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民法770条が定める裁判離婚に必要な5つの離婚原因とは?弁護士が解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

もしあなたが今離婚を考えているのであれば、どのような場合に離婚が認められるのか確認しておきたいところです。

夫婦で話し合った結果、相手も離婚に合意するのであれば理由を問わずに離婚することができます。例えば「新しい恋人ができたから離婚したい」といった理由であっても、相手さえ納得すれば離婚はできます。

しかし、必ずしも相手が離婚に合意するとは限りません。
合意が得られない場合には、家庭裁判所の裁判で離婚をすることになりますが、この場合、次に紹介する民法770条の離婚原因がなければ離婚できません。

【民法770条が定める離婚原因】
  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の行方不明
  • 強度の精神病
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

それぞれどういった場合に離婚が認められるのか、見ていきましょう。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 離婚する3つの方法(協議・調停・裁判)
  • 民法770条で定める離婚原因
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚する3つの方法(協議・調停・裁判)

離婚をするためには主に、次の3つの方法があります。

(1)協議離婚

夫婦で話し合い、離婚することに合意した場合には「協議離婚」ができます。

この場合は、家庭裁判所の手続きを利用することなく、離婚届を役所に出すことで離婚することができます。

(2)調停離婚

夫婦の話し合いが上手くいかない場合には、家庭裁判所の裁判官や調停委員を仲介者にして話し合う「調停」という手続きを利用することができます。

裁判官や調停委員を仲介者として夫婦で改めて話し合い、そこで離婚について合意できれば「調停離婚」が成立します。

協議離婚や調停離婚といった夫婦の合意で離婚をする場合には、離婚の理由は問われません。民法770条で定める離婚原因以外の原因で離婚することも出来ます。

(3)裁判離婚

協議離婚や調停離婚によっても「合意」ができなかった場合には、基本的に、家庭裁判所の裁判で離婚を争うことになります。

裁判離婚は、裁判官の判断に離婚の成否が委ねられます。

具体的に言うと、裁判官が離婚判決をした場合には、夫婦のどちらか一方が離婚に反対していても離婚になります。一方で、裁判官が婚姻継続の判決をした場合には、夫婦のどちらか一方が離婚を望んでいても、離婚にはなりません。

そして、裁判離婚の場合に注意が必要なことは、民法770条で定められた離婚原因でしか離婚できないということです。例えば、性格が合わない等の理由では、基本的に離婚することはできません。

民法770条が定める5つの離婚原因

民法770条では、次のように離婚原因について定めています。

民法770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、裁判の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法770条1項

それぞれ具体的な内容について見てみましょう。

(1)不貞行為(民法770条1項1号)

法律上、婚姻は一種の契約であって、その契約内容として夫婦は互いに「貞操義務」を負います。どういうことかというと、夫婦は互いに配偶者以外の者と性的関係をもつべきではないとされています。

この貞操義務違反の場合(配偶者以外の者と性的関係をもった場合)は、基本的に、「不貞行為」として民法770条1項が定める離婚原因になります。

もっとも、配偶者以外の者と性的関係を持った場合であっても、必ず同号の離婚原因に該当するとは限りません。

不貞行為が離婚原因とならないケースとしては、主に次の3つがあります。

  1. すでに夫婦関係が破綻しているケース
  2. 過去に解決済みの不貞行為であるケース
  3. 有責者側から離婚請求であるケース

それぞれ説明します。

(1-1)すでに夫婦関係が破綻している場合

不貞行為より前に、すでに夫婦関係が破綻していることが明らかであった場合には、不貞行為は離婚原因とならないとされています。

なぜなら、不貞行為を理由にする離婚には、不貞行為を原因として夫婦関係が破綻したということが必要とになるからです。

この例としては、例えば、夫婦が以前から別居をしており、互いに口も利かない、連絡もとらないといった状態(実質的に夫婦関係が破綻していることが明らかな場合)で、不貞行為をした場合です。

この場合は、「不貞行為」によって夫婦関係が破綻したとは評価できないため、民法770条1項1号の不貞行為には該当しません。

(1-2)過去に解決済みの不貞行為であるケース

過去に発覚した不貞行為について有責者が謝罪を行い、被害者がそれを許して、婚姻関係をしばらく継続した場合には、不貞行為を改めて離婚原因とすることが認められない可能性があります。

そもそも、不貞行為を許したことですぐに離婚原因が消滅するわけではありません。

しかし、裁判所は、不貞行為を許したことやその後婚姻関係を継続していることなどその他の事情を配慮して、不貞行為を理由として婚姻関係が破綻していないと判断することがあります。

この場合、その後再び夫婦関係が険悪になったとしても、過去の「不貞行為」によって夫婦関係が破綻したとは評価できないため、民法770条1項1号の不貞行為には該当しないと判断される可能性が高いです。

(1-3)有責者側の離婚請求

不貞行為など離婚原因を作った側のことを有責配偶者(有責者)といいます。
そして、有責配偶者の離婚請求は、信義則に反するとして原則認められていません。

かつては有責配偶者からの離婚請求は一切認められていませんでした(消極的破綻主義)。

しかし、近年では夫婦の別居が長期間で、夫婦間に未成熟の子が存在せず、離婚により不貞行為の被害者側の配偶者が精神的・社会的・経済的に困窮しない状況であることを条件に離婚が認められるケースが出ています(積極的破綻主義)。

