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株式は離婚時の財産分与の対象になる?分与の方法も解説

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yamazaki_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

夫婦で協力して築き上げた財産は、離婚の際に『財産分与』を求めることができます。

ただし、離婚をする際に、夫婦が所有する全ての財産・資産が財産分与の対象となるわけではないという点にご注意ください。
では、どのようなものが『財産分与』の対象となるのでしょうか。

資産を株式で保有している方にとっては、財産分与における株式の取り扱いは気になるところです。

この記事を読んでわかること
  • 株式は財産分与の対象になるのか
  • 株式などの財産(有価証券・投資用不動産・会員権)を分与する方法
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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株式は財産分与の対象になるのか

まずは、夫婦2人の財産のうち、離婚により財産分与の対象となるのはどの範囲であるかを確認してみましょう。

(1)「いつ株式を取得したか」で考える

原則として財産分与の対象となる財産は「婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産」です。

これは株式についても同様で、『婚姻後』に取得した株式であれば原則として『共有財産』として財産分与の対象となります。

そのため、『婚姻前』から保有している株式は、財産分与の対象外とされます。

(2)「誰が株式を取得したか」で考える

財産分与の対象となるのは「夫婦が協力して取得した財産」ですので、夫婦の協力とは無関係に取得した財産は分与の対象にはなりません。
例えば、婚姻中に自分の親から贈与を受けた場合や、相続で取得した場合など、配偶者の協力とは関係なく取得された株式は、財産分与の対象外となります。

婚姻中に夫婦が株式を取得した場合、株式の名義は夫婦の一方であることが多いでしょうが、名義が夫、妻のどちらであったとしても財産分与の対象となります。

もっとも、個人名義ではなく配偶者が経営する会社名義の株式である場合には注意が必要です。
会社は個人とは「別人格」であり婚姻関係の当事者ではありませんから、会社名義の株式は会社の財産と考えられるため財産分与の対象にはなりません。

しかし、会社の財産が個人の財産と実質的に同一だと考えられる場合は、会社名義の株式が財産分与の対象となる可能性もあります(大阪地裁判決昭和48年1月30日判時722号84頁)。

株式などの財産を分与するフロー

株式などの有価証券を分与する際は、次の5つのフローをたどります。

  1. すべての財産をリストアップした財産目録を作り、一つひとつの財産について分与対象となるかどうかを判断する
  1. 各財産の評価額を決定する
    預貯金、生命保険の解約返戻金、住宅ローン等は、別居時の金額を評価額とすることが原則ですが、自宅や株式その他の有価証券については、分割時、通常は離婚時(訴訟の場合は口頭弁論終結時)の価値を評価額とすることが原則です。もっとも、実際には、離婚成立当日または口頭弁論終結日当日の価値をもって評価額とすることは稀であり、離婚協議等の過程において評価額を合意することが多いと思われます。
  1. 財産分与の割合を決める
    夫婦それぞれ2分の1ずつに分けるのが一般的です。
    どちらかが専業主婦・主夫であっても、2分の1ずつが基本なのですが、どちらか片方の特殊な努力や能力で高額の資産が形成された場合など、財産の形成・維持への貢献度など個別の事情に応じて修正されることもあります。
  1. 財産分与の方法を考える
    どのような分け方があるかについては後述します。
  1. ここまでの内容を離婚協議書に残す
    財産分与などについて夫婦で合意した場合には、決められた内容を口約束のままにせず離婚協議書を作成しましょう。
    離婚協議書は公正証書として作成することにより、より支払いの確実性を高めることができます。
  1. 実際に財産分与をする
    離婚と同時に財産分与をしなかった場合であっても、離婚後に財産分与請求をすることも可能です。
    その際には、離婚したときから2年以内に請求する必要があります(民法第768条2項但書)。

財産分与の時効について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚後の財産分与の時効とは?期限経過後でも財産分与できるケースも紹介

株式などの財産を分与する方法

財産分与では、夫婦間の財産のアンバランスを現金で清算することが原則です。「財産分与は夫婦の個々の財産を分け合うもの」と誤解されているケースがありますが、財産分与は、個々の財産を夫婦間で分割する制度ではありません。
ですから、原則として、財産分与で相手方配偶者に求めることができるのは、個々の財産ではなく、現金であり、財産分与で相手方配偶者に給付すべきものは、個々の財産ではなく現金です。

とは言っても、価値の高い財産はあるが、現金はなく、かといって、その価値の高い財産をすぐには売却できないという場合もあるでしょう。また、現金ではなく、どうしても相手方配偶者名義又は共有名義の特定の財産が欲しいという場合も考えられます。

