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自己破産で官報に載るのが怖くない理由|掲載期間、タイミング、調べ方を解説

作成日:更新日:
a.aihara

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

自己破産を検討中、または手続きを始めた方へ。「官報掲載」と聞いて不安を感じるかもしれませんね。でも大丈夫。

官報の存在を知る人は少なく、そこから「破産した」ということがバレてしまうことは稀といえるでしょう。また、「官報の発行に関する法律」の施行により、2025年7月1日から、自己破産などプライバシーに配慮が必要な記事については、公開期間は90日間に限定されます。さらに、法施行前は可能だったテキスト(名前など)による過去の官報の検索も困難になりました。

この記事では、自己破産時に官報に掲載される情報やタイミング、閲覧方法、最近の法改正まで詳しく解説します
あなたの疑問を解消し、不安を自信に変えるための具体的な情報をお届けします。

ここを押さえればOK!

自己破産すると、破産者の一定の情報が必ず官報に掲載されます。これは法律で定められた手続きの一部であり、回避することはできません。

官報掲載のタイミングは、管財事件のケースか、同時廃止のケースかによって異なります。管財事件では、次の3回です。破産手続開始決定と破産手続廃止決定が同時に行われる同時廃止のケースでは、破産手続開始決定時と、免責許可決定時の2回となります。

1.破産手続開始決定時
2.破産手続廃止(または終結)決定時
3.免責許可決定時

掲載される情報には、破産者の氏名、住所、事件番号、決定の日時などが含まれます。

官報は官報発行サイトで公開されますが、一般の人が日常的に官報を見ることはほとんどないため、自己破産の情報が周囲に知られる可能性は低いと言えます。官報掲載は避けられませんが、その影響は限定的です。

官報掲載を過剰に心配するよりも、適切に自己破産手続きを行って免責許可を得ること、自己破産後の生活再建に焦点を当て、計画的な家計管理や安定した収入の確保に努めることが重要です。自己破産は新たな人生の始まりとして前向きに捉えるとよいでしょう。

自己破産したら官報に掲載される

自己破産を申し立てると、手続きの中で、破産者の一定の情報が必ず官報に掲載されます。これは自己破産手続きの一つであり、回避することはできません。

(1)官報とは

官報は、国が発行する機関紙のことです。政府などが、法律、政令、条約など、国民に周知するために発表する情報が掲載されます。

自己破産をすると、破産者の一定の情報が官報に掲載されます。

(2)なぜ官報に掲載されるのか

自己破産の情報が官報に掲載される主な理由は、債権者への周知にあります。

債務者が意図せずとも忘れている債権者がいるかもしれません。官報に自己破産の情報について公開することで、全ての債権者に破産手続きの開始を知らせ、手続きに参加することのできる機会を提供するのです。

官報の電子化|2025年7月1日から

「官報の発行に関する法律」の施行により、明治16年より紙で発行されていた官報が、2025年4月1日から電子化されました。

基本的に、行政機関の休日を除き、官報発行サイトにおいて、毎日午前8時30分に発行されます。

インターネットを利用できない場合、掲示場等に出向いて閲覧する方法や、都道府県の設置する図書館に設置された端末で官報発行サイトを閲覧する方法があります。
また、発行から90日間は、官報サービスセンターを通じて、官報に記載された情報を記載した書面(官報掲載事項記載書面)の交付を求めることができます(手数料、配送料が必要)。

参考:官報|内閣府(https://www.kanpo.go.jp/)

参考:官報の電子化について|内閣府(https://www.cao.go.jp/others/soumu/kanpo/about/kanpo_about.html)

官報に載るのが怖くない理由3つ

官報の発行に関する法律の施行もあって、自己破産を検討している方にとって「官報に載るのはそこまで怖くはない」と言えるでしょう。ポイントは次の3つです。

(1)公開期間は原則90日

発行されてから原則90日間だけ、官報発行サイトで、発行された官報を閲覧したり、ダウンロードしたりすることができます。

(2)自己破産の記事は、90日経過後閲覧・ダウンロードできなくなる

プライバシーの確保に配慮が必要な記事(自己破産を含む)については、公開期間は90日間に限定されます。
それ以外の記事については、引き続き閲覧・ダウンロードできます。

(3)記事の検索が難しくなる

官報の発行に関する法律施行前は、国立印刷局の官報情報検索サービスの有料サービスとして、過去の官報をテキスト(名前など)で検索できる機能がありました。
厳密にいえば、何十年前の自己破産であっても、このサービスを利用することにより、名前などの情報により、過去の官報を検索して自己破産したかどうかを調べることができたのです。

しかし、法施行により、プライバシー配慮が必要な記事(自己破産含む)については、画像化処理されたPDFデータで提供されることになりましたので、この有料サービスを利用したとしても、テキストによる検索が困難になりました。

参考:新しい「官報情報検索サービス」に向けた提供内容等の変更|国立印刷局

自己破産の官報掲載が及ぼす影響|身バレする?