参考:有責配偶者からの離婚請求が長期間の別居等を理由として認容すべきであるとされた事例 最高裁判所大法廷判決昭和62年9月2日 民集第41巻6号1423頁|裁判所 – Courts in Japan

不貞行為を原因に離婚する場合には、配偶者や浮気・不倫相手に対して慰謝料請求を行うことができます。離婚に会わせて慰謝料請求を行うことも検討してみてもよいかもしれません。

離婚慰謝料の相場について詳しくは、こちらをご覧ください。

離婚慰謝料の相場とは?慰謝料の決まり方と財産分与による解決法

(2)悪意の遺棄(民法770条1項2号)

夫婦間には、同居し、互いに協力し扶助する義務があります(民法752条)。この義務のことを「相互扶助義務」といいます。

この相互扶助義務を、正当な理由もなく果たさずにいることを「悪意の遺棄」といい、民法770条では離婚原因とあたるとされています。

「悪意の遺棄」とは、例えば次のような状況が挙げられます。

  • 収入があるのに生活費を渡さない
  • お互いの合意がないのに長期間別居をする
  • 正当な理由なく家出を繰り返す
  • 配偶者を家から閉め出して、長期間帰宅できないようにする

(3)配偶者の生死が3年間明らかでない(民法770条1項3号)

配偶者の最後の連絡から3年以上生死が不明な状態が続いている場合は離婚原因として認められます。

生死が不明な状態とは、完全に行方不明となっていて、生死もわからない状態を指します。
そのため、配偶者と連絡が取れなくても住民票などをたどれば居場所がわかる場合や、居所が不明でも生きていることが明確にわかっている場合は生死不明にはあたりません。

なお、離婚成立後に生きていることが明らかになった場合でも、確定した離婚判決の取り消しにはならず、婚姻関係は復活しません。

(4)強度の精神病で回復の見込みがない(民法770条1項4号)

「強度の精神病で回復の見込みがない」とは、夫婦間の協力扶助義務を果たすことができないほどの重症な精神病で、回復が困難な状態のことです。

そのため、これは医師等の専門家により判断されます。

本来、夫婦関係にある間は互いに扶助しあわなければならず、配偶者が精神病で苦しんでいるときにも、支えあうのが原則です。

しかし、例外的に、配偶者が意思の疎通も難しい精神病にかかってしまい、回復の見込みがないと認められるような場合には、夫婦関係の継続を強制できないと考えられており、離婚原因にあたるとされています。

ただし、この理由で離婚が認められるのは相当に厳しいのが実情です。

最高裁の判例では、「回復の見込みのない強度の精神病」に該当する場合でも、その配偶者の今後の治療や生活等について具体的な対策を考え、かつそれが実現する見込みがついたうえでなければ、離婚を認めないという立場をとっています。

参考:最高裁判所第二小法廷判決昭和33年7月25日 民集第12巻12号1823頁|裁判所 – Courts in Japan

(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)

民法770条1項の1~4号までは、離婚が認められるべき場合を具体的に定めたものでした。
しかし、それらに該当しなくても「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合には民法770条1項5号を理由として離婚が認められる可能性があります。

婚姻を継続し難い重大な事由にあたるかどうかは、次の2つのポイントを考慮して判断します。

  • 夫婦が婚姻継続の意思を失っている状態(主観的要素)であるか
  • 婚姻共同生活の回復の見込みがない状態(客観的要素)であるか

民法770条1項5号による離婚の成否について問題となる事由としては例えば、次のようなものが挙げられます。

(5-1)性格の不一致

性格の不一致だけで離婚が認められることはほとんどありません。
しかし、性格の不一致を原因とする別居が長期間(3~5年以上)にわたるなどで実質的な夫婦関係が破綻していることが認められると、離婚原因として認められる可能性があります。

(5-2)性的行為に関する不一致

セックスレス、同性愛、性行不能、性的異常など、非常にプライベートな事情をはらんでいるケースは個別の事情によって判断がわかれます。

(5-3)借金

単純に借金があるだけでは認められません。
しかし、返済をしない、借金を繰り返すなどの生活の破綻がある場合は離婚原因として認められる可能性があります。

【まとめ】離婚についてお悩みの方は弁護士にご相談ください

夫婦の合意があれば離婚の理由を問わず「協議離婚」「調停離婚」を行うことができます。
ですが、離婚について夫婦の間で合意に至らない場合は裁判で離婚を争うことになります。

その際に使われる判断基準として、民法770条に裁判上の離婚理由が5項目定められており、この項目に該当しなければ裁判上の離婚は認められません。

離婚の際の事情は夫婦によって異なることと思います。
ですから、離婚理由に該当するかどうかは個別に判断していく必要があります。

離婚したいと思っていても、ご自身のケースが離婚理由に該当するのかお悩みの方は、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所への相談をご検討ください。

弁護士に相談することで、ご自身のケースが民法770条で定める離婚事由に該当するのかを確認することができるほか、離婚に向けてどういった話し合いをすべきか(例えば、慰謝料や財産分与など)についてもアドバイスを受けることができます。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年6月時点)。

離婚についてお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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