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【離婚裁判】本人尋問の流れと成功させるポイントを弁護士が解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「離婚裁判の本人尋問ではどういう流れで行われるのか」、
「離婚裁判の本人尋問でうまく話せる?」など

離婚裁判の本人尋問に不安を覚えられている方もいるかもしれません。

しかし、相手も本人尋問は初めてというケースがほとんどですので、うまく話そうとしなくても大丈夫です。

相手の弁護士からの質問に不安があるかもしれませんが、本人尋問成功のコツを知っておくことで、本人尋問の成功につながりやすくなります。

この記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 離婚裁判の流れ
  • 本人尋問の流れ
  • 本人尋問を成功させるポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚裁判での本人尋問とは

離婚裁判での本人尋問とは、離婚の当事者本人が裁判に出頭し、双方の代理人や裁判官からの質問に答える手続をいいます。

基本的には、離婚裁判の終盤に行われるケースが多いですが、尋問を行うかどうかは裁判官が決定しますので、必ず行われるというものではありません。

本人尋問の目的は「相手を言い負かすこと」ではない

「尋問」というと、ドラマなどの影響から、相手を言い負かすイメージを持たれている方も少なくありません。

しかし、離婚裁判での本人尋問の目的は、相手を言い負かすことではなく、「裁判官にあなたの主張をアピールすること」です。

あくまでも本人尋問は、「裁判官」に対して裁判の判断の基礎となる証拠を提出する手続きです。

そして、裁判官は、本人尋問を通じて、本人の口から直接話を聴き、どちらの主張が正しいのか(法律に照らして妥当なのか)を判断します。

相手を言い負かしたからといって、裁判官はあなたの主張を正しいと判断することはありません。

どちらの主張が客観的にみて他の証拠と整合がとれているか、あなたの話に矛盾がないかなどの観点から裁判官はどちらの主張が正しいのかを判断することになります。

ひとつひとつの質問に、裁判官にどういった主張(アピール)を伝えたいのかという具体的な目的を意識しましょう。目的を意識し、本人尋問を戦略的に進めるためには、入念な準備をする必要があります。

相手方代理人を言い負かそうとしたり、腹立たしい質問に対して怒りを表明したりすることには意味がありません。このようなことをすると、裁判官に好戦的な姿勢や感情的な態度を印象付け、かえって悪い結果につながる可能性もあります。

離婚裁判での流れ(訴状提出から判決まで)

ここでは、離婚裁判について、訴状提出から判決までの流れを説明します。

離婚裁判の流れは、一般的に次のようになります(なお、裁判を起こした側を「原告」といい、起こされた側を「被告」といいます)。

原告が家庭裁判所に訴状を提出(離婚裁判を起こす)

裁判所が第1回口頭弁論期日を指定

被告が訴状への反論を書いた答弁書を提出する

第1回口頭弁論

第2回目以降の口頭弁論(弁論準備手続)

和解勧告・和解協議

本人尋問

判決

それぞれについて時系列に従い、説明します。

(1)原告が家庭裁判所に訴状を提出する

原告が訴状(請求したいことを記載した書類)を作成し、夫婦どちらかの住所の管轄の家庭裁判所へ提出します。

その後、裁判所の書記官から第1回目の裁判日の候補日の連絡があり、出席できる日を決めます。これらの手続きは、弁護士に依頼している場合には、すべて弁護士が執り行います。

参考:離婚訴訟事件の訴状|裁判所 – Courts in Japan

(2)裁判所が第1回口頭弁論期日を指定

「口頭弁論」とは、いわゆる皆さんがイメージする裁判になります。法廷に裁判官・原告・被告が一堂に集まり、話しをすることになります。

弁護士に依頼したのであれば、期日は弁護士だけで対応することが可能ですので、あなたも相手も必ず裁判(口頭弁論期日など)に出席しなければならないというわけではありません。しかし、本人尋問が行われる場合には、本人が法廷に直接来る必要がありますので、法廷で相手と対面することになることが多いです。

なお、第1回目の口頭弁論期日は、訴状提出日から1~1ヶ月半後くらいに指定されることが多いといえます(法律上は、訴訟が提出された日から30日以内の日を指定しなければならないとされています(特別な事由がある場合を除く。民事訴訟規則60条2項))。

(3)被告が訴状への反論を書いた答弁書を提出する

被告は、期日呼出状と訴状の写しを受領したら、訴状に対する反論を「答弁書」の形で提出します。

第1回期日の1週間前までには答弁書を裁判所と原告に提出します。

もし間に合わない場合には、原告の主張に対し、争うのか争わないのかだけでも記載し、答弁書を提出しましょう。詳しい反論は、後からでも書面で提出することができます。

参考:離婚訴訟事件の答弁書|裁判所 – Courts in Japan

(4)第1回口頭弁論

第1回の期日では、原告による訴状と、被告による答弁書を陳述します。

ただし、実務上では、第一回目の口頭弁論は、被告は出廷せずに、原告のみ出廷し、裁判官に対し、「訴状のとおり陳述します」と述べるだけのケースが少なくありません。

(5)第2回目以降の口頭弁論

その後の口頭弁論は約1ヶ月に一度のペースで行われるのが一般的です(口頭弁論の回数は裁判の進行次第です)。

口頭弁論では、原告・被告がそれぞれ裁判所に出向き、主張・反論を行います(弁護士に依頼した場合には、弁護士だけが出席するケースもあります)。期日の日までに、前もって主張・反論を記した書面(「準備書面」といいます)と証拠を提出します。