官報は、国が毎日官報発行サイトで発行しますが、毎日チェックする人は極めて限られています。
また1部の官報には大量の情報が掲載されており、文字も大変小さいです。
破産者の身近な人が、官報を閲覧していて自己破産したことを知る、という事態は、可能性はゼロではないですが、ほとんど考えられません。自己破産に関する記事は、公開は90日間のみですし、テキストで検索することも困難です。
官報は一般の人々の目に触れる機会が少ないため、身バレのリスクは限定的といえるでしょう。

官報に掲載されるタイミングは3つ

自己破産者の情報が官報に掲載される回数は、破産手続きの流れによって異なりますが、大きく分けて3つあります。

  1. 破産手続開始決定時
    • 自己破産の申立を裁判所に申し立てた後、裁判所が申立ての内容を審理します。その後、裁判所が破産手続きの開始の決定が下りた1~2週間後に、官報に掲載されます。
    • 分配する財産もなく、免責不許可事由もないような個人の自己破産では、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定が行われます(同時廃止)。
  2. 破産手続終廃止(又は終結)決定時
    • 分配できる財産や免責不許可事由があるような破産者の場合、破産管財人がついて、財産調査や換価手続き、債権者への分配、免責調査などを行います(管財事件)。その後、裁判所が破産手続廃止(又は終結)決定の決定をした時が、2回目の官報掲載のタイミングです
    • 破産手続開始決定と破産手続廃止決定が同時に行われる同時廃止のケースでは、1と2は同じタイミングで官報に掲載されます。
  3. 免責許可決定時
    • 自己破産は、免責許可を得ること=原則として借金をゼロにしてもらうこと(税金など一部債務は免責されません)、を目的に行います。
    • 裁判所の審査により、自己破産者に残った支払い義務を免除する、ということになれば、免責許可が得られます。その免責許可決定の時が、3回目の官報掲載のタイミングです。

破産者本人には、官報掲載の具体的な日付は通知されません。しかし、破産管財人や弁護士に確認することで、おおよその掲載時期を把握することは可能です。

官報に掲載される破産者の情報

官報に掲載される破産者に関する情報は、法律で定められています。

具体的には主に以下の情報が掲載されます。

  • 事件番号
  • 破産者の氏名
  • 破産者の住所
  • 破産管財人の氏名
  • 決定が出たこと、その日時
  • 決定の主文 など

自己破産マップとは?

「自己破産マップ」や「破産者マップ」は、官報に掲載された自己破産情報を基に作成されたウェブサイトやデータベースを指します。

これらの運営には重大な問題があります。

まず、個人のプライバシー権や名誉権を侵害している可能性が高いです。それに、自己破産は法的に認められた債務整理の手段であり、それを選択した個人をこのように公表し、不当に扱うべきではありません。

過去に「破産者マップ」というサイトが、官報から得た情報とグーグルマップとを組み合わせて情報を公開したため、大きな社会問題になりましたが、様々な批判を受けて閉鎖されました。

その後、「新・破産者マップ」という類似のサイトが確認されているようです。個人情報保護委員会は、令和4年7月20日、サイト運営者に対して個人データの提供を直ちに停止するよう勧告しました。削除するためには金銭の支払いを要求しているようですが、支払ったからといって情報が削除される保証はありません。「情報削除ビジネス」に惑わされることのないようにしましょう。

日本弁護士連合会も、このようなサイトを非難し、抜本的な対策をとることを国に対して求めています。

「官報の発行に関する法律」施行により、自己破産を含むプライバシーへ配慮が必要な官報記事は、画像化処理されたPDFデータで提供されることになりました。自動で情報取得することが困難になりますので、新・破産者マップへの対抗策としての効果も期待されています。

参考:破産者等の個人情報を違法に取り扱っている事業者に対する 個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について|個人情報保護委員会
(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220720_houdou.pdf)

自己破産と官報掲載でよくある疑問(Q&A)

自己破産と官報掲載についてよくある疑問と回答を紹介します。

(1)自己破産して官報に載らない方法はある?

ありません。

官報に載ったとしても、ご説明した通り、親族や知り合いがそれに気づいて身バレするという可能性は低いと考えられます。

また、自己破産を申し立てて、免責許可を受ければ、原則としてすべての借金の支払い義務から解放されるという大きなメリットがあります(公租公課など一部支払い義務が残るものもあります)。官報に掲載されるという事実を過大評価して、自己破産のメリットを享受できないとなるとたいへんもったいないです。

(2)自己破産した情報を知り合いが官報から把握することはある?

知人や関係者が、偶然、あなたの破産情報が掲載された特定の号の官報を見る可能性は、極めて低いでしょう。ご説明した通り、一般の人が日常的に官報を見る機会はほとんどないからです。

ただし、インターネット上での情報拡散には注意が必要です。ご自身がSNSやブログで情報発信を行っている場合には、ふとした情報から身バレにつながることがありますので、発信する情報に注意しましょう。

【まとめ】自己破産したら官報掲載は避けられないが、影響は限定的

自己破産すると、その情報は必ず官報に掲載されますが、官報は一般人が日常的に目を通すものではありません。また、「官報の発行に関する法律」の施行により、自己破産に関する記事は原則90日間のみ閲覧・ダウンロード可能で、名前などのテキストによる検索も困難となりました。

自己破産による官報掲載は避けることはできませんが、その影響は一時的・限定的と考えられます。「自分の情報が公表されるなんて」と不安を感じるのは自然ですが、それに囚われすぎないことが大切です。まずは自己破産を扱っている弁護士に相談し、自分の状況に最適な解決策を見つけましょう。

借金問題でお悩みの方は、1人で悩まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

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