例えば、夫婦又は夫婦の一方が経営する会社の株式、居住用又は投資用の不動産、ペット等は、まさにそういった財産にあたるでしょう。
その場合、財産分与の方法は夫婦の話し合いにより解決することになります。ここでは、株式等の有価証券、投資用不動産、会員権について、話し合いの際にどのような選択肢がありえるかをご紹介します。

離婚とペットの関係について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚したら飼っていたペットは誰が引き取る?弁護士がくわしく解説

なお、現物での財産分与は「譲渡」にあたり、所得税がかかる可能性があります。現物で財産分与をされる際は、税理士に相談することをお勧めします。

財産分与と税金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

離婚時の財産分与に税金はかかる?節税に使える制度も併せて解説

財産分与として財産を分割する方法には次の3つがあります。

  1. 現物分割:現物のままで分与する
  2. 代償分割:対象となる財産を査定し、夫婦のどちらかが財産として現物を受け取り、もう一方は同程度の価値を持つ別の財産を受け取る
  3. 換価分割:対象となる財産を売却し、その代金を分与する

次では、株式や債券、投資用不動産など、財産の種類ごとに分与の方法を説明します。
なお、離婚と財産分与を同時に請求した場合を前提とします。

(1)株式・債券・投資信託などの有価証券

株式のほか、債券や投資信託、小切手なども、婚姻期間中に夫婦が協力し形成した財産であれば財産分与の対象となります。
また、企業型確定拠出年金(企業型DC)として運用されている資産も対象になり得ます。
これは、一般に退職金が後払い賃金としての性格があるところから財産分与の対象となると考えられているところ、企業型DCは退職金として評価されるためです。
有価証券の分与方法のひとつとして、売却代金を分割する換価分割が考えられます。

また、名義人の所有のままにして、その評価額のうちいくらか(原則として2分の1)を金銭で分与する代償分割の方法が取られる場合もあります。
例えば、有価証券は譲渡が容易なものが多いのですが、非上場株式の場合などは、譲渡に会社の承認が必要となることも多く売却や現物分割が困難であるという事情があります。
そのため、株式の名義はそのままにした状態で、分割分を金銭で支払う代償分割を行ったり、他の財産を代わりに配分するという手段が選ばれやすくなります。

財産分与にあたり、分与財産の評価額を知ることが必要ですが、有価証券の評価額は、原則として離婚が成立した日を基準時とします。
上場株式については、離婚成立日の終値や過去3ヶ月の平均株価を参考にして決め、非上場株式であれば財務諸表などを参考に価値を決めることが多いようです。

有価証券の場合、財産目録の作成時から離婚成立日までに値が大きく動くことがあるため、配分を巡りトラブルに繋がる可能性があります。
あらかじめ評価額が変化したときの対応についても話し合い、離婚協議書に盛り込んでおくと良いでしょう。

(2)投資用不動産

投資用不動産も居住用物件と同様に、婚姻期間中に夫婦が協力し形成した財産であれば財産分与の対象となります。
一般的に、不動産は現物を分割することが困難であることから、代償分割や換価分割を選ぶケースが多いようです。
投資用不動産は、売却益や賃料収入を得ることを目的で購入された不動産のことで、居住用物件との主な違いはローンの種類であると言われています。
例えば投資用マンションをローンで購入する場合には、アパートローンといわれる不動産投資ローンを活用することが多いようです。

このローンは、借主の資産からの返却というよりも、不動産を第三者に貸した場合の賃料を返済原資と考えることから、不動産の収益性を重視し住宅ローンよりも厳しく審査されます。
また、事業としてのリスクがあることから、通常は居住用のローンより金利が高く設定されています。
離婚後の家賃収入も考慮し、売却し代金を分割するべきか、不動産のままどちらかの所有にして、代償金を一方に支払うかを夫婦でよく話し合って決めるとよいでしょう。

現在の所有者とは異なる側が不動産の現物の分与を受けるのであれば、まだローンが残っている場合は、ローンの名義変更が必要となるため、話し合いの際に金融機関に確認してください。
なお、売却益のための投資用不動産のローン残債が不動産の時価を上回っている場合には、実質的には不動産に資産価値がないと判断できるので、分与の対象外とすることも可能となります。

(3)会員権

ゴルフやリゾート施設などを優先的に利用できる会員権も、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産であれば財産分与の対象となります。
会員権は現物分割ができないため、換価分割や代償分割を用いることになります。
評価額は、原則として離婚成立日の時価で決まります。

【まとめ】株式が財産分与の対象になるかどうかはケースによって異なる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 財産分与の対象となる株式は「婚姻期間中に夫婦が協力して取得した株式」
  • 財産分与は、分与の対象となる財産を確定するところからスタートする
  • 財産を分与する方法は、現物分割、代償分割、換価分割の3つ
  • 財産の種類や状況に応じて、どの方法で分与するかを話し合う

離婚時の財産分与でお困りの方は、離婚を取り扱っている弁護士にご相談ください。

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