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死後離婚(姻族関係終了届)を選ぶ妻が急増!メリット・デメリット、遺産相続や遺族年金について解説

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夫の生前には離婚できなくても、死後に夫の親族と縁を切る「死後離婚」を選択する女性が増えています。今回は、配偶者の死後に離婚できる「姻族関係終了届」について、法律的な見解をふまえてわかりやすく解説します。

目次

死後離婚(姻族関係終了届)とは死んだ配偶者の親族との関係を断つ手続き

配偶者の死後に離婚できる「死後離婚」。正式名称は「姻族関係終了届」といい、配偶者の死後に配偶者の親族との姻族関係(親戚関係)を終わらせる手続きを指します。

「離婚」とはいっても配偶者との離婚ではありません。離婚しないまま配偶者が死亡すると、配偶者との籍は抜けないからです。死後離婚はあくまで「配偶者の親族と縁を切る手続き」と理解しましょう。

(1)離婚との違い

配偶者の生前に離婚すると、「籍」が抜けて配偶者本人と他人になります。遺産も相続できず、遺族年金も受け取れません。
死後離婚の場合、配偶者の親族と縁が切れるだけなので、戸籍上配偶者との婚姻関係は記載されたままになります。配偶者と他人になるわけではありません。配偶者の遺産は相続でき、遺族年金も受け取れます。

(2)死後離婚する人が10年間で2倍以上に!

姻族関係終了届を提出して配偶者と「死後離婚」する人の数は、年々増加しています。
2009年には1823件、2010年は1911件でしたが、2018年には倍以上の4124件にまで増えました。

現代の日本では、生前には離婚できなかったけれども死後に相手の実家と縁を切りたい人が急増している状況が読み取れます。

参考:種類別 届出事件数(平成21年度~30年度)|e-Stat 統計で見る日本

死後離婚(姻族関係終了届)が増えている4つの理由

死後離婚を選ぶ人が増えている理由として、以下のような事情があると考えられます。

(1)義理の親との不仲、介護したくない

おそらくもっとも多いと思われる理由が、義理の親との不仲です。姻族関係が続いている限り、義理の親に何かあったときには「介護」や「扶養」をしなければなりません(民法730条、民法877条1項)。相手の両親と他人になりたければ、死後離婚が有効です。

義理の親の介護義務が発生するケースは?

配偶者の死後、死後離婚しなければ義理の親を介護しなければならない可能性があります。
まず義理の親と同居していれば、義理の親が経済的に困ったときに「扶助」しなければなりません(民法730条)。
同居していなくても、特別な事情がある場合には、家庭裁判所が「扶養義務」を負わせる可能性があります(民法877条2項)。扶養義務が課される可能性があるのは「3親等内の親族」。義理の親子は1親等の親族なので、扶養義務の対象となります。
たとえば義理の両親の面倒をみる人が他にいない場合、家庭裁判所から扶養命令が出る可能性があると考えましょう。

(2)義理の家族との関わりが面倒

配偶者の死後、姻族関係が続く限り義理の親や兄弟姉妹などとの親族付き合いを続けなければなりません。面倒でかかわりたくなければ、死後離婚を選択するのがよいでしょう。

(3)法要に関わりたくない

配偶者の死亡後は、常識的に数年ごとに法要をしなければならないでしょう。面倒と感じる方もおられるはずです。死後離婚すると他人になれるので、相手の親族を呼んで法要を行うべき道義的な義務からも解放されます。

(4)精神的に夫との関係を断ちたい

生前に夫との関係が悪化して不仲でも、経済的事情により離婚できなかった女性がたくさんおられるでしょう。そういった方の場合、せめて「死後でも良いので関係を断ちたい」と考えて姻族関係終了届を提出します。

死後離婚(姻族関係終了届)のメリット・デメリット

死後離婚のメリットとデメリットをみてみましょう。

(1)死後離婚(姻族関係終了届)のメリット

(1-1)義理両親の介護や扶養の義務がなくなる

死後離婚のもっとも大きなメリットは、義理の両親への介護や扶養の義務がなくなることです。死後離婚しなければ、同居していれば扶助義務が課され、同居していなくても事情によって扶養義務を課されます。
死後離婚さえしていれば、義両親に何があっても関与する必要はありません。

(1-2)義両親との同居を解消しやすい

義両親との同居が続いて苦痛な方にも死後離婚のメリットがあります。死後離婚すれば、通常は同居を解消する流れになるからです。
自分から同居解消を言い出しにくい方、将来義両親の介護の負担が及ぶのを恐れている方は、死後離婚を検討してみてください。

(1-3)仲の悪かった夫と死後に関係を断てる

生前夫と仲の悪かった方は、死後離婚すると精神的に夫との関係を断ち切れます。お墓参りもしなくてかまいませんし、法要にも出席しなくてよくなり、ストレスのない人生を送れるでしょう。

(1-4)遺産は相続できる

死後離婚しても遺産は相続できます。多額の財産が遺されて「相続はしたい」方でも安心して姻族関係終了届を提出しましょう。

(1-5)遺族年金はもらえる

死後離婚しても、遺族年金はもらえます。経済力のない方も安心して死後離婚を進めましょう。

(1-6)祭祀承継者にならなくて良い

夫が死亡したら、多くのケースで妻が「祭祀承継者」となってお墓や仏壇などの祭祀財産を承継して管理しなければならないでしょう。死後離婚すれば通常は祭祀承継者にならないので、夫や夫の親族のお墓や仏壇などを引き取ったり法要を開いたりする必要はなくなります。

