどのように結びついているか
- 発症時期:PTSDの症状が、交通事故からどれくらいの間隔で現れ始めたか
- ほかの要因の有無:事故以外の有力な発症原因(例えば、事故以前の精神疾患の既往歴、極端なストレス環境など)がなかったかどうか
- 被害者の性格:精神的な傷つきやすさなど、被害者の方の元々の性格的な傾向(素因)が、症状の重さに影響していないか。
交通事故との因果関係が認められた場合でも、ほかの要因の影響や本人の性格などを考慮して、ある程度、賠償金が減額されてしまうこともあります(これを「素因減額」と呼びます)。
PTSDと交通事故の因果関係を証明するためには、交通事故による発症であることを説明しつつ、ほかに有力な発症原因が存在しないことを示すことが重要なポイントです。
(2)被害者請求で申請する
後遺障害の申請手続きには、加害者側の保険会社に書類準備を任せる「事前認定」と、被害者自身が書類を準備して申請する「被害者請求」の2つの方法があります。
- 事前認定:加害者が加入する任意保険会社に依頼して後遺障害認定の手続きを進めてもらう方法
- 被害者請求:交通事故の被害者が直接加害者側の自賠責保険会社などに請求する方法
PTSDを後遺障害として認定してもらいたい場合には、「被害者請求」で申請することをおすすめします。
事前認定は、加害者側の保険会社に申請手続を任せられるため手間はかかりませんが、必要最低限の書類で申請されて期待どおりの結果が得られない可能性があります。
一方で、被害者請求は被害者の方ご自身で書類作成や資料収集を行うため、手間と時間はかかりますが、書類の不備や不足があっても対応できますし、認定を受けるうえで有利となる資料を追加することも可能です。
そのため、すべて被害者の方ご自身で対応できる被害者請求のほうが、適切な後遺障害等級が認定される可能性が高まります。
(3)弁護士へ依頼する
後遺障害等級認定はケガの部位によって認定要件が違います。これに伴い、チェックすべき事項も異なってくることから、必要十分な内容の後遺障害診断書が作成されているかを被害者の方ご自身で確認し、可否を判断することは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、後遺障害診断書を書いてもらう際に、等級認定に有利なポイントを弁護士から担当医に伝えてもらうこともでき、後遺障害認定を受けるためのサポートをすることができます。
また、症状固定前に弁護士と医師とが連携することで、等級認定に必要な検査や治療を受けることができ、後遺障害等級の申請に必要な資料を的確に収集できます。
【まとめ】PTSDの後遺症慰謝料相場は110万~690万円|弁護士へ相談を
交通事故によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、強い精神的ストレスが原因で、フラッシュバックや過覚醒といった症状が続く状態です。この場合、入通院慰謝料や、後遺障害として認定された場合は後遺症慰謝料を請求できる可能性があります。
アディーレにご依頼いただければ後遺障害認定に必要なサポートをいたします!
- 後遺障害等級認定を想定した適切な通院頻度のアドバイス
- 申請に必要な資料の精査・検討
- 申請手続の代行
- 認定結果に疑問があった際の異議申立ての代行
弁護士に相談することで、保険会社との交渉というストレスから解放され、治療に専念することができます。
交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

































