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確定拠出年金は財産分与の対象になる?各種年金の扱いについて

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「確定拠出年金は、離婚するとき財産分与の対象になるの?」
真剣に離婚を考えている最中であれば、このような疑問を感じたことがあるかもしれません。

確定拠出年金には企業型と個人型の2種類があり、いずれも財産分与の対象になる可能性があります。
ただし、財産分与が確定拠出年金の受給前である場合、その評価額を算出することは難しく、離婚による財産分与の対象として認められないケースもあるため注意が必要です。

この記事を読んでわかること
  • 確定拠出年金の概要
  • 確定拠出年金における財産分与、年金分割の可否
  • 確定拠出年金受給中、受給前における財産分与の評価方法
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

確定拠出年金とは?

確定拠出年金とは、拠出された掛金とそれを運用した運用収益の合計額に基づいて年金の給付額を決める制度のことをいいます。
運用する掛金を事業主が拠出する企業型確定拠出年金(企業型DC)と、加入者個人が拠出する個人型確定拠出年金(iDeCo)とに分かれます。

企業型確定拠出年金
(企業型DC)
・実施主体:企業型年金規約の承認を受けた事業主
・加入対象者:従業員(※1)
・掛金は原則として事業者拠出
個人型確定拠出年金
(iDeCo)
・実施主体:国民年金基金連合会
・加入対象者:国民年金の被保険者(日本国内に住む20歳以上60歳未満の個人(※2))、65歳未満の国民年金の任意加入被保険者
・掛金は原則として加入者拠出

参考:確定拠出年金制度の概要|厚生労働省※1 厚生年金保険の被保険者のうち、「国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者」および「地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者」を除く。

確定拠出年金は財産分与、年金分割の対象になる?

確定拠出年金が財産分与の対象となるかどうかは、企業型か個人型かによって考え方が異なります。
もっとも、財産分与の対象は、婚姻期間中に形成したものに限られますので、確定拠出年金が財産分与の対象となる場合であっても、対象となるのは原則として婚姻期間中の掛金相当部分のみという点にご注意ください。
なお、確定拠出年金は、「年金分割」の対象外と考えられています。

(1)企業型確定拠出年金(企業型DC)の場合

企業型確定拠出年金における掛金は、退職金の前払い的な性格を有しているため、原則として財産分与の対象として扱われます。
退職金の形成には、配偶者の貢献があると考えられるため、退職金は財産分与の対象となるのが原則だからです。
ただし、過去には「企業型確定拠出年金は財産分与の対象にはならない」と判断された裁判例(名古屋高裁判決平成21年5月28日)が存在します。
これは、次のような事情を考慮したためと考えられます。

  • 定年まで15年以上あり、受給の確実性は必ずしも明確でない
  • 別居時(※)の評価額を算出することもかなり困難
    ※離婚に先立って別居している場合、財産分与の基準は、別居時となるのが原則です。
    なお、この事案において、夫の勤務先に確定拠出年金が導入されたのは、夫婦が別居した後でした。

財産分与には、(1)清算的財産分与、(2)扶養的財産分与、(3)慰謝料的財産分与の3つの性質があるとされており、通常「財産分与」といえば、(1)の清算的財産分与のことを指します。(この記事内においても、単に「財産分与」と記載している場合、「清算的財産分与」のことを指しています。)

この裁判例も、確定拠出年金が清算的財産分与の対象にはならないと判断したもので、扶養的財産分与の要素として考慮に入れることは否定していません。

この裁判例によっても、定年が間近に迫っている方や、受給が確実で受給額が明確な場合などは、財産分与の対象として計算される余地は十分にあります。

財産分与について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

(2)個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合

個人型確定拠出年金の場合、退職金の前払い的な性格を有するとはいえないため、財産分与の対象になるかどうかについては、見解が分かれているのが実情です。
少なくとも、個人型確定拠出年金の掛金が婚姻期間中に蓄えた財産から拠出されたといえることが必要でしょう。