なお、口頭弁論は公開の法廷で行いますが、「弁論準備」と言って、裁判所の小さな会議室で、非公開で書面をやり取りすることも多いです。弁論準備期日は、電話会議の形式で行うこともできます。リモート会議システムを使うこともあります。

(6)和解勧告・和解協議

離婚裁判では、裁判の途中で裁判官が和解を提案してくることがあります(これを、「和解勧告」または「和解の勧試」といいます)。

和解勧告のタイミングは、個々のケースにより異なりますが、主な主張・立証が完了したタイミングで行われることが多いです。

和解案が提案されると、当事者双方が和解案について話し合いをします。その結果、当事者双方が和解に至ることができれば和解が成立し、裁判は終了します。

(7)本人尋問

和解ができなかった場合、和解の見込みがない場合、本人尋問となる流れが多いといえます。

離婚裁判の本人尋問で聞かれる内容としては、これまでの夫婦関係や離婚裁判になった経緯、なぜ離婚したいのか(離婚したくないのか)などが多いといえるでしょう。

本人尋問の流れについては、後で説明します。

(8)判決

尋問の後で再び和解の提案がある場合もありますが、それでも和解できない場合、裁判官が提出書類や尋問の内容に納得すれば最終的に判決が下されることになります。

判決正本は言い渡しから2週間以内に送達されます。判決正本の送達を受けてから2週間以内に控訴しなければ、判決は確定します。

本人尋問の流れ

本人尋問は、基本的に原告→被告の順で行われることが一般的です。

そして、それぞれの本人尋問につき、次の流れで行われます。

人定質問

宣誓

主尋問

反対尋問

裁判官からの質問

それぞれについて時系列に従い、説明します。

(1)人定質問

氏名・住所を聞かれ、これから尋問を受ける人が当事者本人であるかを確認します。

(2)宣誓

証人席で起立し、「真実だけをありのままに話す」という宣誓をします。

宣誓書に記名押印し(待合室で記入する場合も、法廷に入ってから記入する場合もあります)、法廷で宣誓書を朗読します。

(3)主尋問・反対尋問

尋問を申し出た側の代理人から最初に行われる尋問を「主尋問」といい、尋問を申し出られた側の代理人から行う尋問を「反対尋問」といいます。

主尋問→反対尋問の順番で行います。

代理人(弁護士)がいない場合には、主尋問は陳述書を基に裁判官が行い、反対尋問は相手方の本人(代理人)が行うことになります。

(4)裁判官からの質問(補充尋問)

双方代理人による主尋問・反対尋問が行われた後に、裁判官から「補充尋問」があることがあります。

本人尋問でうまく話せるかどうか不安に思われているかもしれませんが、安心してください。
本人尋問を行う前に、尋問で話すあなたの言い分をまとめた陳述書を提出します。裁判官は事前に陳述書を読んで本人尋問に臨みますので、あなたが本人尋問でうまく話せなくても、裁判官にあなたの言い分が伝わらないということはありません。

本人尋問を成功させるための7つのポイント

離婚裁判の本人尋問は、裁判官にあなたの主張をアピールする最後のチャンスです。

離婚裁判の本人尋問を成功させるためにも、次の7つのポイントを意識することをおすすめします。

  1. これまでに提出した書類を見直しておく
  2. 本番のシミュレーションをする
  3. 聞かれたことだけを端的に答える
  4. 嘘をつかない
  5. わからないことを無理やり答えようとしない
  6. 相手の挑発に乗らず冷静さを保つ
  7. 裁判官の方を向いて堂々と話す

それぞれ説明します。

(1)これまでに提出した書類を見直しておく

裁判官は、尋問の内容と、これまで提出された書類の内容を併せて判断材料としますので、尋問での回答が食い違わないようにすることが重要です。

食い違いがあると「嘘をついているのでは」と思われる可能性もあるためです。

これまで起きたことを細かく覚えていることは難しく、記憶違いは誰にでも起こりえます。本人尋問に臨む前にもう一度これまでの提出物を見直しておきましょう。

(2)本番のシミュレーションをする

「経験したことがなく、どんなことが起こるかわからない」ことに挑むことは緊張するものです。

そこで、あらかじめ本番のシミュレーションをして、イメージを描いておくことで、当日の緊張をある程度おさえられます。

自分の弁護士からの主尋問は事前に何を聞かれるかを教えてくれます。

一方、相手の弁護士からの反対尋問は、何を聞かれるか事前にはわかりません。しかし、弁護士に依頼している場合は、弁護士から反対尋問で聞かれそうなことを教えてもらい、事前に練習することができるでしょう。

