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離婚慰謝料で公正証書を作成するべき理由とは?

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「離婚にあたり慰謝料を支払ってもらうことになった。公正証書を作成した方がいいということを聞いたんだけれど、どうして作成した方がいいの?」

離婚慰謝料の支払いを約束した場合であっても、必ずしも約束どおりきちんと支払われるとは限りません。
そんなとき、「強制執行認諾文言付き」の公正証書があれば、約束どおりに支払われなければ、公正証書を用いて強制執行の申立てが可能になるため、離婚慰謝料の支払いをより確実にすることが期待できます。
他方、公正証書ではなく、夫婦間で個人的に作成した合意書しかない場合、約束どおりに慰謝料が支払われなかったとしても、すぐに強制執行を申し立てることはできません。

この記事を読んでわかること
  • 公正証書とは
  • 離婚の際に公正証書を作成するメリット
  • 公正証書の作成を弁護士に相談すべき理由
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚慰謝料の合意で公正証書を作成する理由

夫婦間で離婚慰謝料の合意をしても、残念ながら支払う義務を負う側が約束通り支払ってくれるかどうかは分かりません

仮に支払われない場合、強制執行によって強制的に支払わせるという方法もありますが、夫婦間で作成した単なる合意書面では、支払いが滞ってもただちに強制執行を申し立てることはできません(民事執行法22条参照 別途、裁判をして勝訴するなどの手続きが必要となります)。

これに対して、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、これをもとに強制執行の手続きを進めることができます(同条5号)。
離婚慰謝料など金銭の支払いについて公正証書を作成するのは、支払う義務を負う側がきちんと支払ってくれないときに、強制執行を可能にするためなのです

(1)公正証書とは?

公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書のことをいいます。
公証人は、公証人法に基づき、裁判官や検察官などを長らく務めた実務経験豊富な者の中から法務大臣が任命します。
公証人は、取り扱った事件について守秘義務を負っており、法務大臣の監督を受け、職務上の義務に反した場合には懲戒処分を受けることとされています。


公正証書は、このような公証人がその権限に基づいて作成するものなので、私文書と比較して、証拠としての価値が高いとされています(公正証書の内容通りの事実が裁判で認められる可能性が高いという意味です)。
また、「強制執行認諾文言」を付けた公正証書には執行力(強制執行ができるという効力)があります。


「強制執行認諾文言」は、たとえば次のような文言を指します。

『乙は、本契約による金銭債務を履行しないときは、
直ちに強制執行に服する旨を陳述した』

債務者が債務(約束)を履行しない(守らない)場合、一般的には、裁判を提起して勝訴判決が確定してはじめて強制執行をすることができます
これに対して、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、裁判をしなくても、債務者が債務を履行しない場合には強制執行をすることができます。


※なお、強制執行認諾文言は、金銭を支払うという債務の履行に対してのみ付けることができます。この点、離婚慰謝料の支払いは、金銭の支払いにあたるため、強制執行認諾文言を付けることができます。

参考:公証制度について|法務省

公正証書について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作る手順を弁護士が詳しく解説

(2)離婚慰謝料の合意をする場合の公正証書の機能

強制執行認諾文言付きの公正証書には執行力(強制執行ができるという効力)があります。
そのため、離婚慰謝料を支払う義務のある側が、任意に離婚慰謝料を支払わない場合には、裁判しなくとも、強制執行認諾文言付きの公正証書に基づいて強制執行を申し立てることが可能です。

また、強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、支払う側に「強制執行されるくらいなら約束通り自主的に支払おう」という意識が働き、未払いを事前に防ぐ効果も期待できます

(3)公正証書の作成方法

公正証書は公証役場というところで作成します。
公証役場は全国に約300ヶ所あり、全国のどこの公証役場でも公正証書を作成することが可能です。
公正証書を作成するためには、まず、公正証書の内容となる夫婦間の取り決めの内容をしっかりと確認しておく必要があります。例えば、誰が、誰に対して、いつまでに、慰謝料としていくらを、どのような方法で支払うのか等を確認しておく必要があります。可能であれば、下書きを作成しておきましょう。