(3)確定拠出年金は年金分割できない

年金分割とは、離婚後に配偶者の一方の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それをもう一方の配偶者が受け取れるという制度です。
この制度は、専業主婦(夫)など自分名義での年金保険料の納付額が少ない方を保護するための制度で、厚生年金(以前の共済年金を含む)のみがその対象とされています。
つまり、確定拠出年金や国民年金などは年金分割の対象ではありません

年金分割について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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確定拠出年金の財産分与の評価方法

では、確定拠出年金を財産分与の際に評価する方法を、受給額が確定しているか、それとも未確定なのかに分けて解説します。

(1)確定拠出年金の受給額が確定している場合

先述のとおり、財産分与の対象は婚姻期間中に形成したといえる部分に限られています。

したがって、結婚前や離婚後(離婚に先立って別居していた場合には、別居後)の掛金は
財産分与の対象外
となります。(ただし、婚姻期間中(同居中)に蓄えた財産から掛金が拠出されたといえる場合には、財産分与の対象として考慮される可能性があります。)

例えば、確定した受給額が1000万円で、婚姻(同居)期間が15年、確定拠出年金の加入期間が30年であった場合、次のように評価されます。

財産分与の対象となる部分
1000万円(確定した受給額)×30分の15(同居年数÷加入年数)=500万円

そして、財産分与は夫婦で2分の1ずつ分けるのが原則なので、
250万円(500万円×2分の1)ずつの財産分与となると考えられます。

(2)確定拠出年金の受給額が確定していない場合

まだ受給年齢に達していない場合や、掛金の積立途中である場合など、確定拠出年金が未確定の状況であれば、財産分与のために評価額を算出することは非常に難しいといえます。
確定拠出年金は運用益によって受給額が変動するためです。
受給額が未確定の場合、満期になるまでの期間や定年までの期間などを考慮し、受給できる蓋然性が高い金額を認定し、そのうえで財産分与時点における評価を行うことになるでしょう。

もっとも、満期や定年が迫っている場合に比べ、まだ若く受給額の確定がずいぶん先になりそうな場合などであれば、評価額の算出が難しいため、財産分与の対象にはならないと判断される可能性が高くなるでしょう。

未確定の確定拠出年金の財産分与には法的に難しい問題がありますので、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

企業年金、個人年金における財産分与の考え方

先述したとおり、年金分割の対象となるのは厚生年金と共済年金の部分のみで、企業年金や個人年金は年金分割の対象外となります。
では、企業年金や個人年金は、財産分与においてどのように考えられているのでしょうか。

企業年金:「確定給付企業年金」や「企業型確定拠出年金」などの一般的な総称。
いずれも退職金と同様の性格を有するものと考えられているため、婚姻期間中の掛金相当部分は原則として財産分与の対象となり得る。

個人年金:掛金積立型の保険商品。
一般的に生命保険の場合と同様に考え、離婚(別居)時の解約返戻金の金額のうち、婚姻期間中に積み立てた掛金に対応する額が財産分与の対象となり得る。

【まとめ】確定拠出年金は「財産分与」の対象になる可能性がある|「年金分割」の対象にはならない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 確定拠出年金は掛金を運用した利益を年金として受給するもので、企業型と個人型に分類される
  • 確定拠出年金は財産分与の対象となる可能性があるが、年金分割の対象外である
  • 確定拠出年金の財産分与は、受給前における評価が難しいため、財産分与の対象外とされた裁判例がある
  • (企業型確定拠出年金を含む)企業年金や個人年金も、財産分与の対象になり得る

確定拠出年金の財産分与は、未だ画一的な評価額の算出方法が定まっておらず、受給できる蓋然性が高い金額を検討しなければならないため、特に高度な専門知識が必要となります。
また、離婚の際に財産分与でトラブルになった場合、配偶者が財産を隠してしまうことも少なくありません。
配偶者が任意に財産についての情報開示に応じない場合には、弁護士による財産調査が必要になるケースもあります。
そのため、確定拠出年金を含む財産分与でお悩みの方は、離婚などの家事事件を取り扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年7月時点)

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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