(3)聞かれたことだけを端的に答える

本人尋問では、聞かれたことだけに答え、余計なことを付け足さないことがとても大切です。

なぜなら、「はい/いいえ」で答える質問に理由を付け足すなど、長々と説明しているうちに、予定していた質問ができなくなり、大切な部分で時間が足りなくなってしまうことがあるからです。

聞かれた質問には、できる限り、短く答えるようにしましょう。

(4)嘘をつかない

当たり前のことですが、嘘をついてはいけません。「ちょっとした嘘はバレないだろう」という考えはNGです。

「ちょっとした嘘」であっても、尋問を進めていくうちに他の話と矛盾が出てきて、その嘘が取り返しのつかない事態を招いてしまう危険性もあります。

また、一つウソがあるとわかると、他の話もウソではないかと思われてしまうこともあります。

矛盾が生じて不利な立場に追い込まれないためにも、真実のみを話すようにしましょう。

なお、嘘をつかないという宣誓をした本人が虚偽の陳述をしたときは、裁判所の決定で過料に処せられることがあります(民事訴訟法209条)。

(5)わからないことを無理やり答えようとしない

記憶が曖昧ではっきりと答えられない事やわからない事についての質問については、無理やり答えないようにしましょう。

「質問者の期待に応えたい」「知らないことは恥ずかしい」など考え、無理やり答えようとしてしまうことがありますが、そのような回答は不利な証拠となってしまうリスクがあります(例:裁判官に「ウソをつく人」と思われてしまう)。

わからないことを聞かれたときには、無理やり答えようとせず、「わかりません」「覚えていません」「質問の内容がわかりません」などと素直に回答した方が良いでしょう。

(6)相手の挑発に乗らず冷静さを保つ

相手からの質問に、気分を害するような内容が含まれることも少なくありませんが、相手の挑発に乗ってはいけません。

このような質問には、相手が自分を怒らせ冷静さを失わせ、不利な回答を引き出そうという意図がある場合もあります。この場合に、感情的になって、思わず余計なことをしゃべってしまうと相手の思うツボです。

相手の挑発に乗らず、どんな質問が来ても冷静に答えるように気をつけてください。

(7)裁判官の方を向いて堂々と話す

これまで説明したとおり、本人尋問は相手を言い負かすものではなく、裁判官にあなたの主張をアピールするためのものです。

弁護士からの質問の場合には、質問が横にいる弁護士から来るため、つい横を向いて話してしまいそうになりますが、アピールする相手はあくまであなたの前にいる裁判官であることを忘れないようご注意ください。

裁判官のほうを見て、大きな声で回答しましょう。
自分の記憶にもとづいて真実を話している、ということを堂々とした態度で示すことも重要です。

離婚裁判の本人尋問はしっかりとした準備を!

離婚裁判の本人尋問は、裁判官にあなたの主張をアピールする最後のチャンスとなりますので、しっかりとした準備を行うことをおすすめします。

そのため、1人でなんとかしようと思わず、弁護士へ相談するようにしましょう。

本人尋問の前に、弁護士と綿密な打ち合わせをし、準備をしっかり行うことにより緊張もほぐれるでしょう。

どんな質問があって、それにどう答えるか、相手からはどのような質問が来る可能性があるかをあらかじめ打ち合わせをしておくことで、実際にその質問が来たときにも慌てずに対応することができます。

本人尋問を成功させるためには、信頼できる弁護士を見つけて共に尋問に向けて準備しておくことがとても重要です。

【まとめ】本人尋問は、主尋問→反対尋問の順で行われる

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 離婚裁判での本人尋問とは、離婚の当事者本人が裁判に出頭し、双方の代理人や裁判官からの質問を答える手続。
  • 離婚裁判での本人尋問の目的は、相手を言い負かすことではなく、裁判官にあなたの主張をアピールすること。
  • 離婚裁判の流れ(訴状提出から判決まで)
  1. 原告が家庭裁判所に訴状を提出(離婚裁判を起こす)
  2. 裁判所が第1回口頭弁論期日を指定
  3. 被告が訴状への反論を書いた答弁書を提出する
  4. 第1回口頭弁論
  5. 第2回目以降の口頭弁論(弁論準備手続)
  6. 和解勧告・和解協議
  7. 本人尋問(主尋問→反対尋問(→裁判官からの質問))
  8. 判決
  • 本人尋問を成功させるための7つのポイント
  1. これまでに提出した書類を見直しておく
  2. 本番のシミュレーションをする
  3. 聞かれたことだけを端的に答える
  4. 嘘をつかない
  5. わからないことを無理やり答えようとしない
  6. 相手の挑発に乗らず冷静さを保つ
  7. 裁判官の方を向いて堂々と話す

本人尋問の前には誰しも不安になるものです。

しかし、信頼できる弁護士に依頼し、事前に弁護士としっかり打ち合わせやシミュレーションをすることで、本人尋問に対しても落ち着いて対応することができるようになります。

どんなに些細な不安や疑問でも、気軽に弁護士に相談してみましょう。
離婚問題についてお悩みがある方は、離婚問題をとり扱う弁護士への相談をおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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