取り決めの内容を確認したら、公証役場に公正証書作成の申し込みをしましょう。申し込みの際には、本人確認書類などの必要書類の提出が求められます。必要書類は日本公証人連合会のウェブサイトで紹介されていますので申し込みの前に確認をして準備をしておきましょう。


申し込みが済んだら、予約日時に公証役場に行き、手続きを済ませて公正証書を完成させることになります。この際注意が必要なのは、夫婦2人とも公証役場に出向く必要があるということです(ただし、遺言以外の公正証書は、代理人による手続きも可能です。その場合、本人の委任状等が必要となります。詳しくは、日本公証人連合会のウェブサイトをご確認ください)。

代理人も含めて夫婦どちらか一方側だけしか出席していない場合は作成できませんので注意しましょう。
最後に、手数料を支払って、完成した公正証書を受け取って終了です。

離婚慰謝料の公正証書作成は弁護士に相談した方がいい?

公正証書は、先ほどご説明した作成方法に従えば個人でも作成することは可能です。わざわざ弁護士に相談なんてする必要などないのでは?とお考えの方もいらっしゃると思います。

しかし、公証人は、あくまで公正証書の内容にはノータッチなのです。つまり、慰謝料額が相場よりも低額あるいは高額でも、公証人は夫婦間の取り決め内容についてアドバイスをしてはくれません
また、先ほどご説明したように、公正証書を作成するには、基本的に夫婦2人が公証役場に出向く必要があります。離婚する相手ともう顔を合わせたくないと思っている方にとって、この点は公正証書作成のハードルとなるでしょう。

弁護士に依頼すれば、裁判例を踏まえた法的な観点から交渉し、妥当な金額での合意がとれる可能性が高まりますし、また、公正証書作成の手続きも基本的には任せることができます。

このようなメリットがあることから、離婚の際に公正証書を作成しようとお考えの方は、一度弁護士に相談することをおすすめします

公正証書を作るのに、わざわざ弁護士に相談する必要なんてあるのですか?

公証人は夫婦間の取り決め内容についてはアドバイスしてくれません。また、公正証書を作成するには、原則として夫婦2人が公証役場に出向く必要があります。

弁護士がいれば、裁判例などを踏まえた法的な観点から相手と交渉をして、妥当な金額での合意ができる可能性が高まりますし、また、公正証書作成の手続きも代理で任せることができます。

離婚慰謝料の金額など、離婚条件についてまだ合意できていない場合について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【まとめ】慰謝料が約束通りに支払われないときに備えて公正証書を作成する選択肢も

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 夫婦間で作成した単なる合意書面では、支払いが滞ってもただちに強制執行をすることはできない
  • 離婚慰謝料などを含む離婚条件の合意にあたって公正証書(強制執行認諾文言付き)を作成しておくと、不払いのときに裁判をしなくても強制執行を申し立てることができる
  • 離婚慰謝料で公正証書を作成しようとお考えの方は、一度弁護士に相談すると良い

本記事では、離婚慰謝料の合意で公正証書を作成する理由について解説してきました。
離婚慰謝料の合意をしても、相手が任意に支払ってくれるかどうかは分かりません。
相手が支払ってくれない場合に備え、離婚慰謝料の合意の際は、可能な限り、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するようにしましょう。

今回の記事では、離婚慰謝料と公正証書についてご説明しましたが、離婚慰謝料の問題以外にも、離婚について次のような悩みを抱えていないでしょうか。

  • 「離婚条件(財産分与など)に納得がいかない」
  • 離婚条件(財産分与など)の話し合いがうまくいかない」 など

これらの悩みをお持ちの場合には、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所への相談をご検討ください。弁護士に相談することで、あなたの状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。

アディーレ法律事務所では、離婚問題に関するご相談は初回60分無料です。
さらに、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることはありません(2023年3月現在)。

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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