(2)死後離婚(姻族関係終了届)のデメリット

(2-1)子どもとの関係が悪化するおそれがある

死後離婚すると、子どもとの関係が悪化するケースがあります。子どもとしては、「なぜわざわざ死後に、お父さんへの嫌がらせのように離婚するのか?」と悪く受け止める可能性があるからです。死後離婚する際には、子どもからも意見を聞き、理解してもらってからにするのが良いでしょう。

(2-2)配偶者のお墓参り・法要への参加が難しくなる

夫の親族は嫌いでも、夫自身へ悪感情を抱いていない方もおられます。そういった方が死後離婚すると、夫のお墓参りや法要への参加も難しくなる可能性が高いので注意しましょう。

(2-3)提出したら、取り消せない

姻族関係終了届を提出しても、その後子どもとの間でトラブルが起こったりして「やっぱり取り消したい」と考える方がおられます。
しかし、いちど姻族関係終了届を提出すると取消はできません。「本当に義実家との関係を終了させても良いのか」「子どもとの関係は気にしなくて良いのか」「夫のお墓参りや法要参加ができなくなっても良いのか」など、吟味した上で慎重に判断しましょう。

死後離婚(姻族関係終了届)手続きの流れや必要書類

死後離婚の手続きの流れを説明します。

(1)必要書類を用意する

まずは必要書類を用意しましょう。以下の書類を市区町村役場へ提出すれば、死後離婚が成立します。

  • 姻族関係終了届:市区町村役場に備え付けてあるので、自分で記入して作成しましょう。
  • 戸籍謄本(全部事項証明書):本籍地以外の市区町村役場で手続きするときに必要です。本籍地の市町村役場で取得しましょう。遠方の場合には郵送でも取り寄せが可能です。
  • 印鑑、本人確認書類:免許証や保険証など、本人確認書類を持参しましょう。押印箇所があるのと書き損じた場合は訂正印が必要になる可能性もあるので、印鑑も持参してください。

(2)市区町村役場に提出

上記の書類を市区町村役場へ提出しましょう。それだけで死後離婚が成立します。手続きに期限はないので、死別後何年経過していてもかまいません。

(3)旧姓に戻したい場合

死後離婚の際、旧姓に戻したければ「復氏届」を提出しましょう。必要書類は姻族関係終了届とほぼ同じなので、同時に手続きをすると良いです。
ただし、復氏届を提出しても子どもの苗字や戸籍は変更されません。亡くなった夫の苗字のままになり「母と子どもの苗字が異なる状態」になってしまいます。子どもが未成年で自分が親権者となっており、子どもの苗字や戸籍も自分と同じに揃えたい場合には、家庭裁判所で「子どもの氏の変更許可申立て」を行いましょう。許可が下りたら子どもの苗字が母親と同じものとなり、母親と同じ戸籍に入れることができます。

死後離婚(姻族関係終了届)でよくあるQ&A

死後離婚について多くの方が疑問に思うであろう点をまとめました。答えとあわせて参考にしてみてください。

(1)Q.戸籍はどうなるのでしょうか?

A.死後離婚したら、戸籍に「姻族関係終了」と記載されます。配偶者の戸籍から抜けるわけではなく、苗字も変わりません。戸籍にはほとんど影響がないと考えましょう。
苗字を旧姓に戻したいなら、別途「復氏届」を提出する必要があります。

(2)Q.死後離婚したら、配偶者と同じお墓に入らなくて良いのでしょうか?

A.入らなくてかまいません。
なお法律上は、死後離婚をしてもしなくても配偶者と同じお墓に入る義務はありません。慣習として配偶者と同じお墓に入る方が多いだけです。嫌であれば死後離婚しなくても同じお墓に入るのを拒絶してかまいません。

(3)Q.受け取った遺産を返さなくて良いのでしょうか?

A.死後離婚しても遺産相続権に対する影響はありません。遺産を受け取った後で姻族関係終了届を提出しても、遺産を返還する必要はないので安心してください。

(4)Q.遺族年金は返さなくて良いのでしょうか?

A.死後離婚しても遺族年金の受給権に影響はありません。返還の必要はなく、死後離婚後も遺族年金を受給し続けられます。

(5)Q.死後離婚に義理親や兄弟姉妹の同意が必要ですか?

A.いいえ、不要です。姻族関係終了届は、1人で役所に行けば提出できます。

(6)Q.死後離婚すると、義理の親や兄弟姉妹に気づかれるのでしょうか?

A.気づかれる可能性はあります。たとえば戸籍を取得されたら姻族関係終了と書かれているので判明するでしょう。また扶養や介護を断りたいなら、こちらから姻族関係を終了させたことを伝える必要があります。

(7)Q.再婚するとき、死後離婚しなければならないのでしょうか?

A.いいえ、しなくてかまいません。死後離婚をしなくても、別の人と婚姻できます。

【まとめ】死後離婚(姻族関係終了届)や遺産相続は専門家へ相談することをおすすめします

死後離婚しても、遺産相続はでき、遺族年金も受け取れます。経済的なデメリットはほとんどないといって良いでしょう。義理の親や兄弟姉妹との関係が良くない方には有効な対処方法となります。
ただし、死後離婚をいったん成立させると基本的に取消しはできません。子どもとの関係悪化やお墓参り、法要などのことをよく考えて慎重に判断しましょう。
配偶者が死亡して死後離婚(姻族関係終了届)や遺産相続について迷われたときには、安心して手続きを進めるために専門家にご相談ください。

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